スポーツライター高田博史オフィシャルblog。 四国・九州アイランドリーグを現場取材!※たまにCMも
新鮮な驚き
2007年08月07日(火) 18:54
四国アイランドリーグ公式戦
2007.7.29. 徳島IS 6–10 香川OG <吉野川運動公園池田球場>

勝 松尾 10勝2敗
敗 安里 1勝1敗
本塁打 智勝1号ソロ(角野)
    アティング1号ソロ(塚本)

徳島県南では初の四国アイランドリーグ公式戦となった。
序盤、香川OG打線が徳島IS先発・角野雅俊に襲い掛かる。初回に一番・国本和俊の左中間二塁打、五番・丈武の適時中前安打で先制点を奪うと、2回表にも国本の左翼線二塁打で2点を追加した。
3回裏、徳島ISが香川OG先発の塚本浩二を捉える。三番・西村悟が2点適時打となる左前安打を放つと、四番・小松崎大地も中前安打で続き同点に。さらに五番・アティングがチーム合流2試合目にして初の本塁打を右翼に叩き込み4対3と逆転に成功した。
5回裏、香川OGの四番・智勝は左中間にソロ本塁打を放ち同点に追い着いた。
徳島ISベンチは6回から角野に代え、左腕・安里渉をマウンドに送るがこれが誤算に。二番・井吉信也の中前打、三番・堂上隼人の右中間越え二塁打と連続適時打で3点を奪い勝ち越しに成功すると、7回表にも六番・近藤洋輔が三番手・竹原俊介から中越え三塁打を放ち1点を追加した。
7回裏、徳島ISも三番・西村の左翼線適時二塁打などで2点を返すが、8回、9回と香川OGが1点ずつを奪い突き放す。9回裏を岡本健太が3人で締め、14安打を放った香川OGが10対6で徳島ISを降した。


『新鮮な驚き』

すぐそばを清流吉野川が流れる山あいの渓谷にあり、周りは一面緑に囲まれている。徳島県西部にある池田球場で初めて開催される四国アイランドリーグ公式戦だ。巨大な電光掲示板など無い。汗が滴る酷暑の中、しかし球場の周りは明るい活気に満ち溢れていた。池田町の地元スタッフに加え、普段徳島ISの試合をサポートしてくれているボランティアスタッフたちが現地まで赴き、いつもと変わらず試合開始までのスケジュールを滞りなく進めて行く。池田球場で四国ILはその歴史にまた新たな一歩を刻んだ。

目の前で観る公式戦にネット裏のスタンド席に陣取った少年野球チームの小学生だけでなく、大人たちの目も驚きに満ち溢れていた。角野雅俊の投げるボールに溜息が漏れ、智勝が放った左中間への本塁打に、
「あの身体であんだけ飛ばすか!」
そんな感嘆の声も上がっていた。

初めての驚きを覚えたのは池田町の人々だけではなかった。
昨日付けで徳島ISに入団が発表されたオーストラリア人選手2名の内、アンディ・アティングが五番・一塁手として今日の試合に先発出場を果たしている。

昨日、蔵本での愛媛MP戦9回裏、六番・田口大地が打ち上げたフライに目測を誤り落球してしまった。オーストラリア野球連盟環太平洋野球開発部・デニー丸山氏が教えてくれた。
「昨日アンディー、あのファーストフライを落としたのを反省してましてねぇ。『あんな暗い中で野球やったのは初めてだ』って言うんですけど、でも『プロとして言い訳はしたくない。すぐ切り替える』って言ってたんです」

スキー場がオープンし始めたというオーストラリア・ブリスベンを木曜に発ち、成田からバスで羽田へ移動。その夜に高松へ着いた。最も蒸し暑く体力的にも厳しい8月の日本に来て4日目、コンディションが万全ではないこともうかがえる。

第1打席、アンダースロー・塚本浩二に外角へのボール3つで三振に切って取られた。第2打席が回ってきたのは3回裏、3点のビハインドを跳ね返し、なおも西村悟をスコアリングポジションに置いた二死二塁の場面だった。カウント2-3からストレートを捉えた。右へ引っ張った打球が右翼フェンスを越えて行った。

「ガイナーズは強いチームだと聞いていたので、負けてる場面で追い上げることができたのが嬉しい。ナイトゲームよりもデーゲームの方が好きかな。日焼けしちゃうけど」

初めてのスタメン出場でアティングが放った一発は、初観戦した池田町の人々だけでなく、徳島ISのファンに大きな驚きを与えた新鮮な一撃だった。


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薄暮の空
2007年08月07日(火) 00:52
四国アイランドリーグ公式戦
2007.7.28. 徳島IS 3–2 愛媛MP <徳島県営蔵本球場>
※ 9回サヨナラ

勝 小林 2勝3敗1S
敗 浦川 6勝6敗

先制したのは徳島ISだった。2回裏、六番DH・金谷良太が右前安打で出塁すると、八番・矢野大天の適時中前安打により1点を奪う。
しかし3回裏、徳島IS先発の片山正弘は走者を溜め、二番・外間修平に適時右前安打を許し愛媛MPがすぐさま同点に追い着く。
愛媛MPは5回裏にも外間の右中間越え二塁打、三番・比嘉将太の適時左前安打で追加点を奪い逆転に成功。先発の森琢哉は3回以降徳島ISに得点を許さず、7回からマウンドをリリーフ・宇都宮勝平につないだ。
7回裏、先頭の七番・永井豪が中前打で出塁。無死一、二塁となったところで徳島ISベンチは今日登録されたばかりのアティングを代打に送る。アティングは大きな中犠飛を放つと中堅手・グレアム義季サイモンがフェンス一杯まで下がりこれを捕球。連係がもたつく間に二塁走者の永井が一気に三塁を蹴りホームに生還。同点に追い着いた。
8回裏からマウンドに登った愛媛MPのエース・浦川大輔は、一死三塁のピンチも見事に抑えてみせた。しかし9回裏、二死二塁としながら一番・代打加藤光成が右中間を破るサヨナラ安打を放ち、二塁から安里が生還。徳島ISが3対2のサヨナラ勝ちで愛媛MPを降す劇的な幕切れとなった。


『薄暮の空』

7回裏、これが入団して最初の打席となった代打・アンディ・アティング(徳島IS)の打球は、最も見えにくい薄暮の空へと高く舞い上がった。背走しながら打球を追った中堅手・グレアム義季サイモン(愛媛MP)の目に正確な打球の位置は確認できていない。上がった打球の軌道を頼りに外野フェンス近くまで必死に打球を追うと、伸ばした左手のグラブにボールを捕った感触があった。

「グローブに入ったのが奇跡ですよ。あの時間帯は(打球が)全然見えない。白い雲と黒い雲があって、黒いところならなんとかなるんですけど、白い雲にかかったら絶対見えないっスよ」

6月8日の西条ひうち球場でこんなシーンがあった。
初のナイター開催となったこの日、光量の決して十分だとは言えない照明の下で愛媛MPと徳島ISの試合が行われた。5回裏、二番・外間修平が高く打ち上げたフライをセンターの永井豪(徳島IS)は完全に見失っていた。目測を失った打球は頭上を越え、外野フェンス近くまで芝生を転がっていった。この1本が5点を奪うビッグイニングのきっかけになっている。
「見えなかった?」
あの日の試合後、永井はこちらからの質問に無言のまま頷いていた。

グレアムが捕球したことを確認し、二塁からタッチアップのスタートを切ったのは永井である。
「(本塁まで)行ってやろうと思ってました。ランコーは・・・(腕を)回してました」

2007.7.28. NAGAI
永井の判断に迷いは無かった

三塁コーチャーズボックスの深谷コーチが一気に本塁突入を狙わせる。「その気」だった永井が一気に三塁を蹴り本塁へと加速した。センターからカットマンを中継してキャッチャーの梶原有司に帰って来たボールは、ホームベース上でミットを構えていた梶原の位置から大きく右に逸れた。

この空なら打球の行方は消える。もし追い着いたとしても1点を奪う十分な隙が生まれる。
同じ外野手であり、同じ失敗を経験していた永井にとって、タッチアップで二塁から本塁を突くというギャンブルは、かなり高い確率で成功するはずだという自信があった。だから躊躇することもなかった。見事な好走塁だった。


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