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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2008/08/14(Thu)

西田監督、退場

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.13. 徳島IS 3-2 香川OG <アグリあなんスタジアム>

香川OG 000 010 030| 4
徳島IS 010 000 010| 2

勝 松居 2勝2敗1S
S 橋本 5勝3敗5S
敗 片山 2勝11敗

バッテリー
香川OG 福田、松居、橋本 ‐ 西森、堂上
徳島IS 片山、渡邊、平野 ‐ 永井

蔵本球場での逆転勝利から1日を空け、徳島ISがアグリあなんスタジアムで再び香川OGを迎え撃った。
2回裏、徳島ISは香川OG先発の福田岳洋から四番・小松崎大地、六番・永井豪が左前安打で出塁すると、七番・アティングが左前に適時安打を放ち先制点を奪った。
香川OGは徳島IS先発・片山正弘から毎回安打を放ちながら1点が奪えない。
5回表、二死から中前打で出塁した八番・笠井要一が、すかさず二盗を成功させる。九番・シンは三遊間を破る適時安打を放ち笠井が生還。香川OGが同点に追い着いた。
5回裏、一番・大二郎のスイング判定を巡って香川OG・西田監督が一塁審判に猛抗議。その際審判への暴言があり、西田監督は退場処分となった。
8回表、途中出場の二番・生山裕人が右翼線へ三塁打を放ち、香川OGが一死三塁のチャンスをつかむ。ここまで10安打を打たれながら1失点に凌いだ片山だったが、三番・堂上隼人、四番・丈武を敬遠気味に歩かせ満塁に。徳島ISベンチはこのピンチに左腕・渡邊隆洋を投入する。五番・国本和俊は渡邊から左中間へ走者一掃となる二塁打を放ち、香川OGが一挙3点を奪って勝ち越しに成功した。
徳島ISは8回裏、香川OGの二番手・松居伊貴から三番・山口寛史が右中間越え二塁打を放ち1点を返す。しかし、三番手・橋本亮馬に後続を抑えられ、反撃もここまでとなった。
香川OGが4-2で徳島ISを降し連敗を阻止した。松居が2勝目、橋本が5つ目のセーブポイントを挙げている。


『西田監督、退場』

問題の発端は、福田岳洋(香川OG)が投げた外角へのスライダーに対する大二郎(徳島IS)のスイングだった。スイングしかけた大二郎のバットが微妙なところで止まる。主審は一塁審判に判定を求めたが、塁審の判定は「セーフ」だった。

このジャッジに異を唱え、三塁側ベンチから飛び出したのが西田真二監督(香川OG)だった。ベンチ前から声を挙げての抗議だったのが、マウンドの近くまで歩を進め、直接一塁の渡辺審判に抗議を始めた。

このいざこざの中で審判に対する行き過ぎた発言があった。
三塁審判を務めていた責任審判、神谷審判が西田監督に退場を命じ、西田監督はダッグアウトから出されることになってしまった。香川OGは突然指揮官を失ってしまった。

もちろん審判に対する侮辱好意は許される訳ではない。また今年発足した四国・九州アイランドリーグ審判部ではグラウンド内でのモラルの遵守に重きを置いており、それを犯した者には厳重に処罰する態度を貫いている。

だが、この一件は香川OGの選手たちの心に少なからず火を灯す結果となる。

マウンドにいた福田は大二郎を三振に取ったものだと思っていた。目の前で監督が退場となってしまった。カウントは2-2となり、妙な間が空いてしまっている。多少の動揺と共にプレッシャーが襲ってきた。
「次の1球が投げにくかったです。『ここは三振獲らなあかんやろ!』と思いました」
さっきと同じ外角へのスライダーを投げたが見逃され、フルカウントになった。最後の1球はストレートを外角高目へ思い切って投げた。大二郎のバットが空を切る。続く二番・斎藤雅俊もスライダーで空振り三振に切って獲り、この回を凌ぎ切っている。

試合後、主将・洋輔に「あの退場劇はベンチに何か影響をもたらしたのか?」と尋ねてみた。
「ありましたよー! あれで逆に「あ、勝つな」と思いました。「勝ったな」と思いました」
昨年5月のここ、アグリあなんスタジアムの杮落としで、西田監督がやはり審判に対する暴言で退場を命じられたことを思い出したと言う。
「あの時も勝ちましたからね」

打線が火を噴き、香川OGが3点を奪ったのは、西田監督がいなくなってしばらく経った後の8回裏の攻撃だった。



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2008/08/13(Wed)

「引き下がらなくなった」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.11. 徳島IS 3-2 香川OG <蔵本運動公園野球場>

香川OG 010 001 000| 2
徳島IS 100 000 02×| 3

勝 竹原 1勝0敗1S
敗 松居 1勝2敗1S

バッテリー
香川OG 高尾、松居 ‐ 西森
徳島IS 平野、竹原 ‐ 永井

6連勝と波に乗る香川OGを、引き分けを挟んで4連敗中の徳島ISが迎え撃つ。徳島ISは福岡RWとの3連戦を終え今朝6時過ぎに徳島に着いたばかりという厳しいコンディションの中での一戦となった。
1回裏、徳島ISは香川OG先発・高尾健太から先頭の一番・金丸勝太郎が四球を選ぶと、四番・小松崎大地が左翼手の頭上を越える適時二塁打を放ち先制点を奪う。だが2回表、香川OGも徳島IS先発の平野誠から四番・丈武が左前安打で出塁すると、七番・西森将司の遊内野安打で二死一、三塁とチャンスをつかむ。八番・キム・キテの場面で丈武と西森は重盗を敢行。捕手・永井豪が二塁へ送球する間に丈武が本塁生還を果たし、すぐさま同点に追い着いた。
6回表、五番・国本和俊が右中間を破る三塁打を放つ。六番・金井雄一郎が中犠飛を放ち国本が生還。香川OGが逆転に成功した。
5回を1失点で乗り切った高尾に代え、香川OGベンチは6回裏から左腕・松居伊貴をマウンドに送る。6、7回を3人ずつで凌いだ松居だったが、8回裏、九番・金城直仁に四球、一番・金丸の中前テキサス安打で一死一、二塁とピンチを拡げた。二番・大二郎への初球が暴投となり走者を進めた後、大二郎は三塁線を抜く2点適時二塁打を放ち、徳島ISが再逆転に成功した。
8回から平野に代わった竹原俊介が9回表も3人で抑え切り、徳島ISが3-2で香川OGを降した。徳島ISは連敗を「4」で止め、竹原は今季初勝利を記録した。


『「引き下がらなくなった」』

徳島IS一行を乗せたバスが徳島に帰って来たのは8月11日の朝、6時を少し回った頃だった。
福岡での3連戦を終え、一晩かけて帰って来た。17時からは香川OGとのナイトゲームを戦う。一旦それぞれの自宅に戻り、少しの仮眠を取った後、蔵本球場に再び集合する時刻は13時である。14時からは小学生との野球教室が予定されている。ただでさえ厳しい猛暑である。今日の1戦は、徳島ISにとって今季最も厳しいコンディションの中で臨む試合と言っても過言ではなかった。
試合開始1時間前、蔵本球場に降り注ぐ日差しは、16時とは思えないようなきつさだった。
「異常な暑さだね」
対戦相手である香川OGの加藤博人コーチまでもがそんなことを言っていた。

森山監督代行が指揮を取り始めてから6試合を終えた。ホームでの長崎S戦を1勝2敗、ビジターでの福岡RW戦を2敗1分けと、勝ち星はたった1つしかない。だが、星の数以上にチームは確実に変わり始めている。

福岡で3試合目を迎えた日曜日の午前中、全員で福岡の有名店『一蘭』にラーメンを食べに出かけている。森山監督代行には、そうする理由もあった。
「せっかく福岡に来てるんだから、息抜きや切り替えもできるんだよって。そういうのって僕、必要だと思うんですよ。気分転換する時間も。『連戦』を重く感じて欲しくない」
時には長い戦いの緊張感をほぐすことも必要だ。遠征だからと言って、スタジアムと宿舎の往復だけじゃなくてもいい。自分をコントロールできない選手など端からいない。首脳陣と選手とのコミュニケーションはもちろん、何度も行われる首脳陣同士のミーティングや、リラックスしたオフタイムの出来事の中で、チーム内の意思疎通がより深く、早く、そして正確に伝わり始めている。森山監督代行の意思が様々な部分に伝わり、結果へとつながり始めている。

「内容はそんな悪くなかった。チャンスで1本出たか出ないかの差だけだったと思います」
福岡RWとの3連戦を振り返り、主将・大二郎はそう語っていた。投打が噛み合わず、逆転の気配も見出せないまま負け続けていたこれまでとは、明らかにムードが変わっている。

本当は福岡RWとの3戦目を落とさず、勝って徳島に戻りたかった。しかしそれはならなかった。これ以上の連敗は避けたい。ここで1つ勝っておきたい。森山監督代行の胸の中には、「今日の試合を落とせば、選手たちの中に負のイメージが残るのではないか?」という予感があった。やっぱりダメなんだ…。そう考えてしまうネガティブな意識をほんの少しも持って欲しくない。それだけは何としても避けなければならない。
だから8回裏、一死二、三塁の場面で2度続けて大二郎にスクイズのサインを送った。大二郎も監督代行の意思を読み切っていた。
「スクイズは出るだろうな、と思ってました。まずはスクイズで同点にしてから、という戦略だろうなと」

マウンドに立つ左腕・松居伊貴の変化球が、対角線気味に大二郎の足元めがけて飛んで来た。2度続けてボールはファールグラウンドに転がり、ランナーを還すことができない。サインがヒッティングに変わった。
「一番嫌なのは三振じゃないですか。一番調子いいのは大二郎だったんで、最低でも内野ゴロを打ってくれれば、金城(三塁走者・金城直仁)の足なら戻れる」
期待に応えた鋭い打球がややショート寄りに守備位置を取っていた三塁手・洋輔の横を抜けて行く。二塁ベースの上で大二郎が両手で作った拳を何度も振り下ろしていた。

「念願の2勝目です」
囲み取材に現れた森山監督代行は、笑顔を見せながら開口一番にそう言った。
「負けてはいますけど、どっちに転ぶかな?という試合はしてるんで、選手たちも気付いていると思う。引き下がらなくなった。それが一番嬉しいかな」

選手たちが引き下がらなくなった。
森山インディゴソックスになってからの大きく、そしてとても意味の有る変化の一つである。



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2008/08/11(Mon)

「何とかしてやろう!という気持ちが見えない」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.10. 香川OG 1-0 愛媛MP <サーパススタジアム>

愛媛MP 000 000 000| 0
香川OG 000 100 00×| 1

勝 塚本 10勝2敗2S
S 橋本 5勝3敗7S
敗 近平 4勝6敗1S

バッテリー
愛媛MP 近平、宇都宮、入野 ‐ 松原、梶原
香川OG 塚本、橋本 ‐ 堂上

5連勝で香川OGが3位に浮上した。ホーム・サーパススタジアムで戦う6連戦、一気に6連勝を狙う。
香川OG先発の塚本浩二は初回、ヒットと2つの四死球で一死満塁のピンチに陥る。しかし五番・嶋田好高、六番・高田泰輔を三振に切って取りここを凌いだ。愛媛MPは2回表、一番・長崎準平の右前安打に二塁から比嘉将太が本塁突入を狙う。しかし右翼手・洋輔の好返球に阻まれ本塁で憤死。チャンスを作りながらも1点を奪うことができない。
4回裏、香川OG打線が愛媛MP先発・近平省吾を捉えた。六番・金井雄一郎、七番・西森将司、八番・キム・キテの3連打で一死満塁とする。九番・生山裕人の打球は投ゴロとなり近平が本塁へ送球するが、捕手・松原準が一塁へ悪送球。この間に西森が生還し1点を先制した。
愛媛MPは塚本から1点が奪えないまま終盤を迎える。9回表から塚本に代わりマウンドに登った橋本亮馬から、七番・比嘉将太が左翼線へ二塁打を放ち望みをつなぐが、八番・安達哲郎は二ゴロに倒れ、ここで万事休すとなった。
香川OGが1-0で愛媛MPを降し6連勝。愛媛MPは2試合連続の完封負けで3連敗となり、5位に転落となった。


『「何とかしてやろう!という気持ちが見えない」』

結果だけを見ればたった1点差であり、放ったヒットの数も同じ8本ずつである。決勝点となった捕手・松原準のタイムリーエラーを含む3失策が、愛媛MPがこの試合を落とした大きな理由の一つであることは間違いない。

チャンスを作っておきながら、それを見す見す失ってしまう走塁失敗もあった。
6回表、一死一、二塁から五番・嶋田好高の打ったセンター前へのテキサスヒットは、中堅手・笠井要一が追い着けるか追い着けないかという微妙な当たりとなる。芝生に落ちたボールを拾い上げた笠井がボールを三塁に送球し、二塁走者の大津慎太郎がフォースアウトとなった。
7回表、四球で出塁した中川慧陽の代走に出た安達哲郎が二盗を成功させる。しかしまだ遊撃手の丈武がボールを持ったままなのに離塁してしまい、タッチアウトとなってしまった。

「ああいうことやってちゃ勝てないですよね」
長かった試合後のミーティングを終えた沖泰司監督(愛媛MP)に話を聞いた。

「何とかしてやろう!という気持ちが見えない。ピッチャーはよく投げました。(今日の負けは)野手です。間違いなく。初回の満塁の場面でもそう。何とかすることができない。あれが大きかった」
決して好調ではなく、制球に苦しむ香川OG先発・塚本浩二からつかんだ一死満塁のチャンスで、打者2人が揃って三振に倒れた。獲ると獲らないでは大違いの試合の主導権を、ここで奪うことができなかった。

「初球から積極的に振って行くことができていない」
(昨日も金子圭太の変化球を見逃してしまう場面が多かったです)
「そうです。まだまだ若いチームですから、これも経験なんでしょうが、もう結果を出さなくちゃいけない時期に来てる。3年目、4年目の選手はもう終わりですから。ピッチャーは6チームの中でも揃ってると思うんですよ。先発がダメでも中継ぎのピッチャーがなんとかできる。だから、相手の先発を叩きさえすればなんとかなるのに、それができない。連勝して自信つき始めたかな?と思ったら、こういう風になる」
指揮官の苦悩も続いている。

ミスはもちろんだが、敗れた大きな理由はここ一番で打てない野手にこそあると監督は答えた。クリーンナップ3人が放ったヒットの数はこの3試合でたった4本である。22イニング無得点と、勢いに乗っていた7月の6連勝の頃の勢いが完全に消えてしまっている。

2試合連続の完封負けで順位を2つ下げてしまった。試合終了後の三塁側ダッグアウトには何とも言えない重苦しい雰囲気が漂っていた。言葉少なげな選手たちを乗せたパイレーツのバスが、3往復目となった高松から松山への道のりに向け、サーパススタジアムを出て行った。



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2008/08/10(Sun)

「腕がよく振れてました」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.9. 香川OG 3-0 愛媛MP <サーパススタジアム>

愛媛MP 000 000 000| 0
香川OG 010 100 01×| 3

勝 金子 9勝4敗
敗 高木 6勝7敗

バッテリー
愛媛MP 高木、篠原、宇都宮、入野 ‐ 梶原
香川OG 金子 ‐ 堂上

ホームで4連勝と好調な香川OGが、愛媛MPとの3連戦にまず1勝を挙げた。サーパススタジアムはほとんど風が無く、湿度が高い。少し動けばすぐ汗が噴き出すような厳しいコンディションの中で試合が始まった。
2回裏、愛媛MP先発・高木大輔から九番・笠井要一が三遊間を破り香川OGが先制点を挙げる。4回裏にも八番・藤井勇希の左前適時打で追加点を奪う。今季入団した2人のバットで2点のリードを奪った。
香川OG先発の金子圭太はテンポ良い投球を続け愛媛MP打線を完璧に封じ込むと、前半5回をパーフェクトに抑えた。6回表に七番・嶋田好高にヒットを許したものの、それ以降は四球一つだけとほとんどチャンスを与えない。
香川OGは8回裏にも四番・丈武の左翼フェンスを直撃する二塁打で1点を加え、試合を決めた。3-0で香川OGが愛媛MPを降し5連勝。3位に浮上した。金子は自信最多となる9勝目を今季2度目の見事な完封勝利で飾っている。


『「腕がよく振れてました」』

ブルペンでの金子圭太(香川OG)の調子は決して良くなかったのだそうだ。
球は走っていない。変化球のコントロールは定まらない。加藤博人コーチも、
「これはえらいことになるんじゃないか…」
そう思っていたと言う。

だが、そんな時ほどいざ本番では分からないものだ。
変化球でストライクを取りながら、愛媛MP打線を次々とねじ伏せて行く。5回を終って打者15人、誰一人として出塁させていない。5回表の3人目のバッター、六番・梶原有司の打った低いセンターライナーを、思い切り前に突っ込んだ中堅手・笠井要一がスライディングキャッチした。マスクを被っていた堂上隼人も
「あ、運があるのかな」
と感じていた。

あわや完全試合である。大記録はグラウンド整備明け、6回表の先頭バッター七番・嶋田好高のセンター前テキサスヒットによって夢と消えたが、愛媛MP打線は金子の前に1本の安打しか記録することができず完敗を喫した。

「腕がよく振れてました。ストレートで空振りが取れるなんて珍しい」
1回から8回まで、三振は毎回の8つ。球速こそ140km/hを越してはいないが、変化球とのコンビネーションでストレートを早く見せた。カーブでカウントが取りながら、スライダー、フォーク、ツーシームが面白いように決まった。
「(チームの)4連勝を止められないってのはちょっとありましたね。僕でストップできないですから。愛媛に前回KOされてて(6月14日、今治)。前期の終わりなんですけど、優勝がかかったくらいで。嶋田にホームランを打たれました。それは取り返したかった。低目に変化球を集めれば遅いストレートも活きる。早く感じさせることができますね」

今季、万全のスタートだった訳ではない。昨秋に手術したヒジのリハビリから始めた今シーズンである。
「春先は指にかかってなかったのが、このところしっかりかかってきた」
堂上もそう語っている。

昨年、1つの負けも記録しなかった男が、今年は手痛い失点を浴びるシーンが何度かあった。調子を完全に取り戻すまでは時間がかかった。だが、ようやく本来のピッチングが戻って来た。

思い切って腕を振りたいからヒジにメスを入れたのだ。
「最近、結構腕が振れ始めてる…」
一つの困難を乗り越え、再び手にした充実のピッチングが生んだ自信の一言だった。



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2008/08/09(Sat)

フォークボール

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.8. 香川OG 3-7 愛媛MP <サーパススタジアム>

愛媛MP 010 010 000| 2
香川OG 000 004 02×| 6

勝 福田 6勝3敗
S 橋本 5勝3敗3S
敗 川西 5勝8敗1S

バッテリー
愛媛MP 川西、宇都宮、森 ‐ 梶原
香川OG 福田、安達、橋本 ‐ 西森

3試合連続完封負けの悪夢となった長崎遠征からホーム・サーパススタジアムに戻り福岡RW相手に3タテと、前期の覇者・香川OGがようやく勢いを取り戻しつつある。現在2位を走る愛媛MPを迎え、ホームでの3連戦に挑んだ。
共に中6日の登板となった香川OG・福田岳洋と愛媛MP・川西祐太郎が先発のマウンドに登る。防御率争いでも5位、6位に並んでいる。
2回表、左前安打で出塁した六番・高田泰輔を九番・梶原有司が三遊間を抜く適時安打で還し、愛媛MPが先制点を奪う。5回表にも三番・檜垣浩太の適時中前打で二塁から大津慎太郎が還り2点目を挙げた。
6回裏、ここまで香川OG打線を2安打に抑え込んでいた川西がリズムを狂わせる。二死から一番・洋輔を歩かせると、二番・金井雄一郎が左翼線に安打を放つ。スタートを切っていた洋輔が三塁を陥れると、三番・堂上隼人の左前テキサス安打で1点を返した。さらに二死満塁とした後、五番・国本和俊は左中間を大きく破る走者一掃の三塁打を放ち、この回一挙4点を奪った香川OGが逆転に成功した。
香川OGは8回裏にも愛媛MP三番手・森琢哉から国本が2点適時打となる左前安打を放ち、リードを4点に拡げる。7回を2失点で踏ん張った福田に代わり、香川OGベンチは8、9回を安達輝誠、橋本亮馬の継投で逃げ切った。
香川OGが6-2で愛媛MPを降し4連勝。長崎Sに並ぶ同率4位に浮上している。


『フォークボール』

先発のマウンドに登った福田岳洋(香川OG)は序盤から飛ばしていた。
先頭バッター・大津慎太郎に対し投じた初球のストレートが時速141km/hを表示する。この試合で福田の最速となる143km/hは、まずこの回に記録された。決して良いコンディションだった訳ではなかった。身体にキレが無い。だからあえて思い切って投げた。

1回表のマウンドで解ったことは、変化球でカウントを取れるということと、真っ直ぐは悪くないということだった。真っ直ぐでなら打ち取れる自信がある。しかし、気になっていたのはフォークボールが落ちていないことだった。

2回表に失点を許してしまう。だが、3回表辺りから多く使い出した100km/h台のカーブが面白いように決まり始める。ファーストストライクを取りに行くと、愛媛MPのバッターがこれに手を出して来ない。4回表には五番・嶋田好高、六番・高田泰輔、七番・比嘉将太の3人を三者三振に切って取った。

自責点にはならなかったが、5回表に追加点を奪われた。
「長崎戦の後に打線がようやく乗ってきてたんで、2点取られても取り返してくれると思ってました」
福田の願い通り、6回裏に味方打線が4点を奪い返し逆転してくれた。
「この試合のキーになるのは次の7回表だ」
そう思っていた。

七番・比嘉、八番・長崎準平を打ち取った後、九番・梶原が今日2本目のヒットをレフト前へ運ぶ。一番・大津への2球目が暴投となり、梶原が二塁へ進む。大津は6球目をセンターに弾き返し、同点のランナーとなった。二死一、三塁。だが、この状況に福田はまったく慌てることがなかったと言う。
「フォークが抜け出してて、でも西森がワンバウンドでも絶対止めてくれると思ったんで…」
二番・安達哲郎を変化球で追い込むと、カウント2-1からの4球目、勝負に行ったボールはフォークボールだった。外角低目に鋭く落ちたボールを捉えられず、バットが空を切る。ショートバウンドを止めた西森が素早くボールを拾い上げ、一塁へと送球する。

2点のビハインドを打線が跳ね返したその後、野球において大事な「流れ」を渡してしまうことなく、このイニングを守り切った。6回を終わって福田の投球数は95。7回が最後のイニングだった。福田にとっても香川OGにとっても、この試合を取るために最も大事なヤマはこの場面だった。
加藤博人コーチが言う。
「福田は抑えられるコツをつかんだんじゃないかな」

フォークボールは見事に落ちてくれた。信じた女房役も身体でボールを完璧に止めてくれた。マウンドを降りてきた福田が、一塁側のファウルラインの辺りでマスクを取った西森と拳を突き合わせていた。



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2008/08/09(Sat)

四国・九州アイランドリーグ NPB交流戦
2008.8.5. 阪神タイガース二軍 5-3 高知FD <鳴尾浜球場>
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2008/08/09(Sat)

四国・九州アイランドリーグ NPB交流戦
2008.8.5. 阪神タイガース二軍 3-2 四国・九州IL代表 <鳴尾浜球場>
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2008/08/08(Fri)

集中力

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.3. 徳島IS 3-7 長崎S <オロナミンC球場>

長崎 100 111 300| 7
徳島 001 110 000| 3

勝 ソリアーノ 2勝6敗
敗 片山 2勝10敗

バッテリー
長崎 松田、土田、ソリアーノ、酒井 ‐ 藤本
徳島 平野、片山、佐藤 ‐ 加藤、矢野

後期初顔合わせとなった3連戦を1勝1敗とした後の3戦目である。
徳島ISの先発・平野誠は初回いきなり制球を乱す。2つの四死球でランナーを溜め、五番・松原祐樹に中前打を浴び1点を失った。だが、長崎S先発の松田有二も3回裏、二番・大二郎に右前適時打を喰らい同点を許す。
試合は3回裏から6回表まで、両軍が共に1点ずつを奪い合うシーソーゲームとなった。
7回表、4-3と長崎Sが1点リードの場面で徳島ISの三番手・片山正弘が捕まる。六番・藤本博史の左前テキサス打、七番・高井啓行の右中間を破る三塁打、八番・熊本誠也の一、二塁間を破る3連打で3点を奪いリードを4点に拡げた。
6回裏からマウンドに登った長崎Sの三番手・ソリアーノの前に徳島IS打線は得点を奪うことができず、最終回も酒井大介の前に無得点のまま攻撃を終えた。
長崎Sが7-3で徳島ISを降し、徳島でのビジター戦を2勝1敗と勝ち越して乗り切った。この結果、首位・高知FDから4位・長崎Sまでの4チームが、ゲーム差1.5の中で争う大混戦となっている。


『集中力』

3回裏に徳島ISが大二郎のタイムリーヒットで同点に追い着いて以降、両軍が毎イニングごとに得点を獲り続けた。5回を終了してスコアボードには、5つの「1」が連続して並ぶ。実は長崎Sが得点した4回表、5回表、先頭バッターは出塁していない。粘り強くチャンスを作り、そこから1点を奪い取っている。

グラウンド整備の小休止が明けた6回表、この回も先頭バッターは出塁できなかった。だが、八番代打・熊本誠也が一、二塁間を破り出塁する。九番・森部英人はセンターフライに倒れた。一番・雄飛(長崎S)の打席の3球目に熊本がスタートを切る。二死二塁、カウントは2-1。雄飛の耳にベンチの藤本コーチからの声が飛び込む。

「肩を開くな!手で払え!」
変化球に対し右肩が開いてしまい、フォームが崩れていた。その声に腕を使って前でボールを捉えることを意識する。4球目に来たストレートを弾き返すと、マウンドに立つ片山正弘の足元を抜け、打球がセンターへと転がって行った。

雄飛にとってはこの打席が一番集中できていた。理由もあった。
「やっと(打率が)3割に達して、それが気になってここで落としたくなかった。しかも大事な場面だったから一番集中しましたね」
この試合に入るまでの打率が.299、1打席目のヒットで3割に達している。3打席を終っての打率はちょうど3割。ここで打率を下げたくない。その想いが打席での集中力につながっていた。

雄飛だけではない。3回から6回にかけての一進一退の攻防の中、切れてしまうことの無かった長崎Sベンチの集中力がこの試合を分けた。ソリアーノの好投の前に徳島IS打線が抑え込まれる中、7回表に3点を奪って突き放し、試合を決めている。9回表にも無死二、三塁のチャンスを作り、最後まで攻める気持ちが途切れなかった。

勝ち越しのセンター前ヒットの次の打席にも雄飛はヒットを放ち、ただ一人3安打を放っている。
試合後、
「やっぱ一番なんで、得点に絡みたいですね」
と笑顔を見せた。
5打席を終えて、残した打率は.312である。



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2008/08/03(Sun)

「疲れてはないです」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.2. 香川OG 5-1 福岡RW <サーパススタジアム>

福岡 001 000 000| 1
香川 400 100 000| 5

勝 金子 8勝7敗1S
敗 中江 7勝8敗

バッテリー
福岡 中江、大澤 ‐ ショウ、瓜野
香川 金子、橋本 ‐ 堂上

昨日、福田岳洋の完封勝利で香川OGの連敗が止まった。逆に福岡RWは連敗し、首位の座を明け渡している。3連敗は是が非でも避けたい。
福岡RWは先発に、7月を負け無しで乗り切った中江信を送る。だが初回、いきなり香川OG打線に捕まってしまった。
一番・洋輔の中前打、さらに2個の四球で満塁にすると、五番・国本和俊の打球は三遊間へのゴロに。これに追い着いた遊撃手・國信貴裕が三塁へ送球するが、三塁手・陽耀華が落球し(記録は國信の失策)洋輔が生還。続く六番・西森将司の左前適時打、七番・金井雄一郎の2点適時中前打により香川OGがいきなり4点を奪った。
3回表、福岡RWが反撃に出る。香川OG先発・金子圭太から一番・國信が右翼線二塁打を放ち出塁すると、三番・西村悟の三ゴロの間に國信が還り、1点を返した。
しかし4回裏、遊ゴロ失策で出塁した一番・洋輔を三番・堂上隼人が右犠飛で還し、福岡RWを再び突き放した。
3回以降、金子の前にチャンスを作ることのできない福岡RWは、7回表に迎えた二死一、二塁の場面にもあと1本が出ない。7回裏からマウンドに登った左腕・大澤亮が香川OG打線を無失点に抑え打線の反撃を待つが、8回から金子に代わった二番手・橋本亮馬が福岡RW打線をピシャリと締めた。
香川OGが5-1で福岡RWを降し、ホームで連勝を果たした。


『「疲れてはないです」』

26日に高知FDとのデーゲームで8回を投げ、29日のフューチャーズとの交流戦でも2回を投げている。中2日の後、中3日での登板だ。
森山良二監督は、できることなら中江信(福岡RW)を休ませたいと思っていた。しかし、ただでさえ投手の数が少ない台所事情の中、先発ローテの核である角野雅俊までケガで離脱している。止むを得ない判断だった。

「この前投げさせて、フューチャーズ戦でも投げてる。疲れはあると思います。最初にヒットを打たれて、枡田(二番・枡田克也)のフォアボールの時に嫌な感じがした」
森山監督が感じた通り、中江が初回に4失点してしまった。この4点があまりに大きく福岡RWに圧し掛かり、そして最後まではね返せなかった。森山監督が続ける。
「なんか選手が疲れてるのか、粘りが無い。高校野球じゃないですけど、一球に対する執着心が無いっていうか…」

序盤にショート・國信が3失策を喫している。一つは追加点へと繋がってしまった。三塁手・陽耀華への送球がランナーと交錯してしまったり、レフトに入った荒木康一とのコンビネーションが良くなく、フライを落球してしまうなど、簡単には攻められないエラーもあった。このリーグで4年目を数え、守備のうまさには定評のある國信だけに、コンディションの悪さを想像させてしまう。

「疲れてはないです。トモや角野がケガでいなくて、同期なんで「その分頑張らなきゃ」って思い過ぎました」
バットでは2安打を放っている。
「でも、最後ランナーいるところで打たないと(7回表、二死一、二塁。一ゴロに倒れた)、2安打打っても意味無いです」

キャプテンとして、同期の仲間として、動けない彼らの分までやらなければならない。疲れていても「疲れてます」などと言える訳がない。そうやってこの4年間、生き抜いている。

深谷亮二コーチが言っていた。
「まだまだこれからですよ。この後、地獄の9連戦ですからね…」



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2008/08/02(Sat)

「みんなで試合を作りたかった」

四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.8.1. 徳島IS 2-1 長崎S <蔵本運動公園>

長崎 010 000 000| 1
徳島 100 000 100| 2

勝 渡邊 8勝7敗1S
S 竹原 0勝0敗1S
敗 ゲレロ 0勝7敗

バッテリー
長崎 ゲレロ、酒井 ‐ 藤本
徳島 安里、佐藤、渡邊、竹原 ‐ 永井

白石静生前監督の電撃的な辞任から2日、後を託された森山一人監督代行が初めて徳島ISの指揮を執る。相手は香川OGから3戦連続完封勝利を挙げ、波に乗る長崎Sだ。新生徳島ISが5連敗中の泥沼から脱出することはできるか。
1回裏、四球で出塁した二番・大二郎に対し、長崎S先発・ゲレロが投げた一塁への牽制球が高く逸れ、大二郎が三塁を陥れる。二死三塁から四番・小松崎大地の当たりは三遊間を破る適時安打となり、徳島ISが1点を先制した。
立ち上がりをゼロに抑えた徳島IS先発の左腕・安里渉だったが、2回表、五番・安田慎太郎に内角低目のツーシームを左翼スタンドポール際へ運ばれ、すぐさま同点に追い着かれた。だが、立ち直った安里は5回まで被安打2、1失点のまま長崎S打線を抑え続ける。ゲレロも徳島IS打線に連打を許さず、1対1のまま前半を終えた。
6回表、徳島ISベンチが動いた。好投の安里に代えて佐藤学をマウンドに送る。佐藤が6回を打者3人で抑えると、7回表からはエース・渡邊隆洋がマウンドに登った。渡邊は五番・安田、六番・藤本博史、七番・高井啓行の左打者3人をピシャリと抑える。
7回裏、先頭の三番・山口寛史が左前安打で出塁すると、四番・小松崎がきっちりと送りバントを決める。五番・アティングの大きな中飛で山口が三塁へ進むと、続く六番・永井豪の当たりは二遊間へのゴロとなった。二塁手・熊本誠也はこの打球をファンブルしながらもつかみ一塁へワンバウンドで送球するが、一塁へ頭から飛び込んだ永井の方が一瞬速く、徳島ISが勝ち越しの1点を奪った。
8回表も渡邊が打者3人で抑えると、9回表のマウンドには竹原俊介が登った。竹原は先頭の二番・熊本に死球を与え出塁させると、三番・外間修平が送りバントを決める。続く三番・林孝明の一ゴロの間に熊本が三塁へ進む。二死三塁、一打逆転の場面に打席に立った五番・安田だったが、竹原のシンカーの前に空振り三振に終わり、1点を守り切った徳島ISが2-1で長崎Sを降した。
7、8回を6人で抑えた渡邊が8勝目を挙げ、竹原が今季初セーブを記録した。徳島ISは7試合ぶりの勝利で連敗を「5」でストップし、見事森山監督代行の初陣を飾った。


『「みんなで試合を作りたかった」』

「チームの成績がこういう結果で白石監督に迷惑を掛けました。やってることは何一つ変わらないです。ピッチャーが全力で投げ、野手も全力疾走しました。それがこの1勝につながったと思います」
ヒーローインタビューに異例の選手全員が顔を見せる中、キャプテンである大二郎はスタンドに向かってこう話しかけた。

シーズン途中での監督辞任劇が徳島ISの選手たちに与えた衝撃はあまりにも大きかった。選手全員の前で白石監督自ら「辞めることになったから…」と発表があったのは27日、福岡RWに3タテを喰らって敗れた直後のミーティングだったという。そのまま動けなくなってしまった者、一目をはばからずに涙する者、選手たちが動揺していたのは明らかだった。まだ照明の落ちていない蔵本球場の芝生の上に選手たちを座らせ、森山一人コーチは
「今まで自分たちがどういうことをやってきたか。その結果がこうだ。考えなさい」
と言ったという。

今日の試合に先発を指示された安里渉が言う。
「この試合で燃えない訳ないですよね。森山さんにも乗せてもらいました。『最年長のお前に任した。見せてやれ』って」

初回に三遊間を破るタイムリーヒットを放ち、先制点を生んだのは四番・小松崎大地だった。
「今日の試合はこれまでの中でも一番大事な、意味のある試合だと思ってました。やってることは何も変わってないんで。何らかの結果を出したいって気持ちはみんなあったと思う」

5回が終わり、得点は1対1。安里は3回辺りからチェンジアップが決まり出し、長崎S打線をヒット2本に抑えていた。だが、6回表のマウンドに登ったのは好投を続ける安里ではなく、佐藤学だった。
「1イニングだけでいいんだから、しっかり抑えて来い!」
森山監督代行からそう言われていた。

7回表からは左打者が続く。森山監督代行はここでもピッチャーを代える。
日曜日に2イニング、さらに火曜日の交流試合で2イニングを投げている渡邊隆洋をマウンドに送った。
「いろんなことが今週はあったし、2008年の今シーズンが始まってから、白石さんが何度も言ってたのは『ここに何しに来たか?何のためにここにいるのか?』でした。その気持ちは明確になったし、森山さんが常々言ってる『どうなりたいのか?』だとか、自分がこうなりたい!って姿を見せなくちゃいけない」
左打者3人に対し、1人の出塁も許さず12球で7回を終えた。

今朝、菊地トレーナーを加えた首脳陣4人で開いたミーティングで出た結論は、「(福岡RWの先発)ゲレロに対しチャンスは少ない」ということだった。衣川幸夫コーチからの「少ないチャンスをなんとかしたい」という意見があった。

7回裏、レフトへのクリーンヒットで出塁した山口寛史を四番の小松崎がバントで確実に送る。二死三塁とランナーを進め、二遊間へのゴロを打った六番・永井豪が頭から一塁ベースに向かって飛び込んで行った。ガムシャラになって獲りに行った1点だった。

7回、8回と左打者6人を渡邊が完璧に凌いだ後、最終回のマウンドに登ったのは竹原俊介である。二番・熊本誠也の内角をえぐる厳しいボールがユニフォームをかすった。三番・外間修平にバントを決められ一死二塁。四番・林孝明は一塁ゴロに打ち取ったが、熊本が三塁へ進む。これで二死三塁。ランナーが還れば同点である。

6月21日に登板した長崎S戦で、ストレートを弾き返され失点した記憶がある。五番・安田慎太郎に対する初球にシンカーを投げようと思ったが、それを思い出しやめた。シンカーは決め球に使おうと考えた。
「藤本さん(六番・藤本博史)に回したくなかったんで、ここで勝負だと思ってました。今週シンカーに取り組んでて、カウントも収まったんで」
カウント2-0からの3球目、勝負に行った。少し抜いたシンカーが外角へ逃げながら落ち、タイミングを狂わされた安田のバットが空を切った。
「このゲームは落とせないゲームって、森山さんからも言われてたんで…」
ヒット2本に長崎S打線を抑えた投手4人のリレー、その最後を締め括ったのは竹原の見事なシンカーだった。

森山監督代行が語った。
「よく2安打に抑えてくれたと思う。みんなでなんとか試合を作りたかった。ピッチャーは刻んで行こうと思ってました。白石監督に(投手陣を)指導してもらってきた結果だし、それも見せたかった。後期に入って(自分が)三塁コーチャーに立たなくなって、お見送りの時なんかにお客さんから『もう諦めてんの?』って言われることもあったんです。そういう気持ちはさらさら無くて。一日のほとんどあいつらと一緒にいて、伝わらないのが歯痒かったり…」

何も変わっていない。これまでやって来たことを続けて行くだけだ。やって来たことは決して間違っていない。

全員が並んだヒーローインタビューが終った。
「よーし!お見送り行こう!」
ベンチの中から森山監督代行の声が掛かった。



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2008/08/01(Fri)

代表の誇り

四国・九州アイランドリーグ NPB交流戦
2008.7.29. フューチャーズ(イースタン・リーグ混成チーム) 4-7 四国・九州IL代表 <ロッテ浦和球場>

IL 300 022 000| 7
FT 002 000 101| 4

バッテリー
IL 西川、渡邊、中江、松居、上里田 ‐ 堂上、永井、飯田
FT 津田、黒滝、深沢、鈴木、染田、江口、橋本 ‐ 佐藤、銀次

本塁打
IL 比嘉2ラン(1回、津田)、YAMASHINソロ(4回、黒滝)
FT 山本光ソロ(7回、松居)、山本光ソロ(9回、上里田)

四国・九州IL代表先発メンバー
二 YAMASHIN(高知FD)
遊 荒川(福岡RW)
右 西村(福岡RW)
捕 堂上(香川OG)
三 比嘉(愛媛MP)
D 中村(高知FD)
左 金丸(徳島IS)
一 林(長崎S)
中 梶田(高知FD)


東京から埼玉・ロッテ浦和球場へと場所を代え、フューチャーズと四国・九州IL代表チームとの交流戦、第2戦が行われた。伊藤秀範(東京ヤクルト)、小林憲幸(千葉ロッテ育成)、宮本裕司(千葉ロッテ育成)、白川大輔(千葉ロッテ育成)など、ILを卒業して行ったメンバーも多く観戦に訪れる中、12:00ちょうどにプレイボールが掛けられた。
初回からIL代表がその攻撃力を発揮する。フューチャーズ先発・津田から一番・YAMASHIN(高知FD)が遊内野安打で出塁すると、二番・荒川大輔(福岡RW)への初球に二盗を成功させ、さっそくその機動力を発揮する。四番・堂上隼人(香川OG)は初球を叩くと、右翼線へ弾き返しての適時二塁打となりYAMASHINが生還。さらに五番・比嘉将太(愛媛MP)が左翼スタンドへ2ランを叩き込みIL代表が3点を先制した。
IL先発の西川徹哉(高知FD)は2回を無安打、無失点で抑えるが、3回からマウンドに登った左腕・渡邊隆洋(徳島IS)がフューチャーズ打線に捕まる。八番・山本光、九番・梅田に連続安打を許すと、二番・内村が一、二塁間を破り二塁から梅田が生還。三番・枡田の遊ゴロ併殺崩れの間にもう1点を奪われ、2点を失った。
4回裏、フューチャーズの二番手・黒滝から八番・林孝明(長崎S)が右中間へ二塁打を放つと、続く九番・梶田宙(高知FD)の打球が右翼手の頭上を越える間に林が生還。梶田は一気に三塁を狙ったが右翼手・関口からの好返球によりタッチアウトとなった。ILの連打はここで終らない。一番・YAMASHINが右中間スタンドへソロ本塁打を叩き込み、この回2点を奪い返した。
5回表には三番手・深沢和帆から六番・中村龍央(高知FD)が左翼線へ適時二塁打を放ち1点を。七番代打・洋輔(香川OG)がバックスクリーン近くまで飛ばす犠飛を上げ、もう1点を追加。リードをさらに5点へと開く。
5、6回を中江信(福岡RW)が無失点で乗り切るが、7回裏のマウンドに登ったILの四番手・松居伊貴(香川OG)は最初の打者、八番・山本光に左翼スタンドへのソロ本塁打を浴び1点を失う。4点リードで迎えた9回裏のマウンドに登ったクローザー・上里田光正(高知FD)も山本光に2打席連続となるソロ本塁打をバックスクリーン左に叩き込まれ、1点を献上した。
しかし上里田は後続をきっちり切って取り、IL代表が7-4でフューチャーズに勝利した。フューチャーズに連勝したIL代表は、今季行ったNPBとの交流戦に負け無しの5連勝。関東でもNPB相手にその実力を大いにアピールする結果となった。


『代表の誇り』

フューチャーズを指揮した玉木重雄巨人育成コーチに、「この2試合を通じて四国・九州IL選抜チームから感じたものは何ですか?」と尋ねた。
「必死さがある。こっちが「もっと必死にやれよ!」と言わなきゃいけないんですが…。彼ら(フューチャーズ)だって時間は無いんです。2年か1年しかない」

NPBという世界で一軍を目指すフューチャーズと、そのNPBへ上がりたいと上を目指す四国・九州アイランドリーグ選抜との試合は、アイランドリーグ選抜チームの気迫の方が勝っていた、と言っていいだろう。

試合前、浦和の空は白く曇っていた。風はほとんど無いのだが、四国で感じるような真夏の暑さも無かった。だからと言って選手たちがベストコンディションだった訳ではない。金曜日から数えて5連戦となる疲労はもちろん、もう一つ選手たちを苦しめたものがあった。昨日使用した大田スタジアムは全面人工芝で覆われていたため、普段あまり経験したことのない筋肉の疲労が多くの選手たちの腰に、足に残っていたのである。

「良く眠れましたよ。忠犬ハチ公、見て来ました」
そう話してくれたのは梶田宙(高知FD)だった。昨日の試合後、チームメートたちと渋谷へ食事に出たのだそうだ。一緒に外へ出た西川徹哉(高知FD)も、
「それだけでも凄くリラックスできました」
と話していた。

西川が続ける。
「角中さん(勝也・高知FD→千葉ロッテ)とも電話で話したんですけど、「打たれる相手じゃない」って言ってくれて。失投さえ無かったらそんな打たれないだろうと思ってました」
高知FDから見事NPBへと駆け上がって行った先輩が、NPBの世界で最初に揉まれたグラウンド、それがここロッテ浦和球場だ。先発し、2イニングを無安打、無失点。納得の行くピッチングができた。
「これで100%。今日はこれはこれで。また次ですね」
そう言いながら、ホッとした表情を見せていた。

渡邊隆洋(徳島IS)がリーグ1年目にコーチとして指導を受け、幾度と無くブルペンでボールを受けてもらった定詰雅彦コーチは今、千葉ロッテの二軍バッテリーコーチだ。
「定さんから電話で『絶対に諦めるな!』って言ってもらいました。ノリ(小林憲幸・千葉ロッテ育成)にも宮本さん(裕司・千葉ロッテ育成)にも伊藤さん(秀範・東京ヤクルト)にも会えたし。やっぱ、あのユニフォーム姿見るとカッコいいなって思う」
かつて同じ想いを胸に汗を流し、上へと登って行った友と再会した。3年前、定詰コーチが「一番伸びると思う」と言い切ったのは渡邊だった。自分が絶対に行かなければならない場所の確認ができたはずだ。
「ランナーを背負った場面で、ダブルプレーを獲るためにゴロを打たせるっていう課題があって、コースが甘いから間を抜けてヒットになったんですけど、クリーンヒットではなかった。ゴロを打たせようと意図してる中で、あと少しの課題だと思います」

昨日の大田スタジアムには友達が大勢会いに来てくれた。今日もかつての女房役が観に来てくれていた。アグリあなんスタジアムで7勝目を挙げた後、「上を目指して四国でもがいている姿を仲間にも見て欲しい。だから絶対に次の交流戦に選ばれたい」と語っていた。
今日、フューチャーズの選手たちを見ながら、
「この人たちも上を目指してもがいてんだな…」
と思ったのだそうだ。

中村龍央(高知FD)も、家族が2日続けて応援に駆け付けてくれていた。
昨日二塁打を1本、今日も3打席目に三塁手の頭上を抜く痛烈なタイムリーツーベースヒットを打っている。4打席目にもレフト前へクリーンヒットを放った。家族の前で特別な想いを抱えての打席だったことは容易に想像がつく。ましてや浦和は地元である。
「どうしても(1本)出したかったんで。交流戦は打てるんスよ。公式戦になると打てなくなっちゃうんで…」
羽田へ向かうバスに乗るまでの短い時間、両親、姉たちとのつかの間の再会を楽しんでいた。

これで今季、選抜チームとNPBとの交流戦は5試合を戦って無傷の5連勝である。
今回のメンバーには入団1年目の若い選手も多かった。山崎章弘コーチ(高知FD)が言う。
「みんなそれぞれにいいところが出たと思いますよ。土田も(瑞起・長崎S、第1戦の6、7回に登板し2失点)点は獲られてるけど、責任の中で托された仕事はしてるし。松居も(伊貴・香川OG、第2戦7、8回を投げ、本塁打1本を浴び1失点)打たれはしたけど良かったですよ。ぼくら敵から思っても」
ただ勝利しただけでなく、それぞれに得たものの大きな2試合だった。

選抜チームとして挑んだ初の関東遠征が終った。
来週には阪神二軍とのNPB交流戦が行われる。また新しいメンバーが選ばれる。
「アイランドリーグ『代表』の試合ですから。そういう気持ちでやってます」
そう言ったのは今日四番に座り、先制のタイムリーツーベースヒットを放った堂上隼人(香川OG)だった。

四国・九州アイランドリーグ選抜チームではない。
四国・九州アイランドリーグ代表チームである。
その誇りがある。



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