四国・九州アイランドリーグ
2008.4.5. 徳島IS 1-6 愛媛MP <アグリあなんスタジアム>
MP 000 300 021 | 6
IS 000 000 100 | 1
勝 森 1勝
敗 片山 1敗
バッテリー
MP 森、宇都宮、西川 ‐ 梶原
IS 片山、梅原 ‐ 加藤
6球団となった四国・九州アイランドリーグの2008年シーズン開幕戦は、福岡と長崎のゲームがナイトゲームで行われるため、この一戦で幕を開ける。徳島ISの先発は2年目の片山正弘。愛媛MPも同じく2年目の森琢哉が第1戦のマウンドに登り、共に3回を無失点で終えた。
4回表、愛媛MP打線が火を吹く。四番・檜垣浩太、五番・大島慎伍の連続安打でチャンスを拡げると、六番・嶋田好高が右前に適時打を放ち先制点を奪う。さらに八番・中川慧陽、九番・梶原有司の連続適時打でこの回3点を挙げた。
7回裏、徳島ISが反撃に出る。六番・金谷良太、七番・永井豪の連続安打で無死一、三塁とすると、八番・加藤光成の左前適時打で1点を返した。愛媛MPはさらに無死満塁のピンチを迎えると、森に代え宇都宮勝平をマウンドに送る。宇都宮は一番・金丸勝太郎を三振に取るが、二番・代打斎藤雅俊への3球目が暴投に。これを見た三塁走者・永井が本塁突入を試みたが、本塁上のクロスプレーで憤死し追加点を奪えない。宇都宮は斉藤を中飛に打ち取り、このピンチを乗り切った。
愛媛MPは8回に2点、9回にも片山から代わった二番手、梅原伸亮から1点を奪いさらに点差を拡げる。8回裏からマウンドに登った西川雅人が2イニングを無失点で締め、6−1で開幕戦を白星で飾った。
『4年目の開幕戦』
7回裏、得点は3−1とまだ2点のリードがある。今季最初に登るマウンドが、この試合のおそらく山場になるであろう大事な場面となった。無死満塁。最大のピンチにリリーフとしてマウンドに登った宇都宮勝平(愛媛MP)の表情には余裕などなく、ただ必死で打者に対峙するしかなかった。
スライダーで先頭の金丸勝太郎を空振りに切って獲ると、徳島ISベンチは二番に代打・斎藤雅俊を送る。今季新入団の選手である。カウントが0-2になった後の3球目、捕手・梶原有司はスライダーを要求する。これがショートバウンドとなって梶原がボールを逸らした。三塁走者の永井豪が一気に本塁へと突進する。マウンドから駆け降り本塁のベースカバーに入った宇都宮に、梶原が拾い上げたボールを送る。足からスライディングした永井に宇都宮が弾き飛ばされた。倒れ込んでいる宇都宮のグラブを神谷主審が覗き込み、確認する。ボールは落としていない。永井にアウトが宣告された。三塁側スタンドから大きな歓声と、一塁側スタンドから落胆の声が上がった。
宇都宮のケガの状況確認のため一旦タイムが取られ、バッテリーはベンチへと下がった。
右足の太腿辺りを少し擦った程度で、幸いプレーに支障は無い。梶原はそれを確認すると、すぐにこの後の守りをどうするか考えていた。
なおも二死二、三塁のピンチだ。カウンドは0-3。斎藤を歩かせ、満塁策を採る選択肢もある。歩かせれば次の打者は三番の山口寛史である。ここまで3打数ノーヒットと抑えてはいる。しかし怖いバッターであることもこれまでの経験で十分承知している。宇都宮、梶原、山口。全員がこのリーグで今日まで3年間生き残ってきた選手である。
「山口さんですけど、どうしますか?」
意見を求めた梶原に対する沖泰司監督からの答えは、
「お前たちの好きにしろ」
だった。
マウンドへと戻り投球練習を繰り返している宇都宮に、先程までとは違う冷静さが漂っていた。バッテリーが選んだ選択肢は、「このままこのバッターで勝負」である。梶原が振り返る。
「次が山口さんだし、(山口が)左だってことを考えても、このまま右打者で勝負した方が打ち取れる確率が高いじゃないですか。カッペイさんなら変化球があるから。全部スライダーで勝負しようと思ってました」
要求されたサイン通りに宇都宮がスライダーを投げ込む。斎藤は外角に切れて行くボールを2球とも見送った。カウントが0-3から2-3へと変わった。ラストボールも同じ、外角へのスライダーだった。打ち損じた打球がセンターへと上がり、中堅手・長崎準平のグラブに収まった。
「もう無我夢中で、スラが特別キレてるとかは思いませんでした。梶原のサインに従っただけで・・・」
4年目のシーズン開幕戦に垣間見えたのは、3年間の積み重ねの向こうに今日の開幕の日があるのだという宇都宮と梶原の成長、そして経験だ。
「いいピッチングができたと思います」
1回を投げ、投球数は13。
大事なシーズン開幕戦、最大のピンチを救った宇都宮の顔は満足気だった。

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