四国アイランドリーグ公式戦
2007.9.22. 徳島IS 2–5 愛媛MP <オロナミンC球場>
勝 小山内 7勝8敗3S
敗 渡邊 4勝12敗
愛媛MP先発・森琢哉は立ち上がりから制球に苦しむ。2回裏、四球と失策で走者を溜めると、二番・李鐘熙が中犠飛を上げ、徳島ISが先制点を挙げる。
連敗ストップを托された徳島ISのエース・渡邊隆洋だったが、このリードを守ることができない。3回表、三番・比嘉将太にすぐさま逆転打となる2点適時中前打を喰らい逆転を許した。
1点差のまま迎えた7回表、この回からマウンドに登った徳島ISの二番手・小林憲幸が先頭の一番・小田島一樹に右中間へ二塁打を許す。一死一、三塁とした後、四番・長崎準平がスクイズを決め、愛媛MPが追加点を奪った。8回表にも九番・梶原有司の右前安打、一番・小田島の2打席連続となる右翼線への二塁打で2点を追加。点差を4点に開いた。
8回裏、6回からマウンドを受け継いだ愛媛MPの三番手・小山内大和が制球を乱す。押し出し四球で徳島ISが1点を返すが反撃もここまでだった。
愛媛MPが5対2で徳島ISを降し、敵地での連勝に成功。徳島ISの連敗記録はさらに伸び、引き分けを挟んでの15連敗となった。
『ファンだけじゃない』
試合前、地元放送局のアナウンサーY氏と記者室で立ち話をした。
「こないだがこないだだったし、今日のナベは絶対ド必死で来るから。あんな性格だから、この連敗も「自分から始まった・・・」って責任感じてるでしょ?今日はやってくれるよ!調子は悪くないんだもん!」
徳島ISの熱烈なファンならば、この試合に渡邊隆洋(徳島IS)がどんな想いでマウンドに登ろうとしているか、きっと理解していただろう。9月17日、土佐山田スタジアムでの高知FD戦に先発したが、9点を失う惨めな負け試合を経験している。
「この連敗が始まったのは僕が投げた試合からですから、僕が止めます」
前日の9月16日、西予宇和での先発予定が雨で流れ、スライド登板になった不運はあった。何としても!という想いで臨んだゲームを大量失点で落としてしまった。
「代えに行ったところで僕が逡巡してしまった」
確かに白石監督が自ら認めた采配ミスはあった。3点ですんだ失点を、8点まで伸ばすことは食い止められたのかもしれない。
そんな試合の後、中4日での先発が今日の愛媛MP戦である。15連敗する訳にはいかない。
高校野球秋季大会の関係でグラウンドの使用が遅れ、バタバタと試合前のウォーミングアップが始まる中、黙々と一塁側のファールグラウンドを走っている渡邊の姿があった。
だが、今日のマウンドはおよそ渡邊のそれらしくないものになってしまった。
いつものコントロールの良さが見られず、ボールが先行する。おかしくなり始めたのは2つの四死球を出した3回表あたりからである。三番・比嘉将太に浴びたセンターへの2点タイムリーヒットが決定的なものになった。
苦しんでいたのは高目に浮いてしまうボールにうまく修正が効かないことだった。悩み始めたのは今日の試合途中からではなく、ここ1週間ほど前からである。
「低目に投げようとするとヒジが下がっちゃう。昔から言われてる部分なんですけど。それを直そうとして、ずっとつけてる手帳なんかを見返すんですけど、うまくいかなくって・・・」
チームメイトから掛けられる「粘れ!」の声は十分聞こえている。緊張などしていない。ここで投げる一年目からずっと「これが決勝戦なんだ」と思いながら自分にプレッシャーを与え続けている。このグラウンドにいる選手の中で一番落ち着いているのはきっと自分だと思っている。
6回を投げ2失点なら先発としてはまずまずである。しかし、四死球は7つを記録した。冷静な気持ちとは裏腹に、ボールは思うようなコースへ行ってくれなかった。自分のピッチングに対する不甲斐なさと情けなさが胸に強く残る。あと7試合、このチームで戦うゲームももう数えるほどになってしまった。
「3年目のメンバー、みんな先輩ですけど、山口さん(山口寛史)と大地さん(小松崎大地)が野手を引っ張ってくれて・・・。高校出てから3年間同じメンバーでプレーするなんてここだけですから。先のことは解らないですけど、ここでやった!っていう何かを残さなくちゃいけない。こんな試合しててもお見送りで「頑張れよ!」って言ってくれて。そりゃ中にはヤジ飛ばす人もいますけど。僕らがお金払って観に来てくれる人に元気をあげなきゃいけないのに、僕らの方がお客さんから元気をもらってる。こんなんじゃダメだと思う」
もう自分のためだけに投げているのではないのかもしれない。徳島ISが勝つことで、応援してくれるファンに心から喜んで欲しい。
そんな気持ちでマウンドに登る渡邊に呼応するように、ファンは渡邊の勝利を信じてスタジアムに足を運んでいる。
ファンだけじゃない。
ボランティアも、取材陣もそうだ。Yアナウンサーだってそう言ってたじゃないか。

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