スポーツライター高田博史オフィシャルblog。 四国・九州アイランドリーグを現場取材!※たまにCMも
グリーンのユニフォーム
2008年07月04日(金) 02:53
四国・九州アイランドリーグ 練習試合
2008.7.3. 香川OG 5-3 紀州R <志度球場>

紀州 110 000 100 | 3
香川 011 000 03×| 5

バッテリー
紀州 辰己野、吉川、横川 ‐ 田中
香川 安達、松居、高尾 ‐ 西森、堂上

昨日、徳島ISを破り独立リーグ所属チームから初勝利を挙げた紀州Rが四国・九州リーグ前期の覇者、香川OGとの練習試合に臨んだ。気温35℃を越えた猛暑の志度球場でのゲームである。
香川OGの先発は7月1日付けで練習生から晴れて正式登録となった安達輝誠。紀州Rは昨日5回0/3を投げた横手右腕、辰己野貴由を再び先発マウンドに送る。序盤は両チーム共に2点を奪い合う展開となった。
7回表、紀州Rは一番・西本が香川OGの二番手・松居から今日4本目の中前打を放ち勝ち越しの1点を奪う。しかし8回裏、香川OG打線が紀州Rの三番手・横川を捉える。同点にした後、二番・洋輔の2点適時中前打で逆転に成功した。八回裏からマウンドに登った高尾健太が九回を締め、香川OGが5-3で紀州Rを降した。


『グリーンのユニフォーム』

西田監督が語る。
「独立リーグで最も強いと言われるガイナーズで野球をするチャンスをもらった。あとは本人の気持ち次第。そういうチャンスを与えてあげたんだから」

2日前に安達輝誠(香川OG)が正式に選手登録されてから、これが初の実戦のマウンドになる。2ヶ月の間、実戦から離れていたブランクは然程気にならなかった。
「愛媛の時はもっと空いてましたから」
と苦笑いを見せる。
「ずっとフォアボールで崩れてましたから、最低限試合を作れるイメージを(見せたかった)」
練習試合とは言え大きなチャンスである。グリーンのユニフォームにはまだ背番号が入っていない。猛暑の中で登ったマウンドに、どんな意味があるのか。それは十分に理解している。

課題は変化球のコントロールである。5回を投げ2失点、立ち上がりの2イニングで1点ずつを失った。2回と4回、先頭打者を四球で歩かせたことは大きな反省として残る。高目のボールが浮いてしまいカウントを悪くしていた。4回表、五番・中川を歩かせた時、ショートの丈武がマウンド近くまで歩を進め、安達に声を掛けた。
「まっすぐ勝負でいいよ。小細工なしで」
最も自分らしいピッチングはストレートを思い切って投げ込むことだ。気持ちを切り替え、唸り声を上げながら真っ直ぐを投げ込んでいった。

「ピンチになった時、助けてもらえるボールはやっぱり真っ直ぐなんで。いかに悪いカウントの時、ストライクが取れるか。次のステップとして変化球のコントロールを磨きたい。時間はかかると思いますけど・・・」

オレンジ、ネイビーブルー、そしてまだ背番号の無いグリーンのユニフォーム。このユニフォームを着るために、もう一度己の力を信じるために、それ相応の覚悟が必要だった。グリーンのユニフォームを着て登った最初のマウンドは、どのチームで投げたものとも違っていた。特別な気持ちを抱いて登ったマウンドだった。
「もう3年目ですからね。そういう気持ちが無いとおかしい」


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失策
2008年07月03日(木) 01:59
四国・九州アイランドリーグ 練習試合
2008.7.2. 徳島IS 3-5 紀州R <アグリあなんスタジアム>

紀州 000 012 200 | 5
徳島 100 002 000 | 3

バッテリー
紀州 辰己野、山本、吉川、横川 ‐ 田中
徳島 片山、安里、佐藤、梅原、渡邊、平野 ‐ 荒張、永井

来年から関西独立リーグに加盟予定の紀州レンジャースが徳島ISと練習試合を行った。
3対3で迎えた7回表、この回からマウンドに登った徳島ISの4番手・梅原が無死一、三塁のピンチを迎える。紀州Rはここでダブルスチールを敢行。三塁から福田が生還し1点を、さらに三番・中川の右犠飛により2点のリードを奪った。
徳島IS打線は7回以降、紀州Rの継投の前に得点が奪えず、紀州Rが5-3で徳島ISを降した。紀州Rは既存の独立リーグチームから3試合目にして初勝利を挙げた。


『失策』

3回表、先頭の七番・田中の強い打球がセカンドの大二郎へと飛ぶ。目の前で弾んだ打球を胸に当てて止めた。鈍い音が響いた。八番・三塁手として今日の試合に先発出場した白川勇輔(徳島IS)は、大二郎が見せたこのプレーを同じようにこなすことができなかった。

5回表、田中が打った三塁へのゴロをトンネルし、後逸してしまう。ボールがファールグラウンドを転がる間に、二塁走者が三塁を蹴る。本塁への生還こそ許さなかったものの、一死二、三塁のピンチを作ってしまった。
「大二郎さんみたいに『身体で止めろ!』って言われてて、できなかった。あのトンネルが痛かったです。他の(プレー)は得るところもあったんです。うまく入ったし・・・」
このエラーによって、プレーのリズムを完全に狂わせてしまう。

6回表には、普段の練習でやったことがないと言う一塁への悪送球を2つ。さらに再び飛んで来た田中の打球をファンブルし、今日4つ目の失策を記録する。浮き足立ってしまい、練習でできるプレーさえできなくなってしまっていた。

あくまで練習試合である。首脳陣の中に、レギュラー以外の選手に経験を積ませたいという思惑は確かにあった。練習生の荒張が初めてマスクを被り、白川も自らが志願したとは言え、まだ慣れていない三塁手としてのプレーである。まだまだ多くの経験が必要なのは明白だ。勝負の懸かった公式戦ではできないことをトライさせたかった部分もある。しかし、だからと言って勝負度外視で良い訳では決してない。そんなつもりもない。

ネット裏で観戦していたファンからは、今日の試合振りに「情けない」、「それでもお前らプロか」という罵声が飛んだ。もちろん選手たちは解っている。

「大失態です」
試合後のベンチで、ある選手がポツリとそう言った。


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総力戦
2008年05月02日(金) 12:06
四国・九州アイランドリーグ
2008.4.26. 香川OG 4-6 徳島IS <オリーブスタジアム>

IS 010 000 410 | 6
OG 300 000 100 | 4

勝 渡邊 3勝1敗
S 梅原 1S
敗 橋本 2勝1敗

バッテリー
IS 渡邊、片山、梅原 ‐ 加藤
OG 橋本、イ、岡本、松居、福田 ‐ 堂上、西森

本塁打
IS アティング1号2ラン(7回イ)
OG 智勝1号3ラン(1回渡邊)

ホームで戦う5連戦の最初のゲームも完封勝利で飾った。開幕以来破竹の8連勝と、首位を独走し続ける香川OGに勢いの止まる気配が無い。対する徳島ISはここまで4連敗を喫している。ロードでの5連戦の中、弾みの付く勝利をもぎ取りたい。
徳島ISのエース、左腕・渡邊隆洋が初回から手痛い失点を喰らう。四番・智勝の左翼スタンドに飛び込む1号3ランで、香川OGが序盤から3点のリードを奪った。
徳島ISは2回表、先頭の四番・金谷良太が右中間を破る二塁打で出塁する。一死三塁としたところで、六番・アティングの三ゴロの間に金谷が生還し、1点を返した。
香川OG先発の橋本亮馬は2回の失点以降、6回まで徳島IS打線に1本の安打も許さない。7回表、ついに徳島IS打線が橋本を捉える。三番・斎藤雅俊の左中間を破る適時三塁打、五番・小松崎大地の適時中前打で3-3の同点に追い着く。香川OGベンチはここで橋本に代え、イ・チャンホをマウンドに送るが、六番・アティングがチーム今季初となる1号勝ち越し2ランを右翼スタンドに叩き込み、5-3と逆転に成功した。
7回裏、香川OGが無死満塁のチャンスをつかむと、ここで徳島ISベンチは二番手として片山正弘をマウンドに送る。片山はこのピンチを最小失点で切り抜けた。
8回表、香川OGの三番手、岡本健太から斎藤が左翼線に痛烈な適時二塁打を放ち、徳島ISが追加点を奪う。香川OG打線は8回裏からマウンドに登った三番手・梅原伸亮の前に1人の走者も出すことができず、徳島ISが6-4で勝利した。香川OGは9戦目にして今季初黒星。渡邊が3勝目、梅原が自身リーグ初のセーブポイントを記録している。


『総力戦』

ベンチからマウンドにいる橋本亮馬(香川OG)の投球フォームを見ながら、山口寛史(徳島IS)は狙っていた。7回表、3打席目にしてようやく出塁を果たした二塁ベース上で、準備を整える。

「『いけるな・・・』とずっと思ってて。(森山コーチから)来てもいいよってことだったんで」

三番・斎藤雅俊が初球をファールした後の2球目、橋本が変化球を投げるタイミングでスタートを切り、見事に三塁を陥れた。香川OGの加藤博人コーチは試合後、バッテリーの許した1球のミスを指摘していた。

「完全に油断だよね」

ここから橋本が完全にリズムを崩し、ストライクが入らない。斎藤に左中間を大きく破られた。五番・小松崎大地にもセンターへ運ばれてしまい、3-3の同点に追い着かれている。

今年、徳島ISの選手たちがよく口にする言葉がある。
「野球は流れのスポーツ。試合の中の流れをつかめば勝てる」
キャンプ中から森山コーチが言い続けている言葉の一つだ。

徳島ISが同点に追い着く前の6回裏、香川OGの攻撃。
無死二、三塁のチャンスに二塁走者の智勝が二、三塁間に挟まれ、結果三塁走者の堂上隼人が本塁で刺殺される大きな走塁ミスがあった。一死三塁となり、五番・丈武のバットを渡邊隆洋のストレートがへし折る。砕け散ったバットの破片が舞い上がる中、それをものともせずに目の前に転がった打球をすくい上げる。本塁に送球し、三塁走者の生還を許さなかった。なおも二死二塁とピンチは続く。六番・金井雄一郎が引っ張った三遊間への強い打球をサードの山口がダイブして止めた。

このピンチを無失点で凌ぎ切り、大きな流れを手繰り寄せる。7回表の先頭バッターとして打席に向かったのは、好守でピンチを救った山口だった。

結果として勝負を決めたのは、7回表に放ったアティングの勝ち越し2ランである。アティングも序盤に悪い流れを断ち切る大きな仕事をしている。森山コーチが語る。

「今日の試合はあの2回のサードゴロ。ベンチで僕、独り大騒ぎしてましたもん!」

初回に3失点した後の2回表、二塁打で出塁した四番・金谷良太を三塁に置き、六番・アティングの一打ですぐさま1点を返した。一気に持って行かれそうになった流れをなんとか繋ぎとめている。

「あの3点でまたズルズル行くかと思ったんやけどね・・・。今日はもう総力戦のつもりやったから」

全員で勝ちに行く。白石監督はそのつもりだった。
7回裏、渡邊が迎えた無死満塁のピンチに、先発三本柱の一人、片山正弘をマウンドに送っている。最小失点で食い止め、重責を果たした。投げる人間が投げ、打つ人間が打ち、走れる人間が走る。それぞれが自分のやるべき仕事をしたことで結果はついてきた。

アティングは試合後、「みんなの力」を強調していた。

「自分が打つ前に山口、斎藤、小松崎のヒットがあった。みんなの力があったと思う。橋本は去年も対戦しているし、徐々に速いボールに対応できるようになってきた。僕個人も初ホームランだけど、チームとしても初ホームランだったので嬉しい。この波に乗っていきたい」

ただ香川OGの連勝をストップしただけではない。チームとして何か大切なものをつかみかけている。そんな勝利だった。


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OK!
2008年04月30日(水) 19:01
四国・九州アイランドリーグ
2008.4.20. 愛媛MP 6-2 徳島IS <坊っちゃんスタジアム>

IS 020 000 000 | 2
MP 210 012 00× | 6

勝 近平 1勝
S 川西 1S
敗 渡邊 2勝1敗

バッテリー
IS 渡邊、佐藤 ‐ 加藤、永井
MP 近平、川西 ‐ 梶原

徳島ISを迎えてのホーム3連戦で一気に4連勝を狙う愛媛MPは、昨年最優秀防御率タイトルを手にした近平省吾を先発のマウンドに送った。昨夏、ヒジの手術で戦列を離れて以来の先発マウンドとなる。
徳島IS先発の渡邊隆洋が初回から愛媛MP打線に痛打を浴びる。先頭の一番・長崎準平が右中間を破る二塁打で出塁すると、二死二、三塁から五番・檜垣浩太の適時中前打で2人が還り、2点を先制した。
2回表、徳島ISも六番・アティングの左前打、七番・伊奈龍哉の適時三塁打などですぐさま同点に追い着くが、2回裏、愛媛MPが再び渡邊を捉える。九番・梶原有司が三塁内野安打で出塁すると、続く一番・長崎が右前安打。これを右翼手のアティングが後逸する間に梶原が生還し、3-2と勝ち越しに成功した。
愛媛MP打線は5回裏に三番・比嘉将太の中越え三塁打で追加点を、6回裏にも八番・川邊の左中間を破る2点適時二塁打で2点を奪い6-2とさらにリードを拡げる。
近平は2回以降失点を許さず、6回でマウンドを降りた。7回からマウンドを引き継いだ川西祐太郎が3イニングを打者9人で抑え、愛媛MPが徳島ISを6-2で降した。愛媛MPはホーム3連勝を含んでの4連勝。近平が今季初勝利、川西が自身リーグ初セーブを記録した。


『OK!』

今日のヒーローの一人、長崎準平に「4連勝したチームのどの辺りを心強く思うか?」という質問を投げ掛けると、こんな答えが返ってきた。

「ピッチャーですね。今日もチカさん、テンポ良く投げてくれて。凄い守りやすかった」

ホームでの3連戦で常に先制点を叩き出し、試合の流れを作ってきた打線よりも、野手の目から見て一番に挙げたのはピッチャーへの信頼感である。

近平省吾(愛媛MP)は今季、練習生という形でシーズンのスタートを切った。
昨年八月、右ヒジの手術のために選手登録を抹消。リハビリを続け、再び選手登録されたのは開幕まであと4日となった4月1日のことである。4月6日の徳島IS戦で復帰後初マウンド、13日の福岡RW戦で3回を投げ今季初セーブを記録と、順調に完全復活への階段を上ってきた。

今日のゲームのマスクを被った梶原有司は、近平のボールを捕りながら改めて思っていた。

「やっぱチカさん、いいピッチャーだなって・・・。ストライクが先行するし、他のピッチャーと違って(カウントが)0-2とかにならない。130キロくらいしか出てないんだけど、いいピッチャーって絶対スピードじゃないんですよね。いかにストレートを速く見せるかってことを意識しました」

100キロ前後の変化球を効果的に混ぜ、打者のタイミングをずらした。苦しかったのは左バッターのインコースを攻めたボールがきわどく外れた場面だった。6回表、一死一、二塁のピンチに、スイッチヒッターの六番・アティング、七番・伊奈龍哉と、左打者を連続して打席に迎えている。マウンドへ歩き、近平に直接声を掛けた。

「あそこは攻めてました。チカさんにも『今は(ストライクを)取ってくれてないですけど、ここはガマンして行きましょう!』って声掛けました」

二死一、三塁となったカウント0-2の場面、伊奈を一ゴロに打ち取りピンチを乗り切っている。

沖泰司監督に「使えるメドが立った」と言わせたピッチングで、今季初勝利を手にした。先発として登った久々の坊っちゃんスタジアムのマウンドは、やはり緊張したと言う。

「去年みたいに全然投げられないピッチャーがいない。だから先発が思い切って投げて行ける」

そんな「投手陣」としての自信もある。

昨年後半を棒に振ったのは、もちろん今年にすべてを懸けたからだ。近平省吾に「OK!」のサインが出た。


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チームワーク
2008年04月18日(金) 11:13
四国・九州アイランドリーグ
2008.4.13. 高知FD 2-5 徳島IS <土佐山田スタジアム>

IS 211 010 000 | 5
FD 100 001 000| 2

勝 渡邊 2勝
敗 山中 1敗

バッテリー
IS 渡邊 ‐ 加藤
FD 山中、山隈、野原、上里田 ‐ 飯田、キム

本塁打 中村1号ソロ(6回裏渡邊)

春野での今季初のホームゲームを徳島IS相手に完封勝利した。高知FDは新入団の山中智貴を第2戦のマウンドに送り連勝を狙う。しかし、序盤からその山中が徳島IS打線に捕まってしまう。
初回、一死二、三塁から四番・金谷良太が右前へ2点適時安打を放ちリードを奪う。高知FDも徳島IS先発の渡邊隆洋の立ち上がりを攻め、四番・真輝の右前適時打ですぐさま1点を返した。
2回表、今日一番に座った小松崎大地の左前打に二塁から大二郎が還り1点を。3回表にも五番・金丸勝太郎、六番・永井豪の連続安打で徳島ISが1点を加える。5回表にも高知FDの二番手・山隈茂喜から永井の中犠飛で1点を奪い、差を4点に開いた。高知FD打線は渡邊の前に走者を出しながら追加点が奪えない展開が続く。
6回裏、五番・中村龍央が左翼スタンドへソロ本塁打を叩き込み、高知FDが1点を返した。ここから反撃かと思われたが、7回以降高知FDは打者3人ずつで攻撃を終え、ついに渡邊を捉えることができなかった。
徳島ISが5-2で高知FDを降した。渡邊は6日の完封に続き、完投での2勝目を挙げた。


『チームワーク』

試合前のシートノックが終わり、徳島ISが三塁ベンチ前で円陣を組んだ。いつものように誰かが掛け声を掛け試合へと入っていくのだが、その役目を負ったのは今日からチームに合流したアンディ・アティングだった。アンディがチームに帰って来た。輪の中心に入り、英語とカタコトの日本語でチームメイトを煽る。

「トクシマインディゴソックス!サイコーネ!」
「サイコーネ!」
「サイコーネ!」

アンディの日本語を全員が3度繰り返し、士気を高めていた。いい雰囲気があった。

4試合を戦って2勝2敗。星を5割に戻している。
先制の2点タイムリーを放った金谷良太が言う。

「昨日完封で嫌な負け方をして、野手が点取れなくて負けてたんで。先取点を取るのは今日のテーマでした。その点においては仕事ができたと思います。(渡邊のピッチングも)守りやすかったです。テンポ良くて」

打撃だけではない。8回裏、終盤で迎えた無死一塁のピンチに、三番・古卿大知の左中間へのライナーを抜群のポジショニングと判断良いスタートで捕球し、ピンチの芽を摘んでいる。

3回裏にライト前へタイムリーヒット、5回裏には距離十分の犠牲フライをセンターに上げ、2点を叩き出したのは永井豪である。いずれも前の打者、金丸勝太郎が出塁の後、二盗を成功させておりチャンスでの打席だった。

「ランナーが走ってくれてたんで、楽に打てました」

試合後のコメントを選手たちに聞きながら気付いたのは、言葉の向こうに見え隠れしていた自分のプレーに関するものだけではない、「誰か」への言葉だった。

金谷は昨日仕事をしてくれた投手に対し、仕事のできなかった自分たち野手の不甲斐なさを今日のゲームにぶつけていた。その想いが序盤の先制打へと繋がっている。永井は2打点を挙げた自分のバットよりも、まずチャンスを拡げてくれたランナーへの賛辞を言葉にしていた。

試合中のプレーではない、スコアブックにも記載できない本物の「チームワーク」が、少しずつ見え始めている。

「ピンチの時に「大丈夫だから!」って、ベンチが何度も大きな声を掛けてくれてました」

そう語ったのは完投で2勝目を挙げた渡邊隆洋だった。
ベンチからの激をマウンドで力に代えながら、高知FD打線を最後まで抑え込んだ。
ヒーローインタビューでスタンドのファンからの声援を受けながら、こうも言っていた。

「アンディが合流して、これでインディゴソックス全員が揃いました」


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「それがすべてです」
2008年04月10日(木) 20:39
四国・九州アイランドリーグ
2008.4.6. 徳島IS 4-0 愛媛MP <アグリあなんスタジアム>

MP 000 000 000 | 0
IS 000 001 12×| 4

勝 渡邊 1勝
敗 高木 1敗

バッテリー
MP 高木、近平、入野 ‐ 梶原
IS 渡邊 ‐ 加藤

序盤は徳島IS先発・渡邊隆洋、愛媛MP先発・高木大輔両投手の投手戦となり、前半5回を両チームとも無得点で終える。
6回裏、徳島ISは一死満塁の場面で六番・金谷良太が一、二塁間を抜く適時安打を放ち先制点を。7回裏にも代わった二番手・近平省吾を捉えると、一死一、三塁のチャンスに二番・金城直仁が右前へ適時安打を放ち追加点を奪った。8回裏にはこの回からマウンドに登った三番手・入野貴大が制球に苦しむところを八番・加藤光成、九番・金丸勝太郎が連続適時打。さらに2点を追加し4点とリードを拡げた。
渡邊は愛媛MP打線に8安打を許しながらも打たせて獲る丁寧なピッチングで得点を許さない。最終回無死一、二塁のピンチも七番・大津慎太郎を投ゴロ併殺に切って取り、今季初勝利を4-0の見事な完封勝利で飾った。


『「それがすべてです」』

開幕を明日に控えた金曜日、練習を終えたグラウンドの裏で徳島ISの選手たちに開幕を迎える心境を聞いた。この時渡邊隆洋は、今季の開幕投手を逃してしまったことを素直に悔いていた。

「開幕に投げた人がこれまで全員プロ(NPB)に行ってて。西山さん、伊藤さん・・・。去年は投げさせてもらったんですけど、そのいい流れに乗れなかったのは残念です」

白石静生監督から「開幕は片山、渡邊で行く!」と言われながら、やはり欲しかった初戦のマウンドを逃してしまったことが大きな後悔として残る。

チームは昨日、欲しかった開幕初戦を落とした。
ネット裏でデータ収集に努めていたためベンチ入りはしていなかったが、試合後のミーティングの中でチームメイトたちの表情に浮き出ていた特別な感情に気付いている。

「昨日のみんなの悔しい顔を見て、チームに『この負けを取り返したい』っていう気持ちがありました。片山(初戦のマウンドに登り敗戦投手)なんかも結果を求めて頑張ってるのに・・・」

連敗だけは絶対に避けなければならない。
試合前のブルペンで、バッテリーを組んだ加藤光成とは「できるだけ早いカウントで打たせて獲ろう」と話し合っていた。力を入れすぎず、まず回の先頭バッターを抑えることに全力を傾けよう。この作戦が見事に功を奏している。

「無死球でいきたかったですね。一番意識してることなんで」

フォークボールが指にかかりすぎ、六番・松原準に与えてしまったデッドボールが一つある。しかし、今季初勝利を飾ったたった91球での完封勝利は、いかにも渡邊らしい繊細なコントロールを披露してのナイスピッチングだった。

4年目を迎えたピッチャーは、チームに渡邊ただ一人となった。行こうとしている場所がどういうところなのかも、そのためには何が必要なのかも、すべて解っている。

帽子のひさしの裏に、マジックで書かれた言葉がある。

「これです。それがすべてです」

『強い気持ち』と書かれていた。


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4年目の開幕戦
2008年04月10日(木) 19:06
四国・九州アイランドリーグ
2008.4.5.  徳島IS 1-6 愛媛MP <アグリあなんスタジアム>

MP 000 300 021 | 6
IS 000 000 100 | 1

勝 森 1勝
敗 片山 1敗

バッテリー
MP 森、宇都宮、西川 ‐ 梶原
IS 片山、梅原 ‐ 加藤

6球団となった四国・九州アイランドリーグの2008年シーズン開幕戦は、福岡と長崎のゲームがナイトゲームで行われるため、この一戦で幕を開ける。徳島ISの先発は2年目の片山正弘。愛媛MPも同じく2年目の森琢哉が第1戦のマウンドに登り、共に3回を無失点で終えた。
4回表、愛媛MP打線が火を吹く。四番・檜垣浩太、五番・大島慎伍の連続安打でチャンスを拡げると、六番・嶋田好高が右前に適時打を放ち先制点を奪う。さらに八番・中川慧陽、九番・梶原有司の連続適時打でこの回3点を挙げた。
7回裏、徳島ISが反撃に出る。六番・金谷良太、七番・永井豪の連続安打で無死一、三塁とすると、八番・加藤光成の左前適時打で1点を返した。愛媛MPはさらに無死満塁のピンチを迎えると、森に代え宇都宮勝平をマウンドに送る。宇都宮は一番・金丸勝太郎を三振に取るが、二番・代打斎藤雅俊への3球目が暴投に。これを見た三塁走者・永井が本塁突入を試みたが、本塁上のクロスプレーで憤死し追加点を奪えない。宇都宮は斉藤を中飛に打ち取り、このピンチを乗り切った。
愛媛MPは8回に2点、9回にも片山から代わった二番手、梅原伸亮から1点を奪いさらに点差を拡げる。8回裏からマウンドに登った西川雅人が2イニングを無失点で締め、6−1で開幕戦を白星で飾った。


『4年目の開幕戦』

7回裏、得点は3−1とまだ2点のリードがある。今季最初に登るマウンドが、この試合のおそらく山場になるであろう大事な場面となった。無死満塁。最大のピンチにリリーフとしてマウンドに登った宇都宮勝平(愛媛MP)の表情には余裕などなく、ただ必死で打者に対峙するしかなかった。

スライダーで先頭の金丸勝太郎を空振りに切って獲ると、徳島ISベンチは二番に代打・斎藤雅俊を送る。今季新入団の選手である。カウントが0-2になった後の3球目、捕手・梶原有司はスライダーを要求する。これがショートバウンドとなって梶原がボールを逸らした。三塁走者の永井豪が一気に本塁へと突進する。マウンドから駆け降り本塁のベースカバーに入った宇都宮に、梶原が拾い上げたボールを送る。足からスライディングした永井に宇都宮が弾き飛ばされた。倒れ込んでいる宇都宮のグラブを神谷主審が覗き込み、確認する。ボールは落としていない。永井にアウトが宣告された。三塁側スタンドから大きな歓声と、一塁側スタンドから落胆の声が上がった。

宇都宮のケガの状況確認のため一旦タイムが取られ、バッテリーはベンチへと下がった。
右足の太腿辺りを少し擦った程度で、幸いプレーに支障は無い。梶原はそれを確認すると、すぐにこの後の守りをどうするか考えていた。

なおも二死二、三塁のピンチだ。カウンドは0-3。斎藤を歩かせ、満塁策を採る選択肢もある。歩かせれば次の打者は三番の山口寛史である。ここまで3打数ノーヒットと抑えてはいる。しかし怖いバッターであることもこれまでの経験で十分承知している。宇都宮、梶原、山口。全員がこのリーグで今日まで3年間生き残ってきた選手である。

「山口さんですけど、どうしますか?」
意見を求めた梶原に対する沖泰司監督からの答えは、
「お前たちの好きにしろ」
だった。

マウンドへと戻り投球練習を繰り返している宇都宮に、先程までとは違う冷静さが漂っていた。バッテリーが選んだ選択肢は、「このままこのバッターで勝負」である。梶原が振り返る。

「次が山口さんだし、(山口が)左だってことを考えても、このまま右打者で勝負した方が打ち取れる確率が高いじゃないですか。カッペイさんなら変化球があるから。全部スライダーで勝負しようと思ってました」

要求されたサイン通りに宇都宮がスライダーを投げ込む。斎藤は外角に切れて行くボールを2球とも見送った。カウントが0-3から2-3へと変わった。ラストボールも同じ、外角へのスライダーだった。打ち損じた打球がセンターへと上がり、中堅手・長崎準平のグラブに収まった。

「もう無我夢中で、スラが特別キレてるとかは思いませんでした。梶原のサインに従っただけで・・・」

4年目のシーズン開幕戦に垣間見えたのは、3年間の積み重ねの向こうに今日の開幕の日があるのだという宇都宮と梶原の成長、そして経験だ。

「いいピッチングができたと思います」

1回を投げ、投球数は13。
大事なシーズン開幕戦、最大のピンチを救った宇都宮の顔は満足気だった。


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エースとしてのピッチング
2008年03月29日(土) 01:55
阿南市長杯 四国・九州IL6球団トーナメント 一回戦
2008.3.28. 福岡RW 0-5 香川OG <アグリあなんスタジアム>

OG 001 102 100 | 5
RW 000 000 000 | 0

バッテリー
RW 浦川、倫太郎、キム ‐ 瓜野、富岡
OG 松尾、橋本、松居、高尾 ‐ 堂上、西森

3回表、香川OG打線が福岡RW先発の浦川大輔を捉える。中前打で出塁した一番・洋輔を二塁に置いて、三番・堂上隼人が適時中前打を放ち先制点を。4回表にも九番・国本和俊の左翼線二塁打で追加点を挙げた。さらに6回表、七番・若林春樹、八番・シンの連続適時打で2点を。7回表には浦川からマウンドを受け継いだ二番手・倫太郎が満塁のピンチから六番・金井雄一郎に押し出し四球を与え、点差を5点に拡げた。
香川OG先発の松尾晃雅は6回をパーフェクトに抑える快投を見せる。7回裏一死から二番・関口大志に三遊間を破られ安打を許したものの、後続を切って獲り7回を無失点。5奪三振、被安打1でマウンドを降りた。8回から橋本亮馬、松居伊貴、高尾健太が2イニングを無失点で切り抜け、香川OGが福岡RWを5対0の完封で降して準決勝へと駒を進めた。
香川OGは準決勝に進出。明日、愛媛MPと決勝進出を賭けて戦う。


『エースとしてのピッチング』

マウンドに立つ松尾晃雅(香川OG)に、特別な気負いは無かった。
意識していたことは、「ただいつもと同じように、全力で投げよう」それだけだったと言う。試合前のウォームアップでは、決して調子が良かった訳ではなかった。

立ち上がり、ややストレートが上ずりボールが先行する。福岡RWの先頭打者、國信貴裕の放った強いゴロが一塁を襲う。一瞬「やられたか!」と思ったが、打球は一塁手・若林春樹のミットの中に吸い込まれた。

「あの國信のファーストゴロ。いい当たりだったけど、あれで落ち着きました」

様々な想いが交差していた緊張感は、この先頭打者への一球で解けた。ここからエースのピッチングが本領を発揮し始める。

捕手・堂上隼人の言葉を借りれば、「ストライクを取るボールと、決めに行くスライダーの使い分けがうまくできていた」ということになる。6回を終って、奪った三振は5つ。福岡RW打線を二巡目まで完璧に押さえ込み、打者18人に対し誰一人として安打どころか出塁さえ許していない。

あわや大記録達成か!と思わせたパーフェクトピッチングが7回に途絶えても、動じるところはまったく無かった。

「変化球のコントロールがうまく行きました。1本打たれても別に悔しくなかったし。(関口に打たれた球も)そんな悪い感じじゃなかったと思うんだけどな・・・」

予定された90球には10球少ない80球でマウンドを降りた。

これまでの3年間のピッチングの中でも、5本の指に入るくらいのピッチングだったんじゃない?と聞いてみた。静かに「そうですね」と答えた。

記憶に残るピッチングがまた一つ。
香川OGのエースとしての。


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覚悟
2008年02月02日(土) 01:50
2008年2月1日 四国・九州アイランドリーグ春季キャンプ

今季から6球団となり、新たな船出となった四国・九州アイランドリーグがそれぞれ一斉にキャンプインを迎えた。徳島ISも11時よりアグリあなんスタジアムでのキャンプをスタートさせ、今季のスタートを切った。
10分、5分の持久走、50mダッシュなどのランニングメニューをこなした後、野手を2班に分け、ランナーを置いての内外野ノック。さらに20分の休憩の後行った打撃練習では、小松崎大地、今季新入団の伊奈龍哉がフェンスオーバーの当たりを見せるなど、早くも仕上がり好調なところを見せた。
また、試合前に行われたミーティングで今季の主将が大二郎に、副主将が竹原俊介に決定したことが発表されている。


『覚悟』

キャプテンとして迎えた大二郎4年目のキャンプインは、やはりこれまでのそれとはまったく違う印象になった。
「全っ然違いました!緊張なんかな・・・?いざ練習入ると・・・。やっぱり緊張してたんですかね」

森山一人コーチから今季の主将にと推薦されたのは一昨日のことである。ある程度もう覚悟はできていた。1月15日から始まった合同自主トレからすでに、
「すべて、お前を通してみんなに伝えるから」
と言われていたからである。

一つのキーワードとなる言葉がある。
「今年、僕の中で『覚悟』って言葉を頭に叩き込んで行こうと思ってるんです」
主将として自分がチームを引っ張って行く覚悟。自分自身「無い」と思っていたアイランドリーグでの4年目に挑む覚悟。昨年のシーズン終了後、このままだと悔いが残ったまま終ってしまうことになると思った野球に対する覚悟。そんないくつかの覚悟一つ一つが、2008年スタートの日の特別な心境に繋がったことは想像に難くない。練習の最初に行われたグラウンドをフルに使っての持久走でも一番に飛び出し、積極的に先頭を引っ張っていた。

今日最後のメニューとなった特守で、セカンドに入り森山コーチからのノックを受け続けていた。ゴロを正面で捕る基本動作の反復から、数をこなして行く内に右へ左へと振られる。徐々にダイブする数が増える。
「しつこさが無い!楽しんでもしょうがないんや!」
そう叱咤されながら、必死で打球に喰らいついていた。

もう一つ上のレベルに這い上がるためには、一日一日の練習から自分の限界まで追い込んで行かないとそこには辿り着けない。合同自主トレ初日のミーティングで森山コーチから言われた言葉である。その言葉が胸に染みている。

ノックも終盤になりグラウンドが急に冷え込み始めた頃、左足のふくらはぎを痙攣させ仰向けに倒れ込んだ。筋肉を伸ばしながら苦痛に表情を歪める。すぐに復帰しようとしたが、大二郎の特守はここで終了となっている。

「僕、今まで足つったことって無かったんですよ。痛いっスねぇ!」
足に走ったその痛みは、覚悟をもって今日の限界を超えた証である。


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『いつも、心に、ユニフォーム』
2008年01月24日(木) 20:45
少々遅ればせながらではありますが、
1月19日にベースボール・マガジン社からベースボールマガジン3月号

『いつも、心に、ユニフォーム』

が発売されました!!!

『いつも、心に、ユニフォーム』

うわっ!\1,000-!安っ!

絶賛発売中です。
とっくに本屋さんに並んでます。
ええ、僕も確認しました。

NPBのユニフォームだけじゃなく、四国・九州独立リーグのユニフォームページもありますので。
外は激寒ですから、これ買ってお部屋でゆっくりユニフォームの世界にどっぷり浸かっちゃいましょう!


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