スポーツライター高田博史オフィシャルblog。 四国・九州アイランドリーグを現場取材!※たまにCMも
勝利だけでなく
2007年07月17日(火) 19:29
四国アイランドリーグ交流戦
2007.7.9. サーパス 2–13 徳島IS <あじさいスタジアム>

勝 片山
敗 町
本塁打 福永ソロ(5回松村)、西村3ラン(6回柴田誠)
本塁打 長田ソロ(5回益田)

徳島ISとしては単独チームで臨む初のNPBとの交流戦である。
サーパス先発の町を徳島IS打線が初回から打ち崩す。先頭の山口寛史が右前安打で出塁すると、四番・小松崎大地が左前に適時安打を放ち先制点を奪う。さらに五番・福永泰也が右前安打で続くと、六番・李鐘熙の右前適時安打で2点目を挙げた。
2回表にも先頭の八番・加藤光成が中前安打で出塁した後、一死満塁のチャンスをつかむ。三番・西村悟の打席に町が暴投。3点目を奪った。なおも満塁の場面で町が一塁へ牽制悪送球。徳島ISが差を4点に開いた。
徳島IS先発の角野雅俊は2回をパーフェクトに抑えると、3回から片山正弘が2イニングを抑えサーパスに反撃のチャンスを与えない。
5回表、サーパスの三番手・松村から先頭の五番・福永がソロ本塁打を右翼スタンドへ叩き込む。ペースを崩された松村は走者を溜め、一番・山口に足元へ投手強襲となる適時安打を喰らい1点を失う。続く二番・岡嵜雄介に押し出し四球を与えると、徳島ISはこの回打者一巡の猛攻で3点を奪った。
5回裏、この回からマウンドに登った益田陽介が七番・長田に右翼スタンドへソロ本塁打を浴びた。しかし6回表、徳島ISがすぐさま反撃を見せる。
5回途中からマウンドに登った柴田誠から福永の中越え二塁打、李の右前安打などで一死満塁とすると、九番代打・大二郎が右前へ適時安打を放つ。一番・山口も中前への適時安打で続くと、三番・西村が左翼スタンドへ3ランを叩き込んだ。2イニング連続となる打者一巡の猛攻でこの回6点を奪った。
7回裏に九番・筧の中犠飛でサーパスが1点を返すが反撃もここまで。15安打を放った徳島ISが13対2と、初の単独での交流戦でサーパスに圧勝した。


『勝利だけでなく』

ダメ押しとなる3ランを放った西村悟は「この交流戦にどんな想いを持って臨んだのか」という問いに対し、明確な答えを口にしている。
「就職活動です。再就職先のための。アピろうと思ってました」

徳島IS単独としては初となったNPBとの交流戦に、選手たちは高い目的意識を持って臨んでいた。先に行われた阪神、巨人との交流戦に選ばれていたのは小松崎大地、片山正弘の2人だけである。7月7日に行われた佐世保での長崎セインツとの交流戦には、投手から小林憲幸、益田陽介、捕手の加藤光成、内野手から西村、山口寛史、李鐘熙、外野手の増野真太郎の計7名が選抜された。徳島に残されたメンバーの中には、この試合に照準を絞って調整してきた者も少なくなかっただろう。

西村が続ける。
「普段の試合よりリラックスしてました。数字関係ないんで。いろんなことが試せるから」
特に気負うでもなく、落ち着いた気持ちで臨んだ交流戦において、西村が最も試したかったのは、変えたばかりのタイミングの取り方だった。2本の長打を放ち4打点を叩き出している。結果は◎と出た。

李鐘熙もリラックスして試合に臨めたと言う。遠征した佐世保の天候が悪く、あまり身体を動かせなかった。逆にそれが疲労となって身体のダルさを感じていた。
「いいアピールの機会なんで、積極的に。大きいの打てるタイプじゃないんで、持ち味を出そうと。センターから右を意識して、守備でも積極的に行こうと思ってました」
初回からライト前へタイムリーヒットを放つなど3本のヒットを記録している。守備でもランナーに隠れたゴロをうまく捌くなどいいアピールができた。

先発のマウンドに登った角野雅俊が意識していたのは、「序盤に点を獲られないこと」だった。勝ちたいという強い気持ちを持っていた。
「最初に2点取ってくれたことで楽にマウンドに登れました。大地(小松崎)が凡打に倒れるのとタイムリー打つのとでは全然違うんで」
初回に小松崎と李がタイムリーヒットを放ち2点を奪った。大事なその裏の守備を3人で抑えた。安定したピッチングが流れをサーパスに渡さない。2回にもさらに2点を挙げた。
「次の回に2点取ったことでまた緊張しました。取った後を引き締めて行こうと」
全体的に良かったという変化球の中でも、特にスライダーが切れていた。

序盤に挙げた4点により徳島ISペースで試合が進んでいったことは大きなアドバンテージとなった。打者が打ち、投手が抑える。投打が見事なほどに噛み合う。

福永泰也にとっては初のNPBとの交流戦である。初めて対戦するNPBの投手とはどんなものなのか。決して臆することなく、ストライクなら積極的に振って行こうと思っていた。第1打席に変化球をうまく捉え一、二塁間を抜くヒットを放っている。3打席目は先頭打者だった。マウンドにはこの回から3番手の松村が登っている。
「まっスラするぞ!って言われてて。1-3になった途端、初めて(の対戦)を意識しすぎちゃって消極的になっちゃったんですよね」
思い切りの良さが消えかけていた福永の耳に聞こえたのは、ベンチから西村がかけた声だった。
「『100か0かでいいよ!』って。空振りかホームランかでいいよ!みたいな、そんな感じのこと言ったんですよ。そしたら思い切って行こうかって」
打球は右翼スタンドへライナーで飛び込んだ。
「たまたまです。ほんと、たまたま」
そう言って笑った。

住友監督が率いたサーパスとの試合は、3月に行われた選抜チームでの交流戦に続き2戦目である。これで1勝1敗となった。
「積極的に打ちにきとったねぇ。ウチが教えないかんのに、逆に教えられたよ。ダブルスチールやったり、偽装スチールやったり。山口のセーフティー(バント失敗)はもったいなかった。ピッチャーも切れとったよ。短いイニングやったからあんまりわからんけど、ウォーミングアップの合間でも思い切って投げとったしね」

白石監督も表情を崩した。
「選手たちが個々にアピールしたいという気持ちの表れだと思う。ウチの選手にとっては自信になる。過信にならんように引き締めて行かなならん」

試合終了後、急に振り出した大粒の雨の中で徳島ISの選手たちはサーパスの選手たちと共に合同練習を行っている。ティーバッティングで手ほどきを受ける者、サブ球場でノックを受ける者、それぞれにサーパス首脳陣からアドバイスを受けていた。
「勉強になるところはありました」
大島コーチからアドバイスを受けていた山口の言葉だ。

不甲斐ない結果となった前期の戦いを猛省している。後期開幕に向け、NPB相手にはずみのつく試合ができた。格上から勝利をもぎ取っただけでなく、確かな自信と、レベルアップへのヒントを手にした。それぞれにとって得たものの多い交流戦だった。


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