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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2007/05/31(Thu)

蟻地獄

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.27. 高知FD 3–17 徳島IS <四万十スタジアム>

勝 渡邊 4勝3敗
敗 パチェコ 2勝1敗

今季、2試合行われる四万十スタジアムでの試合、その1試合目の愛媛MP戦を落とし、高知FDはここ4試合勝利から遠ざかっている。首位香川OGとのゲーム差が「3」に開いた。四万十での2戦目の相手は、3連敗で昨日最下位に転落した徳島ISである。先に連敗を脱出するのはどちらか。
高知FD先発・パチェコの制球が定まらない。初回、一番・HIROに死球、二番・岡嵜雄介を四球で歩かせると、三番・永井豪の送りバントを捕手・宮本裕司が一塁に悪送球し、ミスから失点してしまう。徳島ISはさらに四番・小松崎大地、六番・李鐘熙の適時安打などで4点のリードを奪う。3回表にも八番・加藤光成の適時右前安打で2点を追加し、パチェコをマウンドから引き摺り下ろした。
4回を無失点で乗り切った徳島IS先発の渡邊隆洋だったが、5回裏、高知FD打線に捕まる。先頭の六番・宮本に中前安打、七番・小山田貴雄に左翼フェンス直撃の二塁打を浴び、無死二、三塁のピンチに陥った。高知FDは八番・土佐和広の二ゴロ、九番・前田翔の左翼線二塁打で2点を返し、差を4点に縮める。
7回裏から渡邊に代わりマウンドに登った小林憲幸は、宮本、小山田を三振に切って取りながら土佐と前田に四死球を与え二死一、二塁のピンチを迎える。続く一番・YAMASHINは適時中前安打を放ち、さらに1点を追加した。
高知FD・藤城監督は8回表、五番手となる捻金孝行をマウンドに送るが、これが誤算となった。この回先頭の二番・岡嵜雄介に中前安打を許すと、徳島IS打線に一気に火が点き4失点を喫した。代わった大澤亮も痛打され7失点。打者15人の猛攻でリーグ記録となる1イニング11得点を奪い、先発全員安打、先発全員得点と、試合を決定的なものにした。8回を安里渉が、9回を竹原俊介が締め、徳島ISが17対3で高知FDを降した。
連敗を止めた徳島ISは一日で愛媛MPと同率の3位に復帰し、渡邊が4勝目を手にした。高知FDは引き分けを挟んで泥沼の4連敗となった。


『蟻地獄』

今季戦った10試合の中で、徳島ISは高知FDから大きな逆転劇を二度くらっている。
一度目は4月6日、最終回に渡邊隆洋が4点をひっくり返された高知市営球場の試合。そして二度目は4月28日、やはり最終回に小林憲幸が3点差をひっくり返された鳴門球場での試合である。

7回裏を終わって6対3でリードしている。しかし、3点のリードなどあって無いようなものであることを徳島ISベンチは理解していた。序盤にリードを奪いながら追加点を奪うことができない。6回表には一死満塁のチャンスを棒に振った。逆に高知FDが徐々に点差を詰めてきている。YAMASHINが3点目となる適時安打を放った7回裏までは、終盤の大逆転への予感が確かに漂っていた。残り8、9回、徳島ISにとっては「3点のリードをいかに守り切ることができるか」がこの試合のポイントになるはずだった。白石監督自身、
「6対3になった時点で危ないと思った」
と正直に胸の内を吐露している。

どう考えても高知FDの致命傷になってしまったのが8回表に許した11失点であることは間違いない。しかしあえて言うなら、高知FD投手陣はこの試合で被安打数と同じ14個の四死球を与えてしまっている。大量失点のきっかけを作ってしまった捻金孝行だが、打たれはしたものの6人の打者に四死球は与えていない。リリーフした大澤亮が3個の四死球を与え傷を拡げてしまった。四死球の多さと序盤に出た二つのミスで、最初から試合の流れを徳島ISに渡してしまった。

前日のダブルヘッダーで徳島ISは同じような展開を経験している。投手陣が第1試合に7四球、第2試合においては9つの四死球を与え、結果香川OGに連敗した。野手の失策が失点に繋がった点も同じだ。

今日の先発マウンドに立った渡邊は、その無念さを胸に刻みマウンドに登っていた。
「昨日の試合を観て思ったのが、今日はフォアボールを出さないようにしようと。それを一番意識してました。多分スリーボールは・・・無いですよね?」
6回までの打者23人に対し、ツーボール以上の悪いカウントにした打者は一人もいない。7本の被安打を浴び2失点したものの、序盤に味方がくれたリードにも助けられ、初球から積極的にストライクを通すことができた。

「このリーグには踏ん張りが利く選手がいない。1本出ると止まらなくなる。途中、小松崎(大地)さんから「間を空けろ」って言われました」
悪夢のような1イニングは自身も経験している。蟻地獄に飲み込まれていくような相手投手の様を見ながら、そこから這い出すことの難しさをひしひしと感じていた。一つ間違えば自分も簡単に飲まれてしまう。そうさせないために、主将はしっかり間を取らせていた。

苦しい流れの中で踏ん張りが利く。
NPBへの扉を開くための鍵はそんなところにあるのかもしれない。そのために必要なものは、技術だろうか。精神力だろうか。


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2007/05/30(Wed)

途切れた記録

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.26. 香川OG 8–0 徳島IS <サーパススタジアム> ダブルヘッダー第1試合

勝 金子 1勝0敗
敗 益田 1勝2敗
本塁打 国本1号ソロ(7回益田)、堂上※2号満塁(8回竹原)※ランニングホーマー

2週間振りに香川OGがサーパススタジアムに戻って来た。久し振りのホームゲームの相手は徳島ISである。両チームにとって今季初めてのダブルヘッダーとなる。
第一試合は10時ジャストにプレイボールがかけられた。香川OGの先発はこれが2度目の先発となる金子圭太。徳島ISの先発は前回初勝利を挙げた益田陽介である。
序盤から制球に苦しむ益田を香川OG打線が捉える。2回裏、無死満塁のチャンスに八番・町田雄飛が右越え適時三塁打を放ち2点を先制すると、3回裏にも一死満塁から七番・若林春樹が四球で歩き、押し出しで1点を追加した。
4回以降ペースを取り戻した益田だが、7回裏、先頭の一番・国本和俊に左越えソロ本塁打を喰らい4点目を失う。
8回裏、益田に代わり竹原俊介がマウンドに登るが、連打と内野失策で走者を溜める。三番・堂上隼人は二死満塁のチャンスに左中間へ長打を放つと、これが走者一掃の満塁ランニング本塁打となり、さらに4点を加えた。
金子は6回まで徳島IS打線を散発3安打、無失点で乗り切ると、7回を塚本浩二、8回を下地栄輝、9回を岡本健太がつなぎ、見事な完封リレーを見せた。
第1試合は香川OGが8対0の完封勝利で徳島ISを降した。


四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.26. 香川OG 5–1 徳島IS <サーパススタジアム> ダブルヘッダー第2試合

勝 天野 4勝4敗
敗 片山 2勝5敗

第1試合の終了から30分後の13時11分、刺すような日差しの下で第2試合が始まった。
香川OG先発・天野浩一は初回、いきなりピンチを迎える。二死三塁から四番・小松崎大地に右翼線へ運ばれ先制点を許した。
しかし徳島ISの先発・片山正弘はこのリードを守ることができない。2回裏、八番・林世業に2点適時左越え二塁打を許し、香川OGが逆転に成功する。3回裏には四番・智勝の適時右前安打で1点を、5回裏にも六番・近藤洋輔の左中間越え適時三塁打で2点を奪い、差を4点に拡げた。
天野は2回以降、徳島IS打線に得点を許さないまま6回でマウンドを降りた。7回を塚本浩二、8、9回を橋本亮馬が無失点で抑え、第2試合も香川OGが5対1で勝利した。
香川OGはこれで3連勝。2位の高知FDが敗れたため、ゲーム差は「3」に開いた。


『途切れた記録』

このダブルヘッダーで得点を許したのは1点だけ。ヒットは2試合併せて8本しか打たれていない。連打を許したのも第1試合の初回、李鐘熙、永井豪を出塁させた一度だけである。

5試合振りに帰ってきたホーム・サーパススタジアムで、香川OGは磐石の試合をやってのけた。試合後、西田監督の舌も滑らかだった。
「レギュラー陣、特に堂上、智勝、丈武のクリーンナップがいいところで打っている。洋輔(近藤)にも当たりが出て来た。チーム全体の勝利」
2試合共に10安打を放ち、一番・国本和俊のソロ本塁打、三番・堂上隼人の満塁ランニング本塁打も飛び出している。

第1試合先発の金子圭太、第2試合先発の天野浩一が試合を作り、塚本浩二、下地栄輝、岡本健太、橋本亮馬がしっかりマウンドをつないだ。塚本については2試合共に7回表のマウンドを任されている。監督の意思を読み切っていた。
「連投があるかもしれないと思って用意してました。もっと(コースが)甘くてもいいのかもしれないけど・・・。力みが出ましたね」
先頭打者に四球を許しながらも傷口を拡げることなく徳島IS打線を封じ込んでいる。

今日の試合途中、第1試合で智勝が、第2試合で三輪正義が通算200試合出場を達成したことがアナウンスされている。サーパススタジアムに集まった観客からは、二人への温かい拍手が送られた。

達成した記録の裏に、途切れてしまった記録があった。
第1試合のスターティングオーダーが発表された時、徳島ISの先発メンバーから山口寛史の名前が消えていた。2年前のリーグ開幕からただ一人、公式戦204試合すべてに先発出場を果たしてきた山口の名前がどこにも無かったのである。
「山口が出てないのが大きかった」
試合後、堂上の口からはそんな言葉が聞こえている。

香川OGにとって脅威となったはずの一番打者がいない。リードオフマンとして徳島ISを引っ張り、打率.313をマーク(5月26日現在)している。5月の打率は4割を超え、盗塁数も智勝と並んでリーグトップ。その山口が腰を痛め、この遠征に帯同すらできなかった。

精神的支柱を失った徳島ISは打線が揮わず、投手陣も四球を連発した。流れが悪そうになればすぐマウンドに歩み寄り、投手に一言かけていた山口の姿がそこには無かった。

愛媛MPが高知FDに勝利したため、遂に最下位に転落した。
惨憺たる結果となってしまったダブルヘッダー2試合を終え、徳島ISを乗せたバスは徳島に引き返すことのないまま、明日の試合地である高知・四万十へと消えて行った。


2007.5.26. IMU
ヒーローインタビューには逆転2点適時二塁打を放った林世業が

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2007/05/23(Wed)

サプライズ

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.20. 徳島IS 4–7 香川OG <アグリあなんスタジアム>

勝 松尾 5勝1敗
S 橋本 1勝0敗4S
敗 片山 2勝4敗

ナイター設備の整った広い『アグリあなんスタジアム』が遂に完成した。そのこけら落としとして四国アイランドリーグ公式戦が開催された。徳島県南では初の公式戦開催となるこの試合に観客席は無料解放され、4,656人もの観衆がスタンドを埋め尽くした。徳島ISにとって新たなホーム球場のオープニングゲームを勝利で飾りたい。相手は昨夜、接戦で勝利をもぎ取った香川OGである。
1回裏、先頭打者の山口寛史が香川OG先発・松尾晃雅のストレートを叩く。バックスクリーン右に突き刺さった先頭打者本塁打に一塁側スタンドが色めき立つ。しかし徳島IS打線はそれ以降チャンスを得点に結び付けることができない。2回裏に得た二死満塁のチャンスも走塁ミスでつぶしてしまった。
県南の出身である片山正弘・矢野大天の徳島ISバッテリーは、香川OG打線を5回まで無得点に封じ込む。だが6回表に流れが変わった。五番・丈武は左中間へ6号2ランを叩き込み、香川OGが逆転に成功した。
7回表、八番・三輪正義が右前安打で出塁し、香川OGがチャンスをつかむ。九番・井吉信也はバントを空振り。このプレーに十川主審は井吉の守備妨害を宣告する。ベンチから飛び出した西田監督と柳田コーチが猛抗議を行うが認められず、西田監督は主審に暴言を吐いたとしてリーグ初の監督退場を命じられた。
香川OGは一死一、三塁とした後、一塁走者・国本和俊が二盗を試みる。捕手・加藤光成からの送球を遊撃手・李鐘熙が逸らす間に三塁から三輪が還り、追加点を奪った。
7回裏、徳島ISも七番・増野真太郎の左前安打、八番・矢野の左翼フェンス直撃適時二塁打ですぐさま1点を奪い返す。
徳島ISベンチは8回裏、疲れの見えた片山に代え、新クローザー角野雅俊を投入した。しかし角野は期待に応えることができず無死満塁のピンチに陥る。二死となりながらも九番・井吉信也は中前に2点適時安打を放ち、再び徳島ISを突き放した。香川OGは9回表にも三番・堂上隼人の左犠飛、丈武の左翼越え適時二塁打で2点を追加した。
9回裏、徳島ISは九番・HIROの右犠飛、山口の右前適時安打で2点を返し意地を見せたが反撃もここまで。7対4で香川OGが勝利を収めた。


『サプライズ』

両翼100m、最深部122m。徳島で最大規模の球場である。
丘の上に作られ、緑の木々に包まれた美しい『アグリあなんスタジアム』には強い風が吹いていた。地元の方が言うには「冬の風が吹いている」そうだ。下から吹き上げてくる強い北風に、電光掲示板の上に掲げられた旗が飛ばされそうなほどバタついていた。

すでに試合開始3時間前には両チームとも球場入りしており、新球場の感触を確認している。香川OGの打撃練習が始まった頃に外野の芝生スタンドまで行ってみた。

打球が伸びる。
外野フェンスまでの距離をものともせず飛距離が出ている。バッティングピッチャーが投げる打ち易い球が、風に乗りいくつもスタンドインしてしまう。この球場で最初に行われる記念すべき試合に、何かが起こる予感はやはり少なからずあったのである。

カウント0-2からの3球目を山口寛史(徳島IS)は狙っていた。
「狙ってましたね。あ、ホームランじゃ無いスよ。真っ直ぐを狙おうと」
柔らかいテイクバックに左腕の白いリストバンドが揺れる。インコースのストレートに合わせバットを振り抜くと、打球はバックスクリーンの右へと一直線に舞い上がった。最初のホームランは初回、それも先頭打者から飛び出している。

2007.5.20. YAMAGUCHI
メモリアルな一撃は先頭打者・山口のバットから

2007.5.20. JOBU
6回表、丈武逆転の一打が左翼スタンドへ

「飛びますねー!最後のなんか(9回表、左翼フェンス直撃二塁打)こすっただけですよ。あんなのレフトフライですもん!」
逆転2ランを含む4安打、3打点を叩き出した丈武(香川OG)はそう声を上げた。ホームランの際、両手で「伸びてる!」といったジェスチャーを見せながらホームベースを踏んでいる。
「でも、まだ内野の土がふかふかで・・・」
まだ落ち着いていない土の感触に、少し守りにくさを感じていた。

逆にマウンドは少し硬かった。
「最初、ちょっと硬いなって。投げにくくはなかったですけどね。両親は鳴門とかにも来るんですけど、今日はライトスタンドに知り合いのおばちゃんとかが来てて、嬉しかったですね」
オープニングゲーム最初のマウンドに立った片山正弘(徳島IS)は、アグリあなんスタジアムのある阿南市の出身である。3失点、被安打7と打たれはしたが、地元の観客の前で奮闘する自分の姿を披露している。

「なんとかしなきゃいけないと。真っ直ぐ内寄りの球でした」
バッテリーを組んだ県南出身の矢野大天(徳島IS)は7回裏、左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、意地を見せた。

2007.5.20. KATAYAMA & YANO
片山と矢野。地元出身の二人がバッテリーを組んだ

西田監督(香川OG)が四国リーグ初の退場処分を受けた一幕もあった。オープニングゲームには数々のサプライズが起こった。

徳島県南初の四国リーグ公式戦は、無料解放とはいえ目標の1,000人を大きく上回る4,656人がスタジアムに足を運んだ。ネット裏からは地元放送局がラジオの生中継を行い、熱戦の模様を県全体に届けた。

サプライズはネット裏にもあった。
これまで四国リーグの試合を観たことがなく、初めて観戦に来たという人々も多かった。決して広くはないスタンドを埋め尽くしたネット裏の観客たちは、試合が熱を帯びていくに従い徐々に盛り上がりを見せていった。静かにプレーを見つめていた男性たちが、最後には立ち上がって手を叩き、大きな声で選手の名前を叫んでいた。

その姿を見ながら思い出したことがある。
2年前、このリーグがスタートして間もない頃、蔵本球場で出会ったある男性客がこう言っていた。
「僕らは生でスポーツを観たことがなかった。こうして目の前で野球が観られることが本当に嬉しい」

訪れた4,656人は今日の試合から四国リーグに対してどんなイメージを持っただろうか。ユニフォーム姿で観戦した少年野球チームの子供たちは、目の前で観た大きなホームランに何を思っただろうか。ネット裏で歓声を上げていた男性たちは、今日自分が身を置いたその空間に何を覚えただろうか。この新しいスタジアムから、四国リーグにとってもっと大きな嬉しいサプライズが起きはしないだろうか。


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2007/05/21(Mon)

それぞれの4連敗

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.19. 徳島IS 5–2 香川OG <蔵本運動公園野球場>

勝 益田 1勝1敗
S 角野 2勝2敗1S
敗 天野 3勝4敗

ホーム・蔵本球場で4連敗目を喫し、徳島ISは4位愛媛MPに1.5ゲーム差まで追い上げられている。首位はキープしているものの、対する香川OGも昨日高知FDに大敗し、6連勝の夢が潰えてしまった。
2回裏、徳島ISは4月のMVP、香川OG先発の天野浩一を捉える。一番・山口寛史の左翼線二塁打、二番・岡嵜雄介の中前安打と連続適時打で2点を先制する。4回裏にも八番・加藤光成が左越え二塁打、九番・HIROの右中間越え適時三塁打で追加点を奪った。
徳島IS先発の益田陽介は要所を押さえ5回までを無失点に抑えるが、6回裏、先頭の二番・生山裕人を遊内野安打で出塁させる。一死二、三塁のチャンスに五番・丈武の左犠飛で生山が生還。香川OGが1点を返した。7回表にも一番・国本和俊が右前安打で出塁すると、生山の左越え適時二塁打で1点差に詰め寄った。
なおも二死三塁のピンチに徳島ISベンチは角野雅俊をリリーフに送る。角野は三番・堂上隼人を右飛に打ち取りピンチを脱した。
8回裏、香川OGは天野に代え橋本亮馬をマウンドに送る。しかし、これが誤算となった。先頭の五番・大二郎が中前安打で出塁すると、六番・李鐘熙が送りバント。これを捕った橋本が二塁に送球するが、野選となり走者を溜めてしまう。HIROは追い込まれながらも右前へ弾き返し、二塁から大二郎が生還。続く山口も右中間へ適時二塁打を放ち、橋本攻略に成功した。
9回表、香川OG最後の攻撃も角野が3人で締め5対2。徳島ISが連敗を「4」で止めた。益田はリーグ2年目で初勝利、角野もリーグ3年目で初となるセーブポイントを挙げた。


『それぞれの4連敗』

前夜は20安打を喰らっての大敗だった。
愛媛MPに11点を奪われ4連敗を喫した昨日の試合後、徳島ISの選手たちは窓が締め切られた一塁側ダッグアウトの中でミーティングを行っていた。ミーティングが終わり、通路に出て来た山口寛史が着替えもせずにスタッフに頼みごとをしていた。一時間早出しての特打ちを志願していた。

大二郎は激減してしまった出場機会に苛立っていた。フラストレーションが溜まり、眠れない夜が続いている。打席に立つチャンスがあればどんな形でも塁に出ようと心に決めていた。

部屋に戻ってきた益田陽介は、ファンから手渡されたDVDを観ていた。映し出されていた映像は5月13日、3失点を喰らってマウンドを降りた蔵本球場での香川OG戦だった。

それぞれがどん底に沈むチームと、不甲斐ない自分自身の現状を憂いでいた。

益田が語る。
「(DVDを観たら)やっぱり悪いカウントが多いんですよ。0-2とか1-2とか。カウント0-2、1-2になった時に「ヤバい」と思ったら結果が悪くなる。ブルペンで厳しいカウントを設定して投げる練習を続けました。火、水、木の3日間の内、1回は100球以上投げて、先発を意識して練習しました」
練習でやってきたことは間違っていない。昨夜観た負け試合の映像は、「これを絶対にやっちゃいけない」という強い戒めになった。
「プレッシャーはありましたけど、逆に力に変えました。絶対(連敗を)止めてやるんだと思ってました」
7回2失点、1点のリードを保ったままマウンドを譲る。

8回裏、大二郎が打席に立った。この回から香川OGのマウンドは橋本亮馬に代わっている。
「前回の亮馬との対戦の時、カーブとスライダーを見逃して追い込まれてしまって、自分のバッティングができないまま終わってるんですよ。今日もカーブから来て最初のセーフティー(バント)を失敗したんですけど、その後も2球変化球で来た。1-2になって絶対行こう!と思ってました。高目だけ振らされないように」
内角寄りに入ってきたストレートを橋本の足元へ弾き返す。鋭い打球がセンターへ転がる。

「ストレートしかない。ここで打ったら楽になる。チームを助けたいと思ってました」
外角への直球、内角への直球を空振りして追い込まれた九番・HIROは、それでもストレート一本に絞り込んでいた。カウント2-1から真ん中外角寄りのストレートを捉えると速い打球がライトに飛ぶ。続く一番・山口が今日2本目となるタイムリーヒットを右中間に放ち二塁に進んだ。8回裏のスコアボードに試合を決める得点「2」が表示された。

「9回、先頭を出してもまだ余裕がありました。思い切って投げたらゲッツーになりました」
最後の打者を三振で仕留め、最終回を3人で抑えた角野雅俊が笑顔を見せる。チーム事情から抑えに回り、マウンドに立つチャンスを待ち続けていた。自身も初セーブである。

8回裏に香川OGを振り切った2点で連敗に終止符を打った。それぞれが「なんとかしたい!」という強い気持ちを持って臨んだ一戦だった。
「初勝利が嬉しいってのはありますけど、連勝を止められたのが嬉しいですね」
昨年の後期シーズンからチームに合流し、記念すべき初勝利を手にした益田が初勝利の感想を尋ねられ、はにかんでいた。

角野が教えてくれた。
「ウイニングボールは益田に渡して下さいと、加藤さん(捕手・加藤光成)に言いました」


2007.5.19. MASUDA
二十歳の益田、2年目の初勝利

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2007/05/19(Sat)

最高の仕事

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.18. 徳島IS 1–11 愛媛MP <蔵本運動公園野球場>

勝 近平 3勝1敗
敗 渡邊 3勝3敗

先週3連敗を喫した徳島ISが、やはり連敗中で波に乗れ切れない愛媛MPとホーム蔵本球場で対戦した。
4回表、愛媛MP打線が徳島IS先発・渡邊隆洋を捉える。二死満塁から二番・グレアム義季サイモン、三番・比嘉将太が連続適時打を放ち2点を挙げる。5回表にも九番・梶原有司が適時左前安打を放ち、3対0と差を拡げた。
リードされた徳島ISは5回裏、愛媛MP先発の近平省吾から一番・山口寛史が適時中前安打を放ち1点を返す。なおも二死満塁と追加点のチャンスに、四番・小松崎大地は初球を投ゴロに打ち損じ追加点を奪うことができない。
6回表、愛媛MP打線がさらに畳み掛ける。グレアム、比嘉、四番・荒木康一の3連打で満塁とすると、五番・檜垣浩太の左犠飛。続く六番・松坂恭平の適時中前安打で二人を還し3点を追加。渡邊をKOした。
8回表には徳島ISの三番手・森倫太郎を打ち込む。檜垣の左中間越え二塁打、七番・長崎準平の左越え二塁打、一番・田口大地の中前安打などで一挙5点を奪い、試合を決定的なものにした。
近平は5回以降失点を許さず、徳島IS打線を散発5安打に抑える見事な完投勝利で3勝目。打者10人が全員安打、今季最多となる大量20安打を放った愛媛MPが11対1と敵地で大勝利を収めた。
この結果、4位愛媛MPと3位徳島ISの差が1.5ゲームにまで縮まった。


『最高の仕事』

沖監督(愛媛MP)が打者に出していた指示は
「ファーストストライクを積極的に振っていけ」
というものだった。

「振る勇気と止まる勇気ですね。最初のストライクに勇気を持って振れるか。また悪いボールを振らずにしっかり止まれるか。積極的に振っていくことで相手ピッチャーが考える。そこでボールが増えてカウントが悪くなればバッターには有利になる」

ファールで球数を稼ぎながら狙い球を待った。3回表の攻撃を除き、毎回安打を放つ。渡邊隆洋(徳島IS)の投球数は5回を投げ終えた時点ですでに101球を数えていた。根気良くファールで粘り、打線が次々とつながる。九番・梶原有司を除き先発の8人がすべてマルチヒット(2安打以上)を記録した。代打に出た八番・伊東大輔も内野安打で出塁し、打者全員が安打を放った。

味方が奪ってくれた大量のリードに先発の近平省吾(愛媛MP)も余裕を持って投げられたと話す。
「チームの状態が良くなかったんで。連戦だし、自分がどうにかしたいと思ってました」
他の投手を使わなくてもすむように、自分がこの試合を抑え切るのだ。そんな強い想いを胸にマウンドに立ち続けていた。変化球がよく決まり、有利なカウントで打者と対峙することができた。大量リードをもらっても最後まで集中力を切ることがなかった。少しでも投手を温存させたいチーム事情の中で、最高の仕事をやってのけたのである。

沖監督が続ける。
「ここまでの負けの責任は私にあるけれども、打撃にしても守備にしてもやるのは彼らなんです。試合の中で感じをつかむ。誰かがダメでも「オレが!」という積極性。そういう強さを身につけて欲しい。香川や高知はそれができている。彼らにもできないことはないんです」

打撃陣がチーム最多となる記録的な一試合20安打を放ち、投手も自分の仕事を確実に遂行してみせた。前日の高知FD戦を落としたとはいえ、打線は9安打を放っていた。故障していた選手たちが徐々に復帰し始め、戦力が整いつつある。
連敗は止まった。投打がようやく噛み合い始めた愛媛MPは明日、高知FDとホーム・松山でのダブルヘッダーに挑む。


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2007/05/19(Sat)

完封目前

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.17. 高知FD 6–3 愛媛MP <高知東部球場>

勝 西川 3勝2敗2S
S 山隈 1S
敗 小山内 4敗
本塁打 梶田(2回小山内)

首位を2ゲーム差で追走する高知FDが高知東部球場に愛媛MPを迎えた。共にこの4日間で5試合を戦う。昨夜降った雨が上がり、試合開始1時間前の時点でグラウンドコンディションは気温28℃、湿度70%と、かなり蒸し暑いコンディションになった。
1回裏、愛媛MP先発の小山内大和から二番・梶田宙が左翼越えソロ本塁打を放ち、高知FDが先制点を奪う。3回裏にも三番・日高大輔の適時左前安打で追加点を挙げ、小山内をマウンドから引き摺り降ろした。なおも一死満塁とし、六番・高井啓行は愛媛MPの二番手・宇都宮勝平から左中間を破る適時二塁打を放つ。この回、高知FDが計3点を追加した。
高知FD先発の西川徹哉は快調な投球を続け、愛媛MPに得点のチャンスを与えない。5回表、二死一、三塁のピンチも一番・長崎準平を三振に切って乗り切った。
6回裏、この回からマウンドに登った三番手・森琢哉が高知FD打線に捕まる。高井の左翼越え三塁打の後、九番・土佐和広、一番・YAMASHINが連続適時打を放ちさらに2点を追加、6対0と大きく差を拡げた。
9回表、愛媛MPが意地を見せる。五番・荒木康一、六番・比嘉将太が連続安打でつなぐと、七番・田口大地の遊ゴロを遊撃手・白川大輔がファンブルし、一死満塁とする。八番・外間修平の打った一ゴロを一塁手・中村竜央が二塁に悪送球する間に荒木が生還し、愛媛MPが1点を返した。完封を逃した西川に代え、藤城監督はマウンドに山隈茂喜を送る。山隈は九番・梶原有司に2点適時打となる左前安打を浴び、さらに2点を奪われた。しかし愛媛MPの反撃もここまで。一番・大島慎伍の三ゴロが二塁併殺となり万事休す。高知FDが愛媛MPを6対3で降した。
高知FDは3連勝。勝ち星で首位・香川OGと並び、ゲーム差を1.5に縮めた。


『完封目前』

記者室で行われた試合後の囲み取材で、藤城監督(高知FD)は苛立ちを爆発させた。そしてはっきりとこう言い放ったのである。
「選手同士が潰しあいしている。選手が選手を助けようとしない。今季最低の試合です」

9回表、6点のリードを保ったまま西川徹哉(高知FD)は最終回のマウンドに登った。ここまでの先頭打者すべてに出塁を許していない。8回までと同じように、9回も先頭の四番・檜垣浩太をファーストゴロに打ち取った。
しかし、ここから流れが変わる。
五番・荒木康一、六番・比嘉将太に連続安打を許してしまった。この回からショートのポジションには國信貴裕に代わり白川大輔が入っていた。七番・田口大地の打った緩いゴロに白川が突っ込む。一瞬、打球が三塁へと進む二塁走者と重なった。リズムが崩れ、ボールがグラブからこぼれ落ちる。一死満塁になった。

このプレーの前、一死一、二塁になったところで野手がマウンドに集まり、西川に声を掛けている。一塁手・中村竜央も声を掛けた。
「ランナーは関係ない。バッターだけ」
6点のリードがあるのだ。走者を気にせず打者と勝負しろ。そう伝えている。
満塁のピンチを迎え、中村は二塁手の日高大輔と確認し、決めていたと言う。
「ボテボテのゴロならホームへ。速い球ならセカンドで(3-6-3の)ゲッツー」
ここに意思の相違があった。西川に「完封勝利」させることを最重要視できていなかったのである。

八番・外間修平の打球は一塁への速いゴロになった。捕った中村が二塁へ送球する。ネット裏で観ていたスカウトの一人が「ホームやろ!」と声を上げた。二塁ベースに入った白川の位置よりも送球が左に逸れ、ボールがショートとレフトの間に転がった。この瞬間、西川の完封勝利は泡と消えた。藤城監督がすぐさまマウンドまで行き、西川には何も言わずに山隈茂喜への交代を告げた。
「まだ全然投げられるのに・・・」
118球を投げているとはいえ、自分のスタミナはまったく問題無いと思っていた。あとアウトカウント2つで完投勝利なのだ。なぜこの場面で代えられたのか。西川は理解できていなかった。

「ピッチャーが9回ゼロで抑えるのがどれだけ大変なことか!」
それを感じられていなかった中村のプレーに、藤城監督は憤りを露にしていた。
「3年生が1年生のミスを帳消しにしてやらないといけないのに、(中村)竜夫のミスは絶対してはいけないミスなんです。もう3年目で教える必要がなくなっている選手が状況を把握できていない。ピッチャーが完封を狙ってる場面で・・・完封してなければセカンドでゲッツーでもいい。しかしあそこはホームなんです。(西川が)あんな代わり方をしてしまうと、次の試合で9回になった時ドキドキするんです。「またこうなるんじゃないか?」と思ってしまう。西川の次の登板に影響が出るんです」

こうなってしまった以上、少しでも西川への精神的ダメージを残さないためにすぐマウンドから降ろした。8回辺りから腕が振れなくなって、変化球で三振が取れなくなったと感じている。相手が押せ押せムードになった9回を悪い流れのままズルズルいってしまうことだけは避けたかったのだ。流れはすぐには止まらず、代わった山隈も九番・梶原有司にレフト前ヒットを許し2点を失っている。

「6対3で勝って喜んでるなら草野球。違うだろ!NPBを目指してんだろ!上がるのは大変なんです。半歩上がるのも大変。なのに上がるどころか3歩下がってる。野手に関しては進歩ゼロです」
監督の言葉の中には3連勝した喜びなどどこにも見当たらなかった。好投した若い19歳の投手を助けてやれず、3年間やってきたことに対する成長が感じられなかった野手たちへの不満で只々埋め尽くされていた。

試合後、高知FDの選手たちはバッティング練習を兼ね、内野の連係プレーを確認しあっていた。
「あれは・・・ホームでしたね・・・」
意気消沈していた中村がポツリと漏らした。


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2007/05/15(Tue)

小さなミス、大きな本塁打

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.13. 徳島IS 1–3 香川OG <蔵本運動公園野球場>

勝 松尾 4勝1敗
S 橋本 1勝0敗3S
敗 益田 1敗
本塁打 丈武5号2ラン(4回益田)

連敗で負け数は二桁に上った。借金が「2」に増えた徳島ISが、引き分けを挟み5連勝と波に乗る香川OGを蔵本球場で迎え撃った。
徳島ISの先発・益田陽介は立ち上がり、苦しい投球となった。1回表、四死球2つと制球に苦しみ、いきなり一死満塁のピンチを迎える。五番・丈武の打球は三ゴロとなるが、併殺崩れの間に三塁走者・生山裕人が生還。二塁走者・堂上隼人も一気に本塁を狙うが、これは徳島ISの内野連係の前に憤死した。
4回表、丈武が左翼越え5号2ランを放ち、香川OGが3対0と差を拡げる。
香川OG先発の松尾晃雅は毎回三振を奪う快調な投球を披露し、徳島IS打線に逆転の隙を与えない。4回裏にはクリーンナップを三者三振に切って取った。
5回裏、徳島ISが反撃を開始する。一塁に走者を置いて九番・岡嵜雄介が左中間を破る長打を放つ。定位置よりやや前方に守備シフトを敷いていた左翼手、中堅手が打球を追う間に三塁を陥れ、徳島ISが1点を返した。
7回までを1失点で乗り切った松尾は8回から左腕・下地栄輝にマウンドを譲る。下地は二死一、二塁と走者を溜め、打席に四番・小松崎大地を迎えるが、下地に代わった三番手・橋本亮馬が小松崎を六ゴロに打ち取りピンチを切り抜けた。橋本は最終回も3人で抑え、香川OGが3対1と敵地において6連勝目を手にした。
香川OGは12勝5敗と勝率を7割に乗せ、首位独走の態勢に入った。逆に徳島ISは3連敗を喫し借金「3」。2位高知FDとのゲーム差も「3」と開いた。


『小さなミス、大きな本塁打』

4回表のマウンド、益田陽介(徳島IS)は焦っていた。
先頭の三番・堂上隼人をライトフライに打ち取ったものの、次の四番・智勝をカウント2-1と追い込みながら四球で歩かせてしまった。
「ヤバい。点につながる・・・」
すでに初回に1点を失っている。これ以上傷口を拡げたくない。
傍目から見るよりも本人にとっては痛い四球だった。しかも一塁に出たのは足の速い智勝である。弱気の影が少しずつ見え始めていた。五番・丈武(香川OG)が右打席に足を踏み入れる。

ここで益田がミスを犯した。
今季二度目の先発マスクを被った矢野大天とのサイン交換の時だった。

「ランナー一塁だったのに、(捕手から)出たサインがランナー二塁の時に出るサインだったんで、一瞬「えっ?」と思ったんです。それで動いちゃった」
セットポジションに入りかけたところで、始動前の体勢にもう一度戻ってしまった。一塁の神谷塁審がボークを告げ、智勝が二塁へ進む。
「前々から(ボーク)しそうな感じはあったんです。いつかやるんじゃないか、と気になってた」神谷審判は益田のモーションの不安定さを見抜いていた。

ボークは特に気にならなかった、と言う。それよりも心に重く圧し掛かっていたのは四球で歩かせてしまったことだった。その上、その走者を一球も投げずにタダで二塁へと進ませてしまった。

チャンスにおいての丈武は確かな勝負強さを持っている。現在本塁打数トップを走り、十分一発も狙える。
「ストレートを待ってました。一死二塁だったんで、とりあえず右狙いで」
そう考えていた丈武への初球、益田は外角へとスライダーを投げた。
「あそこへ投げたら森田さん(丈武)には打たれないと思ったんで・・・」

コントロールが甘くなった。外角ではなく、内角寄りに入ってきたスライダーに反応し、腰を素早く回転させる。打球がレフトスタンド上空に高く舞い上がり、スタンド内にある芝生の丘を越えた。外側のフェンスまで転がった打球をスタンドにいた少年が走って追い掛け、拾い上げた。
「来た球を打ったって感じですね。ほんと、たまたまです」

結果的に4回表に飛び出したこのホームランが試合を決めている。共に5安打と安打数は同じであり、ワンチャンスを活かした香川OGに軍配は上がった。

試合を分けたのは1本の長打と、接戦の中での細かいミスである。
6回以降すべての攻撃を3人で終えてしまった香川OGに対し、徳島ISは5回裏に岡嵜雄介が取り返した1点のみに終わっている。5回以降踏ん張った益田と、8回から好投した角野雅俊に打線が応えることができなかった。2試合連続となる送りバントの失敗により、無死で出塁した走者を二塁に送れない場面もあった。7回裏には一塁走者を牽制死で失っている。8回裏の二死一、二塁のチャンスにも四番・小松崎大地にあと一本が出ず、最後まで試合の流れをつかめないまま終わった。

「ミスが出たら負け。ミスが出なければ連勝中は乗っていけますよ。球際のプレーをいかにうまくするか。まぁまだまだワンランクレベルアップするために改善の余地はあるんだけどね」

そう語った西田監督の香川OGが、引き分けを挟んでの6連勝と本格的に波に乗り始めた。
香川OGのトレーナーである高橋塁氏に「6連勝、勢い止まらないですね」と声を掛けた。高橋氏が言った。
「今、ケガ人が誰もいませんから。誰でもいける状態です」


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2007/05/15(Tue)

ホームゲーム

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.12. 高知FD 4–2 徳島IS <土佐山田スタジアム>

勝 パチェコ 1勝0敗
S 上里田 2勝3敗4S
敗 番場 1敗

ここまでの2試合に完封負けし、2試合で安打数はたったの6本と高知FDの超強力打線に火が入らない。苦戦したビジターでのゲームを終え、ホーム・土佐山田スタジアムに帰ってきた。徳島ISがこの試合に勝てば、9勝9敗2分けで再び同率2位に並ぶ。
高知FDに合流以来二度目の先発となったパチェコだが、2回裏、四番・先頭の小松崎大地を中前安打で出塁させる。七番・HIROは左翼線へ適時二塁打を放ち、二塁から小松崎が生還。徳島ISが先に1点を奪った。
だがその裏、徳島IS先発の番場由樹がピンチに陥る。先頭の六番・宮本裕司に左中間を破る三塁打を許すと、八番・土佐和広の適時右前安打、一番・日高大輔の左犠飛で高知FDがすぐさま逆転に成功した。
5回表、徳島ISは一死一、三塁のチャンスに九番・岡嵜雄介が適時左前安打を放ち、同点に追い着く。
しかし5回裏、先頭の二番・梶田宙が中前安打で出塁すると、五番・高井啓行が適時右前安打を放ち、高知FDが再び徳島ISを突き放した。
高知FDは6回裏にも日高の適時中前安打で4点目を挙げ、差を2点に開いた。
6回を2失点で凌いだパチェコに代わり、7、8回を山隈茂喜が抑える。徳島IS最後の攻撃も上里田光正が3人で締め、高知FDが4対2で3戦振りの勝利を手にした。
高知FDは勝ち星を「10」に乗せ、1位香川OGとの差を2ゲームに縮めた。


『ホームゲーム』

5月5日の徳島IS戦では角野雅俊の前に1安打、前日の愛媛MP戦でも浦川大輔の前に5安打と、まったく高知FD打線に活気が無い。ビジターでの2試合を完封で落としてしまった。
「そろそろ出るでしょう」
試合前、小牧雄一コーチの顔はさほど暗くはなかった。

「打つ方は期待できない。絶対に先に点をやるな!」
マウンドに登る前、高知FD・藤城監督はそう言って先発のパチェコを送り出している。
「これが『超攻撃的野球』の欠点なんです。モロさがある。打とう打とうとする気持ちが強すぎるんです。それが力みにつながる」

しかし、今日の高知FD打線は勢いを取り戻し始めていた。
先制点を奪われた後の2回裏、先頭の六番・宮本裕司が左中間を破る三塁打を放ち逆転への突破口を開いた。同点に追い着かれた後の5回裏にも先頭の梶田宙が中前安打で出塁し、高井啓行の逆転打となる適時右前安打ですぐさま徳島ISを突き放している。

藤城監督が語る。
「取られた後にすぐ取り返した。これに尽きます。地元の人々の応援の前で逆転できたのが大きいです。パチェコも四球で出したランナーを還さなかった。これが良かったです。相手に流れを持って行かさなかったですから」
ただし、まだ打線が完全復活したとは考えていない。
「残塁が多かったでしょ。11個は多すぎる。取らなければいけないところで取れていない。もっと(点が)取れた試合だった」

連敗は止めた。2本の三塁打を放った宮本が言う。
「(ホームに)帰ってきたのがデカいっスよね。応援とか・・・やっぱりやりやすいっていうか」

高知FDはここまでホームゲームを7勝2敗1分け、ビジターゲームを3勝6敗1分けと、ビジターで大きく負け越している(5月12日現在)。ビジターゲームに勝ち越している香川OGを除き、どのチームもビジターでの成績に問題を抱えている。これを拾うか落とすかの差で優勝争いは大きく変わってくる。

自分たちのやりやすい空気の中で試合ができた。ホーム球場での有利さは確かにある。一塁側スタンドからの応援は、間違いなく選手たちの力になっている。試合後のロッカールームでパチェコも言っていた。
「『パチェコ!パチェコ!』とみんなが声を掛けてくれた。試合中ずっと勇気が湧いて、とても良かった」


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2007/05/14(Mon)

「こことここですね」

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.11. 徳島IS 4-8 香川OG <蔵本運動公園野球場>

勝 塚本 1勝0敗
敗 渡邊 3勝2敗
本塁打 堂上1号ソロ(4回渡邊)、近藤1号3ラン(4回渡邊)、シェパード1号ソロ(4回渡邊)、近藤2号ソロ(8回森)

勝率5割でGW連戦を終えた徳島ISがホーム・蔵本球場に首位を走る香川OGを迎えた。
防御率トップの塚本浩二を先発マウンドに送った香川OGだったが、徳島IS打線が塚本の立ち上がりを捉える。1回裏、四番・小松崎大地の適時左前安打で徳島ISが先制。3回裏にも二死満塁から増野真太郎が走者一掃となる左越え三塁打を放ち、3点を追加した。
しかし徳島IS先発の渡邊隆洋は4点のリードを守ることができない。4回裏、先頭の三番・堂上隼人に中越えソロ、六番・近藤洋輔に左中間へ3ラン、八番・シェパードに入団以来初となるバックスクリーンへ飛び込むソロ本塁打を浴び5失点。試合を一気にひっくり返された。
7回表にも二番・若林春樹の適時左越え二塁打、四番・智勝の適時中前打で2点を追加する。8回表にも代わった森倫太郎から近藤が今日2本目となる左越えソロ本塁打を放ち、香川OGが差を4点に拡げた。
7回途中から下地栄輝、9回を橋本亮馬が徳島IS打線をきっちりと抑え、香川OGが8対4で勝利した。香川OGはGWから続く5連勝で、2位高知FDとの差を2.5ゲームに拡げた。


『「こことここですね」』

試合後の塚本浩二(香川OG)は、浮かない顔をしてダッグアウトから出て来た。
2勝目を手にしたとはいえ、序盤に痛い目に遭っている。3回裏には自ら二つの四死球でピンチを拡げ、五番・増野真太郎に走者一掃の二塁打を許した。味方打線が一気に火を噴き、5点を挙げた4回表の攻撃に救われた形となった。

スコアブックを見ながら塚本が指を指す。
「こことここですね。これで助かりました」

4回裏、香川OGが逆転したすぐ後の徳島ISの攻撃。
一死から八番・HIROに左前安打で出塁を許した。二死一塁となった後、一番・山口寛史への2球目にHIROが二盗を試みた。これを捕手・堂上隼人が見事に刺している。
6回裏、一死から六番・福永泰也が右前安打で出塁した。続く八番・加藤光成への2球目に二盗を狙い、これも堂上が刺している。

積極的な走塁を仕掛けてくる徳島ISに対し、この二つの盗塁を刺したことでランナーを背負う苦しいピッチングをせずにすんだ。塚本は反省の色を隠さなかったが、初回を除き確実に先頭打者を出塁させなかったことが徳島ISのチャンスの芽を摘み取ったのは間違いない。その結果として2勝目を手に入れた。

堂上に塚本がポイントとして挙げた2つの盗塁阻止について聞いた。
「それはキャッチャーとしては・・・(当たり前のこと)。それよりもバッティングが・・・」
盗塁阻止はまったく気にも留めず、さらに逆転の口火を切った今季1号を喜ぶでもなく、走者のいる場面で凡退に倒れてしまった3打席を口惜しがっていた。


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2007/05/07(Mon)

「みんなで」

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.5. 徳島IS 5-0 高知FD <鳴門総合運動公園野球場>

勝 角野 2勝2敗
敗 上里田 2勝3敗3S

東部球場で連勝しGW5連戦を勝ち越したい高知FDと、昨日最終回にまさかの大逆転負けで連敗を喫した徳島ISの試合である。試合前から天候が心配されたが、無事18時01分、プレイボールが掛けられた。
2回裏、高知FD先発・上里田光正は四番・小松崎大地に左前安打を許す。五番・増野真太郎が手堅く送り、続く六番・福永泰也の適時右前安打で徳島ISが先制点を挙げる。5回裏にも一番・山口寛史が左前安打で出塁すると、三番・永井豪が左越え適時二塁打を放ち追加点を挙げた。
6回から小雨が落ち始める。6回裏、一死二、三塁の場面で九番・大二郎がカウント2-1からのフォークボールを空振りすると、捕手・小山田貴雄がこれを後逸する。小山田から一塁手・中村竜央への送球が大きくそれ、走者二人が生還した。ここで高知FD・藤城監督は上里田を諦め、5月2日にチームに合流したばかりの山隈茂喜をマウンドに送る。続く山口の打った遊直は國信貴裕のグラブをかすめ中前に抜ける。この間に大二郎が還り、徳島ISは5点のリードと高知FDを大きく突き放した。
徳島ISの先発・角野雅俊は高知FD打線に1本の安打も許さない投球を続ける。8回表二死から一番・白川大輔に内野安打を許し無安打無得点試合の達成こそならなかったが、最終回も無失点で切り抜け、自身’05年6月26日以来となる完封勝利で2勝目を挙げた。


『「みんなで」』

角野雅俊(徳島IS)は試合前、チームメイトとある約束を交わしている。
「イライラしたり、独りで興奮しないって。みんなと約束してました」

昨年からの課題として、感情面のコントロールがあった。
微妙なボールの判定にマウンドであからさまに苛立ちを見せ、さらにカウントを悪くする。肩に力が入り、力んだボールが高めに浮く。そうなり始めると待っているのは自滅だ。甘いコースに入ったストライクを捉えられ、悪循環に陥った。
「お前みたいなピッチャー、誰も信用しないよ!お前みたいなヤツのために誰も体張ってくれたりするか!」
昨年、試合後のミーティングで当時の小野監督から選手全員の前で大喝されたこともあった。「勝ちたい」という勝利への強い渇望と、自分自身に掛けすぎるプレッシャーが、マウンドでの精神状態を不安定にさせていた。

「野手の信頼を得なあかん。とにかく気持ちを前に出しすぎるな。淡々と投げろ。そう言うてました」
白石監督はGW中の5連戦、その4戦目に角野を使うことを決断していた。前日、最終回に片山正弘が香川OG打線からメッタ打ちに遭っていた時、外のブルペンでアップを繰り返していた角野を使わなかった。
「流れの中で角野は明日先発やし使えんかった」
この場面で角野を起用して果たして抑えられるのか。監督自身の胸の中にもいくらかの不安があった。明日の先発に向けて悪いイメージを引き摺って欲しくない。様々な思いから片山に続投させ、痛すぎる逆転負けを喫している。

野手の信頼、首脳陣の信頼。
たくさんの大きなものを手にしなければならない。それにはマウンドで結果を出すしかない。そのために一番に変えなければならなかったのが、すぐ熱くなってしまう自分の気持ちを最後まで静め続けることだった。

焦ったのは4回表だった。二番・國信貴裕を一塁手・山口寛史の失策で出塁させ、続く三番・古卿大知を四球で歩かせた。無死一、二塁。ここで高知FDの積極策が裏目に出る。四番・中村竜央への2球目にダブルスチールを仕掛けた。捕手・加藤光成は素早く三塁に送球し、三盗を狙った國信を刺した。中村はカウント2-2からの5球目を右にもっていった。一塁への鋭いゴロを山口が捌く。
「山口さんが難しいゴロを獲ってくれた。あれは本当にビッグプレーでした」
ピンチを乗り切り、この裏の攻撃で2点のリードをもらっている。

角野のスライダーは抜群のキレを見せていた。
結果として右方向への打球が増えた。一塁手・山口に4本、二塁手の大二郎へは7本である。5回表、七番・高井啓行が打った二遊間への難しいゴロを大二郎が必死に追い着き、出塁させなかった。大二郎が語る。
「あの辺からもう意識はしてましたね。絶対にヒットにでけへんわ!と思って」
依然ノーヒットのままで前半を終え、無安打無得点試合という大記録の予感に球場全体が包まれ始めていた。当然、野手たちの気持ちにも火が入った。

内野手だけでなく、外野手からもマウンドに声が飛ぶ。角野の耳にはしっかりと届いていた。「「いい球いってるから!頑張れよーっ!」って声かけてくれて」
好投を続ける角野をバックが盛り立てる。

8回表二死、一番・白川大輔がスライダーにくらいつき、ファールで粘った。球種を替えて、結果打たれることを嫌った。意地でもスライダーを投げ続けた。9球目に投げたスライダーが二遊間の深いところへ転がる。打球に追い着いた大二郎が左に腰を切って一塁へ送球する。間に合わない。しかも送球がワンバウンドし、後ろに逸れた。
高知FDの記録したヒットはこの1本だけだった。

「野手が頑張ってくれてるここ数試合、ピッチャーが試合を壊して負けてました。だからなんとかして勝ちたかった。自分が気持ち良く打たせればなんとかなる。みんなで気持ち良く野球したいんで」

野手の失策に心を乱すこともなく、際どい判定に苛立ちを見せるでもなく、ひたすら丁寧に投げ続けた。独りで戦おうとしていた孤独な投手の姿はどこにもなく、野手と声を掛け合い、全員でこの試合を獲りに行こうとする姿があった。記録達成を逃したことなどほんの些細なことでしかなかったのかもしれない。
「みんなで」
試合後の囲み取材中、何度もこの言葉を使っていた。

約2年ぶりの完封勝利を挙げたのは、徳島ISがリーグ創設初勝利を挙げた記念すべき日と同じ5月5日だった。場所はあの日と同じ鳴門球場、9回を投げ抜いたマウンドに立っていたのも、あの日と同じ角野だった。


2007.5.5. KAKUNO & DAIJIRO
角野のピンチを大二郎が好守で救う

PHOTO BY Misato MORI
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2007/05/05(Sat)

三度目の悪夢

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.4. 香川OG 8-7 徳島IS <サーパススタジアム>
※ 9回裏サヨナラゲーム

勝 岡本 1勝
敗 片山 2勝3敗1S
本塁打 丈武3号サヨナラ3ラン(9回裏片山)

連勝で波に乗る香川OGはこの試合に現在3勝を挙げ、ハーラーダービートップを行く天野浩一をマウンドに送った。初回を三者凡退に切って取った天野だったが2回表、七番・李鐘熙、八番・加藤光成に連続適時打を浴び2点を失う。5回表にも二番・岡嵜雄介が打った遊撃手後方の難しいフライを智勝がグラブに当てながら落球し、3点のビハインドを背負った。
5回裏、徳島IS先発・益田陽介は一番・国本和俊に左中間を破られ香川OGが1点を返す。続く6回裏にも五番・丈武が左翼線に適時二塁打を放ち1点差に詰め寄った。
香川OGは天野に代え7回から下地栄輝、8回から橋本亮馬をマウンドに送るが、橋本が捕まる。一死一、三塁のピンチに李にスクイズを決められ追加点。さらに二・三塁間に走者を挟んだ際に捕手・堂上隼人が二塁に悪送球し、この間に走者二人が生還。この回3点を失った。9回にも四番・小松崎大地の右犠飛で徳島ISが7点目を奪う。5点のリードをもらい、6回途中からリリーフした片山正弘が最終回のマウンドに登った。
9回裏、片山が突如乱れた。七番代打・生山裕人に死球、八番代打・林世業に中前安打、さらに九番代打・シェパードにも死球を与え、無死満塁のピンチを迎える。国本の右犠飛で1点を失った後、二番・若林春樹にこの回3つ目の死球を与え、さらに満塁が続く。三番・9回からマスクを被った山本遼太が左前安打を放ち3点差に。四番・智勝が中犠飛を上げ2点差に追い上げた。なおも二死一、二塁とチャンスが続く中、五番・丈武は片山の初球をライナーで左翼スタンドに叩き込むあまりにも劇的なサヨナラ逆転3ラン。香川OGが8対7と、サーパススタジアムに駆けつけた2,488人のファンの前で土壇場からの大逆転劇を演じた。


『三度目の悪夢』

「マンガみたいな試合やなァ!」
ダッグアウトから通路に出て来た西田監督は、開口一番こう語った。
5点差で迎えた最終回だった。8回、9回に4点を奪われ、香川OGの敗戦はほぼ決まったも同然だった。

片山正弘(徳島IS)は明らかにそれまでの片山ではなくなっていた。外角へのボールが大きくそれ、ストレートにもまったく力が無い。死球を連発し、ヒットを打たれ、走者を出し続けた。七番代打・生山裕人から始まった香川OG最終回の攻撃にはまったく無駄が無く、与えた二つのアウトも犠飛であり2点を奪っている。計8人、たった20球で一挙に6点を奪い取った。

「別にいつもの通り・・・。出し入れをしっかりして、打たせて取ろうと思ってました。特に気持ちがどうということもなかった」
片山は言葉少なくバスに乗り込んで行った。
すでに無死一、二塁の場面で動揺を隠せなくなっていた片山に、白石監督はマウンドまで行き直接言葉をかけている。
「ランナーは関係ないぞ!」と言ったんです。なんであんな気にするんかなぁ・・・。牽制なんかいらんのに。一塁ランナーをずっと気にしとったからね」
明らかに指揮官の予想を超越した崩れ方だった。
「始めから「3回は行くそ」と言うとったからね。(3回が)長いとは思わんのやけど、先発もしとるしね。あそこまで大崩れするかねぇ?」

「あの場面では代え辛かったと思う」
勝った西田監督は試合後、白石監督に同情とも言えるコメントを出していた。最終回、五番・丈武に「狙え!」と指示したのは柳田聖人コーチだった。
「このリーグの選手は悪い流れを止められるヤツがいない。こっちがやられる時もそうなんですけど、向こうもそうでしょ。心が弱いんですよ」

片山にも心の弱さがあったのか。5点のセーフティーリードがある中で、どんな恐怖に苛まれていたのか。「別にいつも通り」だったはずがない。この屈辱を晴らせる場所は、やはりマウンドの上以外他にはない。

「ピッチャーもまだ若いからね。精神的なところに問題があるんかなぁ・・・」
白石監督は終盤に崩れてしまう投手陣に頭を悩ませている。今季、9回に見せられた悪夢はもうこれで3度目である。


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2007/05/05(Sat)

ダイブ!

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.3. 香川OG 7-1 愛媛MP <サーパススタジアム>

勝 塚本 1勝0敗
敗 梶本 1勝3敗1S
本塁打 丈武2号ソロ(2回裏梶本)

『オリーブスタジアム』から『サーパススタジアム』に名称が替わってから初のホームゲームとなる。3チームが7勝で並び、首位争いが混沌としている。首位を守る香川OGが借金「4」と苦しい戦いを続ける愛媛MPと相対した。
2回裏、五番・丈武のバットが火を噴く。愛媛MP先発・梶本達哉から左翼スタンドに叩き込むソロ本塁打で先制点を奪う。
しかし香川OG先発の塚本浩二は序盤苦しい投球が続く。3回表、四番・荒木康一に適時中前安打を放たれ、すぐさま同点に追い着かれた。
5回裏、香川OG打線の猛攻が始まる。八番・越智一之の中前安打を皮切りに走者を溜めると、一番・国本和俊の中前安打、三番・堂上隼人の左前安打、七番・近藤洋輔の左前安打などで5点を奪い打者一巡。梶本に代わった小山内大和からも越智が左翼線適時二塁打を放ち、この回一挙6点を挙げ差を拡げた。
7回を1失点のまま乗り切った塚本は、8回表から17歳の岡本健太にマウンドを譲る。岡本は8、9回を無失点に抑え、香川OGが7対1とサーパススタジアムになってから最初の試合を勝利で飾った。


『ダイブ!』

結果的には6点の差をつけた香川OGの大勝となった。
愛媛MPは序盤に大きなチャンスを逃している。それが響いた。

2回表、香川OGの三塁手・丈武がゴロをファンブルし、先頭打者の四番・荒木康一を出塁させた。打率4割をキープし依然好調を続ける五番・檜垣浩太が右前安打で続く。六番・外間修平が三塁前へのバントヒットを決める。無死満塁である。

七番・長崎準平は4球目を打ち損じ、キャッチャーのファールフライに倒れた。しかし香川OGにとって悪い流れはまだ続いていた。八番・田口大地が上げた一塁へのファールフライを丈武が落球する。嫌なムードが球場を包む。田口が浅いセンターフライに倒れ、二死満塁となった。九番・梶原有司はカウント2-1からの4球目をライナーで左中間に飛ばした。

やや左中間寄りに守備位置を移し、浅めに守っていた左翼手・井吉信也が打球に向けて猛然とダッシュを掛ける。スコアボード上に掲げられている旗は、ライト方向からレフト方向に向けて強くはためいていた。
「風があったのでレフト線のは全部ファールになると思って、こっち(センター寄り)に寄ってました。余裕は無かったですね。もう「行けーッ!」って感じで」

低い弾道に向け、思い切って頭からダイブした。精一杯伸ばした左手のグラブには確かな感触があった。サングラスの向こうから笑顔をこぼしながら一塁側ベンチに帰ってきた。

このイニングで先制できなかったことで愛媛MPは流れをつかめなかった。
その裏、丈武は自分のミスを見事にバットで取り返す。香川OGの先発・塚本浩二は5つの四球を出しており、制球が安定していなかった。5回表にも立て続けに二人を歩かせている。だが、グレアム義季サイモンが盗塁に失敗し、一死から出塁した福西太志もレフトフライに走塁ミスを犯し、併殺を喰らった。大事なところでの走塁ミスでチャンスを失っている。一挙6点の猛攻となったのはその裏のことだった。

大きな意味のあった井吉のファインプレーが悪い流れを断ち切った。
「あのワンプレーが大きかった」と聞いてみれば、「みたいですねぇ」と笑顔が返ってきた。


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2007/05/05(Sat)

落とし穴

四国アイランドリーグ公式戦
2007.5.2. 徳島IS 4-1 高知FD <徳島県営蔵本球場>

勝 渡邊 3勝1敗
敗 捻金 3敗

蔵本球場では今季初の四国リーグ公式戦開催となる。
高知FD先発の捻金孝行が先頭の一番・山口寛史を四球で歩かせる。送りバントで走者を進めた後、三番・永井豪は適時中前安打を放ち、徳島ISが打者3人で先制点を挙げた。
5回表にも徳島IS打線が捻金に襲い掛かる。一死二、三塁とし、山口が適時右前安打で追加点を。永井の一ゴロが併殺崩れとなる間に二人が還り、差を4点に開いた。
徳島IS先発の渡邊隆洋は7回を2安打に抑える見事な投球を披露し、8回からマウンドを片山正弘に譲った。9回表、五番・マサキが右前安打に適時安打を放ち1点を返すが反撃もここまで。4対1で徳島ISがホームゲームを制した。
渡邊はハーラートップに並ぶ3勝目を挙げ、徳島ISが高知FDと同率で並び2位に浮上した。


『落とし穴』

4月30日に行われた福岡ソフトバンク二軍との交流戦メンバーに、渡邊隆洋(徳島IS)も選抜されていた。無四球完封勝利を挙げたのが3日前の4月27日である。徳島IS首脳陣は交流戦を指揮する西田監督(香川OG)に、渡邊の登板を控える様要請している。

「両監督やコーチの方々が気を使ってくれて見学させてもらってんのに、ここでいいピッチングできなきゃ、何のために休ませてもらってんのか解らない・・・」
そんな気持ちを胸に今日のマウンドに登っていた。張っていた肩の疲労はもう取れている。初回先頭打者の古卿大知と、4回表、四番・中村竜央に右前安打を許した以外ヒットは許していない。

気持ちが動揺してしまったのは7回表だった。先頭の三番代打・孝太郎に対しカウントが0-2になった。この時、少し弱気が顔を出した。
「あー、またこんなことやっちゃうのか・・・」
投手にとって四球は失策と同じだと思っている。孝太郎を歩かせ、次の四番・中村にもボールが3つ続いた。
「バッターでいいよ」
一塁手の山口寛史が声を掛ける。

「そう言ってくれた山口さんの横には、自分が出した孝太郎がいる訳ですよ」
自己嫌悪に似た感情が湧いていた。4球目が外れ、中村が一塁へ歩く。野手がマウンドに集まった。

タイムが解かれ、次の打者は五番・マサキである。カウント0-1からの2球目は一塁へのライナーになった。獲った山口が一塁を踏み、二塁に入った遊撃手の李鐘熙に送球する。少し高く浮いた。三重殺は逃したが、一瞬にして二死を奪った。次の打者、六番・小山田貴雄を外角への渾身のストレートで三振に切って取った。

粘り強いと言われているピッチングも、たった一つのミスから崩れてしまうことがある。落とし穴はそこら辺に隠れているのだ。そしてそれは自分の気持ちの中にもある。穴にはまりそうになっていた渡邊を救ったのは味方の好守だった。7回表のマウンドを駆け降りた時、スコアボードには「0」が7つ並んでいた。交流戦の当番を回避した分の仕事は十二分にやってのけた。

試合後、深谷亮司コーチから
「(明日の高知遠征は)帯同しなくてもいいぞ」
と言われている。
「いえ、行きます。試合見てなんぼですから」


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2007/05/04(Fri)

現在の差

四国アイランドリーグ交流戦
2007.4.30. 香川OG・徳島IS連合 6-9 福岡ソフトバンクホークス二軍 <オリーブスタジアム>

本塁打 中西2ラン(8回表小林)、永井ソロ(8回裏高橋)

高知FD・愛媛MP連合チームとの交流戦に続き、香川OG・徳島IS連合チームが福岡ソフトバンクホークス二軍に挑んだ。
香川OG・徳島IS連合先発の松尾晃雅(香川OG)は初回、五番・松田に右越え三塁打を喰らい2点のビハインドを背負う。4回表には二番手・片山正弘(徳島IS)が六番・吉本の中前打などでさらに2点を失った。
凱旋登板となったソフトバンク先発の西山道隆は、4回を被安打1と素晴らしい投球を見せマウンドを後続に譲る。5回裏、二番手としてマウンドに登った育成選手の山田だったが、六番・丈武に対し頭部に死球を与え、危険球行為で退場となる。急遽一死一塁の場面から川口がマウンドに登るが、九番・国本和俊の適時右翼線二塁打などで一挙5点を失った。
7回表、香川OG・徳島IS連合チームの五番手・下地栄輝(香川OG)は、二番・金子に左翼線二塁打を許しソフトバンクが再び同点に追い着く。
8回表、下地に代わった小林憲幸(徳島IS)が打ち込まれる。九番・中西の左翼スタンドへ突き刺さる2ランなどでソフトバンクが3点を奪い逆転に成功した。
四番・永井豪(徳島IS)が8回裏に右越えソロ本塁打を放ち1点を返すが、9回表に天野浩一が1失点し、9対6で福岡ソフトバンクホークス二軍がNPBの意地を見せ勝利した。
四国リーグは今季の交流戦通算成績を1勝4敗1分けとした。


『現在の差』

福岡ソフトバンク二軍相手に9点を獲られた。
被安打11の上に失策が4つあった。いずれも内野手の失策だった。「今日の野手の失策の原因はどこにあったのか?」という質問に柳田聖人コーチ(香川OG)が答えてくれた。

「打球の速さが違うんじゃないかと思うんです。その上、自分のボールに追い着くまでの時間だとか、手を出して(打球に)届くまでの距離をちゃんと把握できてんのかなァと思うんですね。ソフトバンクのコーチにも言われたんですけど、判断するのが遅いんです」

遊撃手として先発した三輪正義(香川OG)は、ソフトバンクの打球に対して「速かったです」とだけ答えた。

逆に「そうは思わなかった」と答えたのは、三塁手・国本和俊(香川OG)だった。
「それは無かったです。ただ、何か(NPBに対する)先入観みたいなものがあって、打球に対して構えてしまった。それでいつものプレーができなかった」
実際飛んできた打球は思ったほどでもなかった。しかし、打球の鋭さを想像するあまり、躊躇してしまった。

「それは(やっぱり)・・・ファールとかでも違うくないスか?」
二塁手・山口寛史(徳島IS)も打球の凄さは確かに感じていた。

NPBとの交流戦では上のレベルを直接肌で感じることができる。それを経験できるのは確かにメリットだろう。NPBのレベルが凄いと感じた。その経験は、そのレベルまでスキルを上げなければいけないのだという現在の自分との差を計るものさしになる。その差を縮めるための日々がまた続く。


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2007/05/03(Thu)

チャレンジの場所

四国アイランドリーグ交流戦
2007.4.29. 高知FD・愛媛MP連合 4-4 福岡ソフトバンクホークス二軍 <高知東部球場>

本塁打 吉本ソロ(6回岸)

今季5試合目となるNPBと四国アイランドリーグの交流戦。高知FDと愛媛MP連合チームが高知東部球場に福岡ソフトバンクホークス二軍を迎えた。
2回表、高知FD・愛媛MP連合先発の西川徹哉(高知FD)が連打を浴び、七番・金子の左犠飛、八番・明石の適時中越え三塁打などで3点を失う。
3回裏、先頭の一番・古卿大知(高知FD)がソフトバンク先発のルーキー大隣から左中間を破る二塁打を放ちチャンスを作ると、三番・檜垣浩太(愛媛MP)、四番・マサキ(高知FD)の連続適時二塁打で高知FD・愛媛MP連合が2点を返した。
西川に代わりマウンドに登った梶本達哉(愛媛MP)は4回表を三者凡退に、5回表には三者連続三振を奪う好投を見せる。
しかし6回表、この回からマウンドに登った左腕・岸健太郎(高知FD)が先頭の二番・吉本に外角へのチェンジアップをすくわれる。打球は左翼スタンドに飛び込むソロ本塁打となり、差を2点に拡げてしまう。
7回裏、ソフトバンクの三番手・大西は制球が定まらず走者を溜めると、二死二、三塁のチャンスに五番・中村竜央が左翼フェンス直撃の2点適時三塁打を放ち、高知FD・愛媛MP連合が遂に同点に追い着いた。
7回表を近平省吾(愛媛MP)、8回表を浦川大輔(愛媛MP)が抑えると、9回表のマウンドに上里田光正(高知FD)が登る。上里田は一死満塁のピンチを迎えるが、落ち着いた投球でここを切り抜けた。最終回の攻撃に望みを託した高知FD・愛媛MP連合だったが得点するに至らず、試合は4対4の引き分けに終わった。
四国リーグはNPBとの今季交流戦成績を1勝3敗1分けとした。


『チャレンジの場所』

「クリーンナップなんかいいスイングしてましたよ。後半投げたピッチャーなんか良かったですね。西山(元愛媛MP・西山道隆投手)に聞くと、オフにはアルバイトしてるんでしょ?(ソフトバンクの選手に)「君たちにもそういう時期があったはずだ!」と言いました。記憶を呼び戻させてくれるよね」
ソフトバンク・石渡監督は試合後、四国リーグの選手たちの夢をつかもうとしている気持ちが、非常に勉強になった試合だったと話している。

先に連打で3点を奪われ、同じく連打で2点を奪い返した。さらに本塁打で突き放されたが、相手のミスを突いて一本の長打で同点に追い着いた。ソフトバンクは4人の投手を使い8安打を放った。高知FD・愛媛MPは6人の投手を使って7安打である。3時間11分、共に無失策と後半は実に締まったゲームになった。

五番・中村竜央(高知FD)は今日の打席に意識していたことがあった。
「ファーストストライクから積極的に振っていこうと思ってました。モリさん(高知FD・森山コーチ)から「ムチャ振りでもいいから振っていけ!振らなわからん!」って言われてて」
変化球をつい見てしまうクセがある。とにかく最初のストライクにバットを出そうと決めていた。それが結果につながった。第一打席にレフト前ヒット、第二打席にもライト前にヒットを放っている。

2点のビハインドを追い掛ける7回裏、二死一、二塁の場面で打順が回ってきた。この回からマウンドに立ったのは左腕・大西正樹である。カウント0-2から外角へのスライダーを見逃してしまった。
「あの打席は見てしまったんです。で、次のスライダーを空振りしたんですけど、あそこで「振れた!」と思った」
意味のある空振りになった。

このボールを捕手が捕り損ねる間にランナーが各自進塁する。二死二、三塁。お膳立ては整った。右へ一球ファールした後の7球目をレフトへ運んだ。左翼手の長谷川勇也がフェンスぎりぎりまで下がって捕球体勢に入る。打球は大きく伸びた。ジャンプしてもグラブに収まらなかったボールが、フェンスに当たって跳ね返る。
「打ったのはスライダーでした」
NPBとの交流戦という大切な場所で、結果と自信をつかんでいる。

2007.4.29. NAKAMURA
この一打でソフトバンクに追い着く

9回表のマウンドに登った上里田光正(高知FD)にも思うところはあった。
ホーム開幕戦で完封勝利を収めてからというもの、逆に自分の中で何かを失いかけていた。
「今までは「当たって砕けろ!」と思えてたのが、開幕戦で抑えてからいい意味で注目もしてもらってて、何かきれいに野球しようとしてたんです。ガメつさが無かった。きれいに抑えて当たり前、みたいな・・・」
練習が終わった後の自室で、自分自身と対峙していた。
「ここ一週間・・・ほんと何日か前ですね。「もっと気持ちで向かって行こう。あかんかったらしゃあない」って思えた。今全力でやることで、たとえ今年ダメだったとしても次のステップに繋がるんじゃないか」

打ち取ったはずの打球がショートの前で大きく弾み内野安打になった。一塁へヘッドスライディングで飛び込んだ福田修平が一塁ベース上に立つ。続く六番・小斉祐輔の打球がレフトの頭上を大きく越える。三塁を回ったところで福田が滑って転倒した。9回表、4対4と同点の場面に、高知FD・愛媛MP連合チームは無死二、三塁のピンチを迎えてしまった。

7回表の守備からマスクを被った梶原有司(愛媛MP)が注意していたことは一つ。「高目には絶対投げさせない」ということだけだった。
「NPBは甘いところは持っていかれる。高目に行くと簡単に犠牲フライ打たれちゃうんで、低目に集めようと。自分が止めればいいですから。フォークで勝負しました。(フォークを多めに見せたことで)その分真っ直ぐが活きましたね」
高知FDのエースを愛媛MPの正捕手が力強く引っ張る。

七番・金子圭輔の一塁ゴロをマサキ(高知FD)が止め、ランナーは還れない。八番・明石健志にはフォークを空振りさせたが際どいコースが外れ、歩かせた。一死満塁とピンチは続く。九番・荒川雄太が初球を引っ掛けた。三塁手の檜垣浩太(愛媛MP)が前に突っ込んでゴロを捌くと、すぐさま梶原へ送球し得点を阻む。二死満塁、一番・城所龍磨をカウント2-1と追い込み、セカンドゴロに打ち取った。最後に訪れた大ピンチを見事に凌ぐと、息を呑んでいた一塁側とバックネット裏のファンたちが一斉に沸いた。

あの9回表を上里田が振り返る。
「楽しかったです。自分を試せるせっかくのチャンスでしたから。「自分の球が投げられればいいや」と思ってました。初めて組んだんですけど、梶原がうまくリードしてくれました。抑えるのって技術よりも気持ちの部分が大きいんです。ガメつさがなくなってたのを思い出させてくれました」
気負いもせず、力みもせず、開き直って投げることができた。忘れそうになっていた挑戦者としてのアグレッシブさを取り戻させてくれた。「楽しかった」と語った上里田の顔に、大きな充実感が見えた。

中村、梶原、上里田。それぞれにこの2年間で成長し、つかんだ物がある。それを交流戦という絶好のチャレンジの場で直に試した。結果は強い自信となり、大きな糧になる。追い着いての引き分けだった。もう一歩、もう一頑張りで追い越せるところまで来た。その頑張りの向こうに彼らの夢が続いている。


2007.4.29. AGARITA
9回表、上里田の力投

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2007/05/02(Wed)

坊っちゃんスタジアムに帰ってきた

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.28. 愛媛MP 5–0 香川OG <坊っちゃんスタジアム>

勝 浦川 2勝1敗
敗 天野 3勝2敗

愛媛MPにとって今季初開催となる坊っちゃんスタジアムのホームゲームである。好天に恵まれたGW初日の土曜日に、スタジアムには6,721人の観衆が詰め掛けた。愛媛MP先発は浦川大輔、香川OG先発は天野浩一。14日のオリーブスタジアムでは互いに好投を続けながら、5回途中降雨コールドゲームとなった因縁の二人である。
1回裏、一死一塁の場面で三番・外間修平の三ゴロを三塁手・丈武が悪送球。ボールが転がる間に一塁走者の福西太志が生還し、愛媛MPが先制点を奪う。天野の暴投で三塁に進んだ走者を四番・荒木康一が左犠飛で還し、香川OGはミスから2点を失った。
3回裏にも福西、外間、荒木、五番・檜垣浩太の4連打で2点を奪い、愛媛MPが4対0とリードを拡げる。香川OGベンチは天野を諦め、4回から岡本健太、5回から勝沢賢一をマウンドに送る継投策に出た。6回裏、九番・梶原有司の三ゴロを丈武がファンブルする間に三塁走者が還り、愛媛MPが差を5点と拡げた。
浦川は八回以外先頭打者をすべて打ち取り、香川OGに反撃のチャンスを与えない。9回も三者凡退に切って取り5対0。坊っちゃんスタジアムに集まったたくさんの愛媛MPファンの前でエースらしい見事な完封勝利を挙げてみせた。


『坊っちゃんスタジアムに帰ってきた』

4月13日、雨のオリーブスタジアムで好投を続けながら、5回途中降雨コールドという不運な形で香川OGに敗れた。相手投手は天野浩一だった。今日は今季初となる坊っちゃんスタジアムでの試合である。相手は香川OG、しかも先発はあの時と同じ天野だ。しかし浦川大輔(愛媛MP)の心の中には、その試合で受けたものよりももっと大きな悔恨があった。
「あの試合より去年の9月の終わり、(ここで)胴上げを見せつけられたという思いの方が強かったですね」

胸に去来していたのは昨年9月24日、このマウンドで自ら香川OG打線に打ち込まれ、目の前で後期優勝の胴上げを見せつけられたあの時の想いだった。坊っちゃんスタジアムで香川OGと戦うのは、あの日以来になる。

「ここ数試合いいピッチングができてたんで、大崩れはしないだろうと。2点以内に抑えてくれるだろうと思ってました」
沖監督の大きな信頼の下、今日のマウンドに登っている。序盤から打線が爆発してリードを奪い浦川が抑えるという展開は、集まった6,721人の観衆を大いに盛り上がらせた。際立っていたのがストレートの威力である。

昨年174個の三振を奪い奪三振王のタイトルを手にした。スライダーのキレには定評がある。沖監督が語る。
「浦川にはオフから「ストレートを見直せ!」と言ってました。いい変化球を持ってますからそれを活かすことでストレートが活きる」
その必要性を最も感じていたのはもちろん浦川自身である。ストレートのスピードを上げるためオフの間、体力強化に時間を費やしてきた。努力は結果となって表れる。スピードが145kmを越えるようになり始めた。

バッテリーを組んだ捕手の梶原有司は、走っているストレートを中心にリードしている。
「カーブでカウントを取りながら、ストレートが上ずったのを(打ち損じて)ファールにしてくれてました。後半はストレート中心に。「しっかり投げていきましょう」と」

7回表、この回投じた19球の内、8球のストレートが140km以上のスピードを記録しており、電光掲示板には2度145kmが表示されている。しかし見た目以上にスタミナは消耗していた。
「6回、7回に「代えてくれ!」と思ったんですが、ストレートがフライになってたんで、まだいけるなと思ってました。明日のことを考える前に、この試合を全力で」
明日のソフトバンクとの交流戦メンバーにも選抜されている。しかしまず目の前のこの試合に全力を尽くさなくてはならない。集まってくれた大勢の観客の前で、とにかく結果に繋げたい。そう考えていた。

8回表、九番代打・山本遼太に投じた初球の変化球が抜けて死球となり出塁を許した。先頭打者を出塁させたのはその時のみである。
「二死から四球を出したし(1回表)、まだまだです」
四死球は2。被安打4。最終回も四番・智勝をファーストへのファールフライ、五番代打・シェパードをセカンドフライと5球で打ち取った後、六番・林世業を三球三振に切って取り、締めた。

今季最初の坊っちゃんスタジアムで最高の試合をやってのけた。あの日の屈辱があり、それを乗り越えてきた愛媛MPの仲間たちがいる。確実にレベルアップしてこのマウンドに帰ってきた浦川の姿がそこにあった。

実は今日の試合の中で、電光掲示板のスピード表示が一度だけ150kmを示している。自身「代えてくれ!」と思っていたという6回表二死、智勝にカウント0-2から投げた外角へのストレートである。
「一度150kmが出てましたね。間違いかな?と思ったけど、あれだけ145kmが出てたからあながち間違いじゃなかったかもしれない。もう一度出れば間違いなかったんだけどね」
沖監督の言葉である。


2007.4.28. URAKAWA & KAJIWARA
愛媛MP浦川大輔と梶原有司

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2007/05/01(Tue)

ここで自分が変われるか?

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.27.  徳島IS 2–0 愛媛MP <鳴門総合運動公園野球場>

勝 渡邊 2勝1敗
敗 梶本 1勝2敗

先週に続き徳島ISにとってはホーム鳴門球場での3連戦である。是が非でも獲りたい第1戦に、徳島IS白石監督は左腕・渡邊隆洋を、対する愛媛MP沖監督は、今季入団の梶本達哉を先発マウンドに送った。試合は両チーム、走者を出しながら得点に結び付けることができず、6回までゼロ行進が続く。
7回裏、徳島IS打線が梶本を捉える。四番・小松崎大地が右前安打で出塁すると、五番・福永泰也がきっちりとバントで送る。六番・李鐘熙は2球目を右翼に打ち上げるが、これを今日八番・右翼手として先発した投手登録の木谷智朗が落球し、二塁から小松崎が還る。八番・HIROも適時右前安打を放ち、徳島ISが2点を挙げた。
愛媛MPは9安打を放ちながら最後まで得点が奪えず、最終回の攻撃も無得点に終わった。9回128球を投げ抜いた渡邊が今季初の完封勝利。徳島ISは今季愛媛MPより初勝利を挙げ、勝率を5割に戻した。


『ここで自分が変われるか?』

プライベートな時間を一緒に過ごすことが多い内野手の山口寛史に、渡邊隆洋(徳島IS)は以前聞いてみたことがある。
「いいピッチャーって、どんなピッチャーなんですかね?」
「そりゃあ今からパワーつけて150km投げろって言っても難しいし、低目を丁寧に突け続けられるピッチャーがいいピッチャーだろ」
そんなやりとりが記憶の中に残っている。

「今日一番意識したのが、先頭を出さないことでした」
ヒットを打たれるのは構わない。問題はそこからどれだけ粘ることができるか。それには丹念に低目を突くことだと考えていた。丁寧な投球を心掛け、四死球を許していない。

先頭打者の出塁を許したのは二度、いずれも八番・木谷智朗の打席だった。
「(本来投手である)木谷さんに打たれたのは別に気にならなかったんですけど、それよりも先頭を出してしまったのが悔しかった」
5回表、左前安打で木谷が出塁すると、九番・梶原有司に出たサインは送りバントだった。1球目をファールし、2球目が渡邊の前に転がる。すかさず二塁へ送球した。
「ずっとバント処理は練習してきてて、ピッチャー陣が課題としていたプレーだったんで。ランナーを出したからって後手に回るのではなく、あそこで刺せたってことで凄い自信になりました」

7回表、木谷今日2本目の安打が右中間を破る二塁打となった。梶原のバスターは二塁へのゴロとなり、ランナーが三塁へ進む。一番・グレアム義季サイモンのバットがカウント2-3からの6球目に反応し、打球がレフトへ上がった。木谷が本塁へタッチアップの体勢に入る。

白石監督は6回表の守備から先発の岡嵜雄介に代え、左翼手に今日が公式戦初出場となる増野真太郎を置いていた。
「緊張しました。もう汗ダクダクで・・・。永井さんが(中堅手・永井豪)「カバーに入ってやるから思い切って前に突っ込め」って言ってくれて」
永井の言葉通りダッシュし落下点に入ると、すかさずカットに入った三塁手・HIROへボールを送る。HIROに繋がれたボールが捕手・加藤光成のミットに届いた。本塁上でのクロスプレーになった。
「あのカットプレーがデカかったですよね。自分がしっかり投げれば味方がビッグプレーで応えてくれる」
野手の見事な併殺プレーが渡邊のピンチを救った。

ここまで渡邊は4試合に先発し、完投勝利はまだ無い。開幕戦は9回を投げながら引き分け。二度目の登板では完封目前の9回に4点のリードを守り切れず大逆転を許してしまった。あの忌まわしい記憶は少なからず胸の中にある。

7回裏、味方が2点のリードを奪ってくれた。8回表のマウンドに登る渡邊の心の中に、一つの想いが過ぎる。
「ここで自分が変われるか?守りに入るのか、攻めに入るのか。自分が変わるチャンスだと思いました」
二番・田口大地、三番・大島慎伍、四番・荒木康一の3人を6球で完璧に仕留めた。

9回裏、打者二人を打ち取った後、七番・福西太志が左前安打で出塁する。捕手の加藤光成がマウンドに駆け寄り、渡邊に声を掛ける。
「いつも通りに投げれば大丈夫。今は打たれても正面になる流れだから」
その言葉にふと気付いた。
「正面になる流れかぁ・・・。加藤さん、試合見れてんなぁ」
間を置いたことでまた気持ちを立て直している。強気にストレートで押し続け、最後は内角を突いた速球で三振に切って取った。

無四球完封勝利。2時間28分の短いゲームの中で、いくつもの自信と信頼を得た。そして自ら変わろうとして、変わることができた。そんな渡邊の見事な完封劇だった。


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