スポーツライター高田博史オフィシャルblog。 四国・九州アイランドリーグを現場取材!※たまにCMも
紙一重
2007年09月09日(日) 11:04
四国アイランドリーグ公式戦
2007.9.8. 徳島IS 2-4 香川OG <オロナミンC球場>

勝 塚本 9勝2敗
敗 渡邊 4勝10敗
本塁打 国本5号満塁(8回渡邊)

徳島IS先発の渡邊隆洋、香川OG先発の塚本浩二。両投手が見事な投手戦を披露する。6回終了まで共に無安打無得点投球を続け、息を呑む投手戦となった。
7回裏、塚本は先頭の一番・山口寛史を今日2つ目の四球で歩かせる。一死一塁として四番・小松崎大地が遊内野安打を放つが、遊撃手・三輪正義の一塁への送球が逸れる間に小松崎が二塁を狙う。小松崎は二塁で刺殺されたが、この間に山口が生還し徳島ISが均衡を破った。
しかし8回表、渡邊は先頭の五番・丈武に左前安打を許すと、続く六番・近藤洋輔も三遊間を抜いて続く。七番・ブライスは三塁線にセーフティーバントを決め、香川OGが無死満塁のチャンスをつかんだ。一死満塁とした後、九番・国本和俊の打球は前進守備を敷いていた中堅手・岡嵜雄介の頭上を越えた。走者一掃となり、打った国本も生還。逆転の満塁ランニングホーマーとなった。
徳島ISは9回裏、山口の左翼線三塁打、二番・岡嵜の投強襲安打で1点を返すが反撃もここまで。香川OGが4対2で徳島ISを降した。
徳島ISは球団ワースト記録となる9連敗となった。


『紙一重』

両投手共に今日のマウンドに懸ける強い想いがあった。
塚本浩二(香川OG)は長かったトンネルをなんとか這い出そうともがいていた。
「スカウトのことを意識し過ぎてここ2、3ヶ月良くなかった。だから今日は自分のことだけに集中しようと思ってました」
久々の先発マウンドでもある。ここで結果を出したい。ネット裏に陣取ったNPBのスカウトのことも意識しないよう心掛けた。

今季球団ワースト記録タイの8連敗を喫し、渡邊隆洋(徳島IS)が考えていたのは「ここで連敗を止めたい」それしかなかった。うまく緩急を使い分け、渡邊らしい丁寧なピッチングを続けた。6回までに三振は7つを奪った。

6回まで共にノーヒットノーランを続けた投手戦は、今季二人のベストピッチだったと言ってもいい。先に失点を許したのは塚本だった。
「ストレートが良かった。ブルペンは良くなかったんです。マウンドに立ったらうまいことコースに投げ分けられた。逆に先に1点獲られたのが良かったのかもしれないですね。相手は守ろうとすると思うし」

7回も無安打で投げ切り、味方が遂に1点を奪った後の8回表、渡邊は特に固くなった訳でも気負ってしまった訳でもなかった。
「むしろここを攻め切ろうって。『絶対に出さない』って。(丈武が)ロングヒット狙ってるのは解ってましたから」
しかし、気持ちとは裏腹にコントロールが乱れる。ボールを3つ続け、カウントを悪くしてしまう。この試合で渡邊が最初に喰らった痛烈な当たりがレフトに向かって飛んで行った。

一死満塁の場面で打席を迎えた国本和俊(香川OG)は、西田監督から2つのアドバイスを耳打ちされていた。一つは「強気で行け!」。もう一つは「ゾーンを上げろ」だった。

「塚本さんがテンポ良く投げてたんで、なんとかしたかった。外野フライとかは狙ってませんでした。ただ低く強い当たりを打とうと思って」

初球から果敢に打ちに行き、2球目をセンター深くまで持って行った。必死に背走する中堅手・岡嵜雄介のグラブをかすめることなく、ボールが外野を転々と転がって行く。ランニングホーマーは9月に入って2度目。満塁は「人生初です」と言って微笑んだ。

「丈武さんが還んなきゃいいって。それでもみんながたくさん声掛けてくれて、それに応えたかった」
8回表、ヒットを許した先頭打者・丈武に対し、カウントを0-3にしてしまったことを渡邊は最後まで悔やんでいた。
「連敗を止められなかった。そこだけです。『9回負けろ』って言われても、逆にそっちの方が難しいのに」
この敗戦で連敗は「9」を数えた。徳島ISの苦悩が続く。7回まで見せた好投にも
「結果が出ないとそんなの関係ないですからね」
と言い放った。渡邊の言葉に言いようのない無念さが滲む。

試合後、球場内の通路を歩いていた加藤博人コーチ(香川OG)が言っていた。
「ほんと紙一重。紙一重なんだよ」


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トリックプレー
2007年09月09日(日) 11:03
四国アイランドリーグ公式戦
2007.9.2. 高知FD 2–2 香川OG <土佐山田スタジアム>
※ 9回リーグ規定により引き分け

4回裏、高知FDは四球で出塁した五番・古卿大知が六番・宮本裕司の中前打で三塁へ進む。七番・中村竜央の打席で一塁走者宮本が一、二塁間に挟まれるが、この間に三塁から古卿が生還。高知FDが先制点を挙げた。
7回表、香川OGは高知FD三番手・パチェコを打ち崩す。二死二、三塁とした後、七番・DHに起用されたブライスが来日初安打となる2点適時打を中前に放ち逆転に成功した。
しかし7回裏、二死から八番・日高大輔の右翼線二塁打などでチャンスを作ると、一番・トモが右前に適時安打を放ち高知FDが同点に追い着いた。
8回、9回と共に追加点を奪えず、試合は2対2の引き分けに終わった。


『トリックプレー』

松尾晃雅(香川OG)のピッチングを見ながら、藤城監督(高知FD)は、
「今日の松尾からは点取れんな・・・」
と思っていたと言う。
3回につかんだ無死一、三塁のチャンスも、一、二、三番を外野フライに打ち取られ、得点を奪うことができなかった。

4回裏、一死から五番・古卿大知が四球を選び出塁する。続くバッターは六番・宮本裕司である。実はまったく同じ場面が2回裏にあった。先頭の四番・マサキがセカンドゴロに倒れた後、古卿が四球を選んだところまでまったく同じだ。

しかしこの場面で、古卿はカウント2-1からの4球目に二盗を試み、捕手・堂上隼人に刺殺されている。宮本はセンター前にヒットを放ち出塁したが、続く七番・中村竜央がフォークを振らされ三振。2回裏の攻撃を終えている。

宮本はカウント2-2からの5球目をライナーでセンターへ持って行った。古卿が三塁へ進塁し、一死一、三塁のチャンスが出来上がる。続く七番・中村が粘る。ファールを2球続け、6球目がボールになった。カウントは2-2。

7球目のセットに入った松尾に対し、一塁走者の宮本がスルスルと二塁へスタートを切った。松尾がプレートを外す。二塁手・国本和俊にボールが送られ、一、二塁間での狭殺プレーとなった。その間に三塁走者の古卿が本塁に向かってスタートを切る。宮本は刺殺されたが本塁への送球は間に合わず、高知FDが意外な形で1点を先制した。

「昔、長嶋さんがやったことあるんだよ、トリックプレー。左ピッチャーで一、三塁の時に、転んだフリして」

高知FDベンチから送られた指示はトリックプレーだった。
宮本の二塁へのスチールが成功していればそれはそれで良し。しかし本当の目的は三塁走者・古卿を本塁に還すことにあり、そのためのディレイドスチールだった。「今日の松尾は打てない」と判断した高知FDが正攻法を捨て、奇策で奪った1点だった。

松尾の15勝目は成らず、負けこそつかなかったものの2失点でマウンドを後続に譲った。
「今日は何も言うこと無いッス!」
帰りのバスに乗り込もうとする松尾に、意外な形で奪われた先制点についてコメントを求めると、あのプレーが実はサインプレーであったことに驚きを隠さなかった。
「マジっスか!宮本を挟んだのって、ハメられたんスか!・・・」
愕然とした表情でヒザに手をついた。


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あと20試合
2007年09月09日(日) 11:01
四国アイランドリーグ公式戦
2007.8.30. 愛媛MP 6–3 徳島IS <坊っちゃんスタジアム>

勝 梶本 11勝5敗1S
敗 勝沢 2勝2敗2S

序盤に徳島IS先発の勝沢賢一を打ち崩し3点を奪った愛媛MPは、4回にも徳島ISの二番手・角野雅俊を捉えさらに3点を奪った。野手が奪った大きなリードに愛媛MP先発の梶本達哉も応え、6回までを無失点に抑える。7回表に八番・矢野大天の左犠飛で失点するも1失点に抑え、8回からマウンドを宇都宮勝平に譲った。
徳島ISは最終回、七番・福永泰也の右翼線二塁打などで2点を奪うが反撃もここまで。愛媛MPが6対3で徳島ISを降した。


『あと20試合』

勝沢賢一にとっては、香川OGから徳島IS移籍して初の先発マウンドである。
初回こそ三者凡退に打ち取ったものの、2回に四球で歩かせた五番・檜垣浩太を自らの二つの暴投により本塁へ生還させてしまった。3回には中前安打で出塁させた八番・小田島一樹を送りバントと暴投で三塁に進ませ、一番・グレアム義季サイモンのスクイズにより2点目を。さらに二番・外間修平、三番・比嘉将太、四番・大島慎伍の3連打により3点目を失った。

「先発投手の持つ意味っていうのがあると思うんですけど・・・。試合を作ることができなかった。カウントを悪くしてから甘いところを打たれて。最近のいい流れが出せなかった」

青いユニフォームを纏って初めて登ったマウンドに特別な気負いが無かったはずがない。
2回裏の投球練習の時に投げた変化球の多くがすっぽ抜けていた。矢野大天と組んだ初のバッテリーは決して安定しているとは言えず、2つのイニングで3つのワイルドピッチを記録している。

3回裏、二番・外間に初球を叩かれたセンター前ヒット以外、すべて初球はボールだった。小田島に打たれたセンター前も、比嘉に打たれたライト前も、カウントは0-2からの3球目である。コントロールが危うくなりかけたところを狙われたのは自身も十分理解していた。

「ワイルドピッチになったのはカットボールでした。全部矢野のサイン通りだったんですけど・・・」

不甲斐ない結果となった3イニング48球には大きな悔いが残る。
「この週末にでも、自分が行ける機会があれば行きたい」
この4連戦のどこかで自分に投げさせてもらえるチャンスがあるなら・・・。
試合後の取材中、そんな強い気持ちをはっきりと見せていた。香川OGで好投を見せた中継ぎの感覚はまだ残っている。

これまで培ったもの、ここから見せなければならないもの。
ここまで3年間やってきた集大成を見せられる時間は、あともう1ヶ月しかない。後期公式戦、残された試合数はあと20。


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