スポーツライター高田博史オフィシャルblog。 四国・九州アイランドリーグを現場取材!※たまにCMも
サプライズ
2008年07月21日(月) 12:15
四国・九州アイランドリーグ 後期公式戦
2008.7.20. 徳島IS 1-3 福岡RW <アグリあなんスタジアム>

福岡 020 001 000| 3
徳島 100 000 000| 1

勝 角野 9勝5敗
S キム 0勝0敗10S
敗 梅原 2勝3敗2S

バッテリー
福岡 角野、西村拓、キム ‐ 富岡
徳島 梅原、竹原 ‐ 加藤、矢野

首位の座は1日で陥落したものの、後期早くも5連勝を達成し波に乗る福岡RWが敵地・アグリあなんスタジアムに乗り込んだ。後期初となる徳島ISとの対戦である。
1回裏、福岡RW先発・角野雅俊の立ち上がりに五番・アティングが右前へ適時安打となるテキサス安打を放つ。二塁から山口寛史が生還し、徳島ISが先制点を奪う。
しかし、徳島IS先発の梅原伸亮はこのリードを守ることができない。2回表、一死一、二塁と走者を溜めた後、八番・富岡拓也に走者一掃の右越え三塁打を浴び逆転を許す。福岡RWは6回表にも四番・山本健士の右翼線二塁打で追加点を奪った。
角野は6回1失点でマウンドを後続に譲る。7回を西村拓也、8回からキム・ムヨンが徳島IS打線を無得点に抑えた。
福岡RWが3-1で徳島ISを降した。徳島ISは愛媛MPと入れ替わり、単独最下位に転落している。


『サプライズ』

主将・國信貴裕が語る。
「必死でしたね。『絶対勝たなきゃ!』と思って…」
福岡RWには今日の試合に何としてでも勝たなければならない理由があった。

今日が森山良二監督45回目の誕生日であることは、試合前のミーティングでも話題に登っている。
「ウイニングボールはプレッシャーがかかると思って言わなかったんですよ。結果じゃなくて、ハツラツとしたプレーをして欲しいとだけ言いました」
監督は選手たちにそう言ったが、選手たちは勝利で監督の誕生日を祝いたい。先発の角野雅俊も試合前、
「監督のために投げます」
と一言残してウォーミングアップを開始している。

先発マスクを被ったのは富岡拓也である。
「試合前にチームで『何としてでも勝とう!』と話したんですけど、初回に意識しすぎて「逆に負けられない」と思ってしまって。まずチームの勝利のために、とりあえず一生懸命やろうと切り替えました」
最初の打席で、自ら2点タイムリーとなる三塁打を放つ。これで気持ちに余裕ができた。
「角野さんは変化球の球種もたくさんある。向こうのバッターが真っ直ぐに合わせてたんですけど、それを打ち取れたのが大きかったです」
点を取った後の2回裏の守備、さらに6回の守備に特に気を使った。角野をリードしつつ、自分の気持ちも切らせないように神経を集中させた。

試合終了後、三塁側ベンチの前に全員が整列し、手拍子と共に『Happy birthday to you』が歌われる。
「監督!誕生日おめでとうございます!」
そう叫びながらバースデーケーキの入った箱を抱えた國信がダッグアウトから飛び出し、グラウンドに出たところで頭からすっ転んだ。その直後、キャンドルの灯された本物のバースデーケーキを抱えた荒川大輔が現れ、拍手と共に監督にプレゼントされた。
「まさかケーキまで…。嬉しいですね!勝って誕生日を祝うって、現役の時にもなかったと思う」
監督を真ん中にしての記念写真撮影が終ると、ウイニングボールとケーキをベンチに並べ、監督も携帯で写真に収めていた。

荒川大輔が発案したアイデアである。
「こんなことしかできないから…」
切り分けたケーキを頬張りながら、一言そう言った。愛媛、徳島と移動しながらの4連戦の真っ只中だ。今朝、宿舎とした愛媛のお寺を出発し、阿南に到着してすぐ試合前の練習に入っている。誕生日を祝う準備などままならない中で、これが精一杯のサプライズだった。

勝たないと監督に心から喜んでもらうことができない。
自分たちにプレッシャーを懸け、乗り越えた。本当のプレゼントはチーム一丸となってつかみ、贈ることのできたこの1勝である。



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