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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2006/01/15(Sun)

一年前

この話をアップしようとしたのは一年前の今日、1月15日である。
話の主人公の彼女に掲載の是非を確認した際、
〝今はまだ悲しすぎるので・・・〟
という理由で、公開するのを少し待って欲しいと言われた。

あれから一年経った。

まさか一年の内に後輩を二人も失う事になるとは夢にも思わなかった。
彼の事を思い出す意味でも、改めてここに載せたいと思う。



『いつか』

彼女が香港へ遊びに行ったのは11月の終わりのことだった。
豪華なホテルのスィートルームに泊まり、買い物や食事を思い切り楽しんだ。香港には会社の先輩が赴任していて、以前から
「オレがこっちにいる間に遊びに来い」
と誘われていた。
約束を果たし香港にやって来た彼女に、彼は食事をごちそうしてくれた。

二人の共通の先輩にあたる女性がいる。
既に退職していて会社にはいないのだが、一昨年に結婚してもうすぐ出産を控えている。
その先輩の話題になった。

「わたし絶対男の子やと思います」
「いや、絶対に女の子やって!賭けてもええ」
「なんでですか?」
「勘や。でも、絶対女の子に間違いない」

〝女の子が産まれる〟と言って、彼は譲らなかった。
仕事柄、国際電話で彼と先輩が言葉を交わすことはよくあったのだが、彼女が退社してからは直接顔を会わすことも、連絡を取ることももう無くなっていた。彼がなぜそれほどまで自信たっぷりに断言するのか、彼女にはまったく解らなかった。
その夜、赤ちゃんが産まれたら、はずれた方が日本で食事を奢ることを約束した。

彼が倒れたのは12月の初旬、出張で訪れていた東京でのことだった。くも膜下出血だった。
すぐに病院に担ぎ込まれ、手術が行われた。
手術は無事、成功した。
まだ31歳と若い彼には体力もあり、回復も早かった。年が明けてからは、見舞いに来た友人達と冗談が言えるまでになった。

新しい年が動き始めた仕事始めの日の朝、彼は突然息を引き取った。
急性心不全らしいが、詳しい事はよく解らなかった。最悪の状況に陥る様な兆候など全く無かったのだ。あまりにも突然の出来事で、彼の妻も、子も、両親も、そばにはおらず、誰も最期を看取ることはできなかった。
第一報はすぐに仲間達の間を駆け抜け、誰もが耳を疑った。

訃報を職場で聞いた彼女も愕然とした。もう仕事どころではなくなった。
情報が無い。詳細を尋ねても納得できる様な答えを持っている人間がいない。重苦しい空気だけが漂っていた。
思い出すのは香港で見た彼の笑顔だった。まだあれはほんの一ヶ月前のことだ。あの時、香港で彼と一緒に写真を撮らなかったことが悔やまれて仕方なかった。伝えたいことが胸の中には山ほどあるのに、もう伝えられなくなってしまったと思うと涙が止まらなくなった。

彼の実家がある西宮で、葬儀はしめやかに行われた。大勢の人々が若すぎる彼の死を悼み、涙した。澄んだ青い空に白い雲が浮かぶ、よく晴れた冬の日に彼は旅立って行った。

葬儀から一週間が過ぎようとする頃、彼女の携帯に一通のメールが届いた。先輩からだった。
〝今日、無事出産しました〟
生まれた赤ちゃんは、元気な女の子だったそうだ。彼との約束を思い出した。

〝なんでわかってたんやろ?〟
いつか彼と再会できた時、教えて欲しいと思うことが彼女の中にもう一つ増えた。
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コメント ▼


    
  • 今日知りました。

    こんなストーリーがあったんですね・・・。
    全く知りませんでした。訃報を聞いたのも突然だったので、今でも彼が香港で元気に飛び回っているような気がします。(出産直前の私への気づかい、皆さんすみませんでした。)
    入社当時、私の前に座ってタイプライターを打っていた彼を思い出すと、涙が出てきてしまいました。
    同期の彼も2人とも忘れないでいるからね。

  • あの頃、悲しみの中で彼女は僕にこんな話を聞かせてくれました。
    ちょっと不思議な話よなぁ。

    やっと公開するに至った訳ですが、そうですか。聞いてませんでしたか。

    でも、あれから一年経ったんやねぇ。。。


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