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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2010/04/06(Tue)

涙と歓喜の開幕戦

2010.4.3. KAKUNO
サヨナラの歓喜のなか、エースが涙を流す
PHOTO BY Misato MORI

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.4.3. 徳島インディゴソックス 6×‐5 愛媛マンダリンパイレーツ 1回戦 <蔵本運動公園野球場> 観衆728人

愛媛MP 210 001 010| 5
 徳島IS 021 000 003×| 6

勝 片山正弘 1勝
敗 能登原将 1敗

バッテリー
愛媛MP 篠原、入野、能登原 ‐ 岡、松原
 徳島IS 角野、岩崎、片山 ‐ 河原

本塁打
愛媛MP 西村1号ソロ(1回、角野)
 徳島IS 大谷1号ソロ(3回、篠原)

 四国・九州アイランドリーグ2010年シーズンの開幕戦は佐世保とここ、徳島・蔵本でスタートする。春の風は強いが、球場の周りを覆っている桜の花びらが美しい。明るく華やかな雰囲気のなかで13時01分、今季最初のゲーム、徳島IS対愛媛MP戦のプレーボールが掛かった。
 05年のホーム開幕戦でも蔵本のマウンドに立っていた角野雅俊(27歳)が徳島ISの開幕投手としてマウンドに登った。だが、愛媛MP打線は序盤から角野に襲い掛かる。三番・西村悟(26歳)の左翼越えソロを含む4連打で2点を、続く2回表にも2日前に選手登録されたばかりの一番・秋山繁(22歳)が三遊間を破る適時安打を放ち、3点のリードを奪った。
 2回裏、徳島IS打線が反撃に出る。愛媛MP先発・篠原慎平(19歳)から先頭の五番・國信貴裕(27歳)が右中間への二塁打を放ち出塁すると、八番・東弘明(18歳)の右前テキサス安打などでこの回2点を返した。さらに3回裏、四番・大谷龍次(21歳)の左翼越えソロが飛び出し、序盤に同点に追い着く。
 前半を3対3の同点のまま終えたあとの6回表、愛媛MPはこの回先頭の五番・武田陽介(25歳)が左翼線への二塁打を放つ。一死三塁、七番・大津慎太郎(25歳)に対しフルカウントとなったところで角野が痛恨のボークを犯す。愛媛MPは労せずして勝ち越しの1点を挙げた。8回表にも大津の一塁強襲内野安打で1点を追加、2点のリードを持って最終回の守備に就いた。
 9回裏、徳島IS打線が最後の反撃を見せる。クローザーとしてマウンドに登った能登原将(24歳)から八番・斎藤雅俊(23歳)が四球を選ぶと、九番・猪澤海(21歳)の遊ゴロを遊撃手・金城直仁(25歳)がファンブルし、走者をためる。一死一、二塁として一番・神谷厚毅(24歳)の一、二塁間を破る右前安打の間に二塁から斉藤が生還。本塁でのクロスプレーで捕手がボールを見失っている間に三塁から猪澤も本塁突入に成功し、土壇場で同点に追い着いた。勢いに乗った徳島IS打線は、二死二塁から三番・白川大輔(21歳)が左翼線へライナー性の当たりを放つ。これを左翼手・増田康弘(23歳)が落球し、神谷がサヨナラのホームを踏んだ。
 6対5の劇的な逆転サヨナラ勝ちで徳島ISが愛媛MPを下し、開幕戦を見事勝利で飾った。徳島ISの開幕戦白星発進は6年目で初となる。


『涙と歓喜の開幕戦』

 たとえそれが何度目の経験であろうと、NPBではない地方の独立リーグであろうと、開幕戦は特別な空気のなかでの試合になる。ましてや先発投手にかかる緊張感とプレッシャーは、彼がもうこのリーグ全体でたった2人しか残っていない、リーグ創設年からの生え抜き投手であったとしても関係ないほど大きく、重い。
 試合開始の1時間半前、顔見知りの報道陣を見つけて、「凄いものをお見せしますから!」と強気に振舞ってみせていた徳島ISの先発投手・角野雅俊(27歳)にはまだ余裕があった。
「今はまだ大丈夫です。30分前になったら集中しますけど」
 今年、古巣である徳島ISへ3年振りに帰って来た。開幕までまだ20日以上前の3月半ばに行った取材※で、話を聞いた。こちらからの「当然、開幕戦マウンドは狙う訳で…」という至極当たり前の問いにこう答えている。
「4月3日が開幕って自分が知った日から、そこに合わせていくのがピッチャーとして当然の仕事やし、投げられるなら光栄なことなんで。インディゴソックスが初めて開幕戦で勝つっていうのは、自分がやりたいなとは思ってます」
 5年前、高松・オリーブスタジアム(当時)での開幕戦に敗れて以来、徳島ISはまだ開幕戦に白星を挙げたことが一度もない。
「ホーム開幕戦は1年目、自分で勝ってるんですよ、5月5日に。でも開幕戦は5年連続で勝ててない」
 福岡レッドワーブラーズに移籍するまで、徳島ISには3年間在籍した。その頃から続く不名誉な記録には、やはり忸怩たる想いがある。だからこそ、この開幕戦だけは絶対に勝ちたい。そんな想いを抱えていた。
 あれは香川オリーブガイナーズとのオープン戦を勝利して終えたあとの練習中である。蔵本球場の三塁側ダグアウト前を使って、投手陣が加藤博人コーチからのサイドノックを受けていた。右へ左へとゴロを転がされ、角野も大きな悲鳴を上げながらボールを追っていた。その様子を見ていた堀江賢治監督が呟く。
「角野とタケ(竹原俊介、26歳)がめちゃくちゃ練習するんでね。他のピッチャーがやらざるを得んのですよ。上の2人がそりゃやるもんやから…」
 投手陣の最年長、何よりもリーグ初年度からの経験を持つ投手として、言葉よりも態度で若い投手陣のお手本となっている。オープン戦最後の試合となった3月28日、鳴尾浜での阪神二軍戦で結果を出し(6回1失点、自責1、被安打3)、開幕投手に指名されている。自らの手でチームを白星発進させるためのお膳立ては整っていた。
 勝利で今シーズンのスタートを切りたいのは愛媛MPも同じだ。昨年まで角野と同じ福岡RWに在籍していた三番・西村悟(26歳)が初回、挨拶代わりとばかりに左翼へ本塁打をたたき込む。二死からクリーンナップの3連打で2点を奪うと、続く2回表にも1点を追加した。
 ストレートが高目に上ずってしまっている。ややボールが先行し、カウントを取りに行った甘い球を狙われた。二番・金城直仁(25歳)に死球を与えたところで、加藤コーチもたまらずマウンドへと駆け寄っている。
 だが、味方打線がすぐ同点に追い着いてくれた辺りから、徐々に本来の投球を取り戻し始める。3回以降を無失点で乗り切り、後半のスタートとなった6回表、先頭打者に二塁打を許したあと、一死三塁の場面で試合が動く。
 左打席に入った七番・大津慎太郎(25歳)が間合いを嫌って一度打席を外そうとした。フルカウントから仕切り直しとなったとき、角野のセットポジションが完全に静止せず、二塁塁審がボークを宣告する。三塁走者がゆっくりとホームベースを踏んだ。勝ち越しの1点は、角野のミスによる失点となってしまった。このあと8回に追加点を許し、5失点(自責4)でマウンドを降りている。
 徳島IS最後の攻撃となった9回裏一死、八番・途中出場の斎藤雅俊(23歳)が右打席に足を踏み入れる。オープン戦とは明らかに違っていた角野の心境は理解できた。角野だけを攻めることはできない。何が何でも出塁しなければ。そんな気持ちで投手と対峙している。
「カクさん、凄い緊張してたじゃないですか。どうなるんかな? とも思ったけど、あれだけ頑張ってるのに、僕らがなんとかせんと」
 2月から始まった練習のなかで、どれだけ角野が必死に取り組んでいたかを知っているのは投手陣や首脳陣だけではない。野手陣の胸のなかにも確かに、角野の頑張りをムダにするな! という想いがあった。6球粘ったあと、7球目に四球をもぎ取り、出塁を果たす。
 相手のミスから一塁側に傾いた流れは、一番・神谷厚毅(24歳)の2点適時安打を生み、さらに三番・白川大輔(21歳)のサヨナラ二塁打へと繋がっていった。二塁ベースを回ったところで白川がもみくちゃにされグラウンドに倒れ込んでいる。ヒーローへの祝福を終えたチームメイトたちが次に駆け寄ったのは角野のところだった。誰もが「カクさん! ナイスピッチ!」と言って声を掛けた。歓喜の輪のなかにいた森山一人コーチが声を上げる。
「みんな、角野見て! 泣いてるよ!」
 顔をくしゃくしゃにしている角野をチームメイトたちが取り囲む。加藤コーチが角野の右手を高々と挙げた。
「たとえ独立リーグだろうと、やっぱり開幕は緊張するからね。先発の軸になってもらわなきゃ困るピッチャーだし、しっかりゲームメイクしてくれた。そこは収穫だったし、チームにとっても勇気をもらえるピッチングだったと思う」(加藤コーチ)
 開幕マウンドだからこそ、普段の力が出せない。そこは十分に理解できる。しかし、悪いなりに試合を壊さず、粘りの投球を続けた。ボークのあと、二者連続に切って獲ってみせた三振も精神面の成長と言っていい。チームのために踏ん張った角野を加藤コーチは高く評価した。
 涙からいつもの笑顔に戻った角野が話してくれた。
「あんな情けないピッチングしてんのに、みんな白川に行くより僕のところに来てくれて。やっぱり身体が思ったように動かないし、これが開幕なんかなぁと思います。一番グッと来たのは斎藤のクロスプレー(9回裏、1点差に迫る4点目を奪う)でした。身体からぶつかっていってくれて。『ほんまに悔し涙から嬉し涙に代わることなんてあるんやなぁ』と思いました。泣いてる理由もみんな解ってくれてると思う」
 6年目でつかみ取った徳島ISの開幕戦白星は、記録上角野の1勝としては記録されない。だが、誰もがこの1勝をつかむまでのプロセスを知っている。
「いいチームですよ、ほんまに。去年の福岡もいいチームやと思ったけど、今年の徳島も」
 2010年のスタートは、涙と笑顔が混ざり合う劇的なスタートとなった。何かが始まりそうな春の予感がある。

※ 現在発売中の『あわわ』4月号に掲載



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