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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2009/05/31(Sun)

それだけの理由

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.30. 香川オリーブガイナーズ 5‐5 徳島インディゴソックス <サーパススタジアム> 観衆673人

 徳島IS 030 100 010| 5
香川OG 020 000 300| 5
※ 9回リーグ規定により引き分け

バッテリー
徳島IS 片山、サンチェス、ソリアーノ、竹原 ‐ 荒張、永井
香川OG 加藤、杉尾、金子、上野、松居、橋本 ‐ 西森

本塁打
徳島IS 白川勇輔1号3ラン(2回、加藤)
香川OG 荒木康一7号2ラン(7回、ソリアーノ)

 デーゲームで行われた香川オリーブガイナーズと徳島インディゴソックスの3連戦、第2ラウンドである。白川勇輔の1号左翼越え3ランで徳島ISが先制すると、その裏、すぐに香川OGも連打で2点を返した。7回裏、香川OGの五番・荒木康一に逆転2ランを浴び1点をリードされた徳島ISだが、8回表、中前打で出塁した一番・神谷厚毅が好判断で本塁に生還し、すぐさま試合を振り出しに戻した。5対5のまま息詰まるような攻防となった終盤、香川OG・橋本亮馬、徳島IS・竹原俊介の両クローザーが最後まで踏ん張り抜き、試合は9回リーグ規定により引き分けとなった。


『それだけの理由』

 両軍のベンチ、ほぼ全員と言っていいだろう。スコアラー係を除く全員が、ダッグアウト前のフェンスに身を乗り出して1球の行方にじっと視線を送っている。初夏の日差しが降り注ぐなか行われた一戦は、両チームがっぷり四つに組み合った好ゲームとなった。
 マウンドの竹原俊介(徳島IS、25歳)は焦っていた。ノーアウト一、二塁。1点を失えば終りという場面にランナー2人を背負ってしまった。コントロールも微妙に定まっていない。
「やらかしたかな? と思いましたね。ストライクが入らなかったんで、思ったところに投げられなくて苦しかった。いい感じの『行き』ではなかったんです。コースに投げ込むんじゃなくて、そこにたまたま行った感じ」
 フォアボールで出したランナーではない。堀江賢治監督(徳島IS)はもう竹原にすべてを委ね、腹を括っていた。ヒットを打たれればそれはそれでしょうがない。
 一塁ランナーに代走が送られるタイムの間に、西田真二監督(香川OG)が次のバッター、六番・洋輔(27歳)を呼び寄せ言葉を掛けていた。マウンドからその様子を見逃していない。
「ヒッティングで来るかな?」
 そう思っていた初球に送りバントを仕掛けて来た。一瞬、同じプレーで三塁へ悪送球し、逆転負けを喫したプレシーズンマッチの記憶が頭をよぎる。だが本来はチームで最もフィールディングのうまいピッチャーである。素早く送球し、ランナーに三塁を踏ませなかった。
 次の打者が内野ゴロに倒れ、ツーアウト一、三塁と、まだピンチは続く。次の八番・国本和俊(25歳)には昨年サヨナラ打を浴びた痛い記憶がある。加藤博人コーチがマウンドへと向かい、一旦間を置いた。選手たちが竹原を囲む。
「嫌やったんですよ。カウント悪なって、まっすぐハリハリで。内(内角)でつまるのを願いました」
 投球動作に入ろうとする直前、マスクを被っている永井豪(25歳)に、
「止めてね!」
 と、大きな声を掛けた。
 3球目のストレートを打ち損じた打球がレフトへ上がる。2イニング、10人のバッターに対し1点も与えず踏ん張り、役目を果たした。安堵の表情を浮かべながらマウンドを降り、整列のなかに加わっている。
「粘れたんで良かったです」
 一言そう言い残している。堀江監督も胸を撫で下ろした。
「落とさなかったことが一番ホッとしています。最後、内野手が痺れるようなプレーしてくれて。相手が嫌なことができるようになってきました」
 05年以来の4連勝は持ち越しとなったが、これで6試合連続負けなしである。これまでの対戦成績を見れば、勝ちにも等しい引き分けのように思える。最後まで集中の切れなかった好勝負だった。だが、森山一人コーチ(徳島IS)は納得の表情を見せていない。
 7回裏、三番手・ソリアーノ(26歳)が荒木康一(23歳)に逆転2ランを喰らった場面、カウント0-1からの2球目をレフトスタンドへ運ばれた。
「あれが2-2とか、追い込んでから打たれたんならそう言ってもいいけど、そこまでは言えない。真っ直ぐを待ってるところに真っ直ぐで行って打たれてるんだから」
 あの失点がなければ「よくやった」と言ってもいい。打たれなくていいところで打たれた部分は大きな反省点だ。だが、評価できる面もある。
「今日は4回と8回、ああいう獲り方ができるようになってきた。今はまだサインも出してるんですけど、練習でやってきたことがやれるようになってきてる」
 追加点となった4回表の1点も、同点に追い着いた8回表の1点も、ヒットで楽々とホームに還って来たものではない。ひとつは三塁ランナーの荒張裕司(20歳)がサードゴロの間に判断良くスタートを切ったものであり、もうひとつは併殺打になりかけたセカンドゴロに、セカンドからショートへの送球のタイミングを見計らって本塁を陥れた神谷厚毅(23歳)の好走塁によるものである。14安打で奪った香川OGの5点に対し、徳島ISは6安打で5点を奪った。ソツのない走塁、それも徳島ISの大きな武器になりつつある。
 ピッチャーが踏ん張り、野手が足で稼いだ。確実な成長を見せたバッターもいる。負けのない6試合、それだけの理由は確かにある。


2009.5.31. 徳島IS 6-5 香川OG <三好市吉野川運動公園>
コラム『「お前ら、できるんやから!」』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2009/05/30(Sat)

攻めるカーブ、勝つためのリズム

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.29. 香川オリーブガイナーズ 1‐3 徳島インディゴソックス <サーパススタジアム> 観衆575人

 徳島IS 002 000 100| 3
香川OG 000 000 010| 1

勝 光安祐輝 3勝0敗
S 竹原俊介 0勝1敗3S
敗 深沢和帆 0勝1敗

バッテリー
徳島IS 光安、ソリアーノ、竹原 ‐ 荒張
香川OG 深沢、金子、松居 ‐ 西森

 共に2連勝同士の対決である。徳島インディゴソックスは今季、香川オリーブガイナーズにここまで5連敗と分が悪い。先発のマウンドにはここまで2勝負けなしの光安祐輝を送り3連勝を狙った。3回表、一死一、二塁のチャンスをつかむと相手のミスで難なく先制点を挙げる。続けて首の捻挫から復帰の三番・斎藤雅俊の中犠飛により、この回2点を奪った。7回表にも二死二塁から一番・神谷厚毅が中前適時安打を放ちさらに追加点を加える。光安は7回まで香川OG打線を2安打、無得点に封じ込めた。8回裏に1点を失ったが、後続をピシャリと抑え最小失点で凌ぐと、9回裏、徳島ISベンチは左腕・ソリアーノ、クローザー・竹原俊介の必勝リレーで乗り切った。今季香川OGから初勝利、敵地で3連勝を挙げている。光安は無傷の3勝目。竹原が3つ目のセーブポイントを手にした。


『攻めるカーブ、勝つためのリズム』

 試合終了後、加藤博人コーチ(徳島IS)に今日の先発・光安祐輝(23歳)のピッチングについて感想を求めた。
「変化球が良かったよね。変化球ってさ、逃げる球だって思われがちなんだけど、オレの現役時代、『加藤のカーブは攻めるカーブだ!』って言われてたんだよね。攻める変化球でしっかり投げられた。変化球でカウント取って、ストレートでタイミングずらすこともできるようになってきたよね」
 2試合連続で2桁安打、2桁得点を叩き出している打線である。その攻めるカーブで香川OG打線に仕事をさせなかった。8回を投げて打たれたヒットはたったの3本しかない。うまく打たせながら、試合の主導権を最後まで渡さなかった。コントロール良く変化球でストライクを先行させ、ストレートでつまらせる。勝負球のフォークも活きた。1点を失った8回裏、さらに続いたノーアウト二塁のピンチをショートゴロと空振り三振2つで凌いでいる。すべてフォークボールを振らせたものだ。
 これで引き分け2つを挟み、3連勝である。連勝のスタートとなった5月22日の愛媛マンダリンパイレーツ戦も光安で勝っている。ここまで今季1勝も挙げられておらず、相性の悪い香川OG戦を前に、練習で取り組んでいたことがあった。
「荒張(キャッチャー、荒張裕司、20歳)と、前回カーブが入ってなかったって話し合って、カーブを修正しました。練習から多めに投げて。フォークにつなげる球が僕の場合、カーブなんで」
 決して自信満々の球ではない。むしろ反省を元に取り組んできた球だ。しっかり投げ込んだカーブで組み立てる。荒張の頭のなかにもカーブを活かすプランができていた。
「香川ってどんどん初球から振って来るし、ストレートをフルスイングして来るんで、そこを注意してました」
 これまで香川OGには何度も痛い目を見させられている。コントロールの良い変化球をうまく使いながら、打ち気を逸らしたリードを心掛けたことが見事にハマった。
 光安がさらに言葉を続ける。
「先発のときは自分のやることだけを意識してます。それがゲームを作ることなんで、それで結果が付いて来てます。テンポ良く投げられたのは荒張のおかげです。毎回なぜだかわかんないんですけど、僕のときはバックがしっかり守ってくれる」
 左中間への大きな当たりにレフトの猪澤海(20歳)が追い着く。抜ければ長打になるという鋭い打球をファーストの河原英希(22歳)が胸で止め、前に落とした。サードの前に転がった弱いゴロを山本健士(28歳)がジャンピングスローで間一髪アウトにした。チームの課題とされている内野のエラーの数は、二遊間へのヒット性の当たりを止めた1個のみである。
 ピッチャーが抑え、バックが守り、チャンスに1本が出る。勝つためのセオリーを守った。不思議なことではない。四死球は「0」。勝利へ導くリズムを作ったのは、間違いなくバッテリーである。




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2009/05/29(Fri)

泥臭く

四国・九州アイランドリーグ2009 NPB交流戦
2009.5.28. 四国・九州アイランドリーグ代表 雨天中止 福岡ソフトバンクホークス二軍 <サーパススタジアム>

 坊っちゃんスタジアムから高松・サーパススタジアムに場所を替え、予定されていた四国・九州アイランドリーグ代表チーム対福岡ソフトバンクホークス二軍との交流戦第2戦は、雨によるグラウンドコンディション不良のため午後3時30分に中止が決定した。
 先発予定だった福田岳洋(香川OG、26歳)も、試合中止の発表に残念そうな表情を見せていた。チームメイトに冷やかされながら、「雨男なんです。気持ちを切らさないように、雨のなかでも投げようと思ってました」と語っている。
 代表チームのメンバー25名は解散後、それぞれのチームへと戻り、明日からの公式戦3連戦に備えている。
 福岡ソフトバンク二軍は試合中止の発表後、そのままサーパススタジアムに残り、ブルペンなどを使って約2時間、キャッチボール、補強運動、ティーバッティングなどを行った。


『泥臭く』

 半年振りのサーパススタジアムでバットを振った場所は、グラウンドではなく、慣れ親しんだ一塁側のダッグアウト裏でもない。三塁側ダッグアウト裏の大鏡のある素振り用スペースである。福岡ソフトバンク・堂上隼人(27歳)の今日最後の練習メニューは、山村善則打撃コーチにトスを上げてもらいながらのティーバッティングだった。雨のため室内に練習用のネットを持ち込み、1球ごとに声を出しながら強くバットを振っていた。
「スピードと振る力をつけないといけないんで、速いボールに対応できるように。コンパクトになったのかな? ティーのときの当たる音が変わってきました」
 練習終了後、三塁側ダッグアウトで合同取材が急遽行われた。「アイランドリーグ時代からどこが変わったか?」という質問に対し、そんな風に答えている。
 ソフトバンクに入って『プロ』を強く感じたのは、スイングの量の多さだ。初めてのキャンプでは、今までできたことのないほどたくさんのマメができた。一軍のメンバーはその練習量を楽々とこなしている。初めて参加した若手たちはマメに悲鳴を上げながら、バットをしっかりと振ることができないでいた。そんな目に見える部分にも、一流と二流の大きな違いがあった。
 福岡にいても香川OGのことは心の片隅にある。時間があるときは携帯電話で速報サイトを観ながら、試合の経過を追う。勝っていればいいが、負けているときはやはり気になる。一緒に戦ってきた仲間たちが頑張っている姿が目に浮かぶ。
「今、寮生活なんですけど、食堂があっておいしい食事が食べられる。四国では自分たちでご飯買ってきて、厳しい環境のなかで頑張ってる仲間がいる。そういう仲間がいると思えば、それは自分のエネルギーになっています」
 今になって、アイランドリーグ時代はやはりハングリーな場所にいたと、改めて感じる。しかし、そこで全力を尽くしたからこそ現在の自分があるのだ。かつての仲間たちには、自分が納得するまで挑戦して欲しい。
「(NPBへの可能性は)絶対にあると思う。グラウンドにチャンスは転がってるんで、アピールするのみだと思います」
 実は昨日、四国・九州IL代表チームの様子を三塁側ベンチで観ながら、アピールの少なさに不満を感じていた。せっかくのチャンスなのにおとなしすぎる。必死に声を出している選手も見えなければ、「アピールしてやろう!」という強い意志も感じられなかった。
「もっとアピールしていいんじゃないか? と思います。ノックからノーミスでいいボール投げるとか、声出して元気があるだけでも目立つんだから。もっと野球バカになっていいんじゃないか? って」
 自分は3年間そうやってきた。「常にアピールしかない」と、そう言い続けてきた。今だってそうだ。キャンプからずっと、誰にも負けないくらい声を出し続けている。二軍の首脳陣からも「堂上は元気がある」という評価をもらった。目標のために何をやって行くべきなのか? を考えた上での行動だ。絶対に間違っていないと言い切れる。
「そこは変えずに、泥臭くやっていきます」
 24時間野球だけに集中できる環境で、いつでも一軍に呼ばれて良いように常に準備している。フレッシュオールスターのメンバーにも選出された。また新たな舞台でアピールする目標を見つけている。
「幸せです」
 という言葉が何度かこぼれていた。
 まだ半年しか経っていない。しかしすでに、あの頃サーパススタジアムのグラウンドに立っていた堂上とは何もかもが大きく変わり始めている。
 顔見知りのスタッフたちに笑顔を見せながら球場を跡にした。雨は完全に上がり、雲の隙間から青空が除き始めていた。




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2009/05/28(Thu)

去年の正捕手の前で

四国・九州アイランドリーグ2009 NPB交流戦
2009.5.27. 四国・九州アイランドリーグ代表 3‐4 福岡ソフトバンクホークス二軍 <坊っちゃんスタジアム> 観衆1,015人

SH 110 000 011| 4
 IL 000 010 200| 3

勝 金無英
S 西山道隆
負 角野雅俊

バッテリー
SH ジャマーノ、大田原、金、西山 ‐ 荒川、猪本
 IL 篠原、入野、吉川、上野、久代、角野 ‐ 飯田、西森、吉川

四国・九州IL先発メンバー
左 YAMASHIN(高知FD)
三 智勝(香川OG)
二 檜垣浩太(愛媛MP)
D カラバイヨ(高知FD)
右 末次峰明(長崎S)
遊 大島慎伍(愛媛MP)
一 中村真崇(福岡RW)
捕 飯田一弥(高知FD)
中 神谷厚毅(徳島IS)

 四国・九州アイランドリーグ代表チーム※がNPBとの交流戦に臨むのは、3月に行われた阪神戦以来今季これが2度目である。2日続けての福岡ソフトバンク二軍戦、その第1戦は小雨の降る松山・坊っちゃんスタジアムで行われた。
 四国・九州IL代表の先発・篠原慎平(愛媛MP)から1、2回と1点ずつを奪ったソフトバンクがまず2点をリードする。4回までソフトバンク先発・ジャマールに無得点に抑えられていた四国・九州IL代表だったが5回裏、六番・大島慎伍(愛媛MP)の中前打を足掛かりに敵失策から1点を奪い返した。7回裏、ソフトバンク二番手・大田原が制球を乱し一死満塁のチャンスを奪うと、八番・西森将司(香川OG)が右前に適時打を放ち逆転に成功する。しかし8、9回と立て続けに失点し、再び逆転を許した。9回裏、ソフトバンク4番手としてマウンドに登った西山道隆(元愛媛MP)から二死一、三塁と一打サヨナラの場面を迎えるがあと1本が出ず、3-4で敗れた。
 四国・九州IL代表チームは、今季NPB交流戦の通算成績を2敗としている。第2戦は明日、18時より高松・サーパススタジアムで行われる。

※ 正式には『四国・九州アイランドリーグ選抜チーム』ですが、ここではあえて『四国・九州アイランドリーグ代表チーム』とさせて戴きます。


『去年の正捕手の前で』

 久し振りに再会した堂上隼人(香川OG‐ソフトバンク、27歳)のユニフォームの着こなし方が、自分と同じユニフォームの裾を上げストッキングを見せる、いわゆるジャッキー・ロビンソンスタイルになっていた。試合前、西森将司(香川OG、21歳)は堂上に尋ねている。
「僕のマネですか?」
 どうやらそうではなかったらしいのだが、ソフトバンクの黒いユニフォームに身を包んだ背番号42は、試合前の練習中から大きな声を出しながら活き活きと動き回っていた。先発マスクではなかったため、四国・九州IL代表メンバーたちが練習を見ている一塁側ベンチの目の前で、下半身強化の補強運動まで行っている。
 NPBへと駆け上がっていった堂上も必死で己を鍛えている。苦痛に顔を歪めながら倒れこんでいる姿は、西森の視界にもしっかりと飛び込んでいた。
 出番となった場面は1点ビハインド、7回表の守備からである。ピッチャーが4人目の上野啓輔(香川OG、23歳)に代わったところで、バッテリーごと香川OGのオリーブ色のユニフォームに変わっている。キャッチャーとしては2番手の出場となったが、途中からの出場はあまり気持ちの良いものではなかった。二塁打を1本浴びてしまったものの、無失点でこの回を切り抜けている。
 7回裏、この回からマウンドに登ったソフトバンクの2番手・大田原の制球が定まらない。ヒットのあとに2つのフォアボールを出し、ノーアウト満塁と絶好のチャンスが訪れた。打席に入ったのは七番・福岡レッドワーブラーズの四番・中村真崇(25歳)である。カウント0-2からの3球目を打ち上げると、セカンドが落下地点に入った。主審がインフィールドフライを宣告し、ワンアウトとなった。
「中村さんが打ってくれるやろ! と思ってたら回って来たんで、『オレかいっ!』って…」
 最初の打席がいきなり大きなチャンスの場面である。積極的に行くしかない。1球目から果敢に振って行ったが、初球はバックネット方向へのファールになった。2球目、時速100㌔の変化球をうまく右へ転がすと、一、二塁間をきれいに破る逆転の2点タイムリーヒットとなった(打点は「1」)。
 だが、8回表に同点にされると、9回表にも勝ち越しの1点を奪われ、ヒーローインタビューの出番はなくなってしまった。「ヒーローになりそこねたけど…?」という問いに苦笑いを見せている。
 今季、昨年までのエースキャッチャー・堂上がチームを去ったあとの香川OGで、正捕手としてマスクを被り続けている。その存在感はアピールできたはずだ。明日の第2戦、ソフトバンク二軍は堂上が先発マスクを被る可能性が高い。舞台は香川OGのホームグラウンド、サーパススタジアムである。西森も明日はおそらく先発マスクで出場するだろう。
「成長してるところを見せたいですね」
 坊っちゃんスタジアムを後にしながら一言、そう語った。
 NPBにアピールしたい気持ちは言うまでもない。だがもう1つ、去年とは違っている自分を堂上に見せたい。そんな気持ちもある。




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2009/05/25(Mon)

2つのポイント、「前向いて進んでる証拠だと思う」

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.23. 徳島インディゴソックス 4‐4 愛媛マンダリンパイレーツ <アグリあなんスタジアム> 観衆782人

愛媛MP 001 003 000| 4
徳島IS 010 030 000| 4
※9回リーグ規定により引き分け

バッテリー
愛媛MP 能登原、入野、浦川 ‐ 梶原
徳島IS 片山、大川、竹原 ‐ 荒張

 愛媛マンダリンパイレーツをアグリあなんスタジアムに迎えた徳島インディゴソックスとの3連戦、初戦は8試合振りの勝利で徳島ISが獲った。第2戦は徳島ISが先制したあと、すぐ愛媛MPが追い着く展開が続く。4対4で迎えた7回以降、両チーム共に先頭打者を出塁させる展開が続くが、最後まであと1本が出ない。試合は9回リーグ規定により引き分けとなった。この引き分けにより、前期の両チームの対戦成績は愛媛MPの勝ち越しが決まった。なお、高知ファイティングドッグスが勝利したため、愛媛MPは勝率5割のまま4位へと転落している。


『2つのポイント』

 愛媛MP・沖泰司監督がまずポイントとして挙げたのは、初回に訪れたワンアウト満塁のチャンスである。立ち上がりの良くない徳島ISの先発、片山正弘(24歳)をここで叩いておきたかった。だが、内野ゴロ併殺打で一瞬にしてチャンスを失う。
「最低限の仕事と言うか、片山がアップアップの状態で、自分の形でバッティングして欲しかった。あそこはひとつのキーポイントでしたよね。五番として自分のタイミングで狙い球絞って。もうちょっと余裕が欲しかった」
 2つ目のポイントは4対4で迎えた8回表、ワンアウト一、三塁の場面である。カウント1-0からの2球目にスクイズのサインを送る。これが決められなかった。
「ああいうところを決められるようなチームじゃないと…。重苦しい展開っていうのは多々ある。それを勝ちきれるかどうか。もったいないとしか言いようがないですよね。そういう試合を勝ち切ることがリーグ優勝、または独立リーグ日本一につながる」
 スクイズを決められなかった九番・寺嶋祐介(23歳)が、逃した1球に悔しさをあらわにする。
「シンカー、ストライクでした。ランナーが三塁に行った時点で「あるかな?」とは思ってて、(バント)できる球だった。悔しいです。でも、負けなくて良かった。負けたらどうしようか? と思ってました」
 後半はお互いにチャンスを作りながら、1点を奪えない苦しい展開が続いた。ピンチをしのぎながら、攻撃ではあと1歩届かない。残塁数は「12」を数えている。
9回表、四番・大島慎伍(25歳)の捉えた打球は、高い軌道を描きながらレフトへと舞い上がったが、あともう少しのところで左翼ポールの外側へと切れて行った。
「当てに行かんように。横の変化球に空振りしないようにギリギリまで引きつけて振り切る。竹原(俊介、25歳、徳島IS三番手)にはずっと打ってるイメージがあるんですけど…。『行った!』と思ったんですけどね。でも、もしかしたらこれがいいきっかけになるかも」
 初回にデッドボールを喰らった左脇腹に、グルグルと巻かれたテーピングが痛々しい。犠牲フライ1本に終ったが、しかし自身の打撃にいくらかの光明を見出している。
 沖監督が最後にこう言った。
「チャンスは作る。あとココイチっていうところでの1本。『惜しかった!』じゃダメ。執念を身に付けないと」
 試合の流れは決して悪くなかった。失点のあとすぐ取り返し、2度同点に追い着いている。勝っていれば単独3位に浮上していたゲームである。5位に転落し、首位・長崎セインツとの差は3.5ゲームに開いた。


『「前向いて進んでる証拠だと思う」』

 本人が一番よく解っている。立ち上がりと、グラウンド整備が終ったあとの6回表のピッチングをいかに乗り切るか? 片山正弘(24歳)は今季初先発となった11度目のマウンドに、相応の準備をして臨んでいた。
 初回、2つの四死球で陥ったワンアウト満塁のピンチを味方の好守で乗り切った。逆に味方のエラー絡みで同点に追い着かれたものの、4対1と3点のリードをもらって5回を終えている。
ここまでヒット1本しか打たれていない。6回表のマウンドに登る前、ベンチに腰掛けることもなくキャッチボールを続けていた。なるだけ同じリズムで、このままのリズムで後半に入りたい。そんな想いで短い休憩時間を過ごしている。
 だが、いきなり先頭の三番・長崎準平(23歳)をフォアボールで歩かせてしまう。やはり同じ精神状態ではなくなってしまっていた。
「力みがあったんだと思います。一番やっちゃいけないことをやってしまった。『打たれちゃいけない!』っていうのが頭にあって…」
 次の打者を内野ゴロ併殺に切って取り、ツーアウトランナー無しに戻した。本来ならこの勢いに乗って無失点で締め、裏の攻撃へと結び付けたいところだ。しかし、再び五番・高田泰輔(20歳)にフォアボールを与えてしまう。たまらずベンチから加藤博人コーチが飛び出す。
「せっかくゲッツー獲ってくれてんのに、またフォアボールでしょ。ほんとはあそこで代えてやろうかと思ったんだけど、タイミングが悪かった。勢いで行けばいいのに、置きに行こうとしてペロ~ンってなっちゃうからね。『(この回を)抑える!』とかじゃなくて、『このバッター!』って、ひとりひとりに集中すればいいのに…」
 ここから3連打を浴び、二番手にマウンドを譲っている。同点に追い着かれ4失点(自責3)。勝利投手の権利を失っただけでなく、前半の好投をフイにしてしまった。後半、打線にあと1本が出ず、4対4のドローで試合を終えている。
 堀江賢治監督が渋い表情を見せた。
「6回を抑えれば、あと2人(竹原俊介、25歳、ソリアーノ、26歳)で切り抜けられるんやけど…」
 確かに片山のピッチングにはこれまで以上の進化の跡が見られる。しかし、もうひと踏ん張りが欲しい。そのためには技術以上に精神面の強さが求められる。打線は二桁安打を放っており、勢いに乗っている。勝ちパターンがイメージできるところまでは来た。
 森山一人コーチも手応えを感じている。
「後ろが2枚になったんで、(終盤への)入り方のバリエーションも増えましたから。光安(祐輝、23歳)と片山がある程度投げられるようになってきたんで、だんだんベンチワークで作っていけるようになった。前向いて進んでる証拠だと思う」
 ここまでの3試合、1勝2分けと負けてはいない。まだまだ成長の途中ではある。納得できると言えるところまでは全然辿り着いていない。しかし選手もチームも、確実に変わってきている。


2009.5.24. 香川OG 12-3 福岡RW <アークバリアベースボールパーク志度球場>
コラム『二十歳のバースデーウィーク』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2009/05/23(Sat)

非常事態だからこそ

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.22. 香川オリーブガイナーズ 0‐6 福岡レッドワーブラーズ <サーパススタジアム> 観衆471人

福岡RW 000 102 003| 6
香川OG 000 000 000| 0

勝 森辰夫 3勝3敗
敗 福田岳洋 3勝3敗

バッテリー
福岡RW 森 ‐ 瓜野
香川OG 福田、久代、加藤、金子 ‐ 西森、チャン

 敵地に乗り込んでの香川オリーブガイナーズとの3連戦、その初戦に福岡レッドワーブラーズはケガで主力選手を大きく欠いた。ランナーを出しながらも粘りの投球を見せる先発・森辰夫に打線が応え、4回表、五番・陽耀華の左翼越え適時安打で先制点を挙げる。香川OG投手陣を攻略した福岡RW打線は6回表にも2点、さらに最終回にも3点を加える。森が9回を無失点で凌ぎ、自身3勝目を今季初の完封勝利で飾った。この結果、福岡RWは貯金を「2」とし単独3位に浮上。2位香川OGまで1ゲーム差、首位・長崎セインツに2ゲーム差まで迫っている。


『非常事態だからこそ』

 試合前、最初の挨拶もそこそこに森山良二監督(福岡RW)が渋い顔で話しかけてきた。
「主力3人欠けてますから。全部肉離れ…」
 一番を打つ外野手の増田康弘(22歳)、主将でショートの國信貴裕(26歳)、昨年の首位打者・西村悟(25歳)のレギュラー3名をケガで欠き、今回の遠征に帯同させていない。正捕手の富岡拓也(23歳)も左肩じん帯損傷のケガでマスクを被れるような状態ではない。首位から3ゲーム差の4位と、なんとか前期優勝争いに踏ん張っているなかでチームは厳しい戦いを強いられている。先発メンバーを見れば、二番・セカンドにキャッチャー登録の翔(前田翔・21歳)、八番・キャッチャーにこれが今季初先発マスクになる瓜野純嗣(24歳)、九番・ショートには大野武洋(22歳)を起用し、満身創痍と言っていい状態でこの試合に臨んでいた。
 瓜野にとっては昨年オフに肩を手術して以来の先発マスクである。久々の先発にも昨年の開幕戦のような緊張感は感じていない。試合に入っても香川OG打線を冷静に分析することができた。
「香川の打線が簡単に見逃してくれたんで助かりました。何を待っているのか? が解ったので」
 うまく香川OG打線の打ち気を逸らし、ランナーを溜めない。しかし4回裏、先発の森辰夫(20歳)が制球を乱しフォアボールを連発する。ワンアウト一、三塁から始まり、ツーアウト満塁まで続いたこのピンチをなんとか無失点で乗り切った。ここから流れが変わる。
「今までベンチでずっと見てて、試合のなかで『ここは違うやろ!』っていう配球が何度かあったんです。『オレならこうするのにな』みたいなことが凄くいい勉強になりました。今日、タツオの調子が全然良くなかったんです。真っ直ぐは全然来てなかったし。だから逆にそれを活かして、タイミング狂わせてボテボテの内野ゴロになったり、インコースの出し入れでバッターの目をごまかしてみたり。例えばインコース3つのあとに外角へ行って手を出させるとか」
 傷が癒えるまでの間、自分なりにイメージしていたリードがある。それを本番で実証してみせた。森も5回以降立ち直る。低目にしっかりコントロールしたパームボールとカーブで凡打の山を築き、9回にヒットを許すまでまったくチャンスらしいチャンスを与えない。
「バッター勝負でいいから!」
 最終回も瓜野の大きな声がバックネット裏の記者席にまで届いていた。香川OG打線を散発4安打、無失点に封じ込め、大事な3連戦の頭を獲った。
 森山監督がホッとした表情を見せる。
「守備に助けられました。翔も大野も。NPBでもそうなんですけど、主力がケガしたときに若いヤツが力を発揮できるから。そういうのでレギュラーになっていったヤツらをたくさん見てきています。大野にしてもそう、ノブ(國信)がいたら出られない訳だから、こじんまりまとまるんじゃなくて、しっかりいいところを見せて欲しい」
 森の好投の影には2回裏、ツーアウト一、三塁のピンチでショート後方に上がった難しいフライをスライディングキャッチした大野の好プレイがある。4回裏、本塁に突っ込んだランナーに正確な送球で得点させず、8、9回と2度、一、二塁間の当たりをダイビングキャッチで止めアウトにした翔の好プレイがある。
 チーム力が大きく下がってしまった訳ではない。これで3連勝と、逆に波に乗りつつあると言ってもいい。非常事態だからこそ、それぞれが自分の持っている力を発揮できるチャンスがある。それをつかむことができれば、新たな道を切り開くことができる。




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2009/05/16(Sat)

サーパススタジアムでの借り

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.16. 愛媛マンダリンパイレーツ 6‐1 香川オリーブガイナーズ <今治市営球場> 観衆794人

香川OG 000 001 000| 1
愛媛MP 012 002 10×| 6

勝 川西祐太郎 4勝0敗
敗 金子圭太 2勝1敗

バッテリー
香川OG 金子、杉尾、久代、加藤 ‐ チャン、西森
愛媛MP 川西、入野、浦川 ‐ 松原

本塁打
愛媛MP 松原1号ソロ(6回、久代)

 ホーム・今治で昨日の負けを取り戻したい愛媛マンダリンパイレーツは、序盤に香川オリーブガイナーズ先発・金子圭太を攻略し3点のリードを奪う。6回を1失点で乗り切った先発・川西祐太郎の好投に打線が応え、6回裏に2点、7回裏にもさらに1点を加えた。愛媛MP投手陣は終盤も5点のリードを守り抜き、地元ファンに香川OGからの今季2勝目をプレゼントした。川西はハーラーダービートップに並ぶ無敗での4勝目を手にしている。高知ファイティングドッグスが敗れたため、愛媛MPが3位に浮上。2位香川OGに再び1ゲーム差と迫っている。


『サーパススタジアムでの借り』

 4回と3分の0を投げ6失点、被安打6には2本のホームランが含まれている。負けこそ付かなかったものの、本人の言葉を借りれば香川OG打線に「スコスコにやられた」惨憺たるマウンドだった。川西祐太郎(愛媛MP、21歳)にとって、今季香川OGとの緒戦となった4月10日、サーパススタジアムでの記憶は苦々しいものとして残っている。あのとき以来の香川OG戦先発である。絶対に同じテツは踏みたくない。
 バッテリーを組んだ松原準(25歳)は、川西をリードする上で2つのポイントを意識していた。1つは香川OG打線に対し、強気でインコースを攻めること。そしてもう1つは、打たれても良しとすることである。
「ワンヒットならOKだと。打たれても。イニング初めは特に集中して、打たれたら打たれたで、そこから考えようと思ってました」
 それに対し川西も、しっかり自分のペースを守ることを心掛けている。
「あんまり『今日はこうしよう』とか考えないんですけど、目の前のバッターをとにかく抑える。それを積み重ねて行って7、8、9回まで投げられればいいなぁと思ってました」
 毎回ヒットでランナーは出すのだが、バックがうまく守ってくれた。2回表、無死一塁のピンチを4-6-3の併殺で乗り切った。4回表の無死一塁は、松原が盗塁を刺してくれた。5回表、3度目の無死一塁は自ら後続を打ち取り、事なきを得ている。前半を無得点で切り抜けただけでなく、無四球でテンポ良く終えた。
 川西にとっての最大のヤマは6回表である。3点のリードがあるものの、二死一、二塁のピンチに四番・洋輔(近藤洋輔、27歳)にタイムリーヒットを浴び2点差に詰め寄られた。洋輔に二盗を許し、さらに二死二、三塁とピンチが続く。打席に迎えているのは今日2安打を喰らっている五番・荒木康一(23歳)である。ここで慌てず、最も自信のある球を投げた。
「香川には去年チェンジアップをたくさん見せてたんで、逆に真っ直ぐで押そうと思ってました。荒木さんには打たれとったんで、思い切ってチェンジアップで」
 外角低目に決まったチェンジアップに荒木のバットが空を切る。6回を投げ終わったところでマウンドを後続へと託している。
「最低でもあと1イニングは投げたかった」
 と話したが、サーパススタジアムでの借りは完全に返すことができた。
 松原も3人の投手をうまくリードし、この試合を乗り切った。今季11回目の先発マスク、5月に入ってからは10試合中9試合でスタメンマスクを被っている。キャッチャーとしての安定感も徐々に見え始めてきた。
 1点を奪われたあとの6回裏、レフトスタンドへライナーで飛び込む1号ソロ本塁打を放ち、自らのバットで悪い流れをバッサリ断ち切っている。
「追い込まれてから牽制で刺されたんで、(一塁ランナー梶原有司が牽制死)気持ち切れそうになったんですけど。粘って2-3まで行けたんで、『勝負球は真っ直ぐだ』と。内よりのボールでした」
 やはりキャッチャーとして、しっかり守りで貢献したい。基本的にバッティングのことはあまり意識していないと言う。守備でのリズムの良さがうまく打席にもつながっている。
 お立ち台を呼び込んだ1発に、
「たまにはこういう日も…」
 と、はにかんでいた。


2009.5.17. 愛媛MP 1-5 香川OG <上島町いきなスポレク公園野球場>
コラム『普段とは雰囲気の違う試合』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2009/05/16(Sat)

51球目のストレート

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.15. 愛媛マンダリンパイレーツ 3‐4 香川オリーブガイナーズ <東予運動公園野球場> 観衆665人

香川OG 010 201 000| 4
愛媛MP 000 001 110| 3

勝 福田岳洋 3勝2敗
S 橋本亮馬 1勝0敗3S
敗 能登原将 2勝1敗1S

バッテリー
香川OG 福田、久代、橋本 ‐ 西森
愛媛MP 能登原 ‐ 梶原、松原

本塁打
香川OG 荒木4号2ラン(4回、能登原)、荒木5号ソロ(6回、能登原)

 愛媛マンダリンパイレーツのホームで戦う香川オリーブガイナーズとの3連戦、第1ラウンドは東予球場でのナイトゲームである。荒木康一の2打席連続本塁打などで香川OGが4点をリードするが、愛媛MPも6回以降、小刻みに1点ずつを返し1点差にまで追い上げる。愛媛MP先発・能登原将は9回を投げ抜き最終回の反撃にすべてを託したが、打線にあと1本が出ず敗れた。この結果、愛媛MPは3位から4位へと転落し、首位との差を2.5ゲームに開いている。


『51球目のストレート』

 能登原将(愛媛MP、24歳)にしてみれば、まさしく悔いの残る1球になってしまった。
 4回表、ツーアウトからフォアボールでランナーを出してしまったことは、さほど気にしていなかった。きわどいコースを突いた結果のフォアボールである。特別コントロールが乱れた訳ではない。だが、次の六番・荒木康一(23歳)には前の打席でヒットを許している。当たっていることも知っていた。多少嫌なイメージがある。
 ここでバッテリー間には些細な食い違いが起こっていた。キャッチャーの梶原有司(24歳)は初球に外角低目へのストレートを要求している。荒木に対し、ボールから入ろうとは考えていない。だが、能登原の考えは少し違っていた。
「ストライクをいつでも獲れるボールがあるんで。でも、ここは不用意に行ったらダメだなと思ってました。きわどいコースのアウトローなんかを狙うより、1球外してもいいかなぐらいで」
 意思疎通が中途半端なままで投げた1球は、力のない棒ダマになった。荒木は「ウチに入ってきたシュート気味の低目の真っ直ぐ」と言ったが、能登原は、
「キャッチャーが外に寄ってたからじゃないですか? ほとんど「ど真ん中」って言ってもいいくらいの球です」
 と語っている。ひとつだけ確かなことは、51球目に投げたこのストレートには魂がこめられていなかったことだ。
 前のバッターが変化球を選んで歩いたことで、荒木は「初球はストレートだ」と読んでいた。逃さず振り抜いた打球が高く舞い上がりレフトスタンドに突き刺さると、三塁側ベンチから大きな歓声が沸き起こった。能登原にとって悔やんでも悔やみきれない1球になってしまった。
 だが9回を投げ抜き、つかんだ手応えもある。
「内角にシュートと真っ直ぐを投げ分けて内野ゴロを獲れる手応えはあったので、ランナーが出てもあわてなくなりました。打ち取れるイメージはできたと思います。最後は負けてたんで勢い良く行きました。最初に先取点を獲られてしまったんで、できるだけ粘って追い着いて、追い越してくれることを願ってたんですけど…」
 4回表以降しっかりと切り替え、大崩れすることなく踏ん張った。中盤からは先頭バッターを出塁させることもなかった。打たれたのは5回表のヒット1本、6回表のほとんど外野手のミスと言ってもいいようなランニングホームラン1本だけである。終盤3回は3人ずつで抑え、味方の反撃へとつながる流れを作っている。それだけにあの1球に悔いが残る。
 ミーティングが終り、それぞれが帰り支度を始めていた。照明の灯りの下で梶原と2人、あの場面をもう一度思い返し、話し合っている能登原の姿があった。




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2009/05/11(Mon)

「0-2にした僕の負けです」

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.9. 徳島インディゴソックス 3‐4 香川オリーブガイナーズ <蔵本運動公園野球場> 観衆1,595人

香川OG 100 010 110| 4
徳島IS 010 110 000| 3

勝 久代幸甫 1勝1敗
S 上野啓輔 1勝2敗1S
敗 竹原俊介 1敗1S

バッテリー
香川OG 橋本、杉尾、久代、上野 ‐ 西森
徳島IS 平野、竹原 ‐ 荒張

本塁打
徳島IS 荒張2号ソロ(4回、橋本)

 徳島インディゴソックスにとってはホーム・蔵本での3連戦、その初戦を昨日大差で落とした。香川オリーブガイナーズからの今季初勝利をどうしてももぎ取りたい。共に1点を奪い合う好ゲームとなった試合は、3対3のまま終盤にもつれ込んだ。8回表、香川OGは二死二塁のチャンスをつかむ。代打・チャン・チェンシェンが徳島ISの二番手・竹原俊介から左前に適時打を放ち、勝ち越しに成功すると、このリードをしっかりと守り切った香川OGが連勝を決めた。貯金を「3」として単独2位に浮上、首位・長崎セインツとの差を0.5差にまで縮めている。


『「0-2にした僕の負けです」』

 終盤8回を迎え、徳島ISと香川OGとの接戦は3対3の同点である。徳島ISベンチは好投していた先発の平野誠(23歳)に代え、クローザー・竹原俊介(25歳)をマウンドへ送った。あと2イニングを凌げばきっとチャンスはある。最も信頼を置くピッチャーに、この試合のすべてを託している。
 今日ここまで2安打と当たっている六番・荒木康一(23歳)が、2球目をセンター前へ弾き返し塁に出た。続く打者2人が変化球で空振り三振に倒れたあと、二盗を決めた荒木を二塁に置いて、香川OGベンチは主審に代打・チャン・チェンシェン(24歳)を告げた。
 キャッチャーの荒張裕司(20歳)がタイムを掛け、マウンドへと歩み寄る。
「スラ(スライダー)弱いっスよ」
 チャンは変化球が得意ではない。それが荒張の持っていたデータである。初球はシンカーから入ろうと決めた。
「最近良くなってきてたんでね。真っ直ぐが来たらいいなぁと思っとった」
 スイングスピードだけを挙げればチーム1と言っても過言ではない。ストレートになら十分対処できる。西田真二監督(香川OG)はチャンの思い切りの良さに期待を懸けていた。
 初球のシンカーが外れ、2球目も外れた。カウントが2ボールとなって頭を過ぎったのは、次の一番・智勝(近藤智勝・26歳)のことである。2打席目にレフトへのテキサスヒットで塁に出たあと、6回には右中間方向へ大きめの当たりを打ち上げている。4月からの好調を維持しており、怖いバッターであることは間違いない。
「僕、智勝さんとは相性がいいんですよ。でも、チャンスのときにあの人に回したくない…」
 やはり勝負するならここしかない。チャンへの3球目を前に、荒張の出したサインと竹原の意思とが重なる。
「ウチマで…」
 内角への真っ直ぐ。意思疎通は完璧だった。
 だが、チャンの捉えた打球が鋭いライナーとなってレフト前へ飛ぶ。打球をすくい上げようとしたレフト・猪澤海(20歳)のグラブからボールがこぼれた。三塁を回って勝ち越しのホームを踏んだ荒木が、歓喜している三塁側ベンチに迎えられた。
 1点を追う9回表、続けてマウンドに登った竹原が打者2人をそれぞれ2球ずつで仕留める。四番・洋輔(近藤洋輔、27歳)が打席に向かう前、西田監督が何か声を掛けているのが見えた。
「多分、『一発狙え!』かなんか言ったんちゃうかなぁと思ったんですよ。初球放ったときに強烈なスイングしてきましたから。全部真ん中低目に投げました」
 立て続けに投げ込んだシンカーに洋輔のバットが空を切る。見事な三者凡退で最後の攻撃へ向かう流れを作ったが、打線にあと1本が出ず敗れた。
 悔やまれるのはあの1球である。コースも少し甘く入ってしまった。だが、ストレートを選択したことよりも、カウントを悪くしてしまったことの方が腹立たしい。せめて1ストライク1ボールにしていれば、追い込んでからの変化球で勝負できたはずだ。
「0-2にした僕の負けです」
 試合後、最初に口を突いて出て来た言葉がすべてだった。


2009.5.10. 徳島IS 1-4 香川OG <蔵本運動公園野球場>
コラム『5度目のシーズン』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2009/05/09(Sat)

気持ちの問題

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.8. 徳島インディゴソックス 1‐9 香川オリーブガイナーズ <蔵本運動公園野球場> 観衆862人

香川OG 205 000 002| 9
徳島IS 010 000 000| 1

勝 金子圭太 2勝
敗 大川学史 5敗

バッテリー
香川OG 金子、上野 ‐ 西森
徳島IS 大川、片山 ‐ 荒張

 香川オリーブガイナーズをホーム・蔵本に迎えた3連戦の初戦、徳島インディゴソックスの先発・大川学史が捕まる。1点ビハインドで迎えた3回表、先頭打者を歩かせると、五番・国本和俊の右翼線二塁打を皮切りに3連打を浴び2点を失う。さらに打者一巡の猛攻を浴び、一挙5点を奪われた。打線も香川OG先発・金子圭太の前に反撃のチャンスをつかむことができず、13安打9点を奪われ大敗している。これで今季香川OGとの対戦成績を3敗とし、15敗目。首位から5位までが1ゲーム差で争う大混戦のなかで、ただ1チーム他チームの借金をすべて背負い込む形となっている。

『気持ちの問題』

 3日前、同い年の投手、光安祐輝(23歳)が高知ファイティングドッグス相手にやってのけた完投勝利は、大川学史(23歳)にとって大きな刺激となっていた。その日の試合後、こんなことを話している。
「負けられないです。今日僕が見て一番良かったなと思うことは、エラーが続いた場面で抑えたところ。僕はあそこで打たれたんですよ。それで大量点にしてしまった」
 味方のミスに引き摺られず、むしろバックにミスが出たときほどしっかり踏ん張る。それを実践するピッチングを目の前で見せられ、胸に燃えるものを感じていたのは確かである。
 オープン戦を通じ、試合に入るまでの準備は今日がベストだった。
「もう今日が最後のマウンドになってしまってもいい!」
 そこまで思えるほどの闘志と集中力を持ってマウンドに登っている。先頭打者を空振り三振に獲り、「いける!」と思える感覚があった。
「でも、ちょっとしたきっかけで集中力が落ちちゃうんです。何が原因って訳じゃないんですけど…」
 二死満塁からレフト線に鋭い当たりを弾き返され、2点を失った。徐々にピッチングが不安定になり始める。2回表はフォアボールを2つ出したものの、うまく無失点で切り抜けた。味方打線が1点を奪い返したあとの3回表、先頭バッターをフォアボールで歩かせてしまう。ここから3連打され1点を失うと、結局打者一巡され5点を献上してしまった。このイニングでマウンドから降ろされている。
 これまでやってきたピッチングとは明らかに違う。自分でも分かるほど、マウンド上での気持ちに落ち着きがない。
「今までもボールを先行させちゃいけないとか思ってましたけど、前はフォアボールも気にしてなかった。『フォアボール? OKや』みたいな感じで。でも、今はまず思うんです。『フォアボールは出したらいけない!』って。毎回じゃないですか。いいピッチング1回もしてないんで。僕のなかでプレッシャーになってます。『抑えなきゃ!』と思ったり、三振獲ろうとしたり」
 結果を出そうとする気持ちが逆に自分を固くさせてしまう。相手を抑えようと思うあまりに、本来のカットボールで打たせて獲るスタイルを見失ってしまった。5敗目となったマウンドで大きな反省点を突きつけられた。
 加藤博人コーチも厳しい評価を下す。
「確実に言えることは、先発大川はなくなった」
 そう言い残して球場をあとにしている。
「腕振れなくて縮こまって、いいボールがいかない。ミスのあとにカバーできない自分に腹が立つ」
 失ってしまった信頼をもう一度、一から取り戻さなければまっさらなマウンドへは帰って来られない。フォームは以前よりもしっくり来ている。では、どこから手をつけなければいけないのか。
「気持ちの問題です」
 うつむきながら一言、そう答えていた。




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2009/05/07(Thu)

「岳さんが投げてるときに」

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.6. 徳島インディゴソックス 6‐17 高知ファイティングドッグス <アグリあなんスタジアム> 観衆1,333人

高知FD 070 203 230 | 17
徳島IS 100 101 012| 6

勝 ソリアーノ 5敗
敗 吉川岳 3勝1敗

バッテリー
高知FD 吉川、武田、藤嶋 ‐ 藤嶋、宮元
徳島IS ソリアーノ、片山、増野、竹原 ‐ 荒張

本塁打
高知FD カラバイヨ4号ソロ(2回、ソリアーノ)

 1勝1敗で迎えた徳島インディゴソックスとのビジター3連戦、その最後の試合に高知ファイティングドッグスの猛打が爆発した。2回表、四番・カラバイオの左翼越え4号ソロを皮切りに、今日初先発の二番・今中尭大の走者一掃となる中越え二塁打などで一挙7点を挙げる。さらに中押し、ダメ押しと猛攻は続き、17安打17得点で徳島ISを大勝で降した。高知FDは貯金を「2」とし、単独3位に浮上。首位・長崎セインツに1ゲーム差まで迫っており、8日からは2位・愛媛マンダリンパイレーツとのビジター3連戦に挑む。


『「岳さんが投げてるときに』』

 高知FDの先発メンバーがこれまでとはガラリと入れ替わった。元々この6連戦には、4月24日の愛媛マンダリンパイレーツ戦での本塁クロスプレーで脇腹を負傷した内野手の中村龍央(28歳)と、26日に右足のふくらはぎ肉離れで戦列を離れた外野手の梶田宙(26歳)のレギュラー2人を欠いて臨んでいる。昨日(5日)のゲームで捕手の飯田一弥(23歳)が足首を痛めて途中交代しており、今日の遠征には帯同させなかった。満身創痍とも言える状況のなかで、6連戦最後のゲームを戦っている。
 5月に入り、たった6日間でこれが4度目のマウンドとなる先発・吉川岳(23歳)の調子が明らかに良くない。腕がまったく振れておらず、連打で先に1点を奪われた。
 しかし2回表、カラバイオ(25歳)のソロ本塁打で同点に追い着くと、さらにチャンスが続く。2点を追加したあと、一死満塁の場面で打順が回って来たのは、二番・サードで初スタメンとなった今中尭大(19歳)だった。
「バッティングがいいからね。明日は先発で行こうと思ってる」
 昨日の試合終了後、定岡智秋監督(高知FD)はすでに今中の先発を明言していた。昨日、一昨日と途中出場し、ともにヒットを放っている。
「緊張と言うより、チャンスで回って来て嬉しかったです。別に緊張することもなくいつも通りに。ベンチでみんなが『思い切ってやれ!』って声掛けてくれてました。まっすぐの…高目かなぁ。あんまり覚えてないですね。犠牲フライにはなるかな、と思いました」
 センターが左中間方向へ懸命に打球を追うが届かない。走者一掃のツーベースヒットとなり、自身も外野から本塁への返球の間に三塁を陥れた。今季最多得点となる17点の猛攻は、一挙に7点を叩き出したこの2回のビッグイニングから始まっている。
 今中のバットからさらに快音が続く。6回表に二死から3点を奪う起点となるセンター前ヒット、7回表には一死三塁の場面でレフト線にタイムリーヒットを放ち、3安打4打点を稼いだ。定岡監督の先発起用に応える大きな活躍を見せている。
「送りバントも決められたし(4回表、無死一塁の場面)、岳さん(先発・吉川岳)が投げてるときに頑張りたかったんで、自分が活躍したかった。『ボールが行かん!』って言ってたんで」
 肩の故障のため選手契約を解除された吉川は、昨年7月から練習生としてチームに残った。今中も昨年5月の終りから練習生としてチームに加わっている。試合に出たくても出られない日々のなかで、共に練習し、耐え続けてきた2人である。今年晴れて一緒に高知FDのユニフォームを着て試合に出られるようになった。
「去年は後ろから観てるだけだったんで。最初は同じユニフォームを着られるだけでも喜びがありました」
 公式戦にベンチ入りできるようになっただけではない。徐々に結果も出始めている。だが今日の試合においてだけは、自分が結果を残すこと以上に「岳さんを助けたい」という想いが強くあった。
 試合後の吉川が苦笑してみせた。
「この6連戦、野手凄いです。今日はほんと助けられました!」
 練習生として参加しながら、選手契約に至らずチームを去って行く選手は少なくない。だが、文字通り練習から技術と体力を伸ばし、確実に戦力となり始めている選手たちが高知FDにはいる。
 6連戦の最後は大勝で締めた。高知へと帰るバスに乗り込む前、今中に「明日は練習休み?」と聞いた。
「明日も練習です。若手だけは」




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2009/05/07(Thu)

悲壮な覚悟の下で

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.5. 徳島インディゴソックス 8‐2 高知ファイティングドッグス <オロナミンC球場> 観衆936人

高知FD 001 000 001 | 2
徳島IS 000 014 30×| 8

勝 光安祐輝 1勝
敗 山中智貴 1勝2敗1S

バッテリー
高知FD 山中、武田 ‐ 飯田、宮元
徳島IS 光安 ‐ 荒張

 小雨が降り続くオロナミンC球場で行われた徳島インディゴソックスと高知ファイティングドッグスとの3連戦第2ラウンドは、共に初先発となった高知FD・山中智貴、徳島IS・光安祐輝の投げ合いになった。1対1の同点で迎えた6回裏、山中を捉えた徳島IS打線が3連打で4点を奪う。さらに7回にも3点を挙げ、高知FDを大きく突き放した。光安は9回を投げ切り、リーグ初勝利を完投で手にした。徳島ISが高知FDとの3連戦を1勝1敗とし、今季戦成績でも2勝2敗のタイに戻している。


『悲壮な覚悟の下で』

 アグリあなんスタジアムで行われた昨日(4日)の高知FD戦に、光安祐輝(徳島IS・23歳)はベンチを外れた。その1日前、3日のサーパススタジアム・香川オリーブガイナーズ戦でロングリリーフし、5回を投げている。4日はいわゆる『あがり』であり、記者室で相手投手のデータを記録する仲間たちの後ろに腰掛け、真剣な眼差しでグラウンドを見つめていた。
 実はただのあがりではなかった。明日、中1日での登板を、しかも初の先発マウンドを言い渡されていた。たった1日のあがりは、少しでも相手攻撃陣の特徴を探るための貴重な時間だったのである。
「チャンスになったら初球からガンガン振ってくるな、とか。バッターの苦手なコースを探したり。自分に自信が持てる何かを見つけられたら、と思って。何もないよりはマシなんで」
 6連戦のスケジュールのなか、どのチームも投手陣は厳しい連投を余儀なくされている。だが、疲れが残っているなどとは言っていられない。投げさせてもらえることは逆に大きなチャンスでもある。
 シーズン開幕前の自主トレ期間中から、大きな期待を掛けられていながら肩痛で出遅れ、オープン戦でも結果を残せないままシーズンに突入してしまった。チームはいつまでも待っていてはくれない。ケガのため練習生としてチームに帯同していた先輩ピッチャーの梅原伸亮が、昨日限りでチームを去っている。そんな姿も目の当たりにしている。
「何回もチャンスはある…とは思っていなかった。これを逃したらチャンスはない」
 危機感に溢れた悲壮な覚悟の下で、初先発のプレイボールがコールされた。
 低目に決まるカーブに高知FD打線がタイミングを合わせられない。3回表に長打を2本連続で浴び失点を許したが、5回以降、8回まで1本のヒットも許さなかった。味方打線が7点の大量リードを奪ってくれている。最終回、肩と足に溜まる疲労がピークとなり、連続四球で無死一、二塁のピンチを迎えた。気持ちを切り替えようと、マウンド上で屈伸運動を行っている。1点を失ったが、9回を最後まで投げ切った。駆け寄ってきた仲間たちに囲まれ、ハイタッチを交わす光安の瞳には涙が浮かんでいた。
「加藤さん(博人コーチ)からは『9回投げ抜け!』って言われてました。チームの勝ち星が少ないなかで、ずっと期待してもらってましたし、声も掛けてもらってました。チャンスをもらえたんで、投げ抜くって言っても基本はひとりひとり丁寧にと思って」
 首脳陣が先発を決断したのは、3日の香川OG戦を見たあとのことである。先発投手が制球に苦しみ、無死満塁とされたピンチの場面でマウンドに登った。いきなり死球を与え押し出したあと、さらに2点タイムリーとなるライト前ヒットを浴びている。
 ファーストを守っていた永井豪(25歳)がマウンドに歩み寄り、声を掛けた。
「あいつ、顔から血の気が引いてました。『なんや、おまえ抑えられると思ってたんか!』って。『この状況でそんなんムリやって! 思い切ってやったらええやん!』って、そう言ったんですよ」
 そこから立ち直り、8回まで香川OG打線をヒット1本に抑え込む。加藤コーチの目にもはっきりとした変化が感じられていた。
「秋に見たときもバッターに向かって行く気持ちと、簡単にストライクを獲れるのがいいところだったんだけど、肩痛から出遅れてたから。投手陣の少ないなかで登板させざるを得なかったんだけど、香川戦で長いイニング投げて、あれで気付いたんだと思う。試合で投げて感覚をつかむことが大事なんでね」
 実戦で結果を残すことが何よりも大きな自信につながる。故障から復帰し、目標を追い掛けながら階段を一段一段登っている。降り続いた雨のなかで最後まで必死に投げ続け、やっと1勝をつかみ獲った。ここからがまた新たなスタートになる。
「これからも同じスタイルで行きます。練習でやってきたことしかマウンドではできないと思うんで」
 濡れたユニフォームを白いスウェットに着替えた光安の眼に、もう涙はなかった。




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2009/05/05(Tue)

キャッチャーとして

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.4. 徳島インディゴソックス 5-7 高知ファイティングドッグス <アグリあなんスタジアム> 観衆1,426人

高知FD 001 050 100| 7
徳島IS 000 102 020| 5

勝 野原慎二郎 3勝2敗
敗 平野誠 2勝3敗

バッテリー
高知FD 野原、吉川 ‐ 飯田
徳島IS 平野、片山、大川 ‐ 荒張

 昨日の長崎セインツ戦で連敗を止めた高知ファイティングドッグスは、6連戦後半の3連戦を徳島インディゴソックスとビジターで戦う。1対1で迎えた5回表、先発の平野誠を捉えた高知FD打線が爆発する。打者一巡の猛攻で一気に5点を挙げ、大量リードを奪った。15安打で追いすがる徳島ISを振り切り、3連戦の初戦をものにしている。この結果、高知FDは貯金を「2」として、香川オリーブガイナーズと並ぶ3位に浮上した。


『キャッチャーとして』

 高知FDの正捕手・飯田一弥(23歳)のバットが好調だ。三遊間を破るレフト前ヒット、センター前ヒットに続き、3打席目には右中間を大きく破るスリーベースヒットで3安打を放つ。打率を.339まで上げ、打点も記録した。昨日までの七番から、打順は六番に上がっていた。
「調子いいんで、打順は別に気にならないです。調子悪いときに上がったら嫌ですけど」
 連戦の疲労は間違いなく身体を蝕み始めている。6連戦の4試合目、ホームでの3試合を終えて折り返しただけでなく、今日からは高知~徳島間200㌔をバスで3往復する移動のキツさも加わった。
「めっちゃキツイっス! 身体が疲れてるのが分かります。徳島だとバス移動が長いんで腰にも来るし。打てた日は全然気にならないんですけど、空けた日とかにドッと疲れが来るんで…」
 投手陣の疲弊も尋常ではない。先発した野原慎二郎(24歳)も中4日での先発であり、前回の登板(4月29日、福岡レッドワーブラーズ戦(鳥栖))では138球を投げている。リードにも普段以上に気を使う。
「できるだけ球数を減らしておきたい。でも、勝負せなあかんところはせなあかんし、連打で大量失点は避けたい。こっちに勢いもつけさせたいし…。だから難しいですよね」
 腕がいつもほど振れていない。右打者の内角に投げさせたいのに、指が引っ掛かってしまいコースが甘くなってしまう。無理に攻めすぎてデッドボールを与えれば、今度はピッチャー自身がパニックを起こしてしまう。打線で打ち勝つことができたが、バッテリーとして決して納得のいく試合とは言えなかった。当たっている六番の荒張裕司(徳島IS・20歳)には4安打を浴び、最後まで抑えることができなかった(※4本目の安打は二番手・吉川岳から記録)。
 バックネット裏のスタンドにはNPBのスカウトも多く陣取っており、ドラフトに向けてのアピールとしては格好の試合だった。バッティングではアピールできたと思うが、キャッチャーとして本当に見て欲しかったのは、やはり守備力である。
「『見に来てるから』って言われて、めっちゃ力んだんスよ! スローイング見せよ! と思って。刺したんですけど指にかかってなくて。最悪でした」
 勝ち負けだけではない。5ヵ月後の指名に向け、アピールタイムはとっくに始まっている。




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2009/05/05(Tue)

1日ずつ

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.2. 香川オリーブガイナーズ 8‐3 長崎セインツ <サーパススタジアム> 観衆1,429人

長崎 000 021 000| 3
香川 000 320 30×| 8

勝 橋本亮馬 1勝2S
敗 酒井大介 3勝1敗

バッテリー
長崎 酒井、本山、松田 ‐ 吉川、熊本
香川 橋本、深沢、上野 ‐ 西森

本塁打
香川OG 荒木2号2ラン(4回、酒井)

 佐世保でのビジターゲーム3連戦で長崎セインツに2敗1分けと負け越した香川オリーブガイナーズが、ホーム・サーパススタジアムで反撃に出る。試合は中盤の点の獲り合いが勝負の分かれ目となった。4回裏、六番・荒木康一の左越え2ランなどで香川OGが3点を先制すると、2点を返し追いすがる長崎Sを5回裏、二番・笠井要一の右中間を破る2点適時三塁打で突き放す。7回裏にも笠井の2点適時中前打などで3点を追加し、8対3で長崎Sを降した。貯金を「1」としながら、首位と2ゲーム差での3位をキープしている。


『1日ずつ』

 1回、2回と先頭バッターを塁に出しながら、得点につなげることのできなかった長崎Sが3度目のチャンスをつかんだのは4回表である。無死一塁で打席には開幕からここまで打率4割をキープしている主砲、四番・末次峰明(24歳)が入った。
 センターの笠井要一(23歳)が、守備位置を深めに変えるため後ろへと下がった。高く舞い上がった打球に身体を半身にさせたまま背走し、フェンス一杯のところで追い着く。
「末次だけ他のバッターより後ろに下がってました。一瞬『ヤバい!』と思ったんですけど、この辺(グラブの十分届く範囲)に見えたんで」
 西田真二監督(香川OG)もこのワンプレーを賞賛する。
「今日は笠井ですよ! あの大きいの捕って、それからゲッツーになった」
 五番・林孝明(21歳)が4-6-3の併殺打に倒れ、チャンスを潰したその裏に打線が3点を先制し試合の流れをつかんだ。西田監督の言う『守備から攻撃のリズムをつかむ』という野球のセオリーがそこにあった。
 光ったのは守備だけではない。3安打、4打点、2盗塁と結果を残し、好調さをアピールしている。ゴールデンウィークに突入してからここまで(4月24日~5月2日)の6試合で、20打数11安打と当たりに当たっている。打率も.352まで上がった(5月2日終了時)。あまりの好調さに一言、
「怖いですね」
 とつぶやいた。
「何も変わってないんですけど。ただ最近、塁にランナーがいるところで回ってくることが多いので、思い切って振ることだけを考えてます。ボールが見えてるのは見えてますね。タイミングが取れてるというか、いい感じで待ってられる。気持ちの余裕もありますし。早めに準備して、振り出すところが遅れないようにしてます」
 いい感じで待ちながら、思い切って振る。この打席での積極性が結果につながっている。ファーストストライクを簡単に見逃していない。第1打席は初球をファールしたあとライト線へ引っ張って二塁打にした。第2打席は初球を打ち損じたが、第3打席は一死一、三塁の場面で初球を右中間に運んでいる。第4打席、無死二、三塁から放ったセンターへの2点タイムリーヒットもカウント0-2からのファーストストライクを捉えたものだ。
 実は3月のオープン戦ではまったく当たっていなかった。2年目として、チームの主力の一人として、もっとやらなければいけないのにこの結果は一体何だ?
「何してんねん…」
 自分自身のプレーに情けなさを抱えながらの日々が続いていた。あのときまずやらなくてはいけなかったことは、『塁に出ること』だった。
「自分が何をやらないといけないか? それを考えてると、気持ち的に自ずとなんでも前向きになれる。いいときも悪いときも自分のできることを、しっかり周りを見て。ま、1日ずつって感じですね」
 自分に与えられた責任感と、やらなければならない使命感がある。できることをきっちりとこなす。高望みせず、1日ずつこつこつと。


2009.5.3. 高知FD 8-1 長崎S <土佐山田スタジアム>
コラム『先発マウンド』は、『THE STADIUM』(http://thestadium.jp/)に掲載されています。




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2009/05/02(Sat)

勝利の方程式

四国・九州アイランドリーグ2009 前期公式戦
2009.5.1. 香川オリーブガイナーズ 2‐5 福岡レッドワーブラーズ <サーパススタジアム> 観衆1,108人

福岡RW 010 000 310| 5
香川OG 100 100 000| 2

勝 森辰夫 1勝2敗
S 角野雅俊 5S
敗 上野啓輔 1勝2敗

バッテリー
福岡RW 森、大澤、中田、角野 ‐ 富岡、翔
香川OG 高尾、上野、深沢、杉尾 ‐ 西森

 ゴールデン・ウィークの6連戦が始まった。福岡レッドワーブラーズは最初の3試合が四国でのビジターゲームとなる。その第1戦、高松・サーパススタジアムでの香川オリーブガイナーズ戦は、今季初対決のカードとなった。1点ビハインドで迎えた7回表、福岡RW打線はこの回からマウンドに登った二番手・上野啓輔を攻略し、3点を奪い逆転する。8回にも1点を追加すると、9回をクローザー・角野雅俊が打者3人で締め、5対2で勝利した。4連勝で星を5割に戻し、3位へと順位を上げている。香川OG、愛媛マンダリンパイレーツが同率で並んでおり、首位を走る長崎セインツを3ゲーム差で追っている。


『勝利の方程式』

 試合前の練習中、森山良二監督の握るノックバットで福岡RW投手陣がサイドノックを受けていた。ボールを軽く返した角野雅俊(26歳)が声を上げる。
「あ! 肩調子いい!」
 外野での遠投に向かおうとする途中、いくつか言葉を交わした。徳島ISから福岡RWに移籍して2年目、四国・九州アイランドリーグでは5年目のシーズンを迎える。今季は昨年ソフトバンクから指名を受けた金無英の後を受け継ぎ、クローザーとしてマウンドに登っている。
「もう4セーブですよ! すごくないっスか? 僕に足りなかったものはこれだったんだと思います。短いイニングでしっかり抑える。…でもねぇ、負けてるときより勝ってるときの方が力んじゃうんですよ」
 ここまでチームが挙げた5勝の内、4試合でセーブポイントを記録している。試合終盤の大事な場面を角野で締める勝利の方程式が、森山良二監督の頭の中で完成されつつある。
「こっちも夜って結構冷えますか?」
 突然そんな質問をこちらに投げ掛けてきた。昼と夜の寒暖の差はまだ激しく、海沿いにあるサーパススタジアムは夜になればまた一段と気温が下がる。登板するとなれば夜9時頃だろう。気温の変化を気にする辺りがいかにもクローザーらしい。
 9回裏、3点のリードをもらってマウンドに登った。最初のバッターを空振り三振に切って獲る。続く八番・吉森智一(22歳)の打球が一塁へ転がった。一塁手・清水康広(23歳)がファンブルし、スコアボードに「E」のランプが灯る。
「ヤス(清水)のエラーがあったんで、野手で獲りたかった。「内野ゴロ打たすから!」って声掛けました」
 打席に立ったバッターはこれまで対戦経験のない今季入団選手ばかりである。相手がどうのではなく、自分のピッチングをすればそれでいい。内野ゴロを打たせようと変化球を低目に投げ込んだ。3人目のバッター、九番・志佐大(18歳)への3球目は122㌔のスプリットだった。打球がショートに転がる。6-4-3の併殺が決まったあと、マウンド近くでハイタッチの輪ができた。
「最低限、キム(金無英)以上のことをやらないと。僕のできることは何試合も何試合も投げることなんで」
 監督がイメージする勝利の方程式以上に明確なものは、今季自分がなすべき役割である。これで4連勝とチームも勢いに乗ってきた。セーブポイントはひとつ増え「5」になった。福岡RWのクローザーがリーグトップを独走し始めている。




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