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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2008/09/29(Mon)

雨の坊っちゃんスタジアムで

四国・九州アイランドリーグ 2008 リーグチャンピオンシップ 第2戦
2008.9.28. 愛媛MP 1-2 香川OG <坊っちゃんスタジアム>

香川OG 001 001 000| 2
愛媛MP 010 000 000| 1

勝 福田 1勝
S 橋本 1S
敗 近平 1敗

バッテリー
香川OG 福田、金子、松尾、橋本 ‐ 堂上
愛媛MP 近平、高木 ‐ 松原、梶原

大敗で落とした初戦のダメージを愛媛MPはいかに拭い去るのか。香川OGは高松に戻らず松山に1泊し、この試合に万全の態勢を整えている。愛媛MPのホーム・坊っちゃんスタジアムで行われるリーグチャンピオンシップ第2戦は、小雨まじりの天候の中で幕を開けた。
2回裏、香川OG先発の福田岳洋が制球を乱す。先頭の五番・檜垣浩太を四球で歩かせると、八番・大地にも四球を与え二死一、三塁とピンチを拡げた。九番・松原準はファールで粘りながら7球目を左中間に運び、愛媛MPが先制点を奪った。
立ち上がりの2イニングを打者3人ずつで終えた愛媛MP先発・近平省吾だが3回表、先頭の七番・洋輔を三塁手の悪送球で出塁させてしまう。八番・笠井要一への2球目に洋輔がスタートを切ると、打球は左翼手の前にポトリと落ちるテキサス安打となり香川OGが無死一、二塁のチャンスをつかむ。九番・西森将司の送りバントは失敗したものの、二番・生山裕人が中前へ適時安打を放ち、すぐさま同点に追い着いた。
3回途中からやや強く降り始めた雨の中、両投手は好投を続け1対1のまま前半を終えた。
6回表、香川OGは死球で出塁した三番・堂上隼人を一塁に置き、五番・金井雄一郎が右中間を破る適時二塁打を放ち1点を勝ち越す。
7回裏、6回を投げた福田に代わり、香川OGのマウンドには二番手・金子圭太が登る。打者3人を完璧に抑えると、8回裏には松尾晃雅が登場。三番・大津慎太郎を空振り三振に仕留めるなど、こちらも打者3人で抑えた。
7回2失点で先発の役目を果たした近平に代え、愛媛MPベンチは8回表から高木大輔をマウンドに送る。2イニングを無安打、無失点に抑え、9回裏最後の攻撃にすべてを託した。
9回裏、香川OGのマウンドには松尾に代わり、クローザー・橋本亮馬が登る。先頭の四番・大島慎伍を三ゴロに打ち取った後、続く五番・檜垣の打った投直が右手に直撃し、一旦ベンチに下がった。応急手当を受けた後再びマウンドに登るが、六番・比嘉将太に一、二塁間を破られる。スタートを切っていた檜垣が三塁へ進み、愛媛MPが一死一、三塁と一打サヨナラのチャンスをつかんだ。七番代打・中川慧陽が四球で歩き一死満塁に。打席には八番・大地が入った。初球のカーブを叩いた打球は三ゴロとなり三塁手・国本和俊から捕手・堂上隼人にボールが送られる。大地は一塁へ頭から突っ込んだが、本塁併殺が完成し試合終了。あと1歩まで追い込みながら無念の涙を呑んだ。
2-1で勝利した香川OGが接戦をものにし、これでリーグチャンピオンシップ2勝。いよいよ四国・九州リーグ3連覇に王手を掛けた。続く第3戦は10月4日、香川OGのホーム・サーパススタジアムで行われる。


『雨の坊っちゃんスタジアムで』

香川OGの主将・洋輔が言った。
「ここまでベンチが盛り上がったの、今季初めてですよ! 」
一死満塁、一打サヨナラの場面で大地をホームゲッツーに仕留め1点を守り切った。9回裏の攻防が終った時、息を呑んで戦況を見つめていた香川OGの選手たちが三塁側ベンチから勢い良く飛び出してきた。

1本が出ていれば分からなかった。

荷物を抱えダッグアウト裏の通路をバスへと向かう香川OGの選手が口にする。
「勝つと負けるじゃえらい違いですよ! もしこっちが負けてたら、今頃(肩を落とす仕草を見せながら)もうこーんな凹んでますよ! 」
1勝1敗ではなく、2勝して高松へ帰ることができる。3連覇に王手を掛けたことよりも、薄氷を踏む想いであの9回裏を乗り切った大きな安堵感があった。

「いやぁ~疲れました。でも、楽しかったよな! 」
そうチームメイトに話しかけていたのは、先頭バッターとして打席に立った二塁手・智勝である。
「昨日が大きかったですよね。昨日獲れて大分楽になりました。短期決戦じゃないですか。1戦目はやっぱデカかったですよ。今日も80~90%ぐらい逆転される場面でウチが獲れた。まだこっちにツキがあるのかな? と思います。でも1戦1戦なんで、わかんないですからね」

プレッシャーが無かった訳では無い。
1週間前、後期優勝を目の前で決められた後の三塁側ベンチの雰囲気は尋常ではなかった。ほとんどの選手が愛媛MPの胴上げを実は見ていない。敗れてではなく、引き分けでの優勝決定だったとはいえ、そこに優勝を逃してしまったことへの強い苛立ちが確かにあった。

リーグ3連覇にかかるプレッシャーを凌駕してしまうほど強い、「勝つのは絶対にオレたちなのだ」という闘志と自信がある。そのために1戦1戦を落とさない底力と経験がある。「落とせない」ではなく、「落とさない」。そんな固い意志がある。そして智勝は「楽しかった」と言った。余裕ではなく、緊張感溢れる空間を楽しんでいた。

西田監督(香川OG)も接戦をものにしたゲームに喜びを隠さなかった。
「向こうのバッターが早いカウントから打ち損じてくれて助けられました。もうちょっとじっくり来られたら嫌だった。よくピッチャーが頑張りました」
(2勝してホームに帰りますが? )
「まぁ決めたいですね。明日ゆっくり休んで準備したい。勝負は短期決戦、手綱を緩めた方が負けですから。油断したらやられる」
サーパススタジアムで迎える第3戦まではあと6日ある。最も理想的な形で王手を掛け、これからゆっくりとゲームプランを練る。

昨日の第1戦終了後、首脳陣とのミーティングを終えベンチに出て来た愛媛MPの選手たちは、全員がベンチ前の人工芝部分に座って円陣を組んでいた。声が足りなかったことを大きな反省点として挙げている。
今日の試合前にも野手たちが、まだケガで本調子ではない福西太志を中心に円陣を組んでいた。聞けば福西が選手それぞれに手紙を書いたのだという。
「そいつの性格とかタイプとか、改めてそういうことを確認し合う意味で」
お互いが相手のこと、自分のことをもう一度理解し合ってこの第2戦に臨もう。手紙を書いたのはもちろん昨日、試合が終わってからの深夜である。書き終えた頃にはすでに朝5時を回っていた。感極まって涙する選手もいた。

勝ちたいという想いは香川OGと何ら変わらない。むしろそれ以上のものもある。だが、あと1歩まで追い詰めながら届かなかった。

第3戦に向けて何をどうするべきなのか。
最後のバッターとなった大地に聞いた。
「普段の試合ができれば…。どこかチャンピオンシップ用の野球になってる」
9回裏、緊張はまったく無かった。甘い球なら初球から行ってやろう、決めてやろうと思っていた。マウンドに立つ橋本亮馬は今季、自分にほとんどストレートを投げてこない。外角の変化球を狙いながら、低目に来たカーブを打ち損じた。
「勝ってインタビュー受けたかったですね」
と苦笑いを見せた。

ここまで8打席ノーヒットと当たりの出ていない四番・大島慎伍に同じ質問を投げ掛けた。
「何なんスかねぇ…。打てない、打てないじゃなくて、打てない中でなんとかしなきゃいけないんだけど。…切り替えるしかないですね」
今季最後となった坊っちゃんスタジアムで期待に応えられなかった悔しさは、サーパススタジアムでぶつけるしかない。

一番最後にスタジアムから出て来たのは主将・檜垣浩太だった。
「何を変えなければいけないか? 今からフォームをどうこう言ったって変えられない。気持ちがどうとかっていうのはずっと言われ続けてる。石毛(宏典・愛媛MPシニア・チームアドバイザー)さんなんかは「楽しんでみろ! 」って言うんですけど…。もう意地見せるしかないですね」
檜垣が坊っちゃんスタジアムを後にする頃、グラウンドを濡らしていた雨はもう上がっていた。

追い詰められ、もう後が無くなった状況で、自分たちの野球を取り戻すことができるか。しっかり切り替えて臨むことができるか。これまでやってきたことをすべて出すことができるか。楽しむことができるか。

10月4日土曜日、18時。
高松・サーパススタジアムで、第3戦のプレイボールが掛かる。



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2008/09/28(Sun)

遅い球

四国・九州アイランドリーグ 2008 リーグチャンピオンシップ 第1戦
2008.9.27. 愛媛MP 0-9 香川OG <坊っちゃんスタジアム>

香川OG 201 000 321| 9
愛媛MP 000 000 000| 0

勝 塚本 1勝
敗 川西 1敗

バッテリー
香川OG 塚本、松居、高尾、松尾 ‐ 堂上
愛媛MP 川西、宇都宮、篠原、入野、森、武部 ‐ 梶原

前期優勝チーム香川OGと、後期優勝チーム愛媛MPが年間王者を懸けて激突する『2008リーグチャンピオンシップ』が、愛媛MPのホーム・坊っちゃんスタジアムで幕を開けた。先に3勝したチームが優勝となる。
1回表、香川OG打線が愛媛MP先発・川西祐太郎の立ち上がりを捉える。二死一、三塁から五番・金井雄一郎の打球は左翼線ギリギリのところに落ちる適時三塁打となり2点を先制した。香川OGは3回表にも先頭の二番・生山裕人が三塁線を抜く二塁打で出塁すると、一死三塁としてから四番・丈武の打った三ゴロの間に生山が本塁突入を試みる。本塁への送球が浮いてしまい生山は生還。愛媛MPは序盤に3点のリードを許した。
香川OG先発の塚本浩二は緩い変化球を駆使しながら愛媛MP打線に芯を捉えさせず、6回まで無安打投球を続ける。
7回表、この回からマウンドに登った愛媛MPの三番手・篠原慎平が誤算となる。先頭の二番・智勝をストレートの四球で歩かせると、二番・生山が右中間への二塁打で続く。さらに三番・堂上隼人が中前に適時打を放ち追加点を。四番・丈武も左翼線へ鋭い当たりの適時二塁打を放ち3連打で篠原をKOした。なおも無死二、三塁の場面で、四番手として入野貴大がマウンドに登るが、五番・金井の三ゴロの間に三塁走者・堂上が生還。香川OGがこの回3点を追加して愛媛MPを大きく突き放した。
7回裏、先頭の二番・安達哲郎の左前安打により無安打無走者試合の大記録は途絶えたが、塚本は被安打1、無失点のままでマウンドを降りた。
香川OGの猛攻は止まらず、8回表にも五番手・森琢哉から2点を、9回表にも六番手・武部邦彦から1点を奪い、一方的な展開となった。
塚本をリリーフした松居伊貴、高尾健太が8回を、米マイナー帰りの松尾晃雅が9回を締め完封リレー。香川OGが9-0の完勝で愛媛MPを降し、大事な初戦をものにしている。


『遅い球』

3回裏、一番・長崎準平が空振り三振した外角へのカーブが98キロ。4回裏、四番・大島慎伍が当たり損ねのキャッチャーゴロに倒れた時のボールが95キロ。7回裏、遂に出塁した二番・安達哲郎を一塁に置きながら、セカンドゴロ併殺打に倒れた三番・大津慎太郎へのボールが94キロである。

短期決戦の大事な第1戦に先発起用されたサブマリン塚本浩二(香川OG)と、堂上隼人のバッテリーが採った勝利に近づくための方法は、『遅い球をうまく使う』ことだった。90キロ前後の変化球、特にカーブとスライダーを横に曲げたり沈ませたりしながら、打者のタイミングを外し続けた。

ブルペンでの調子がすこぶる良かった訳ではない。むしろその逆である。
「半分開き直って…。まっすぐが走らんのが1番で、2番目にコントロールが悪い。真っ直ぐと普通のスライダー、シンカーではあかんな。遅い球しかないな」
定まらないコントロールで甘いコースに投げても、弾き返されてしまうのは目に見えている。緩急を使う。それも遅い球に手を出させてフライを上げさせる。今日勝つために採った最善であり、唯一の方法とも言えるピッチングで愛媛MP打線から凡打の山を築き上げた。気が付けば6回までノーヒットノーランである。5回を終了してグラウンド整備となった頃、記録への意識も芽生え始めていたと言う。
「その内打たれるかな…って。気合い入れたら空回りしとったと思います」
7回裏に記録達成はなくなったが、香川OGの勝ち頭にふさわしいピッチングで先発の仕事を十二分に果たした。調子が良くないなら良くないなりに最大限の仕事を集中して行う。そこにこのリーグで身に付けた大きな経験がある。

後期最終戦を終えた後のサーパススタジアムで西田真二監督は、「初戦を獲るのが勝負事の鉄則。初戦ですよ」と語っていた。まずは監督のイメージ通りに最初の1勝を手にしたことになる。

「こういう短期決戦では集中することが大事ですから。(「香川OGには多くの優勝の経験がありますが?」と聞かれて)経験というよりも、ウチが長けてたと。ま、そういうことですか」
投手陣が相手打線を抑え込んだだけでなく、打線も14安打を放ち大量9点を奪い取った。12安打を放ちながら1点しか奪えず、目の前での胴上げを許してしまった6日前のゲームを完全に払拭している。あまりにも一方的な香川OGペースのゲームで、敵地・坊っちゃんスタジアムの三塁側スタンドに足を運んだ多くのファンたちの期待に応えている。

塚本にとっては、ひたすらやるべきことをやり続けるに徹した初戦のマウンドだった。これで香川OGは2年連続でリーグチャンピオンシップの初戦を塚本で獲ったことになる。
「ホッとしました」
ユニフォームから黒いTシャツに着替えて取材に応じた三塁側ベンチの前で、安堵の表情を見せていた。



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2008/09/26(Fri)

今季最終戦

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.22. 香川OG 0-6 福岡RW <サーパススタジアム>

福岡RW 003 000 021| 6
香川OG 000 000 000| 0

本塁打
福岡RW イム・セオプ1号ソロ(3回安達)

バッテリー
福岡RW 森辰、大澤、浦川、中江、キム・ムヨン ‐ 富岡
香川OG 安達、岡本、高尾、松居 ‐ 山本、堂上、西森

後期優勝は愛媛MPに決まった。最後まで優勝を争った香川OGと、4強に残りながらあと1歩で優勝争いから脱落してしまった福岡RWが最後の40試合目を戦う。
3回表、福岡RWの七番・イム・セオプが左翼スタンドへライナーで飛び込む1号ソロ本塁打を叩き込む。1点を先制された香川OG先発・安達輝誠は、九番・土佐和広に四球を与えると、一番・國信貴裕に左前安打を許す。この打球を左翼手・笠井要一が後逸する間に土佐が還り追加点を。続く二番・関口大志の遊ゴロ失策の間に、三塁から國信が生還。福岡RWが一挙3点をリードした。
福岡RW先発の森辰夫は5回を投げ、香川OG打線を2安打に抑え込む。6回以降、福岡RWベンチは継投策を用いて6回を大澤亮、7回を浦川大輔が無安打に抑えた。
8回表からマウンドに登った香川OGの四番手・松居伊貴を福岡RW打線が捉える。三番・中村真崇の右中間を破る適時二塁打、五番・陽耀華の左翼線適時二塁打でさらに2点を追加した。
8回を中江信、9回をキム・ムヨンが無失点に抑え、5人の投手が完封リレーを果たした。福岡RWが6-0で香川OGを降し、最終戦を勝利で飾って今シーズンの戦いを終えている。


『今季最終戦』

まだ明日行われる長崎S対愛媛MP戦が残っているが、香川OGと福岡RWにとってはこれが長かったシーズンを締め括る公式戦最後の1試合である。香川OGはこの試合を一つの実戦テストとして使った。西田真二監督が語る。
「最後のレギュラーシーズンだし、来年に向けてどれだけできるか? レギュラー陣はチャンピオンシップもありますから。いろんな選手を使ってね。そういう戦い方もある。いろいろテストしなきゃいけない部分もある」
投手においても野手においても、経験させることを重視した試合になった。

「最後10何試合はケガ人と疲れとプレッシャーで打てなくなって。混戦だったしね。非常に残念です。僅差で勝ちを逃した試合が多かった。後期に入ってからはチーム力として成長したと思います」
新生チーム・福岡RWを率いた森山良二監督の戦いも一旦ここで終る。80試合目の戦いに臨む選手たちには、
「1年間の集大成を見せてくれ。元気出してやろう! 」
と声を掛けた。
あっという間に終ったシーズンだった。前期は順位をまったく意識していなかったのだが、それだけに思い切った采配ができていた。優勝争いがもつれ始めた残り20試合辺りから、采配に大胆さが消えてしまった。そこが反省点だと語っている。

レギュラーシーズン最後のゲーム、それぞれの想いがある。
昨日、徳島ISと高知FDの今季最終戦となったアグリあなんスタジアムのゲームで、こんなことがあったと、神谷審判部副部長が話してくれた。
「僕は二塁塁審だったんですけど、(遊撃手の)古卿(大知・高知FD)がね。言ったんですよ。「これが最後の打席になると思いますから、見てて下さい。絶対にヒット打ちますから」って。そしたら梶田がツーベース打って、その後古卿がほんとにセンター前にタイムリー打って…。あいつら本当、よくやりましたよ」
試合後に撮ったというデジカメの画像を見せてもらった。共に4年間を戦い抜いた梶田宙、古卿大知、真輝、中村龍央の4人が、いい笑顔をして微笑んでいた。

3回表、七番・イム・セオプ(福岡RW)の打った当たりが、ライナーでサーパススタジアムの左翼スタンドへ飛び込んだ。この1打を足掛かりに3点を奪い、さらに後半にも3点を挙げ、福岡RWが最終戦を制している。

昨年、香川OGに所属していたイム・セオプにとって、この球場は忘れられない場所の一つである。
「去年ホームにしてた球場だし、ファンも僕のことをよく知ってくれている。ここにはいい思い出があります。今日の試合は今まで指導してくれた監督やコーチに応えるために打席に立ちました。これが野球選手として最後の打席になるかもしれない。ホームランは監督やコーチのおかげです」
七番・レフトのスターティングメンバーとして出場し、3打数3安打を放っている。特別な想いを胸に1打席1打席、足を踏み入れた打席だった。

それぞれの80試合が終って行く。
いくつかの交流戦も残されてはいるが、現在のメンバーで戦うゲームは2チームを除いてもうほとんど残されていない。
27日からは6チームの内、最後に残った2強が今年の王者を賭けてぶつかるリーグチャンピオンシップが始まる。



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2008/09/25(Thu)

歓喜の夜

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.21. 愛媛MP 3-0 香川OG <坊っちゃんスタジアム>
※ 9回リーグ規定により引き分け

香川OG 000 000 010| 1
愛媛MP 000 100 000| 1

バッテリー
香川OG 福田、塚本、橋本、高尾  ‐ 堂上
愛媛MP 高木、西川 ‐ 梶原

昨日、サーパススタジアムでの香川OG戦に高知FDが敗れたことで愛媛MP優勝へのマジックは「1」となった。今日のゲームに勝つか引き分けるかで悲願の初優勝が実現する。
愛媛MP先発の高木大輔は、4回まで毎回安打を許しながらも香川OGの拙攻に助けられ得点を許さない。対する香川OG先発・福田岳洋も3回を無得点に抑えるが、4回裏にピンチを迎えた。
愛媛MPが二番・安達哲郎の遊内野安打と三番・大津慎太郎の四球で無死一、二塁とすると、四番・大島慎伍が7球目を左前に運ぶ。二塁から安達が生還し、先制点を奪った。
香川OGは6回表に一死二塁、7回表にも二死一、二塁とチャンスをつかみながら得点を奪うことができない。愛媛MPベンチは7回を無失点で投げ切った高木に代え、8回から西川雅人をマウンドに送り、逃げ切りに出る。
8回表、先頭の二番・智勝が2球目を右翼線に運ぶと、捕球体勢に入った右翼手・大島はグラブに当てながらこれを落球してしまう。無死二塁と香川OGが反撃の口火を切った。三番・堂上隼人が右前安打で続くと、四番・丈武が適時安打となる中前テキサス安打を放ち智勝が生還。同点に追い着いた。さらに六番・金井雄一郎の中前打で一死満塁とし、七番・生山裕人は初球を狙って左飛を上げる。三塁からタッチアップした堂上だったが、愛媛MP守備陣の連係の前に本塁で憤死し、逆転には至らなかった。
香川OGは9回表にも先頭の八番・西森将司が左前安打で出塁したものの、西川の前に走者を進めることができず、一番・洋輔、二番・智勝が連続三振して9回の攻撃を終える。この瞬間、試合終了を待たずに愛媛MPの後期優勝が決定した。
9回裏、4月の骨折で戦線を離脱していた福西太志が二死から代打に登場。一ゴロに倒れ出塁はならなかったが、スタンドから大きな拍手を浴びた。
9回を終了し1-1と、試合はリーグ規定により引き分けとなった。愛媛MPは坊っちゃんスタジアムを埋めた9,310人の大観衆の前で念願の初優勝を決め、9月27日から前期覇者・香川OGとの間で行われるリーグチャンピオンシップへの出場権をつかんだ。


『歓喜の夜』

後期優勝を決めた愛媛MPのメンバーたちが、バックネットに正対して一列に並んでいる。『インタビューセレモニー』と銘打たれた優勝インタビューに、まず呼ばれたのは主将としてチームを牽引してきた檜垣浩太だった。
「最高です!ありがとうございます。2年目でキャプテンを任されて、責任が大きかったです。みんなに支えられて…良かったと思います」
声を詰まらせ、涙ぐんでいた。

大事な初戦、しかも2位・高知FDとの直接対決を、最悪とも言える完封負けで落としてしまった。大きかったのは昨日、西予宇和でのデーゲーム・徳島IS戦に近平省吾を要して完封勝ちしたことだった。かろうじて首位に踏みとどまったまま、サーパスで行われるナイトゲーム・香川OG対高知FD戦の結果を待つ。檜垣が語る。
「昨日、高知FDが負けたことでみんな勢い付いたと思います。これで坊っちゃんで決められるって。もう速報ずっと見てました」
選手たちは刻一刻と伝えられる試合の行方を見ながら、それぞれに一喜一憂していた。

先発の大役を任せられている高木大輔も自室にこもり、携帯とPCの両方で試合の行方を追い続けていた。
「(DATA Lab. 試合速報の)9回表の表示がなかなか出なかったでしょ!9回終って試合が決まったら、一気に緊張してきました。ここで決めれる!決めれんかったら男じゃないって」

絶対に坊っちゃんで決めたい。
39試合目、やっとつかんだ大きなチャンスに、選手たちの気持ちは一つになっていた。香川OGを迎えた今日の試合には、一昨日あったような異様な緊張感はもうかなり薄らいでいた。

前回の登板で高木は長崎Sを相手に16奪三振を記録している。
「欲出してコース狙いに行っても…。こないだはこないだ、今日は今日と思って切り替えました」
初回、一番・洋輔に対する初球はストレートを目一杯投げ込んでいる。球速は140km/hを表示した。この1球で「行けるな!」と思った。

1回裏、最初の打席に立った一番・長崎準平を見ながら、沖泰司監督の胸中にある想いが宿る。カウント2-1から香川OG先発・福田岳洋のフォークを振らされ、三振に終っていた。
「長崎の1打席目で(チーム全体の)調子が大体判るんです。戦う姿勢があるかどうか。あれで行ける! と思いました。多分フォーク振らされるやろなと思って、やっぱりフォークを空振りしたんですけど、あれは悪い三振じゃなかった」
初球をストレートに絞り込んでいた長崎は最初のカーブを見逃している。だが、そこから後のストライク4球すべてを積極的に打ちに行った。最後は7球目を振らされたのだが、簡単に終らなかった。むしろ先頭打者として、なんとかしてやろう! とする気持ちが見えた打席に、指揮官は手応えを感じていた。

7回表、二死一、二塁のピンチに捕手・梶原有司は高木へサインを送る。一瞬のピックオフプレーで一塁走者の洋輔を刺し、悪い流れを断ち切った。ずっと練習してきたプレーがここ一番の場面で決まった。8回表のクロスプレーにも完璧なブロックで勝ち越しを許さず、本塁を守り切った。レフトから本塁へ向かって渾身の返球を投げた長崎が言う。
「大地さんがカットしてくれたんで。あの大歓声はしびれました。たまらないっス!」

9回表が終った。二番・智勝を三振に切って取りベンチに戻ってきた梶原は、優勝が決まったことにまったく気付いていなかった。
「帰って来たら監督に握手求められたんで、智勝さんをよく三振に取ったって意味だな、と思って握手したら、監督が抱きついて来て『えっ? 何っ? 』って。それからみんなに聞いて『えっ! 引き分けでも決まるの? 』って…」
12安打を1点に凌ぐ、見事な守りでつかんだ後期優勝である。

スタンドを埋めた9,310人に大きなプレゼントを贈った愛媛MPが早くも来週、今年のチャンピオンチームを決めるリーグチャンピオンシップに出場する。第1戦はホーム・坊っちゃんスタジアムで行われる。
「1点しか獲れなかったっていうのは課題に残ります。勝てなかったですけど、香川OGの前で優勝を決められたっていうのは自信にもなるし、向こうもチャンピオンシップでスキができると思う」
大勢のファンと分かち合ったウォーターシャワーでの喜びの瞬間を終え、ベンチに帰って来た檜垣が静かにそう語った。

選手、スタッフ、関係者などとの記念写真撮影が終わり、ほとんどが球場を去った頃、高木俊文トレーナーが球場入り口のロビーに現れた。さっきまで選手たちと一緒にずぶ濡れになっていた。
「いやぁ、こんな夜はなかなか帰りたくないですね」

2008年9月21日。
愛媛MPにとって、メモリアルな一日となった歓喜の夜だった。



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2008/09/21(Sun)

「せっかくだから、楽しんで」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.20. 愛媛MP 3-0 徳島IS <西予宇和球場>

徳島IS 000 000 000| 0
愛媛MP 000 200 10×| 3

勝 近平 8勝6敗1S
敗 梅原 2勝5敗2S

バッテリー
徳島IS 安里、梅原、竹原、渡邊、片山  ‐ 荒張
愛媛MP 近平 ‐ 松原

昨日の痛すぎる1敗で高知FDとの差は無いに等しい状態となった。愛媛MPはこれ以上絶対に星を落とせないプレッシャーの中、西予宇和球場に徳島ISを迎えデーゲームを戦う。
徳島IS先発の安里渉は序盤からボールを先行させ、1、2回と先頭打者を歩かせる。だが愛媛MPは走者を進めることができず、得点に結び付けることができない。
序盤2回を打者3人で打ち取った愛媛MP先発・近平省吾だが、3回表に二死満塁のピンチに陥った。三番・山口寛史の打った二遊間のゴロを二塁手・大津慎太郎がダイブして止め、このピンチを無失点で乗り切った。
3回を無失点で抑えた安里に代え、徳島ISは二番手に梅原伸亮を送る。しかし、これが誤算となった。先頭の三番・大津を四球で歩かせると、五番・檜垣浩太が中堅手の頭上を越える適時三塁打を放つ。七番・梶原有司も右前に落ちるテキサス安打を放ち、愛媛MPがこの回2点を奪った。愛媛MPは7回裏にも徳島ISの4番手・渡邊隆洋から九番・松原準の中犠飛により追加点を挙げリードを拡げた。
9回を無失点のまま投げ抜いた近平は、徳島IS打線を散発2安打に抑え、前夜の悪夢を見事に振り払った。愛媛MPが3-0で徳島ISとの今季最終戦に勝利し、首位に踏みとどまった。近平は今季2度目となる完封勝利で8勝目を手にした。
ナイトゲームで行われた香川OG対高知FD戦に高知FDが敗れたため、愛媛MPのマジックは「1」となった。21日、坊っちゃんスタジアムで行われる香川OG戦に勝つか引き分けるかで愛媛MPの初優勝が決定する。


『「せっかくだから、楽しんで」』

自力優勝のためには絶対に負けられないゲームである。
西予宇和での徳島IS戦に、愛媛MPベンチは近平省吾と松原準のバッテリーを指名した。昨日スタメンマスクを被った梶原有司をファーストに置き、レフトに高田泰輔、DHに河邊英也をそれぞれ先発メンバーに選んでいる。高知FD戦に完封で敗れたダメージは決して小さくない。福岡RW戦での肉離れによりスタメンで使うことのできない比嘉将太の穴も大きい。
「昨日ああいう負け方をして、リフレッシュ的な要素を含めてメンバーを入れ替えました。もしマツ(松原)がダメならすぐ戻せるような布陣で。カジ(梶原)は声が出る選手なんで、勢いも欲しいですし」
沖泰司監督は悪い流れを少しでも変えようとしていた。

優勝への道のりはそう簡単なものではなくなっている。だが、相性の良い徳島ISとの一戦を前に、昨日の堅さは消えていた。試合前のシートノックの最中、それまで生やしていたあご髭をきれいに剃った斉藤浩行コーチに選手が、
「斉藤さん!ヒゲ無い方がいいよーっ!」
と、軽口を叩ける余裕があった。

結果的に、近平‐松原バッテリーがハマった。
「今日の試合はバッテリーの勝利」
と、沖監督が何度も口にする。大役を果たした捕手・松原が答える。
「チームのことだけ考えてました。1点でも多く点を獲って、1点でも失点を少なくして。今日はもうチカさんに限ります。チェンジアップとスライダーが良かった」
試合が終わってもう何十分も経っているというのに、顔から滴り落ちている汗は一向に止まる気配さえなかった。

近平にプレッシャーはまったく無かった。それよりも、ほとんど喜びに近いような気持ちでマウンドに登っていた。
「どっちかって言うとプラス思考で。去年優勝争いしている時に、ヒジの故障でベンチにいることしかできなかった。せっかくだから楽しんで投げようと思ってました」
調子自体は中の上くらいだったのだと言う。最初マウンドの堅さが合わず、バラつきのあったコントロールも試合が進むにつれ修正することができた。
「点数とか勝ち負けとか気にせず、目の前のバッター一人ずつを。自分らの置かれてる状況を楽しんで」
大きな緊張の中で、簡単には崩れることのない堅固な平常心を持ち続けた。楽しもうとしていたゲームの最終回、最後のバッター山口寛史をセカンドゴロに打ち取った時、マウンドで吼えた。平常心が解き放たれた一瞬だった。

「プレッシャーを跳ね除けてもらいたいという気持ちと、無理かな? と思う気持ちがある。絶対負けられない状態…まぁ、昨日も負けられなかったんですけど。肩の荷が下りたんじゃないかな? 」
ここまで来れば、昨年リーグチャンピオンシップを経験しているメンバー、大島慎伍、檜垣浩太らに期待していると、沖監督は言う。自信も不安もある。

高知FDの最終戦結果に関係なく、明日、坊っちゃんスタジアムでの香川OG戦に勝つか引き分けるかで愛媛MP悲願の初優勝は決定する。
追い風は吹いている。いよいよ今季最後のホームゲームとなった坊っちゃんスタジアムのカクテル光線の下で、栄光を手にすることはできるか。



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2008/09/20(Sat)

負けられへんと、勝つしかない

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.19. 愛媛MP 0-5 高知FD <坊っちゃんスタジアム>

高知FD 100 001 200| 4
愛媛MP 000 000 000| 0

勝 西川 17勝7敗1S
敗 川西 7勝10敗1S

バッテリー
高知FD 西川 ‐ 飯田
愛媛MP 川西、西川、入野 ‐ 梶原

愛媛MPにマジック「3」が点灯した。2位で追う高知FDとのゲーム差は1。後期の対戦成績を3勝3敗1分けで迎えた2強の最終戦は、優勝の行方を占う大一番となった。
1回表、愛媛MP先発の川西祐太郎は、ややストレートが上ずり制球に苦しむ。二番・YAMASHINが中前打を放ち出塁すると、二死一、三塁として五番・中村龍央が左翼線へ適時打。高知FDが先制点を奪った。川西は2回以降自身の投球を取り戻し、追加点を許さないまま前半を終えた。
高知FD先発・西川徹哉は序盤から快調な投球を見せる。3回裏に二死一、三塁、4回裏に一死一、二塁のピンチを迎えるが、落ち着いて後続を断ち5回を無失点で終えた。
6回表、高知FDは先頭の二番・YAMASHINが四球を選び出塁すると、三番・古卿大知が中前打、四番・真輝も四球で歩き無死満塁のチャンスをつかむ。愛媛MPベンチはここで川西に代え、守護神・西川雅人をマウンドへ送る。西川雅は五番・中村を三ゴロ本塁併殺打に打ち取り得点を許さない。しかし、六番・中平大輔の三ゴロを三塁手・檜垣浩太が一塁に悪送球。愛媛MPは痛恨のエラーで1点を失った。
7回表、高知FDがさらに畳み掛ける。一死から八番・流大輔が投手の頭上を越えるバントヒットで出塁すると、一番・梶田宙の打席に二盗を狙う。捕手・梶原有司の二塁送球が逸れる間に一気に三塁を陥れると、梶田の適時中前打で本塁生還を果たした。西川雅は雨の中、やや制球に苦しみ二死満塁とすると、四番・真輝へのフォークボールが暴投となり三塁から梶田が生還。この回2点を失った。
8回表から西川雅に代わってマウンドに登った入野貴大が8、9回を無失点に抑え、味方の反撃を待つ。しかし、好投を続ける西川徹の前に愛媛MP打線は凡打の山を築いた。
9回裏、三番・大津慎太郎、四番・大島慎伍が連打を放ちチャンスを作ったが、六番代打・高田泰輔が二ゴロ併殺打に倒れ万事休すとなった。
高知FDが4-0で愛媛MPを降した。この結果、愛媛MPが勝率差により首位の座を譲らなかったものの、ゲーム差は0となり、優勝の行方はまったく判らなくなっている。西川徹はハーラー単独トップの17勝目を挙げ、06年に相原雅也(元高知FD)が記録したリーグ最多勝記録に並んだ。


『負けられへんと、勝つしかない』

「『スミイチ』で嫌な予感がしとった…」
定岡智秋監督(高知FD)は、7回表の攻撃の前にベンチ前で円陣を組ませている。6回に追加点となる1点を奪ったものの、無死満塁のチャンスを最大限に活かすことができなかった。五番・中村龍央がサードゴロでホームゲッツーに倒れたことが、大きなショックだったのだ。

「振る前から結果考えてもしゃーないやん!結果を考えすぎて自分のスイングができてない。打席に入る前にちゃんと準備して。どの球に絞るのか、4打席の内、どの打席で勝負するのか、もっと準備せんと」

監督が自ら円陣を組ませることは、そうめったにあることではない。それだけに選手たちの心にはそれぞれ響くものがあった。YAMASHINには「自分のプレーだけしろ!」が、梶田宙には「結果を恐れるな!」が、中村には「おもいっきり行け!」が、それぞれの胸に残っている。

円陣を解いて臨んだ7回表、マウンド上の西川雅人の頭上を越すセーフティーバントでチャンスを作ったのは流大輔である。流の胸にも「おもいきってやったらええんや!」という監督の言葉が残っていた。
「簡単に打ち崩せるピッチャーじゃないんで、(セーフティーバントは)打席に入る前から考えてました。ほんとはピッチャーとファーストの間に転がそうと思ってたんですけど、ボールに勢いがあって。でも西川さんが変な体勢になったんで、いけるかな?と思いました」

試合前のシートノックが始まる前に、ベンチの前で左投げでのキャッチボールをしていた。あれは何だったの?と尋ねると、
「昨日、川崎ムネさん(宗則・福岡ソフトバンク)の本を読んでたら、左でキャッチボールするのは左バッターのバランスを整えるのにいいって書いてあったんです」
と、教えてくれた。そこに優勝を争うプレッシャーは微塵も無く、普段と何も変わらない流がいた。
「今、野球が楽しいです!」
と目を輝かせていた。

YAMASHINが言った。
「プレッシャーはありませんでした。負けられへん愛媛と、勝つしかない僕らとの違いですかね」

マジック「3」で迎えたホーム・坊っちゃんスタジアムでの試合に愛媛MPは負けられなかった。残り3試合すべてに勝利しないと高知FDの優勝は見えてこない。プレッシャーをプレッシャーと思わず、いつも通りの野球ができた。挑戦者として臨んだ高知FDに勝利の女神は微笑んでいる。

さぁ、大一番の直接対決が終った。2強の差はたった0.006。



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2008/09/19(Fri)

ラブコール

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.12. 香川OG 0-5 愛媛MP <サーパススタジアム>

愛媛MP 000 030 110| 5
香川OG 000 000 000| 0

勝 川西 7勝9敗1S
敗 金子 10勝7敗0S

バッテリー
愛媛MP 川西、篠原、西川 ‐ 梶原
香川OG 金子、福田、松居、安達、高尾、橋本 ‐ 堂上

5連勝で勢いに乗る愛媛MPが首位・高知FDに0.5差まで迫った。その愛媛MPを0.5差で追う香川OGと福岡RWが同率で3位に並ぶ。ゲーム差「1」の中に4チームがひしめく大混戦に、ここから先はもう1試合も落とせない。3位・香川OGが2位・愛媛MPをホーム・サーパススタジアムに迎えた。
香川OG先発・金子圭太、愛媛MP先発・川西祐太郎は、共に4回を無失点で抑える好投を見せ、序盤は投手戦となった。
だが5回表、愛媛MPは五番・檜垣浩太が中前打で出塁すると、内野失策、四球で走者を溜め、一死満塁のチャンスをつかむ。八番・大地が適時右前打を放ち1点を先制。金子をマウンドから引き摺り降ろした。代わった二番手・福田岳洋も一番・長崎準平に三塁戦を抜く2点適時二塁打を喰らいさらに2点を献上。愛媛MPが3点を奪った。
リードを奪った愛媛MPは7回表に一番・長崎の適時中前打、8回表に八番・大地の左犠飛で1点ずつを追加、さらにリードを拡げる。川西は香川OG打線を散発2安打と抑え込むと、8回裏を篠原慎平が無得点に、9回裏を西川雅人が三者三振に切って取り、磐石の継投リレーを見せた。
愛媛MPが香川OGを5-0で降し6連勝。この結果、愛媛MPは首位・高知FDとのゲーム差を0.5に縮め、逆に香川OGは2ゲーム差に開いた。


『ラブコール』

「太志さんがいるのが大きい。いるのといないのとじゃ、全然違います」
香川OGから3打点を挙げ、愛媛MPの6連勝に大きく貢献した長崎準平が語る。サーパススタジアムの三塁側ベンチには、ケガで戦列を離れていた福西太志の姿があった。

4月25日、高知FD戦での本塁クロスプレーで左足を骨折するという大きなアクシデントに見舞われた。以来、手術とリハビリを乗り越え、8月にチームへの復帰を果たしている。しかし、まだ100%のプレーができる、という状態ではない。これまでビジターでのゲームには帯同もしていなかった。

福西の遠征帯同を首脳陣に願い出たのは大地と梶原有司だった。
ベンチにいてくれるだけで雰囲気が違う。悲願の初優勝のために、ここから先のゲームは落とせない。たとえ試合に出場することは難しくとも、勝つために絶対に必要な選手であることは間違いなかった。初年度から一緒に戦ってきて残った、たった5人の内の一人でもある。斎藤コーチからのOKが出た。

数字には残らない。スコアブックには記録されない。
だが、グラウンドで戦っている選手たちを勇気付ける大きな力がベンチに帰って来ていた。
「いるといないじゃ全然違うんです」
長崎とまったく同じセリフを梶原が口にする。

仲間たちからのラブコールは素直に胸に響いた。
「自分で決められることじゃないんで、そういう風に言ってくれるのは嬉しいです。自分にできることをしっかりやって。キャッチボールしたり、声出したり」
首位まで0.5差。優勝は手の届くところにある。もしそれが現実のものになるならば、同じユニフォームを着て、歓喜の瞬間を迎えるには間に合った。

そしてもう一つ、やり遂げたい目標がある。
「最終戦に、代打で…」
福西の戦った今シーズンを、まだ決して諦めてはいない。



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2008/09/10(Wed)

「今日はのびのびしとったねー! 」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.9. 高知FD 9-1 徳島IS <高知東部球場>

徳島IS 001 000 000| 1
高知FD 101 214 00×| 9

勝 野原 13勝4敗0S
敗 片山 2勝13敗0S

バッテリー
徳島IS 片山、新田、安里、渡邊 ‐ 永井、荒張
高知FD 野原、山中、上里田 ‐ 飯田、キム

3チームが首位に並ぶ大混戦の中、首位を走る高知FDが東部球場に徳島ISを迎えた。徳島ISに対し、後期成績は4勝負けなしと相性は良い。星を取りこぼさず単独首位に立つことができるか。
徳島IS先発・片山正弘の立ち上がりを高知FDが捉える。1回裏、三番・古卿大知が右翼線へ適時二塁打を放ち先制点を奪った。
中3日でマウンドに登った高知FD先発・野原慎二郎は最初の2イニングを無失点に抑える。3回表も打者2人を三振に獲るが、一番・金丸勝太郎、二番・加藤光成に連打を許した。三番・大二郎の打った右前へのライナー性の当たりに、突っ込んできた右翼手・オ・ムヨルがダイブ。しかしボールがこぼれ、その間に金丸が生還し同点に追い着いた。
続く3回裏、一死から一番・梶田が右中間を越す三塁打を放つ。四番・真輝が右翼フェンス直撃の二塁打を放ち梶田が生還。逆転に成功した。
片山は4回裏にも一番・梶田、二番・YAMASHINの連続適時打で2点を奪われマウンドを降りた。高知FD打線はその後も猛攻を続け、5回裏には二番手・新田秀信から1点を、6回裏には三番手・安里渉から4点を奪い大量リードを築いた。
7回を1失点と先発の仕事を十分に果たした野原に代わり、8回表から山中智貴が登板し無失点。9回表も守護神・上里田光正が3人で締め、高知FDが9-1で徳島ISを降した。
この結果、高知FDが0.5ゲーム差で単独首位に浮上し、野原が自己最高となる13勝目を挙げた。


『「今日はのびのびしとったねー! 」』

4位の香川OGも含めれば、4強が0.5ゲーム差の中でひしめく大混戦だ。高知FDの残り試合は「8」である。一つの取りこぼしが星を大きく左右する中で、投打がしっかりと噛み合い、終ってみれば9-1の大勝利だった。

定岡智秋監督が笑顔を見せる。
「今日はのびのびしとったねー! すぐバッと(点を獲られた後の)3回裏に、残留組が打ってくれたから。中3日やったんやけど、野原が大きいよね。2試合くらいこういう試合が続いてくれたらね」

一番・梶田から五番・中村龍央まで、ここまで高知FDを引っ張って来た選手たちが自分たちの仕事を活き活きとこなした。放った13安打の内、9本は彼らのバットから生まれ、それぞれが打点を記録している。

定岡監督の言葉通り、野原慎二郎は中3日のマウンドだった。7回を1失点に抑え込んでいる。
「中3日は逆に良かったです。(身体に)何の張りもなかったし、残り少ないのでむしろ投げたい。アピールできるならいくらでもしたいです」
最初から今日は良かったというスライダーを中心に、テンポの早いピッチングを心掛けていた。実は序盤の1、2回にストレートの制球が良くなく、バラついていた。試合の中でしっかりと修正し、押せるところは力強いピッチングで押し切った。振り返ってみればハーラーダービー3位の13勝目である。昨年挙げた4勝を大きく上回り、15勝の西川徹哉と共に、二人で28勝をもぎ取ったことになる。

週末になれば小郡で福岡RW戦、佐世保で長崎S戦と、九州での試合が2試合続く。その後、最後のホーム2連戦は土佐山田での徳島IS戦である。
「野手はしんどいかも知れんけど、ここまで来て痛い痒いは言えんしね。いい緊張といい励みになるんちゃうか? 」
定岡監督の言葉に不安の色は見えていない。

2日前の福岡RW戦での敗戦をしっかりと切り替え、まずは単独首位に立った。やや不振に喘ぎ気味だった古卿大知にも勢いが戻りつつある。守護神・上里田光正もしっかりとアピールできている。現在の高知FDには首位をキープしている、という自信がある。

4年目、3年目のベテラン組、梶田、YAMASHIN、古卿、真輝、中村の5人の中で、一人だけ優勝を経験していない選手がいる。今日2安打を放ち、現在絶好調の四番・真輝だ。1年目、2年目と愛媛MPでシーズンを過ごし、優勝の味を経験していない。
「ようやくそのチャンスが来たと言うか。優勝できる時にしたいですよね。今まで力んでばっかだったんですけど、中日戦辺りからいい感じで力抜けて(打席に)入れてるので。今仕事しないと」
さぁ、真輝の希望は叶うか。



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2008/09/10(Wed)

「ガッツポーズはやめとこか」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.7. 高知FD 2-4 福岡RW <高知東部球場>

福岡RW 000 004 000| 4
高知FD 100 001 100| 2

勝 角野 12勝5敗0S
S キム 2勝0敗16S
敗 ケリー 8勝5敗0S

バッテリー
福岡RW 角野、浦川、キム ‐ 富岡
高知FD ケリー、山隈、上里田 ‐ 飯田、キム

本塁打
福岡RW 山本3号満塁(6回ケリー)

首位・高知FDとそれをゲーム差1で追う2位・福岡RWとの直接対決である。この試合に高知FDが勝てばマジックナンバー「8」が点灯する。
先制したのは高知FDだった。福岡RW先発・角野雅俊の立ち上がりに四球で出塁した一番・YAMASHINが二盗を試みると、捕手・飯田一弥の二塁送球が悪送球となりYAMASHINが三塁へ進む。二番・梶田宙の右犠飛でYAMASHINが生還。打者2人で1点を先制した。
高知FD先発のケリーは5回まで6つの三振を奪いながらノーヒットノーランペースの投球を続ける。しかし6回表、九番・土佐和広に四球を与えた辺りから制球を乱し、二死満塁のピンチを迎える。四番・山本健士はカウント1-2からの4球目を振り切ると、左中間スタンドに叩き込む満塁本塁打。福岡RWが4点を奪い一気に逆転に成功した。
高知FDも6回裏、すぐさま反撃を見せる。内野安打で出塁した四番・中村龍央が七番・流大輔の中犠飛で生還し1点を返した。
6回を1失点で投げ切った角野に代わり、7回から二番手・浦川大輔がマウンドに。浦川は打者5人をピシャリと抑えると、8回裏二死からキム・ムヨンがマウンドに登った。キムは五番・真輝に右中間を破る三塁打を許すが後続を抑える。9回裏も三者三振で切って獲り、福岡RWが4-2で高知FDを降した。
同日行われた徳島IS戦に愛媛MPが勝利したため、高知FD、福岡RW、愛媛MPの3チームが同率で首位に並ぶ大混戦の様相を呈している。


『「ガッツポーズはやめとこか」』

福岡RWで始まった今シーズン直前、角野雅俊(福岡RW)は一緒に徳島ISから移籍してきた深谷亮二コーチからこう言われていた。
「最低でも12勝はしてくれよな」
フル回転でマウンドに登り優勝を争った徳島ISでの05年、手にした勝ち星が11勝である。これまでの3年間の中で自己最高となる勝利数を4年目の最低ラインに設定した。それ以上の数を勝ちたかったことは言うまでも無い。

前回先発したのは8月29日金曜日、北九州での香川OG戦である。7回を投げ、自身最多タイとなる11勝目を手にしている。首脳陣は角野を首位決戦となる日曜日の高知FD戦まで温存した。

試合当日の朝、食べ物がほとんど喉を通らない。首脳陣はこの試合、自分に懸けている。プレッシャーが角野の肩に大きく、重く圧し掛かっていた。角野だけではない。他の選手たちの中にも何か、これまでの戦いぶりとは違う固さが見え始めている。ビジターでの徳島IS戦に2連敗を喫してしまった。森山良二監督は、優勝争いのプレッシャーが確実に選手たちを覆い始めていることを不安視していた。

「初めての優勝争いでしょ。バットが出にくくなってるみたいです。ミスショットが多いんじゃないかな。ピッチャーも大事なところで打たれてる。昨日(9月5日)の西村(拓也)、今日(9月6日)の森、イにしても、追い込みながら全部勝負球が甘くなってる。1球で変わってくるゲームだって言ってて、1球に神経使ってって言ってるのに勝負球が甘いんです。打たれてるのは全部、若いピッチャーでしょ? 」
昨日の試合後、そう語っていた。

今季から参入のチームであり、若い選手も多い。初めての優勝が近づくにつれ、これまでとは違う空気の中で戦わなければならない。だが、これを乗り越えなければ栄光を手にすることはできない。

1回裏、一番・YAMASHINを四球で歩かせると、二番・梶田宙の初球にYAMASHINが二盗を狙う。キャッチャー・富岡拓也の二塁送球が逸れ、YAMASHINが三塁へと進む。梶田はライトへ高々と犠牲フライを上げ、高知FDが打者2人、しかもノーヒットで1点を先制した。角野にとって最悪のスタートである。

二死ランナー無しとしながら、ピッチングはまだ落ち着かない。
四番・中村龍央に初球をセンター前へ運ばれると、続く五番・真輝、六番・大西正剛に連続フォアボールを与えた。いずれもカウント0-3としてからのフォアボールである。ここで三塁側ベンチから森山監督が出た。角野に掛けた言葉は「オレ、投げようか? 」だった。
「力みと緊張でああなってたんでね。上から見下ろしてゆったりゆったり投げろって、そう言ったんですよ」

七番・流大輔をピッチャーゴロに打ち取り、満塁のピンチはなんとか乗り切った。絶対に怒られるな…と思って帰って来たベンチで掛けられたのは、チームメイトからの温かい言葉だった。森山監督も同じだった。
「自身持って投げないでどうすんねん! お前がここまで引っ張って来たんやろ! 」
この試合を落とせば優勝がなくなってしまう。なんとか相手の先発・ケリーより1点でも少ない点数でマウンドを降りなければならない…。
「もの凄い緊張してて、こんな頼りない自分にローテーションを崩してまで期待してくれて。あんな情けないピッチングだったのに、みんな『大丈夫やから』って優しい言葉かけてくれた」
張り詰めていた緊張が、闘志へと変わる。

ノーヒットノーランペースのピッチングを続けるケリーから6回表、二番・関口大志がライト前へヒットを放ち突破口を開く。フォアボールで歩いていた國信貴裕を二塁に置いて、二死一、二塁となった。三番・西村悟が右打席に入った。ランナーを背負ってから、好投を続けてきたケリーの表情が明らかに変わっている。
「あそこから変化球が多くなったでしょ。あれでチャンスあるかな? と思いました」
森山監督の予感は当たり、西村もフォアボールを選ぶ。これで二死満塁となった。

四番・山本健士はストレートを狙っていた。
「前のバッターがよくボールを見てくれて、多分つないで行こうって意識があったと思う。ストライクを取りに来るなと思ってましたから」
真ん中やや外角より、左中間スタンドへ吸い込まれて行った打球は、逆転の満塁ホームランとなった。山本のホームランを観ていた角野が涙をこぼしていた。

6回を投げ2失点。6つの三振と共に角野は先発の責任を果たし、後続にマウンドを譲った。負ければ高知FDとのゲーム差は2に開いただけでなく、高知FDにマジック「8」が点灯するはずだった。4-2。福岡RWが大事な一戦をものにして同率首位に立った。これで愛媛MPと併せ、3チームが17勝12敗で首位に並んだことになる。

感情がピッチングに表れやすいことは、角野の大きな課題でもある。深谷コーチから
「12勝目を挙げたら、思い切りガッツポーズしてもいいよ」
と言われていた。
「でも深谷さんと話して、『ガッツポーズはやめとこか。まだ先あるし…』ってことにしました」
あと8試合。まだ先がある。
本当に喜びを爆発させる瞬間は、もう少し先だから。



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2008/09/07(Sun)

新しいフォーム

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.6. 徳島IS 3-1 福岡RW <アグリあなんスタジアム>

福岡RW 000 100 000| 1
徳島IS 010 001 10×| 3

勝 佐藤 1勝5敗0S
S 渡邊 9勝10敗3S
敗 森辰夫 4勝3敗1S

バッテリー
福岡RW 大澤、森辰、イ、浦川 ‐ ショウ、富岡
徳島IS 佐藤、竹原、渡邊 ‐ 加藤、永井

福岡RWとの今季最終戦に徳島ISは連勝を狙う。試合前には球場で結婚式が行われ、華やかな雰囲気の中、18時30分プレーボールがかかった。
2回裏、徳島ISは先頭の四番・小松崎大地が福岡RW先発・大澤亮から左翼線への二塁打で出塁する。五番・山口寛史がバントで送った後、六番・金谷良太が左前適時打を放ち先制点を挙げた。
福岡RWは4回表、徳島IS先発・佐藤学から二番・関口大志が右前安打を放つ。二死一、三塁とした後、五番・陽耀華が中前に適時打を放ち同点に追い着いた。
5回を1失点で凌いだ大澤に代わり、6回裏のマウンドには二番手・森辰夫が登る。森は先頭の一番・金丸勝太郎を歩かせると、三番・大二郎に前進守備の左翼手の頭上を越されてしまう。この間に二塁から金丸が生還し、徳島ISが逆転に成功する。7回裏にも三番手・イ・チャンホから一番・金丸が中前へ適時安打となる二塁打を放ち、さらに1点を加えた。
徳島ISは6回を投げた佐藤に代わり、7回から安里渉をマウンドに送る。安里は二死二塁と一打同点のピンチを迎えたが、三番手・竹原俊介がこのピンチを1球で乗り切った。
8回からマウンドに登った渡邊隆洋の前に福岡RW打線は得点を奪うことができず、9回最後の攻撃も3人で終えた。
徳島ISが3-1で福岡RWを降し、ホームで2連勝。佐藤はアイランドリーグ初勝利、渡邊が3つ目のセーブポイントを獲得している。


『新しいフォーム』

今年、徳島ISの試合を続けて観ているファンならすぐに気付いただろう。先発のマウンドに立った佐藤学(徳島IS)の投球フォームが明らかに変わっていた。これまでのオーバースローではなく、やや腰を時計方向に捻った後、右腕がスリークォーター気味の角度から出てくる。左打者のヒザ元へ投げ込むスライダーにこれまで以上のキレが出ていた。

フォームを変えたのはたった3日前のことだ。
きっかけはブルペンで投球練習を見ていた森山一人監督代行に言われた一言だった。
「スライダーの曲がりはいいから、それを活かすためにヨコにしてみたら? 」
元々自信のある球はスライダーである。普通に上から投げた時でも独特の大きな曲がり方をする。迷わずフォーム修正を試みた。

「このリーグだと高目のボールは打たれる。ヨコにしてリリースの位置を変えることで、より自然に投げられるイメージになったと思います。抜けたとしても今までより指にしっかりかかる。いいところは続けていけばいいし、直せるところは直せばいい」
前日の福岡RW戦終了後、ライトの芝生の上で少し長めの距離を取ってキャッチボールを繰り返している姿があった。

フォームを変えたことで、スライダーだけでなくストレートにもキレが出てきた。だが、慣れないフォームでは微妙なコントロールに不安がある。とにかくストライクを先行させ、打たせて獲ることを意識した。内野ゴロを打たせられればベストだと考えていた。
「初回0点に終って、今までだったら3回くらいに5点獲られるとか、ランナー出してまた獲られるとかあったんですけど。投げ方を変えて気分も変わったところもありました」
6回を投げ1失点。被安打4。四死球1。先発の仕事としては十分である。

試合前には球団職員である佐伯さんの結婚式が行われている。祝福の日のゲームを黒星にしてしまう訳にはいかない。森山監督代行から選手たちへ
「勝ってお祝いしてあげよう! 」
と声が掛けられ、野手たちはそれぞれに闘志を燃やしていた。

だが、佐藤は少し違っていた。
「あんまり意識しないで、いつもと変わらなくやろうと思ってました。今日は同じような気持ちでどのイニングも行けた。とにかくテンポ良く打たせて獲ることだけ考えて、多少ボールになってもいいからポンポン投げようと思ってました」

確かにフォームは変わった。しかし、それも今までやってきたことの延長線上にある。自分がこれまでやってきたことを信じて結果を出し、手にした初勝利である。

ウイニングボールは幸せな二人にプレゼントすることにした。
「佐伯さんたち、5回くらいに帰っちゃったんで。明日、渡そうと思います」



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2008/09/06(Sat)

意地の1勝、485回1/3

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.9.5. 徳島IS 3-2 福岡RW <アグリあなんスタジアム>

福岡RW 200 000 000| 2
徳島IS 200 010 00×| 3

勝 渡邊 9勝10敗2S
S 竹原 1勝1敗2S
敗 西村拓 3勝5敗2S

バッテリー
福岡RW 西村拓、森辰、中江 ‐ 富岡
徳島IS 片山、渡邊、平野、竹原 ‐ 加藤、永井

1回表、福岡RW打線は徳島IS先発・片山正弘の立ち上がりを捕まえる。四番・山本健士の打った左前テキサス勢の当たりに、突っ込んできた左翼手・金丸勝太郎がスライディングキャッチを試みるが届かない。慌てた金丸の送球が本塁への悪送球となり、一塁走者・関口大志が先制のホームを踏む。続く五番・陽耀華が適時中前打で続き、三塁から山本が生還。福岡RWが2点を先制した。
福岡RWの先発は前回8月31日、北九州での徳島IS戦に先発し3勝目を挙げた左腕・西村拓也である。だが、徳島IS打線も西村の立ち上がりに連打を浴びせる。一番・金丸勝太郎、二番・山口寛史の連打で無死一、三塁とすると、三番・大二郎が左翼線へ二塁打を放ちすぐさま同点に追い着いた。
福岡RWは3回表に無死満塁、4回表に二死二、三塁とチャンスを作りながら、あと1本が出ない。逆に徳島ISは5回裏、二死二塁から一番・金丸が左前に適時安打を放ち、勝ち越しの1点を奪った。
片山に代わり5回表からマウンドに登った渡邊隆洋が3イニングを、三番手・平野誠が8回を無失点で乗り切る。9回表を託された徳島ISのクローザー・竹原俊介は、先頭の七番・イム・セオプに死球、九番代打・トモに四球を与えるなど、一死一、二塁と一打逆転のピンチを迎えるが、後続を断ち切り1点のリードを守り切った。徳島ISが3-2で福岡RWを降した。
徳島ISは福岡RWから後期初勝利。渡邊が9勝目、竹原が2つ目のセーブポイントを挙げた。


『意地の1勝』

「初回に(2点)行かれて、いつもなら「あー…」ってなってたと思うんですけど、金丸が狙い通りのスイングをしてくれました。山口(寛史)さんもエンドランでつないでくれて、2人に勢いがあって、その勢いを僕も感じてました」

1回裏の攻撃を熱っぽく語ったのは、自らレフト線へ2点タイムリーツーベースとなる同点打を放った大二郎(徳島IS)である。

福岡RWの先発、左腕・西村拓也は前回、北九州でのビジター戦に先発していた。
「先週と同じピッチャーだったんでイメージできてた」
と言う金丸勝太郎が西村拓のストレートに狙いを定め、レフト線に鋭いライナーを飛ばす。続く二番・山口寛史もセンター前へ鋭い打球を放つと、スタートを切っていた金丸が三塁を陥れた。

大二郎が狙っていたのは、入ってくるカーブだった。
「苦手意識や「怖いな」と思う気持ちがまったくなくて」
空振りするようなボールは来ないだろう。少し先っぽかな? と思ったが、打球はレフト線を鋭く抜けて行った。たった5球、3人で奪い返したこの速攻が、序盤奪われそうになった試合の流れを渡さず、食い止めた。

前日に行ったインタビューの中で大二郎は言っていた。
「こんなん言ったらなんなんですけど、こんな差がつくようなチームじゃないはずなんです。今日のミーティングでも森山さん(森山一人監督代行)から言われたんですけど、福岡RWに後期勝ってない。とにかく明日は勝とうって」

下位を低迷してしまっていることへの悔しさは、キャプテンとして人一倍感じている。福岡RWに見せた意地の1勝だったと言ってもいいのかもしれない。

残り11試合、このメンバーでやれることがある。決して優勝がすべてではないこのリーグで、もう終ってしまったものなどまだ何一つ無い。


『100試合、485回1/3』

今日の登板が、渡邊隆洋(徳島IS)のアイランドリーグ100試合目のマウンドだった。
「何か運命的なものも感じますね。ここで2年、3年、4年とやってきて、前は「長いこといることになっちゃったな…」って思ってたんですけど、いろんなもの見て、勉強して、今では感謝の気持ちの方が大きい」
四国に来て積み上げてきたものは、100回目のマウンドという数字以上に大きく、かけがえのないものがある。

5回裏に打線が1点を奪い、逆転してくれた。6回表のマウンドに登る前、蘇って来た過去の痛い記憶があった。
「06年だったと思うんですけど、ちょうど同じ場面があって。同点から1点獲ってくれて小野監督(当時)から『1点を守りに入ったら、攻めてくる相手に対して受身になる』って言われて、守りに行った姿勢で負けたことがありました。それを思い出しましたね」

決して「守る」のではなく、自分がどうなりたいのか、何に取り組んでいるのかを試合の中で出す。それをどれだけ出すことができるか。つまり、自分のピッチングをすることだけに集中を注いだ。

「5回終って2時間経ってて、ちょっともたついてしまってて、森山さんからも『ペース上げて行こうか』って言われてました。片山(片山正弘)が雨の中で2-2、2-3にしながらよく粘ってくれた。ボールを散らしながらうま~く流して行けば、と思ってました」
6回を4球、7回を7球で打たせて終えたピッチングには、100試合の中で確実に身に付けたエースの自信が漂っていた。

もう一つ、狙いたい記録があると言う。
「あと14イニングと2/3で500イニングなんですよ。浦川さん(大輔・愛媛MP→福岡RW)と角野さん(雅俊・徳島IS→福岡RW)が達成してるんですけど2チームでだし、近平さん(省吾・愛媛MP)も達成すると思うんですけど途中からの入団だから、このリーグにスタートからいる人で一つのチームで500イニング投げた人はいないんです。あと11試合ですからちょっと厳しいんですけど…」

4年間で記録した485回1/3は、今では大きな誇りとなっている。
あと14回と2/3で達成する「500」という数字。それも大きなモチベーションの一つ。



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