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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2010/05/30(Sun)

2010.5.29. 徳島IS 0‐5 香川OG

2010.5.29. 四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
徳島インディゴソックス 0-5 香川オリーブガイナーズ 4回戦 <アグリあなんスタジアム>
コラム『打ちたくて、打ちたくて』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




※ 当blogに掲載している文章、写真の無断転用はすべて禁止します。
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2010/05/29(Sat)

3連戦、初戦

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.28. 徳島インディゴソックス 13‐6 愛媛マンダリンパイレーツ 3回戦 <オロナミンC球場> 観衆251人

香川OG 000 001 500| 6
徳島IS 304 141 00×| 13

勝 大川学史 4勝0敗
負 宇高直志 3勝1敗

バッテリー
香川OG 宇高、西村、西崎、杉尾、深沢 ‐ 西森、上ノ下
徳島IS 大川、角野、岩崎、岩根 ‐ 山村

本塁打
香川OG 
徳島IS 大谷龍次4号ソロ(3回、宇高)


 3位で追走する徳島ISが首位に立つ香川OGを鳴門で迎え撃つ。徳島ISのホームゲームで行われる3連戦、その第1ラウンドが鳴門・オロナミンC球場で行われた。徳島IS・大川学史(24歳)、香川OG・宇高直志(26歳)と、共に3勝負けなし同士の先発となった。
 立ち上がり、大川が香川OG打線を三者凡退で終えたのに対し、宇高は初回から目下チーム打率.254、5球団中トップと絶好調の徳島IS打線に捕まる。二死一、三塁から五番・山村裕也(22歳)に三塁線を抜かれての適時二塁打で先制点を許すと、さらに六番・國信貴裕(27歳)に右翼手の頭上を越える2点適時二塁打を浴び、初回に3点を失った。
 徳島ISは3回裏二死からも重厚な攻撃でたたみ掛ける。四番・大谷龍次(元ロッテ育成、21歳)の左中間スタンドにたたき込む4号ソロ本塁打で4点目を奪うと、中前打で出塁した五番・山村を六番・國信が中堅手の頭上を越える適時三塁打で還し5点目を挙げる。宇高のボークで三塁から國信が生還、さらに七番・白川大輔(元ロッテ育成、21歳)の左中間を破る三塁打、八番・東弘明(18歳)の左翼フェンスを直撃する適時二塁打と、長打4本を含む5連打で一気に4点を追加した。
 4回裏にも一死満塁から六番・國信の遊ゴロの間に1点を、5回裏にも九番・猪澤海(21歳)の中越え三塁打、二番・斎藤雅俊(23歳)の中越え二塁打で2点を奪い、宇高をマウンドから引きずり降ろす。徳島ISは二番手・西崎康真(24歳)から三番・関口大志(21歳)がまたも中堅手の右を大きく越える適時三塁打を放ち斎藤が生還する。関口も宇高の暴投の間に本塁生還を果たし、前半で12点の大量リードを築いた。
 味方打線が奪ってくれた大量リードに応え、大川も前半5回をヒット2本と無失点投球を続ける。だが6回表、九番・甲斐弘樹(18歳)、一番・大原淳也(25歳)の連続安打で無死一、三塁とすると、ボークで1点を失った。
 しかし6回裏、徳島ISは中前打で出塁した八番・東を一塁に置いて、九番・猪澤が右翼線へ2打席連続となる三塁打を放ち香川OGを突き放す。
 7回表、疲れの見え始めた大川を香川OG打線が捉える。五番・国本和俊(26歳)が右翼線への二塁打で出塁したあと、四球とヒットで無死満塁とすると、5回からマスクを被った八番・上ノ下健(27歳)が右前に適時安打を放つ。さらに九番・甲斐の押し出し四球、一番・大原の中前適時打で3点を奪った。打者一巡の猛攻を見せる香川OGに対し、徳島ISベンチはエース・角野雅俊(27歳)をマウンドに送る。四番・洋輔(近藤洋輔、29歳)に押し出し四球を与えたものの、後続の打者2人を三振に切って獲り、このピンチを凌いだ。
 7点差をひっくり返したい香川OGだったが、8回表のマウンドに登った左腕・岩崎雄也(22歳)、同じく9回表に登板した・岩根成海(22歳)の前に追加点を奪うことができない。9回表、二死一、二塁と走者を溜めたが、最後の打者が遊ゴロ封殺に倒れた。
 徳島IS打線が15安打と爆発、13‐5で香川OGを下した。大川が無傷の4連勝目を手にし、今季香川OGから3戦目で初勝利を挙げた。首位との差を3ゲームに縮めている。香川OGは首位をキープしているものの、試合のなかった高知FDと同率で並ぶこととなった。



『3連戦、初戦』

 徳島ISが練習しているグラウンドの空気が、一瞬凍りついたのは2日前のことである。投手の牽制、クィックなど、走者を置いて内野手との連係を行っていたときに堀江賢治監督が雷を落とした。プレーに関わっている者はともかく、関わっていない者が1球に集中しておらず、「我、関せず」のような状態になっている。個人個人が勝手なことをしてていいのか? めったに声を荒げることのない堀江監督が怒りをあらわにしたことは、チームに欠けているものをもう一度見つめ直す良いきっかけとなった。
 翌日の練習から、雰囲気がまったく違っている。
「昨日、ガツン! と言ってやったんだけど、今日はもう動きがいい! いい!」
 叱咤を素直に受け止め、気持ちを完全に入れ替えていた選手たちに、堀江監督も大きな手応えを感じていた。この香川OGとの3連戦が前期優勝を占う意味でいかに大事か。そのことは十分承知している。3連戦を獲るためにまず、初戦の先制点を獲る。
 先制打となった左翼線二塁打を放った山村裕也(22歳)にも一昨日のカツは効いていた。
「みんな人任せじゃないと言うか。斎藤さん(雅俊主将)もよく言ってるんですけど、次につなぐには自分がしっかりしないとダメじゃないですか。オレが打ったらつなげられる! くらいじゃないと。(一昨日は)僕もポロポロしてて、監督から『レギュラー捕手なんだから』って言われて、そういう立場でしっかりやらなあかんねんなぁと…」
 正捕手に認められた嬉しさと同時に、新たな責任感にも目覚めている。
 3回裏、二死から大谷龍次(元ロッテ育成、21歳)が左中間に放ったソロ本塁打が打線に火を点ける。実は初回、一死一、二塁の場面で三ゴロ封殺に倒れていた。チャンスに四番としての仕事ができなかった屈辱が、2打席目の初球を狙った一振りにつながっている。
「(最初の打席の)1球目、2球目めっちゃ振れてて。打席入る前にピッチャー見てたら、スライダーキレてるなぁと思ったんですけど、バッターボックス入ったら『あれ?』って感じだったんですよ。ゲッツーにならなかったのが助かりました。(2打席目は)インハイ…真ん中高目です。打った瞬間行ったと思いました。みんな次につなごう、簡単には終らないぞ! って気持ちがある。3連戦は意識してました。監督、コーチからもずっと言われてて」
 気持ちがつながるように打線がつながりを見せる。4本の長打を含む5連打で4点を追加した。試合前、香川OG編制部長・吉田一郎氏が言っていたことが現実になった。
「徳島は怖いんよ。振り回してこん。そのかわりシンプルにセンター狙って来るやろ。ウチはあれにようやられるから…」
 15安打の内、大谷の左中間本塁打も含めればセンター方向への打球が9本、そのなかで強いフォローの風に乗った長打が6本もある。コンパクトにセンター方向を狙う。その打球が驚くほど伸びた。チームとして取り組んできたことが大きく結果に表れている。
 なんと言っても大きかったのは六番・國信貴裕(27歳)の2発である。6回表の守備から退いたが、長打2本、4打点をバットで稼ぎ出している。
「自分らも優勝狙ってるんで。アタマは大事だったし、獲れたのはめちゃくちゃでかい。でかいですけど…明日っスね」
 外野の芝生の上でクールダウンのストレッチをしながらそう言い残している。まだたかが3連戦の頭を獲っただけ。大事なのはこれを明日もつなげられるかどうかなのだ。高知FDで優勝経験のあるチームリーダーには、浮かれている様子などこれっぽっちもなかった。




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2010/05/25(Tue)

踏ん張りどころ

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.24. 香川オリーブガイナーズ 4‐2 愛媛マンダリンパイレーツ 5回戦 <レクザムスタジアム> 観衆598人

愛媛MP 010 000 001| 2
香川OG 200 100 10×| 4

勝 前川勝彦 6勝0敗
S 橋本亮馬 0勝0敗8S
負 森辰夫 2勝2敗

バッテリー
愛媛MP 森、篠原、能登原 ‐ 松原
香川OG 前川、橋本 ‐ 西森

本塁打
愛媛MP 西村悟4号ソロ(9回、橋本)
香川OG 洋輔1号2ラン(1回、森)


 香川OGと愛媛MPの今季5回戦は、特に香川OGにとって負けられない試合である。2位・高知FDとのゲーム差が「0」のため、この試合にもし敗れれば4月11日の単独首位以来初めて2位に転落することになる。午前中に降った雨もすっかり上がり、晴れ間の見えるレクザススタジアムでのナイトゲームで試合が行われた。
 初回、香川OG打線が愛媛MP先発・森辰夫(21歳)に襲い掛かる。一番・大原淳也(25歳)が三遊間への内野安打で出塁すると、森のボークにより二塁へと進む。二死二塁として四番・洋輔(近藤洋輔、28歳)は、スライダーを左翼スタンドに運ぶ1号ツーランを放ち、香川OGが2点を先制した。
 だが2回表、愛媛MPも反撃に出る。香川OG先発左腕・前川勝彦(元オリックス、31歳)から五番・西村悟(26歳)、六番・古卿大知(29歳)が連続安打で出塁し、一死一、三塁と走者を溜める。七番・大津慎太郎(25歳)への初球を前川が暴投する間に三塁から西村が生還し、1点を返した。
 4回裏、香川OGは二死から打線のつながりを見せる。六番・舟生源太(20歳)、七番・大野武洋(23歳)の連続安打で二死一、二塁とすると、八番・西森将司(22歳)が一塁手のミットの下を抜く右翼線適時二塁打を放ち、舟生が生還。3点目を奪った。
 前川の好投の前に3回以降ヒットの出ない愛媛MPは7回表、五番・西村の左翼フェンス直撃二塁打で無死二塁のチャンスをつかむ。しかし後続に1本が出ないまま、この回も無得点で終える。
 逆に香川OGは7回裏、この回からマウンドに登った二番手・篠原慎平(19歳)を捉え、七番・大野が左前安打で出塁する。二死三塁として一番・大原の適時中前打で4点目を奪った。
 なんとか追い着きたい愛媛MPは8回表、一死から一番・金城直仁(25歳)が右翼手の頭上を越える三塁打で出塁し、再び得点圏に走者を置く。二番・増田康弘(23歳)も右前安打で続くが、金城がスタートを切れず生還できない。一死一、三塁のまま三、四番が倒れ、この回も無得点で終えた。
 9回表、8回を投げた前川に代わり、クローザー・橋本亮馬(27歳)がマウンドに登る。五番・西村に左翼ポール直撃の4号ソロ本塁打を浴びたが、後続をきっちり打ち取り逃げ切った。
 香川OGが4対2で愛媛MPを下し、首位の座を守った。前川はハーラー単独トップとなる無傷での6勝目を挙げ、橋本が早くも8個目のセーブポイントを獲得している。愛媛MPは22日の高知FD戦に続いての連敗となり、香川OGとの対戦成績を1勝4敗と大きく負け越すこととなった。


『踏ん張りどころ』

 この試合を香川OGがもし落とせば順位が入れ替わる。4月11日以来、守り続けてきた単独首位の座から転落してしまう。だが、四番を任された洋輔(近藤洋輔、28歳)の頭のなかで、そんなことはさほど大きなプレッシャーになってはいない。もっと他に意識するべきことがあった。
「(首位陥落は)あんまり意識してなかったですね。それよりも森に結構やられてたんで、去年から。それの方が頭にありました。僕らがずっと森を苦手にしてて」
 愛媛MPの先発・森辰夫(21歳)をいかにして攻略するか? 前回対戦した大洲でのゲーム(5月16日、愛媛MP4‐9香川OG)では、試合が中盤から後半に差し掛かったところでなんとか捕まえ3点を奪っているが、序盤5回まではヒット1本に抑え込まれている。
 香川OGは試合前、今日最初のミーティングで森対策についてのデータを確認しあっている。これまでの対戦での投球チャートを洗い直してみたとき、はっきりとした特徴が現れていた。自分に対する攻め方についても一定の結果が出ている。洋輔はその話を聞きながら、対戦イメージを膨らませていた。
「半分変化球なんですね。どのバッターに対しても。狙ってみる価値あるんとちゃうか? 僕に対しても、カウント揃えてのスライダー…みたいな」
 試合は初回、まず香川OGにチャンスが訪れる。一番・大原淳也(25歳)が遊撃への内野安打で出塁すると、三番・金井雄一郎(26歳)への投球がボークと判定され、二塁を陥れた。
 四番・洋輔に打順が回ってきたのは二死二塁の場面だった。打席に入るときに考えていたのは、球種についてである。
「真っ直ぐ3つ来たら、見逃し三振でもええわ」
 それくらいの気持ちを持っていた。ストレートを捨て、変化球1本にタイミングを合わせる。初球、2球目のスライダーが共に外れ、ツーボールとなった。3球連続でスライダーが来るのか? だが、気持ちをぶらさなかった。内角高目から真ん中に入ってきたスライダーを捉えた打球は、左翼へと高く舞い上がる。一塁へと向かいながら、少しつまったと思った。だが打球はスタンドへと届く。
 先制した2点が愛媛MPに大きく圧し掛かる。大きく立ちふさがった前川勝彦(元オリックス、31歳)の前に、愛媛MP打線は逆転の芽をことごとく摘み取られている。徳俵に足がかかりながら、香川OGが土俵際いっぱいで踏ん張った。
 西田真二監督も久々の笑顔を見せている。
「洋輔がようやく四番の仕事をしたということですね。『ようやく』と書いといて!」
 指揮官も気持ちの上で守りになど入っていない。「負ければ首位から転落でしたが?」という質問にも、
「首位転落とかまだまだ。6月は試合数が多いしね」
 と、一笑に付している。まったく慌ててなどいなかった。
 だが、依然として不安要素はある。左腕を骨折した中村真崇(26歳)に復帰のメドが付き、近々打撃練習が再開できつつあるものの、智勝(近藤智勝、27歳)のケガの状態はやはり安心できない状態が続いている。鼻骨骨折、さらには眼底下骨折も確認されており、とても復帰はいついつまでに、などと言っていられないのが現状だ。下顎骨折の加登脇卓真(22歳)もグラウンドに姿は見せているものの、試合復帰までにはまだ時間がかかる。
 香川OGにとってはこれが19試合目、ようやく前期の折り返し地点である。昨年の同時期、首位を逃げ続けた長崎Sと逆の立場でこれからの19試合を戦わねばならない。ここからが踏ん張りどころだ。
 洋輔が言う。
「ケガ人が出てから、逆にチームが1つになってきてる。泥臭く行きたいと思います」
 ピンチのなかにチャンスあり。それは試合の流れのなかでも、シーズンの大きな流れのなかでも、そして人生においても。




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2010/05/23(Sun)

2010.5.22. 徳島IS 1‐2 巨人二軍

2010.5.22. 四国・九州アイランドリーグ2010 NPB交流戦
徳島インディゴソックス 1-2 読売ジャイアンツ二軍 <アグリあなんスタジアム>
コラム『巨人戦をきっかけに』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2010/05/22(Sat)

「謙虚」の意味

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦(JFBL交流戦)
2010.5.21. 三重スリーアローズ 0‐9 徳島インディゴソックス 3回戦 <津球場公園内野球場> 観衆615人

徳島IS 000 230 004| 9
三重TA 000 00 000| 0

勝 大川学史 3勝0敗
負 倉崎健一

バッテリー
徳島IS 大川、弦本 ‐ 山村
三重TA 倉崎、河田、石原 ‐ 北園、野田

本塁打
徳島IS 山村裕也1号3ラン(5回、倉崎)
三重TA


 先週行われた徳島での2連戦は1勝1敗のタイに終っている。舞台を三重TAのホーム・津球場公園内野球場に移し、三重TA対徳島IS戦3回戦が行われた。三重TAがこのカード初マウンドの倉崎健一(27歳)を先発に送ったのに対し、徳島ISは5月15日の1回戦で完封勝利を挙げている大川学史(24歳)を先発に送る。両チーム対照的なスターティングオーダーとなった。
 初回の攻撃を三者凡退で終えた徳島ISに対し、三重TAは大川の立ち上がりを捉え一死一、三塁と早くもチャンスをつかむ。だが四番・二口慎也(24歳)が右飛、さらに二死二、三塁として五番・宮田良祐(22歳)の打球は投直となり、打球をグラブに当てた大川が素早く一塁へ送って最初のピンチを凌いだ。
 徳島ISは2回表、五番・山村裕也(22歳)、六番・國信貴裕(27歳)の連続安打で一死一、二塁とするが後続が続かない。三重TAも2回裏、二死三塁のチャンスを活かせず、両チーム共にあと1本が出ない展開が続いた。
 4回表、試合が動く。三番・関口大志(21歳)が四球で歩くと、四番・大谷龍次(21歳)の何でもない左飛を左翼手が薄暮の空に見失い(記録は二塁打)、無死二、三塁と走者をためる。五番・山村が中前へ2点適時安打を放ち徳島ISが2点を先制した。
 三重TAは4回裏、五番・宮田が四球を選ぶ。二盗を成功させ一死二塁としたところで七番・奥脇佳宣(26歳)が低目の変化球を振らされ三振に。拾い上げたボールを捕手・山村が一塁へ送球した際、ややファウルラインの内側を走った打者走者と送球が重なり一塁手が後逸する。この間に宮田が本塁を踏むが、打者のアウトが認められ幻の1点となった。
 5回表、徳島ISは一番・神谷厚毅(24歳)が左前安打で出塁する。二盗を成功させたあと、二番・斎藤雅俊(23歳)がきっちりと送り一死三塁に。四番・大谷が死球を受けて二死一、三塁としたあと、五番・山村が初球をライナーで左翼スタンドにたたき込むスリーランを放つ。3点を加え、リードをさらに5点へと拡げた。
 大量リードをもらった大川は5回以降8回までを打者3人ずつで打ち取る投球で三重TA打線を封じ込める。徳島ISは9回表にも三重TAの三番手・石原孝幸(23歳)を捉え一死満塁とすると、今日大活躍の五番・山村が右中間を破る走者一掃の三塁打を放ち、4安打8打点と荒稼ぎする。六番・國信の右犠飛でダメ押しの9点目を奪った。
 9回裏のマウンドに登った弦本悠希(20歳)が三重TAの攻撃を三者三振に切って獲り徳島ISが9対0と、見事な完封リレーにより敵地で三重TAを下した。三重TAとの交流戦2勝目を挙げ、成績を9勝9敗2分けと再び勝率5割に戻している。


『「謙虚」の意味』

 4回表、無死二、三塁の場面で五番・山村裕也(22歳)が2球目を引っ張る。打球は三塁側スタンド方向へと高く消えて行く大きなファウルとなった。
「その気になるな! 謙虚に謙虚に!」
 三塁のコーチャーズボックスから森山一人コーチが大きな声で指示を出す。三塁側スタンドで観戦していたある女性ファンは思ったと言う。
「森山さん、バッティングに『謙虚』って何…?」
 4球目、投手の足元を抜いた打球がセンターへと転がった。これで2点を先制する。このあと5回表には左翼スタンドにライナーでたたき込む1号3ランを、さらに9回表にはダメ押しとなる3点を奪う右中間への三塁打を放ち、今日1日で4安打8打点をたたき出した。クリーンナップの一角・五番打者として大きな仕事をやってのけている。
 試合後、打のヒーローは「やっと試合で出てくれた」というような、少し安堵したような顔をしてこちらの前に現れた。
「気持ちホッとしました。内が打てたんで。1打席目って大事じゃないですか。何でもいいから1打席目にヒットが出ると、あとの打席にもつながる」
 2回表の第1打席、一死から遊撃への内野安打で塁に出た。得点にはつながらなかったが、チーム初の安打がこの内野安打である。続く2打席目が最初の得点シーンとなった4回表、中前への2点適時安打だ。あの三塁側スタンド方向に消えて行ったファウルで、ある1つの感覚をつかんでいた。
「真っ直ぐで差されてて。1球ファウル打って、インコースの球に自然に身体が回って反応できたんですよ。あのファウルが大きかった。次のチェンジアップをセンター前に。思いっきりが良かったですね」
 あのファウルでつかんだ反応の良さが今日の打席にはある。3打席目の本塁打は四番・大谷龍次(21歳)が死球で歩いたあとの初球である。もちろん、初球は甘い球が来るはずだと狙っていた。5打席目の三塁打は変化球を待っていた。悪いときにはスライダーかフォークボールにタイミングが合わず、差し込まれてしまう。だが今日はうまく捉えて右中間を破った。
「気持ち的にも落ち着いてました。モリさん(森山コーチ)が1回1回いろんなこと言ってくれるんですよ。例えば4打席目なんかセンターフライでしたけど、『このピッチャー真っ直ぐのコントロール悪いから、狙うんならしっかり振りなさい』とか」
 ときにはコーチャーズボックスから声を挙げ、ときには守備陣がタイムを掛けているタイミングで、打者のそばまで寄って行って耳打ちをする。試合のなかでその場面ごとに森山コーチがアドバイスを送っているシーンがある。
 今日の山村について、森山コーチが伝えたかったこととは何だったのか。話を聞いた。
「今週、雨が続いて室内で2日間、ティー(テイー打撃)やるくらいしかなくて。そういうタイミングくらいでしか細かい話ってできない。元々良いものを持ってる子だし、打球も速いし、よく頭が動く。スイングのなかでもう1つこうして欲しいなぁと思って、練習から取り組んだことがあったんです。それが、じゃあ今日試合のなかでできるか? って言うと、自分の考えが負けてしまったり、やってることに試合のなかで取り組めなかったり、行動に出すって難しいんです。あの子のなかでは全部いい方向に出てた」
 練習のなかで、特に今週に限って言えばバッティングゲージに入って行う打撃練習ではなく、蔵本球場のブルペンを借りて行うティー打撃のなかで模索した技術への取り組みがあった。なりたい姿になるためにはどうすれば良いのか? 何に取り組めば良いのか? 
 ただ試合で打てればいい。ただ試合に勝てばいいではないのだ。NPBなら最大の目的は勝利でしかない。だが四国・九州アイランドリーグではそれがすべてではない。試合とは勝負の場であり、実践の場でもある。練習のなかで取り組んできたことをイメージさせるため、または思い出させるために声を掛ける。ときにはそれが「謙虚」という、聞いているものには戦いの場に不似合いな単語となって出る。しかし、山村の耳にはそれできちんと通じていたはずなのである。
「言ってるのはもちろん技術的なことなんですけど、『こうやって打ちなさい』とか、そういうことを言ってる訳じゃないです」
 そこにはコーチと選手の絶大な信頼関係があり、上を目指そうとする強い意志がある。当然、身に付けるためには時間がかかる。少しの言葉だけでハードルを越えられるような、そんな簡単なものではない。日々取り組みながら、試しながら、ひとつひとつ技術を自分の力にしていく。試合の結果や勝ち負け以外に、取り組んでいる課題がある。9対0で勝ったから、13安打打ったから、4打点、8打点を記録したからそれでOKという訳ではないのだ。
 明日の巨人二軍戦もまた大事な経験の場になる。勝負として勝ちに行くのはもちろんだが、NPBの選手たちが何をどうしているのか? 試合以外でも見るべきところはたくさんある。
「相手をよく見て、アタマのなかでよく勉強して欲しい。何を準備してるか? とか、何でそんな簡単にできるのか? とかを見て欲しいですね」
 明るいカクテル光線がまだ降り注いでいる津球場から、バスが徳島に向け出発しようとしていた。これから約300㌔の道のりを走る。時計の針はもうすぐ22時を過ぎる。アグリあなんスタジアムで行われる巨人二軍戦のプレーボールは、あと16時間後に迫っていた。




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2010/05/17(Mon)

三好のゲームで打てなかった

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦(JFBL交流戦)
2010.5.16. 徳島インディゴソックス 3‐5 三重スリーアローズ 2回戦 <三好市吉野川運動公園> 観衆1,150人

三重TA 200 002 010| 5
 徳島IS 010 001 001| 3

勝 大島崇仁
S 洪成溶
負 岩崎雄也 0勝5敗

バッテリー
三重TA 大島、洪 ‐ 北園
 徳島IS 岩崎、片山、土肥 ‐ 山村、河原

本塁打
三重TA
 徳島IS 斎藤雅俊1号ソロ(6回、大島)、菊永大志3号ソロ(9回、洪)


 徳島ISがJFBL・三重TAを迎えて行われる交流戦2連戦、蔵本での初戦は徳島ISが勝利している。第2戦は清流吉野川のほとり、緑に囲まれた三好市吉野川運動公園で行われた。
 三重TAは初回、徳島ISの先発左腕・岩崎雄也(22歳)から二番・前田敬文(25歳)が右前安打で出塁すると、2つの四球で二死満塁のチャンスを迎える。六番・美濃一平(20歳)の左翼線二塁打で2点を先制し、まず試合の主導権を握った。
 1回裏、徳島ISは三重TAの先発、アンダーハンド・大島崇仁から一番・神谷厚毅(24歳)が遊内野安打で出塁する。さらに一死三塁とチャンスを拡げるが中軸にあと1本が出ず、無得点で攻撃を終える。だが2回裏、一死から六番・國信貴裕(27歳)が遊内野安打で出塁すると、さらに二死三塁として八番・猪澤海(21歳)が三遊間を破る適時安打を放ち1点を返した。
 2回以降制球が安定し始めた岩崎の前に三重TAはチャンスを作ることができず、1点リードのまま前半5回を終える。試合が動いたのは6回表、二番手としてマウンドに登った片山正弘(25歳)の制球が落ち着かない。先頭の六番・二口慎也(24歳)を歩かせたあと自らの牽制悪送球、四球などでピンチを拡げ、一死一、三塁と走者を溜める。七番・宮田良祐(22歳)の一、二塁間を破る適時安打、さらに二死二、三塁から九番・石田善紀(21歳)の投手強襲安打で2点を追加し、三重TAがリードを3点に拡げた。
 追う徳島ISは6回裏、先頭の二番・斎藤雅俊が左翼フェンスを越える1号ソロ本塁打を放ち反撃の狼煙を上げる。さらに2つの四球で一死一、二塁とするも、六番・國信が一ゴロ併殺打に倒れ、追加点が奪えない。逆に三重TAは8回裏、徳島ISの三番手・光安祐輝(24歳)の暴投により5点目を追加した。
 6回を2失点と先発の責任を果たした大島に代わり、7回裏のマウンドには左腕・洪成仁(23歳)が登る。2イニングを無失点に抑えたあと、9回裏先頭の五番・菊永大志(23歳)には左翼へ3号ソロを浴びるが、後続を封じ込め、三重TAが5対3で徳島ISを下した。
 三重TAは長崎S、香川OGに続き交流戦3勝目、徳島ISとの対戦成績を1勝1敗のタイに戻している。徳島ISは再び勝率5割を割り、順位を1つ下げて単独の4位に。3位・愛媛MPとのゲーム差が「1」に開いている。5月21日に津球場で行われる三重TAとの3回戦に臨む。


『三好のゲームで打てなかった』

 徳島の西の山間部、三好市吉野川運動公園で試合が行われる機会と言えば、3月のオープン戦と2度の公式戦、その3度しかない。今年は5月と9月にそれぞれ公式戦が予定されている。前期公式戦では最初で最後となる今日の試合で、最も結果が欲しかったのは地元、徳島県三好市出身の輝(川原輝、22歳)だったはずだ。七番・右翼手としてスターティングメンバーに選ばれている。
 先発での出場は5月4日、アグリあなんスタジアムでの愛媛MP戦以来になる。両親、姉を始め、自分を応援してくれている後援会の人々などからたくさんの注目を浴びていた。一塁側に設置された応援席には、青く染められた『輝り輝け、川原輝』の横断幕も掲げられている。
 だが、他の打者たちと同じように三重TAのアンダーハンド、大島崇仁の投球に手こずった。2回裏、一死二塁のチャンスに一ゴロ進塁打、2度目の打席となった4回裏にはストレートにタイミングが合わず、二塁手の頭上に高く上がるフライを打ち上げてしまった。7回表の守備から途中交代となっている。
 地元で開催される公式戦、その晴れの舞台でもらったチャンスを活かせなかった悔しさは想像に難くない。確かに平常心でプレーできていたのか? と尋ねられれば、決してそうではなかった。
「知ってる人もたくさん来てくれて、監督もスタメンで使ってくれて、どうしても力んでしまう。(大島は)別にスピードはないし、アンダーハンドって言っても普通のボールだったんですけど、(打球の)方向とか意識し過ぎて、つまって差されて」
 右アンダースローの投手に対しては一般的に左打者の方が有利と言われる。輝も左打者である。無理に右方向へ引っ張ろうとするのではなく、遊撃手の頭の上、センターから左中間方向を狙うのがセオリーだ。
「真っ直ぐは下から上に浮いてくる。(他の打者が内角を)差されてたのが嫌だったんで、セカンドの頭の上を狙ってました。最初の打席のファーストゴロは自分のなかでいい感じだったんですけど、2つ目はタイミング差されて…」
 アンダーハンドと言ってもそこまで苦労するようなボールには見えない。打つべき方向を意識し過ぎて、かえってタイミングが合わなくなってしまうことを嫌ったのだが、結果は裏目に出てしまった。
 去年の8月に徳島ISの一員となって以来、オープン戦などを含めこの球場での試合はもう何度も経験している。その度に必ず1本はヒットが出ているゲンの良さもあった。しかしそれも今日の試合で止まってしまった。自分の調子をどうのこうの言う以前に、精神面の弱さを反省点として挙げている。うまく試合に集中できていなかった。
「試合に(気持ちが)入りきれてなかったです。アピールして、レギュラーを獲れ! って立場なんですけど…」
 実はくよくよと考え込んでしまい、ミスをいつまでも引きずってしまう性格である。チームメイトである大谷龍次(元千葉ロッテ育成、21歳)を見ていて、思うことがあった。
「切り替えが凄い早いんですよ。年下ですけど、さすがにNPBを経験してるだけあって。人のせいにしてでも切り替えますからね!」
 NPBとの交流戦を含め、年間100試合以上を戦うアイランドリーグの実戦の多さは、1つの負けですべてが決まってしまうアマチュアとの大きな相違点であるとも言えよう。失敗を明日に引きずらない。それはプロとして戦うために必要な術でもある。
 プレッシャーに勝つ。相手に勝つ前に自分自身の心にも勝つ。数多くの実戦をこなすことは技術のレベルアップはもちろん、経験値を積むことにもつながる。今後ますます多くのプレッシャーのなかで打席に立ち続けなければならない。そのプレッシャーのなかには、応援してくれるファンの目だけでなく、自分を吟味するスカウトの目もある。それらを乗り越えて行くのがここ、アイランドリーグである。
 三好のゲームで打てなかった。なら次のチャンスで打てばいいじゃないか。次にここにやって来るのは9月12日、高知FD戦。その日もきっと、みんなが応援してくれる。




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2010/05/16(Sun)

2010.5.15. 愛媛MP 0‐3 香川OG

2010.5.15. 四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
愛媛マンダリンパイレーツ 0-3 香川オリーブガイナーズ 3回戦 <坊っちゃんスタジアム>
コラム『智勝さんがいなくても』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2010/05/14(Fri)

「こういう場面でどんどんアピールしていきたい」

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.14. 高知ファイティングドッグス 2×‐1 長崎セインツ 4回戦 <高知球場> 観衆223人

 長崎S 000 000 100| 1
高知FD 010 000 001×| 2

勝 山崎慎一郎 2勝1敗
負 藤岡快範 1勝3敗

バッテリー
 長崎S 藤岡 ‐ 富岡、熊本
高知FD 吉川、山崎 ‐ 飯田

本塁打
 長崎S
高知FD 龍央2号ソロ(2回、藤岡)


 5試合負けなし、しかもホームゲームにいまだ黒星のない高知FDが、高知球場に長崎Sを迎えて臨む3連戦の初戦である。快晴の空の下、14時ちょうどにプレイボールが掛けられた。
 高知FDの先発は4月度の月間MVPを受賞した左腕・吉川岳(24歳)、長崎Sの先発は藤岡快範(24歳)、両投手が共に初回を三者凡退に抑え、試合は投手戦の予感を漂わせた。だが2回裏、四番・龍央(中村竜央、29歳)が外角高目のストレートを叩いた打球は、うまく風にも乗り右翼スタンドへの先制2号ソロ本塁打となって高知FDが1点を先制する。
 しかし藤岡はここで崩れることなく高知FDに追加点を許さない。4回裏、二死一、二塁のピンチにも慌てることなく後続を打ち取り、前半5回を1点のビハインドのまま終えた。
 許したヒットは6回までたった1本と、吉川もうまく変化球を打たせて獲る投球で無失点の投球を続ける。しかし6回表の長崎Sの攻撃を三者凡退で終えると、人差し指にできたマメが避けたために勝利投手の権利をもらってマウンドを降りた。
 7回表、吉川に代わってマウンドに登った二番手・山慎一郎(20歳)を長崎S打線が捉える。二番・駒井昌之(24歳)が左前安打で出塁すると、山が一塁への牽制を悪送球した間に三塁へと進む。続く三番・陽耀華(25歳)の打った当たりは右翼手の前に落ちるテキサス適時打となり駒井が生還、同点に追い着いた。
 9回表、長崎Sは二死から二番代打・根鈴雄次(36歳)、三番・陽、四番・田中宏明(22歳)が3連打を放ち二死満塁と勝ち越しのチャンスをつかむ。しかし途中出場の五番・安田慎太郎(25歳)が空振り三振に倒れ、最後の攻撃も無得点に終った。
 負けのなくなった高知FDは、一死から五番・大谷龍太(22歳)が三塁手の捕球失策により出塁する。六番・流大輔(21歳)の捕手前に転がるセーフティーバントが決まり一死一、二塁とすると、打席には七番・村上祐基(22歳)が入った。村上はフルカウントから真ん中外よりのストレートをセンターに打ち返すと、前進守備の中堅手の頭上を越えるサヨナラ適時打となり二塁から大谷が生還、劇的なサヨナラ勝ちとなった。
 高知FDが2×‐1で長崎Sを下し、ホーム3連戦の初戦を白星で飾った。これで引き分け2つを挟んで3連勝、5月3日以来6試合を消化して負けがない。長崎Sは藤岡の好投を打線が援護できず、あと1本が出ないまま最後に力尽きた。これで5連敗と厳しい戦いが続いている。


『「こういう場面でどんどんアピールしていきたい」』

 ここまで長崎S打線をほぼ完璧に封じ込んでいる吉川岳(24歳)が、7回表のマウンドに登って来ない。「どういて?」と首をかしげたドッグスファンも多かったことだろう。左手人差し指にできたマメが破れ、皮がめくれたための降板だとあとから知らされることになるのだが、吉川の指の異変はすでに2回表から起こっていたという。そのマメが5回に破れた。吉川自身は5回での降板を申し入れていたのだが、首脳陣は勝ち投手の権利をもらえる6回まで続投させ、その期待に見事応えた訳だ。
 つまり、試合の序盤から吉川の完投が不可能であることをベンチは承知していたのである。3回に入った頃にはすでに、二番手としてマウンドに登る山慎一郎(20歳)が肩を作り始めている。
 吉川からマウンドを譲り受けた7回表、ヒットに自らのミスが重なり失点を許した。1対1の同点のまま、試合は最終回へとなだれ込む。9回表、代打攻勢を掛けた長崎Sに対し、打者2人を凡打に打ち取って二死となった。
 二番代打・根鈴雄次(36歳)の打球が左翼手と遊撃手との間にポトリと落ちる。走者を1人背負って、次の打者には7回表にやはり右翼手の前に落ちるテキサス安打で適時安打を喰らっている三番・陽耀華(25歳)を迎えた。スライダーのコントロールには自信がある。外角に逃げるスライダーにまったくタイミングが合わず、陽が2球続けて空振りした。ワンボールツーストライクのあとの5球目に、捕手・飯田一弥(24歳)が要求したボールはスライダーだった。
 だが、このサインに首を振る。その結果、5球目を捉えられて左前へと弾き返されてしまった。山が言う。
「陽さんのところで飯田さんのサインに首振って、チェンジアップが真ん中に行って打たれました。外角のチェンジアップでショートバウンドにして振らせようと思って」
 追い込みながらヒットを許し、走者を溜めてしまった。すかさず佐伯和司コーチがタイムを取って、マウンドへと歩み寄る。ポンポンと2度、山の背中を叩いた。
 一旦間を空けて流れを変えようとしたものの、続く四番・田中宏明(22歳)にも三遊間を破られてしまう。二死満塁、1点も与えられない状況で左打席に迎えたのは安田慎太郎(25歳)である。負傷退場した大西正剛(23歳)に代わっての途中出場だったが、1発も、そして経験もある怖い打者だ。
 初球ボールのあと、外角へのスライダーで空振りを奪う。3球目がファウルとなり、ワンボールツーストライクに追い込んだ。4球目に飯田が出したサインが山の意図と合致する。外角低目へのチェンジアップである。
 ストン! と落ちたボールに安田のバットが空を切る。立ち上がった飯田がバシン! とミットを叩いた。三者残塁、9回裏の大きなピンチを凌いだ守りは、その裏のサヨナラ劇へとつながって行った。
 試合後、定岡智秋監督が山の好投に表情を崩す。
「同点になってしもたけど、そのあと締めてくれたからね。キャンプくらいのときから『こいつは面白いかもしれん』と言うとったからね。思とったみたいな感じで放ってくれてる」
 これで右のエース・野原慎二郎の4勝に続く2勝目を手にした。前回の登板(5月5日、香川OG戦・高知)では完封勝利と、先発、中継ぎでいいアピールを続けている。まだ打線が本調子とまで言えない現在のチーム状況において、野原、吉川、山と投手陣が安定していることが、6試合負けなしの戦績につながっている。
「1対0で終りたかった。1点獲られましたけど、1点で終ったんで。これからもこういう場面でどんどんアピールしていきたい。人の勝ちをもらうんじゃなくて、自分で勝てるようにしたいです」
 投の立役者はまだ二十歳の新入団選手である。試合後、ユニフォームを着替え終わると、今度はペットボトルを運びながらバタバタと雑用に追われていた。




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2010/05/10(Mon)

8連勝のあと

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦(JFBL交流戦)
2010.5.9. 香川オリーブガイナーズ 2‐3 三重スリーアローズ 2回戦 <アークバリアベースボールパーク志度> 観衆690人

三重TA 100 000 200| 3
香川OG 000 001 100| 2

勝 洪成溶 
S 倉崎健一 
負 高尾健太 3勝1敗

バッテリー
三重TA 洪、倉崎 ‐ 北園
香川OG 高尾、キム、宇高 ‐ 藤嶋、西森

本塁打
三重TA
香川OG


 この週末の3連戦はJFBLとの3試合が予定されていた香川OGだが、5月7日に予定されていた大阪GV戦が雨で中止となっている。翌8日、住之江でのビジターゲーム・大阪GV戦を白星で飾ったあと、もう1つのホーム・アークバリアベースボールパーク志度に帰って来た。今季開幕戦となった4月4日、津球場で逆転勝ちを収めた三重TAをホームに迎え、第2回戦を行っている。
 先発のマウンドに登った高尾健太(22歳)の立ち上がりが良くなく、先頭の桑島優(23歳)を四球で歩かせる。四番・二口慎也(24歳)に右前適時打を許し、三重TAが先制点を挙げた。
 香川OGは初回、三重TAの先発左腕・洪成溶(23歳)から4月度月間MVPに輝いた一番・大原淳也(25歳)が中前打で出塁する。だが、二番・笠井要一(24歳)の送りバント失敗により二塁で封殺され、流れを引き戻すことができない。笠井が二盗に成功し一死二塁とするも、クリーンナップに1発が出ず初回の攻撃を無得点で終えた。
 ここから香川OGは4回まで3イニング連続で先頭打者を出塁させるものの、洪の粘りの投球の前に得点を奪うどころか三塁まで走者を進めることができない。2つの併殺打でチャンスを潰し、前半5回を2安打、無得点で終えた。
 6回裏、死球で出塁した一番・大原がすぐさま二盗を成功させる。二番・笠井が再び送りバントを失敗するミスはあったが、三番・智勝(27歳)の右中間を破る適時三塁打で大原が還り、香川OGが同点に追い着いた。
 本来の投球を取り戻し2回以降無失点、3回からは三重TA打線を無安打に抑え込んでいた高尾だったが、7回表に再び捕まる。七番・宮田良祐(22歳)、八番・北園伸哉(24歳)の連続安打から無死二、三塁のピンチに陥った。九番代打・横井雄太(21歳)のスクイズをバッテリーがうまく外し三塁走者を狭殺、同時に三振による併殺で二死三塁とするも、続く一番・桑島に四球を与える。ここで香川OGベンチは高尾を諦め、左腕・キム・ギョンテ(34歳)を投入する。しかし二番代打・阿部康生(25歳)に右翼線への2点適時二塁打を浴び、逆転された。
 終盤の攻撃で巻き返したい香川OGは7回裏、一死一、三塁のチャンスに九番代打・加登脇卓真(22歳)が中犠飛を上げ三塁走者が生還、1点差に詰め寄る。ここで三重TAベンチは洪を下げ、開幕戦でもロングリリーフした倉崎健一(27歳)をマウンドに送る。倉崎の初球に二盗を試みた一塁走者・西森将司(22歳)を捕手・小園が補殺、悪い流れを断ち切った。
 香川OGは好投する倉崎の前に8回裏の攻撃を三者凡退で終える。9回裏一死から五番・国本和俊(26歳)が遊内野安打で出塁するも、二盗に失敗して走者を失う。六番・金井雄一郎(26歳)が中直に終り、万事休すとなった。
 2対3と1点差で三重TAに敗れ、香川OGが今季2敗目を喫した。洪が勝ち投手、倉崎がセーブポイントを挙げている。三重TAは4月10日、長崎S戦での勝利に続き、四国・九州ILから2勝目を挙げた。香川OGは首位をキープするものの、2位で追い掛ける高知FDが勝利したため、ゲーム差が「2」に縮まっている。


『8連勝のあと』

 初回に三重TAに先制点を奪われた。問題はそのあとである。1回裏から4回裏まで四度先頭打者を出塁させながら、一度も得点に結び付けることができなかった。2回と4回、共に相手野手の失策により走者を出しながらも、併殺打でみすみすチャンスを潰してしまっている。
 これで2度目の負けを喫し、13試合を終っての成績は9勝2敗2分けとなった。2位・高知FDとはまだ2ゲームの差があり、首位をキープできていることは間違いない。
 だが、8割を超えている勝率とは裏腹に、香川OGを深刻な打撃不振が覆っている。5月に入ってからの6試合を見てみれば、二桁安打を記録した試合はなく、5月4日の高知FD戦(レクザス)で9安打を記録したのが最多の数字だ。今日の試合でも散発5安打、連打は1度もなく、相手のミスでチャンスをもらいながらそれを活かせなかったことが敗れた大きな原因の1つであることは間違いない。
 試合後の一塁側ダッグアウト前で前田忠節コーチは、円陣を組む選手たちを前に普段より少し長いミーティングを行っていた。
「プロとしての意識が低いんじゃないか? お客さんはお金を払って試合を観に来てくれてる。こんな試合を見せてていいのか?」
 そんな話をしていた。改めてミーティングの後、前田コーチに話を聞いた。
「負けるにして負けた試合です。最近こういう試合が続いてる。攻撃が機能してなかった。中村(真崇)が抜けて、中村頼りじゃダメなんで。しっかりプロとしての意識を持ってもらってやるだけです」
 5月1日の試合で四番・中村真崇(26歳)が左腕を骨折し戦列を離れてから、打線がまったく揮わなくなってしまった。中村の離脱後、四番に入っていた加登脇卓真(22歳)の不振が続いており、8日の大阪GV戦から四番に大抜擢され、左翼に値千金の逆転スリーランを放った大松陽平(19歳)が、今日の試合ではことごとくチャンスを潰してしまった。「四番不在」は現在の香川OGにとって、非常に大きな問題として立ち塞がっている。
 二番・笠井要一(24歳)が二度送りバントを失敗するなど、それぞれが役割をきっちりと果たせず、最後まで試合の流れを引き寄せられなかった。明るい兆しが見え始めているのは徐々に本来の当たりを取り戻し始めている三番・智勝(近藤智勝、27歳)と、正面は突いたがライナー性の打球を連発していた六番・金井雄一郎(26歳)の2人だ。
 西田真二監督が言う。
「長いシーズンこういうこともある。トータルして考えるべき。もっと高い意識を持ってね、プロなんだから。徹底的に気持ちを前に出してやらないと。次、愛媛戦ですから切り替えて! ちょうど良かった」
 4月を無敗の8連勝で乗り切ったチームが、5月に入り3勝2敗1分けとややペースを落としている。長崎Sを3タテに下すなど、愛媛MPは5月の成績を5勝2敗と勝ち越しており、2.5ゲーム差で首位を追っている。5月13日からのビジターゲーム3連戦の行方が、非常に興味深いものになってきた。
 香川OGにとってポイントとなるのは、中軸を始めとする打線の活性化であることは言うまでもない。積極的に気持ちを前に出して戦うことが、チームの奮起につながると指揮官は言う。現在のチーム打率.226※は、5球団中4位の成績である。

※ 5月9日終了時の成績




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2010/05/09(Sun)

2010.5.8. 愛媛MP 9‐4 長崎S

2010.5.8. 四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
愛媛マンダリンパイレーツ 9-4 長崎セインツ 2回戦 <マドンナスタジアム>
コラム『暴走』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2010/05/08(Sat)

この試合をきっかけに

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.7. 愛媛マンダリンパイレーツ 11‐6 長崎セインツ 1回戦 <坊っちゃんスタジアム> 観衆1,088人

 長崎S 101 001 030| 6
愛媛MP 540 200 00×| 11

勝  岸敬祐 3勝2敗
負  サンチェス 1敗

バッテリー
 長崎S サンチェス、本田、森下、酒井、石田 ‐ 富岡
愛媛MP 岸、赤嶺 ‐ 松原

本塁打
 長崎S
愛媛MP


 4位・愛媛MPが5位・長崎Sをホーム・松山に迎えて行われる3連戦の第1ラウンド、両チームの対戦はこれが今季初対決となる。ゲーム差は「0.5」、この試合の結果によっては順位が入れ替わる。試合は午前中に降っていた雨もすっかり上がった坊っちゃんスタジアムでのナイトゲームで行われた。
 初回、長崎Sは愛媛MP先発左腕・岸敬祐(23歳)の立ち上がりを捉える。一番・水口大地(20歳)、二番・陽耀華(25歳)が連打を放つと、無死一、三塁として遊ゴロ併殺打の間に1点を先制した。
 だが、今日が初先発のサンチェス(22歳、ドミニカカープアカデミー)は、リードを守れないどころか試合を作ることができない。一死二、三塁から四番・末次峰明(25歳)に適時中前打を浴び早くも同点にされると、五番・西村悟(26歳)の打ったゴロを捕ったサンチェスが自ら本塁に悪送球し三塁走者が生還、逆転を許してしまう。さらに七番・古卿大知(29歳)、八番・高田泰輔(21歳)の連続適時打など打者一巡の猛攻で、愛媛MPがいきなり5点を奪うビッグイニングとなった。
 2回裏、サンチェスはますます制球力をなくし四死球を連発する。五番・西村にこの回4つ目の四死球を与えたところで降板となった。二番手としてマウンドに登った本田茂雄(24歳)も一死満塁のピンチを食い止めることができず、愛媛MPがこの回さらに4点を追加した。
 8点差をつけられた長崎Sだったが、3回表に反撃を見せる。一死一、二塁から三番・松原祐樹(26歳)が右翼線に適時二塁打を放ち、1点を返した。
 だが愛媛MP打線も4回裏、再びつながりを見せる。四番・末次、五番・西村の連続長短打などで二死満塁とすると、九番・松原準(26歳)の打球は遊撃手の前でイレギュラーするラッキーな適時中前打、一番・増田康弘(23歳)も三遊間を破る適時左前安打で続き、この回さらに2点を加えてリードを9点に開いた。
 大量リードにも長崎Sは諦めない。6回表、ここまでチームトップの打率.328を誇る五番・大西正剛(23歳)が中堅手の頭上を越える適時二塁打で1点を返すと、さらに8回表、八番・林孝明(22歳)の三遊間を破る2点適時打などで3点を奪った。
 しかし長崎Sの反撃もここまで、9回表、8回を投げた岸に代わりマウンドに登った赤嶺祥悟(22歳)がクリーンナップを3人で切って獲り、愛媛MPが11対6で長崎Sを下した。
 この結果、愛媛MPは勝率を再び7勝7敗の5割に戻し、徳島ISと並んで同率3位に順位を戻している。長崎Sは単独最下位に転落、3位との差が1.5ゲームに開いた。



『この試合をきっかけに』

「キャプテンとしてもっと自分にできることはないのか?」
 愛媛MPの主将・大津慎太郎(25歳)は、4月29日、坊っちゃんスタジアムでの負け試合以降、ずっと考え続けていた。5月1日、関西遠征の初戦となる大阪GV戦に敗れ3連敗と、チームは泥沼にはまりつつある。三重SA戦を翌日に控えた宿泊先で、同学年でもある末次峰明(25歳)に今の悩みを打ち明けている。
「みんな、おまえのことは解ってるんだから、おまえの思う通りにやれよ。思いっきりやったらいいんだ」
 少し気負いすぎていたのかもしれない。まるでただ勝ちたい勝ちたいと焦っている今のチームのように、自分自身もまた焦りすぎていた。何か特別な効果のあるカンフル剤になるような言葉を探し出してチームを引っ張ろうとしなくても、今の自分の必死な姿をグラウンドで見せ続ければいいじゃないか。末次の言葉は、大津の強張っていた心を少し柔らかく解きほぐしていた。
 まだ勢いに乗っているとまでは言えないが、チームの姿も徐々に変わり始めている。大津が言う。
「試合前のミーティングでみんなの言うことが違ってきてます。負け試合でしたけど、こないだみたいに、9回ワンナウトから自分が出て走ったんですけど(5月5日、徳島IS戦・オロナミンC球場、9回一死から大津が二盗に成功)『ああいう感じで攻めようや! 走れるヤツがおるんやから!』って、どんどん積極的になってきてます」
 このチームの良いところは、まとまるときにはグッ! と1つになれるところだ。ここ一番だけで勢いに乗れば良いものを、これまでは毎イニングごとに「ここだ!」「ここだ!」と言いながら、力を出そう出そうとしていた。その気負いが空回りにつながっていた。今はそれぞれ3打席あれば勝負すべき1打席、そこで全力を尽くせるようにすればいいと考え方が変わってきている。その方法もただやみくもに気合いを込めるのではなく、より積極的に、そしてより具体的に、それぞれのやるべきことが見え始めていた。
 今日のゲームでまず力を発揮すべきだったところは、相手投手が乱調で苦しんでいた序盤だろう。出塁すれば走れる人間がどんどん走り、かき回して投手の焦りを誘った。効果的な連打も出た。1回、2回と2イニング連続で打者9人、打者一巡の攻撃を見せ、序盤に9点を奪っている。後半に守備のミスの連続で失点するという課題は残ったが、3連戦のアタマで奪った今季初の2桁得点は、上位追撃に向けて1つのきっかけになりそうな雰囲気を見せた。
 2試合連続で星を落とし2位から4位に下げていた順位も、とりあえず同率の3位に戻った。だが選手たちは、今自分たちの順位が何位で、上位と何ゲーム差あるのかをほとんど知らない。3勝目を挙げた岸敬祐(23歳)も、自らの誕生日を3安打2打点で飾った高田泰輔(21歳)も、そして大津もそうだった。
「正直、星勘定する立場じゃないと思いますし、監督に任せっきりで…。逆にそれがいい方になってるんじゃないですか?」
 まだ順位も数字も関係ない。目の前の試合だけ、全力よりもしっかりと戦う。金曜夜のナイトゲームに、4桁を数えるお客さんが試合を観に来てくれた。そのお客さんを前に、勝ちたかった坊っちゃんスタジアムで勝てた。
「多分この試合がきっかけになると思います。僕は今日打てませんでしたけど、みんな積極的に振れてたり、フォアボールになってた。ガッ! と集中したときに点が獲れて、ああいうのは自信になると思います。これをきっかけにそろそろエンジン全開で」
 そう言い残して、もうすっかり灯の落ちた坊っちゃんスタジアムの玄関を出て行った。




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2010/05/06(Thu)

「『青』で勝てて良かった」

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.5. 徳島インディゴソックス 3‐2 愛媛マンダリンパイレーツ 6回戦 <オロナミンC球場> 観衆441人

愛媛MP 101 000 000| 2
 徳島IS 011 100 00×| 3

勝 大川学史 1勝
S 弦本悠希 1S
負 山下良太 1敗

バッテリー
愛媛MP 山下、入野 ‐ 岡
 徳島IS 大川、弦本 ‐ 山村

本塁打
愛媛MP
 徳島IS


 3位・愛媛MPと4位・徳島ISとの3連戦は、1勝1敗で3戦目を迎えた。昨日(4日)、アグリあなんで徳島ISが勝利したことにより、今季の対戦成績を徳島ISの3勝2敗と勝ち星で上回っている。ゲーム差0.5で迎えた試合の舞台は、徳島ISのホーム、鳴門・オロナミンCスタジアムである。海から吹く強い風に煽られ、スコアボード上の球団旗と共に並んだ2匹の鯉のぼりが勢い良く大空を舞っていた。
 試合は序盤から1点を争う追いつ追われつの展開となる。1回裏、愛媛MPは今季初先発の徳島IS・大川学史(24歳)の立ち上がりを攻め、三番・武田陽介(25歳)の左前適時打で先制点を奪う。2回裏、徳島ISもこれが今季公式戦初登板となる先発の山下良太(25歳)から、七番・猪澤海(21歳)が逆風を突いて中堅手の頭上を越える適時二塁打を放ち、同点に追い着いた。
 愛媛MPは3回表、二死三塁から四番・西村悟(26歳)が左前に適時打を放ち1点を勝ち越す。しかし徳島ISも3回裏、三番・関口大志(21歳)の中前適時打で再び同点に追い着いた。
 4回裏、徳島ISはこの回2四死球と制球の定まらない山下から一死満塁のチャンスを得ると、九番・國信貴裕(27歳)がきっちりと左犠飛を上げ、勝ち越しに成功した。
 味方の反撃に大川も次第に安定感を増す。4回以降、愛媛MP打線をヒット1本に抑え込み8回を2失点、先発として十分な投球で後続にマウンドをつなぐ。9回表のマウンドに登った弦本悠希(20歳)が愛媛MP最後の攻撃も無得点に封じ込めた。
 徳島ISが3対2で愛媛MPを下し、1点差のゲームを逃げ切っている。大川が今季初先発初勝利、弦本が初セーブを記録した。またチームは今季初の連勝で勝率を5割に戻し、単独の3位へと浮上している。愛媛MPは2日連続で順位を下げ、4位に転落となった。


『「『青』で勝てて良かった」』

 大川学史(24歳、徳島IS)にとって今日の先発マウンドを一言で表すならば、「やっと来た!!」という感じである。自主トレ、キャンプと、開幕に向けてのカウントダウンが進むなか、他の投手たちに比べて調整に大きく遅れを取ってしまった。脇腹に痛みが走る肋間神経痛で投げ込みができず、ようやく痛みが治まったと思っていた3月中旬、調整に焦り、今度は肩を痛めた。圧倒的な投げ込み不足でフォームもバラバラのまま固まっていない。公式戦2度目の登板となった4月11日、サーパススタジアム(現・レクザススタジアム)での香川OG戦では、1回3分の2を投げ4失点(自責4)、4つの四球で自らピンチを招き、連打を浴びるという最悪のマウンドを経験している。
 再び実戦で投げられるメドがついたのは5月1日、蔵本での長崎S戦に登板し、1回3分の2を無失点に抑えてからである。ゴールデンウィーク最終日は7日間で6試合をこなす長い連戦の最終日でもある。昨日の試合後、堀江賢治監督は、
「大川が前回のピッチングしてくれたら…」
 と、祈るような気持ちを吐露していた。
 勝率5割復帰を賭けた大事な試合のマウンドの前に、特別な言葉は何も掛けていない。とても強心臓などとは言えない大川を、無言のまま送り出している。
 大川自身にとってもこの試合に賭ける気持ちは強い。待ちに待った先発登板ではある。だが、大きなリスクも感じている。
「今日ダメだったら当分の間は声かからないだろうな、と思っていましたから。かなりプレッシャーは感じてました。最初の力みはそれだと思います。『打たせるか!』、『1点もやらんぞ!』と思ってましたから」
 初回、内野安打を許した走者を自らの一塁牽制悪送球で三塁に進め、先制点を与えてしまった。だが、味方打線はすぐ同点に追い着いてくれた。2回、3回と四球での出塁を許しながら2度の暴投でピンチを拡げ、再び逆転を許してしまう。1歩間違えば即自滅してしまいそうな不安定なマウンドのなか、それでも味方打線は再び同点に追い着き、試合を降り出しへと戻してくれた。
「獲られた分獲ってくれたんで。味方が獲ってくれるから、自分ひとりで抑えようっていう気持ちがなくなりました。凄い周りが投げやすい雰囲気を作ってくれて。多分、森山さん(一人コーチ)がみんなに言ってくれてるんだと思いますけど、『落ち着いて!』とか『いいボール行ってるよ!』とか声を掛けてくれた。あそこで点獲ってくれたってのが一番ですね。1点獲って追い着いてくれて、そのままいい流れで行けました。途中からは試合にも慣れてきたし」
 立ち上がり3イニングにあれだけバタバタと不安定だった投球が、4回表を境にして劇的に姿を変える。カットボールが冴え始め、さらにカウントを稼ぎに行くチェンジアップと、低めに沈めて空振りを奪うチェンジアップが何度も決まった。4回以降、8回までに許したヒットは1本しかない。5回表、三番・武田陽介(25歳)に捉えられたホームラン性の打球も、強い風に押し戻されフェンス一杯のところで右翼手のグラブのなかに収まっていた。流れは一塁側に味方していた。
「前半のピッチングのまま代えられてたら、また悩んでたと思います。そこから立て直せたのが自分でも良かった。今後にもつながるのかな、と思います」
 今季は2色のユニフォームを日毎に使い分けて試合に臨んでいる。たまたま新しい白のユニフォームのときにしか勝っておらず、青のユニフォームを着て勝ちたいと思っていた。シーズンの最初に支給される3枚のユニフォームの内、白は1枚しか支給されていない。青で勝てていないということは、連勝ができていないということを意味していた。
「『青』で勝てて良かったです。今まで『青』で勝ててなくて、まだ『白』でしか勝ってなかったから」
 青で勝った。投手を支えた野手と、野手に助けられた投手の踏ん張りで勝った。インディゴブルーで勝った。




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2010/05/05(Wed)

徳島ISの野球

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.4. 徳島インディゴソックス 8‐3 愛媛マンダリンパイレーツ 5回戦 <アグリあなんスタジアム> 観衆770人

2010.5.4. YAMAMURA
山村裕也(徳島IS)が2つの盗塁を決める。遊撃手・金城(愛媛MP)

愛媛MP 010 001 010| 3
 徳島IS 110 015 00×| 8

バッテリー
愛媛MP 森、能登原、赤嶺 ‐ 松原、岡
 徳島IS 角野、土肥、弦本 ‐ 山村

本塁打
愛媛MP
 徳島IS


 昨日(3日)、松山で行われた徳島IS戦との3連戦初戦に勝利し、愛媛MPが2位(高知FDと同率)に浮上している。これで今季両チームの対戦成績は2勝2敗となった。場所を徳島ISのホーム・アグリあなんスタジアムに移し、前期5回戦が行われた。
 今季初先発となった愛媛MP・森辰夫(21歳)は立ち上がりの制球が安定しない。2つの四球で一死一、三塁のピンチに陥ると、四番・大谷龍次(21歳)の遊ゴロ封殺の間に三塁走者が生還し、徳島ISに先制点を許した。
 だが、愛媛MPもすぐさま反撃を見せる。徳島IS先発・角野雅俊(27歳)から五番・西村悟(26歳)が中前打で出塁したあと、一死三塁から七番・近藤幸志郎(24歳)の中犠飛によりすぐに同点に追い着いた。
 2回裏、徳島ISは先頭の八番・山村裕也(22歳)が中前打で出塁したあと、二盗を成功させる。一番・神谷厚毅(24歳)の遊ゴロを遊撃手がトンネルし外野へと転がる間に山村が勝ち越しのホームを踏んだ。徳島ISは5回裏にも代わった愛媛MP二番手・能登原将(24歳)から2本の長短打と死球で無死満塁のチャンスをつかむ。六番・猪澤海(21歳)の右犠飛により追加点を挙げ、3対1と2点のリードを奪って前半を終えた。
 毎回ヒットで出塁しながらも要所要所を抑える角野の投球の前に追加点を奪うことのできない愛媛MPだったが6回表、三番・武田陽介(25歳)、四番・末次峰明(25歳)の連続安打で無死一、三塁のチャンスをつかむ。五番・西村の遊ゴロ併殺打の間に1点を返した。
 しかし6回裏、三番手としてマウンドに登った愛媛MPの三番手・赤嶺祥悟(22歳)が誤算となる。先頭の八番・山村に右翼線二塁打で出塁を許すと、一番・神谷の中前適時打、六番・猪澤の2点適時打など打者12人の猛攻を浴び、5点を失った。
 終盤8回表に1点を返した愛媛MPだったが、5点のビハインドをはね返すことができず、最終回も弦本悠希(20歳)の前に打者3人で攻撃を終えた。
 徳島ISが8対3で勝利し、愛媛MPとのゲーム差を0.5差にまで縮めている。角野はハーラー単独トップとなる4勝目を手にした。この結果、愛媛MPが3位に転落し、2位・高知FDとのゲーム差が0.5となった。2位から最下位までの4チームが1ゲーム差のなかにひしめいている。


『徳島ISの野球』

 あれは確か4月18日、高知FDとのゲームが開始される直前のオロナミンC球場、一塁側ダッグアウト付近でのことだ。
 機動力が売りであるはずの徳島ISの盗塁数が、ここまであまりにも少ない。この日までに記録されたチーム盗塁数は「2」、猪澤海(21歳)と大谷龍次(21歳)が記録した1つずつだった。
「神谷、関口、猪澤の3人で100盗塁させる」
 シーズン開幕の前に森山一人コーチが宣言していた目標だ。俊足の3選手を中心に徹底的に走らせる。そんな構想を掲げている。それにしては開幕からまだたった5試合しか消化していないとは言え、少し消極的すぎやしないか? そろそろ走らせるべきではないのか? その辺りについて聞いた。
「まだ(それぞれに)任せてあるし、こっちからは走らせてない」
 そんな言葉が返って来ている。
 その日のゲームで神谷厚毅(24歳)が1つ、大谷が1つを加え、徳島ISの盗塁数は「4」に増えている。対する高知FDはこの試合でなんと、大量8個の盗塁を成功させ、合計「15」の盗塁数を記録していた。香川OGは「12」、愛媛MPも「9」と、倍以上の数の盗塁を成功させている。※
 愛媛MPに5点差をつけて昨日の借りを返したゲームは、沖泰司監督(愛媛MP)が試合後語った通り、11四死球を出した投手陣の崩壊が敗戦の大きな要因だろう。だが愛媛MPのミスに乗じて出塁した走者が、常に先の塁を狙って果敢な走塁を試みたことが徳島ISの勝利につながったと言える。塁に出れば走る。6回裏二死一、二塁の場面での重盗を含め、トライした6個の盗塁すべてを成功させた。
 八番・山村裕也(22歳)は2回裏に中前打で出塁したあとに二盗に成功、四球で歩いた4回裏にも二盗を成功させ、2つの盗塁を決めた。積極的に大きなリードを取り、捕手から一塁へ何度も牽制球を受けながら二塁を盗んでいる。
「とりあえず走れんヤツより走れる方がいいでしょう。足があるところをアピールしよかな、と思ってました。相手のピッチャーのクイックも遅かったし、走りのミスはしてもいいって言われてたんで。今日は盗塁したくてしょうがなかったです」
 守備のミスでスタメンを外され、先発マスクは3日ぶりである。チーム内での正捕手争いを勝ち上がるために、足が使えるところをしっかりアピールしておきたかった。
 初回に先制打となった遊ゴロで出塁し、次の打者の打席でわざとタイミングを遅らせてのディレイドスチールを決めたのが四番・大谷だった。6回裏にも猪澤と共に重盗を決め、この回5点目のホームを踏んでいる。
「僕、どっちかと言うと足が速い部類に入るんで、普通より速いとは思ってます。四番ってあんまり走る人いないじゃないですか。四番にいながら「足はないな」と思われてる隙に走れば…」
 笑顔を見せながら、力強い口調でこう言った。
「今日みたいな野球が、徳島の野球だと思います」
 一番や二番のいかにも走ってきそうな選手はもちろん、それら以外の選手までもがどんどん次の塁を狙って走ってくる。相手の嫌なことであるのは間違いない。堀江賢治監督のやりたい野球が少しずつ形になってきている。
「盗塁だけじゃなくて、例えば塁線の打球に関して次の塁を狙うだとか。それをすることで相手にプレッシャーがかけられてる。常にウチがやっていこうという野球ですよね。山村がミスのあと(1回裏、無死一塁の場面で八番・東弘明(18歳)がヒットエンドランに失敗)走ってくれたり、走る選手じゃない選手が走る。これは他のいいお手本になりますから。最大の武器である足が使えるようになったのは大きいと思います」
 5回裏、記者席を沸かせたプレーがあった。無死満塁の場面で六番・國信貴裕(27歳)の右犠飛に、三塁走者はもちろん、二塁走者だけでなく一塁走者もタッグアップから次の塁を陥れている。
 盗塁の数も増えた。5月4日、14試合を終えて徳島ISの盗塁の数は「26」、高知FDの「28」に次いで第2位の数字である。

※ いずれも4月18日終了時点での記録




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2010/05/03(Mon)

ガマンのとき

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.3. 香川オリーブガイナーズ 4‐4 高知ファイティングドッグス 3回戦 <レクザムスタジアム> 観衆1,331人

高知FD 000 000 040| 4
香川OG 000 000 301| 4

バッテリー
高知FD 山中、濱田、丸野、山崎 ‐ 飯田
香川OG 高尾、伊藤 ‐ 藤嶋

本塁打
高知FD
香川OG 国本和俊1号2ラン(7回、山中) 


 5連戦で行われる香川OGと高知FDの首位決戦直接対決、その第3ラウンドである。香川OG・高尾健太(22歳)、高知FD・山中智貴(21歳)の両先発右腕が見事な投手戦を演じた。
 高知FDは初回に2本のヒットを放つが、二盗に2度失敗するチグハグな攻めで得点につながらない。その後も高尾の緩急をつけた投球の前に三振の山を築き、ゼロ行進を続けた。山中も香川OG打線に対し、6回まで1本のヒットも許さないノーヒットノーランペースの見事な投球を続ける。
 しかし7回裏、先頭の四番・加登脇卓真(22歳)が均衡を破った。山中のストレートを捉えた打球は、右翼フェンスを直撃する三塁打に。一死一、三塁として七番・藤嶋紀之(21歳)の中犠飛により加登脇が生還し、待ちに待った先制点を奪った。続く八番・国本和俊(26歳)は初球を左翼スタンドにライナーでたたき込む1号2ラン、この回一挙3点を挙げた。
 3点のリードをもらった高尾は8回表、先頭打者を今日12個目の三振に切って獲りながらも、次の七番・宮元智博(24歳)に四球を与えペースを乱す。二死一、二塁として一番・西本泰承(24歳)が中前に適時打、続く二番・安田圭佑(22歳)も左翼線への2点適時二塁打を放ち、高知FDが同点に追い着く。香川OGベンチは高尾に代え、伊藤秀範(27歳)をマウンドに送る。しかし三番・梶田宙(27歳)に左中間を破る適時三塁打を浴び、逆転を許した。
 8回裏途中からマウンドに登った高知FDの三番手・丸野裕司(22歳)は9回裏、先頭の六番・金井雄一郎(26歳)を歩かせる。七番・藤嶋が右前安打で続き無死一、三塁とすると、八番・国本の打席で丸野が暴投、香川OGが土壇場で同点に追い着いた。無死二塁の場面で丸野に代わった高知FDの四番手・山崎慎一郎(20歳)は、一死満塁としながらも打者2人を打ち取り、このピンチを凌ぎ切った。試合は9回リーグ規定により4対4の引き分けとなっている。
 香川OGの開幕からの連勝記録は「8」で途絶えたが、9試合負けなしと依然首位を独走する状態が続く。3.5差のまま首位を追う高知FDは、明日4日から場所をホーム・高知球場に移し、香川OGとの4、5回戦を戦う。


『ガマンのとき』

 両チームのスコアボードに「0」が並ぶ投手戦は7回裏、香川OGが遂に3点を先制する。ハーラートップの3勝を挙げている右腕・高尾健太(22歳)の前に、高知FDは8回表の先頭打者が今日12個目の三振を喫した。これでここまでなんと、35イニング連続で得点が奪えていないことになる。首位の香川OGを2位で追う直接対決5連戦に、一昨日は吉川岳(24歳)、昨日は野原慎二郎(25歳)と、両投手の好投をフイにしてしまっていた。
 だが、高尾がここでリズムを乱した。今日初の四球で出塁を許すと、さらに一死一、二塁とピンチを拡げる。二死一、二塁から一番・西本泰承(24歳)の中前適時打で1点を、二番・安田圭佑(22歳)が左翼線を鋭く抜いての二塁打を放ち、同点に追い着いた。
 二塁に逆転の走者を置いて、香川OGベンチは高尾に代わり伊藤秀範(27歳、元東京ヤクルト)をマウンドに送る。相対することとなったのはリーグ6年目、伊藤と同期でアイランドリーグ入りした三番・梶田宙(27歳)だった。
 伊藤との対決に特別な感慨などない。なんとか出塁して点を獲ろう。考えていたことはその1点であり、ストレートを狙おうとタイミングを計っていた。スリーボールワンストライクからの5球目、しっかり捉えた打球がレクザムスタジアムの左中間を大きく破る。二塁を回り、三塁の手前で一瞬スライディングしようとして止めた。してやったりの逆転三塁打に大きく喜びを表現するでもなく、少しだけ笑顔を見せながら静かに左腕のエルボーパットを外した。
 試合後、8回表の逆転劇を振り返りながら、1点のリードを守り切れず引き分けに終わった悔しさに唇を噛んだ。
「噛み合ってないですよね。ピッチャーとバッターが。岳(吉川)や野原が頑張ってるときに打てなくて、今日みたいに打ったときにピッチャーが守れない。(8回は)イケイケだったんですけどねぇ」
 試合前の時点での打撃成績を見ても、3割に乗っているのは二番・安田ひとりしかいない(※.412)。日本一を決めた去年のチームと比べて、攻撃力が大きくダウンしていることはすでにキャンプ中から予想されていたことだった。昨年の中盤以降、クローザーとして大きな活躍を見せてくれた伊代野貴照(元阪神)の抜けた穴もいまだ大きく、勝負どころでゲームを守り切ることができない。開幕以来連勝街道を突っ走る香川OGとの勝負が接戦になれば、なかなか勝ち切ることが難しいのが現状だ。
 やはり頼りになる存在になってもらわないと困るのが在籍6年目を数える梶田であり、四番を任されている龍央(中村竜央、29歳)だ。龍央については今日も4打数無安打3三振と、不調のど真ん中にいる。定岡智秋監督も昨日、龍央のあまりの不調振りに声を掛けている。
「四番やからってあまりにも背負い込んだらいかん! って、昨日も言うたんやけど。思い切って振ってくればいいやん。三振でいいんやから。それで相手のピッチャーも龍央は一発があると思うんやから。龍央だけ攻め方違うんやから」
 ゴールデンウィークの連戦、しかも少しでも差を縮めたい首位決戦5連戦で厳しい戦いが続いている。しかし今日4点を奪った集中打は、良い兆しが見え始めていると言っていい。二死からの集中打でこれまでどれだけの試合をひっくり返してきたことか。高知FDにはこれがある。梶田が言う。
「点獲るだけじゃなくて、僕らがチャンスメイクもしなくちゃいけない。若いのがもうちょっと育ってくれれば変わってくると思うんで、早く育ってもらって。僕と龍央さんが打てばいい試合になると思うんで」
 今はまだガマンしなければならない時間なのかもしれない。2敗1分け。ホーム・高知球場に場所を移して流れは変わるだろうか。

※ 5月2日終了時の成績




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2010/05/03(Mon)

自分自身を知りながら

四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
2010.5.2. 徳島インディゴソックス 9‐0 長崎セインツ 5回戦 <オロナミンCスタジアム> 観衆475人

 長崎S 000 000 000| 0
徳島IS 800 000 10×| 9

勝 片山正弘 2勝
敗 土田瑞起 1勝3敗

バッテリー
 長崎S 土田、サンチェス、森下、石田、小林 ‐ 富岡
徳島IS 片山 ‐ 河原

本塁打
 長崎S
徳島IS


 徳島ISのホームゲームで行われる長崎Sとの連戦の2試合目、場所を蔵本から鳴門・オロナミンCスタジアムに代えて前期5回戦が行われた。共に4勝6敗と同率4位で並んでおり、負けたチームが単独最下位となる
 アクシデントは1回裏に起こった。長崎Sの先発・土田瑞起(20歳)の右上腕部に二番・斎藤雅俊(23歳)が放ったライナー性の打球が直撃、試合は一時中断となった。応急処置ののち再びマウンドに姿を見せた土田ではあったが、三番・関口大志(21歳)に左翼線へ二塁打を浴び、あえなく降板となった。二番手としてマウンドに登ったサンチェス(22歳、カープドミニカアカデミー)から四番・大谷龍次(21歳)が右中間を破る三塁打で2点を奪うと、ここから徳島IS打線が大爆発を見せる。なんと8人連続の長短打で7点を奪うと、さらに2つの四死球で一死満塁としたあと、三番・関口の二直(二塁手が落球し、一塁走者封殺)の間に1点を追加、一挙8点を奪うビッグイニングを作った。
 徳島IS先発の片山正弘(25歳)は毎回のように走者を出しながらも要所を抑えピンチを凌ぐ。4回表一死満塁、6回表一死一、二塁のピンチも長崎S打線を無得点に抑えた。
 7回裏、徳島ISは長崎Sの四番手・石田大樹(20歳)から八番・河原英希(23歳)が三遊間を破る適時安打、1点を追加してダメを押す。片山は無失点のまま最終回を三者凡退に切って獲った。
 徳島ISが9対0で長崎Sを下し今季初の完封勝利、片山が今季初先発の期待に応え、2勝目を手にしている。長崎Sの連勝は「3」でストップ、再び単独最下位に転落することとなった。


『自分自身を知りながら』

 長かった1回表が終了したとき、時計の針は18時51分を刺していた。なんとここまでに50分間もかかっている。ケガの治療による中断と、審判団の協議による中断があった上に、徳島ISが打者13人、8人連続の長短打で8点を奪うという猛攻があった。
 2回表のマウンドに登るまでの間、先発の片山正弘(25歳、徳島IS)はキャッチボールを続けながら肩を冷やさないようにしていた。大量リードをもらい、次にすることは自分が先発としての仕事をこなすことである。まずは集中力を切らさないように。四球を出したら流れが悪くなってしまう。そんなことを考えていた。
「そこまで調子が良かったって感じじゃなかったんで、どんどん打たせていかないといけないな、と思っていました。中継ぎで投げてて結構いい感じだったので、それと一緒の感じで。先発だからって意識してないです」
 野球の1つのパターンとして、序盤にビッグイニングがあると、そのまま一方的な展開になってしまうとは限らない。獲られた分獲り返され、気がつけば1点差になっていただとか、終盤に同点に追い着かれて逆転されてしまった、などということが意外に少なくない。
 だが、片山は8点のリードを守り続けた。悪いときにはボールが先行してしまい、苦しいカウントからストライクを取りに行って痛打されるのだが、今日はストライクを先行させ、長崎Sに流れを渡さなかった。最大のピンチとなった4回表、一死満塁の場面を投ゴロ本塁併殺で乗り切っている。走者を背負いながらも無失点のまま凌ぎ続けた。
 新たに身に付けた武器が、大事な初先発のマウンドで活きている。カットボールである。4月23日、佐世保での長崎S戦で1回3分の1を、25日にも同じく佐世保で3分の1回を投げているのだが、その際には1球しか見せていなかった。
「カットで空振り、ファールが獲れました。真っ直ぐと思われてるのをちょっと曲げる。真ん中に思いっきり腕振って投げるようにして投げてました」
 7回途中に球数は100球を越えている。だが、逆に力が抜けてコントロールが安定していた。加藤博人コーチから言われていた「8分くらいの力で投げなさい」の言葉をずっと頭の隅に置いている。
 気がつけば4年目、結果はのどから手が出るほど欲しい。昨年フォームの改造に取り組み、それまでのサイドスローからオーバースローに変えた。しかし結果が伴わず、今年自らの希望でサイドスローに戻している。最後は納得して勝負したいという想いがある。
 加藤コーチが言う。
「サイドスローに戻して、『軸足をしっかり置いて、体重移動を意識しながら投げなさい』とは言ってあった。バラつきはあったけど要所要所は締めれたからね。もっと丁寧さがあればいいんだけど。緊張すると固くなるタイプだから、6回くらいからかな? 大分良くなってきてた。打者に対しての感じ方が解ってきたかな? と思う。打たれそうだな、とか。オープン戦辺りから少し良くなってきてたんだけど、自分はどういうタイプなのかが解ってきてるんだと思う」
 その辺り、自信過剰になるのではなく、しっかり地に足を付けることができている。自分自身をよく理解しながら、相手のこともよく見る。相手と勝負する前に、まずは自分自身のことから。そんな気持ちがコメントに表れていた。
「三振獲れるピッチャーじゃないんで、低目に集めて打たせていく。投げる機会を与えてもらったら、しっかり結果出して行くしかないです」
 今季初先発のマウンドで、9回135球を投げ抜いての初完封勝利。自身4年間で初の見事な完封劇だった。現在の投手成績、防御率リーグトップのところに片山の名前がある。※

※ 5月5日終了時




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2010/05/02(Sun)

2010.5.1. 徳島IS 0‐5 長崎S

2010.5.1. 四国・九州アイランドリーグ2010 前期公式戦
徳島インディゴソックス 0-5 長崎セインツ 4回戦 <蔵本運動公園野球場>
コラム『自分たちはやるべきことを』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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