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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2007/04/24(Tue)

切り替える

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.22. 徳島IS 7–7 香川OG <鳴門総合運動公園野球場>
※ 9回リーグ規定により引き分け

徳島ISにとってはホーム・鳴門3連戦の第3ラウンドである。現在首位を行く香川OGを迎え、開幕戦に続く上下濃紺のスペシャルユニフォームで試合に臨んだ。
小雨が降り続けるあいにくのコンディションの中、徳島ISの先発・片山正弘がいきなり香川OG打線に捕まる。二番・三輪正義に右越え二塁打で出塁を許すと、左翼手・岡嵜雄介が三番・丈武の打ち上げた左飛を落球し一死一、三塁のピンチに陥る。ここから四番・智勝の2点適時二塁打を含む4連打で香川OGが一挙5点を奪った。
しかし香川OG先発・橋本亮馬はこのリードを守り切ることができない。1回裏、二番・岡嵜がミスを払拭する右翼線三塁打で出塁すると、五番・福永泰也の2点適時中越え二塁打、六番・李鐘熙の右翼線適時安打で3点を奪い返した。
3回表、香川OGは智勝の2打席連続となる左翼線への二塁打、五番・堂上隼人の左前適時安打で1点を追加し、6対3と差を拡げる。
3回裏、徳島ISはすぐさま反撃に転じる。福永、李の連続安打の後、七番・加藤光成が右前に2点適時安打。6対5と1点差に追い上げた。
6回裏、4回途中からマウンドに登った勝沢賢一が先頭の九番・大二郎を四球で歩かせる。一死二塁としたところで香川OGベンチは勝沢に替え、左腕・下地栄輝を投入する。二死一、三塁のチャンスに四番・小松崎大地の打球は遊正面のゴロになるが、遊撃手・三輪が後逸。徳島ISが遂に6対6の同点に追い着いた。
7回表、4回から片山をリリーフした二番手・番場由樹が捕まる。二死三塁から一番・井吉信也に適時安打を左前に運ばれ、7対6と香川OGが再びリードする。
8回裏、この回からマウンドに登った香川OGの五番手・松尾晃雅は、先頭の一番・山口寛史に遊内野安打で出塁を許す。四球で走者を溜め二死満塁とした後、李が右前に安打を放つ。三塁から山口が生還し再び同点とする中、二塁走者・永井も一気に本塁を狙ったが、右翼手・近藤洋輔からの本塁好返球により逆転には至らなかった。
最終回の攻防も徳島IS・小林憲幸、香川OG・松尾が共にゼロで抑え7対7。9回リーグ規定により引き分けに終わった。


『切り替える』

徳島ISにとっては悪夢のような展開になった初回、左翼手・岡嵜雄介のところに滞空時間の長い大きなフライが上がった。前日の愛媛MP戦で落球し、失策を記録している。確実に落下点に入ることはできていた。一度グラブに収まったはずのボールがグラブの中で跳ね、足元の芝生に転がる。
「前の試合を引き摺ってました。切り替えてたつもりだったんですけど・・・」

精神的な部分に起因していることは明らかだった。
打者はまだ3人目である。昨夜のミスを完全に切り替えられないまま試合に入ってしまった。3回表にも四番・智勝が放った左翼線へのフライに飛び込むことをためらっている。思い切ってダイブを試みたところでどうなったのかは微妙なところだが、結果打者走者を二塁まで進ませてしまっている。

2日前、悪いイメージを持ったままマウンドを降りた投手がいた。1対0のリードを守り切れず、9回に同点を許してしまった小林憲幸である。
「ナベさん(先発・渡邊隆洋)が頑張ってたんで、なんとかしたかった。ヒットを打たれたのは自分のせいだし詰めが甘い。抑える気持ちが弱かった。明日もこういう場面があると思う。しっかり切り替えて忘れたい」
野手の頑張りでサヨナラ勝ちとなった高知FD戦の後、静かにこう語っている。

9回表、得点は7対7。1点も与えられない場面で出番が回ってきた。先頭の九番・国本和俊を三振に切って取りながら、続く一番・井吉信也にカウント0-2からの3球目をセンターに弾き返された。打球は中堅手・永井豪の頭上を越え、井吉が二塁まで進む。

しかし、これで落ち着いた。
「打たれて良かったと思った。あれで開き直れましたから。力んでて全然(ボールが)いってなかったんで・・・」
ストレートが走り出したのはむしろそれからである。三番・丈武に際どいコースがはずれ、四球で歩かせても表情は落ち着いていた。野手から掛けられた声に対し、マウンドで微笑みさえ見せていた。
「まぁ、余裕はありましたね。チームが追い上げてる中で、ここで自分が打たれたら負けだなと思ってたし」
実戦の中でうまく気持ちを切り替えることができた。続く智勝を一飛に打ち取り、見事重責を果たしている。

90試合と長いシーズンを戦う中で、「切り替える」ということがいかに大切か。試合は連戦で行われる。うまく切り替えることができなければ翌日のプレーに影響し、悪循環を引き起こしてしまう。ある選手が言っていた。
「四国リーグに来て一番学んだのは、切り替えがうまくできるようになりました。一喜一憂しすぎてもダメで、トーナメントじゃないし、アマチュアと違うからずっと試合が続いていく。正直とまどいもありましたけど、僕自身「これじゃあかんな!」と思って、今年はどんどん切り替え切り替えでいけるようになりました」

試合後、岡嵜がこう語っている。
「一週間で必ず切り替えてきます。しっかりノック受けて」


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2007/04/23(Mon)

戦略と意地

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.21.  香川OG 1–0 高知FD <オリーブスタジアム>

勝 天野 3勝1敗
敗 捻金 2敗

ここまで9試合を消化し、共に5勝3敗1分けと同率首位に並ぶ。勝った方が単独首位に立つ香川OGと高知FDの前期2回戦が、香川OGのホーム・オリーブスタジアムで行われた。
香川OG先発の天野浩一は変化球で要所を抑え、高知FD打線に得点を与えない。高知FDの先発・捻金孝行も古巣相手に序盤3回を無失点で切り抜ける。
4回裏、捻金が制球を乱す。四番・智勝に右前安打で出塁を許した後、3連続四球を与え、押し出しで香川OGが1点を奪った。しかし最小失点に留めた捻金は以降の失点を許さず、8回裏、二番手・岸健太郎にマウンドを譲る。岸もこの回を無失点で抑え、最後の攻撃へと望みをつないだ。
9回表、1点のリードを守りながら最終回のマウンドに立った天野だったが、六番・古卿大知を四球で歩かせた後、七番・宮本裕司に左中間を破られ二死二、三塁と一打逆転サヨナラのピンチに陥る。高知FD・藤城監督はここで今日スタメン落ちしていたYAMASHINを代打に送る。しかしYAMASHINは5球目を打ち上げると三飛に倒れ、逆転はならなかった。天野は145球を投げ抜いての見事な完封勝利で3勝目を挙げると同時に、香川OGが単独首位に立った。


『戦術と意地』

「あのシフト?あれは柳田コーチの案でね」
試合を終えた香川OG・西田監督が答えた。

高知FDのスターティングメンバーの内、スイッチヒッターである一番・國信貴裕を含めれば、三番・日高大輔、五番・マサキ、七番・宮本裕司、八番・高井啓行の計5人が左打者である。香川OGの外野陣は左打者に対して極端な守備シフトを敷いた。左翼手・井吉信也が定位置よりもかなり左翼線寄りに。中堅手・町田雄飛が左中間に。右翼手・近藤洋輔が右中間部分まで守備位置を動かしていた。つまり右翼手の定位置辺りから右翼線にかけてのフェアグラウンドに大きなスペースができる。逆に言えば一塁手の頭を越しての長打にでもなれば、一気に三塁まで狙える可能性が高くなる。

柳田聖人コーチにこのシフトの理由を尋ねた。
「引っ張れないからです。そういうデータが出てるんです。徳島の(コーチ)時代から見ていて、林(マサキ)にしても一番気持ち良く打ってんのは右中間よりこっち(バックネットから見て左側・センター方向)なんですね。もうあそこ(右翼線)へ打たれればしょうがない」
極端な守備体系を採りながら、初回に打たれた日高の右翼線二塁打を除いては危険な打球がほとんど無かった。
「あれは、日高だけ去年見てなくてデータが無かった」

捕手・堂上隼人もマウンドの天野浩一に、徹底して外角を中心としたリードを要求している。野手がシフトを採る上で、左打者に外の球を引っ掛けさせたい思惑があった。
「左打者に対しては、先に真っ直ぐでカウントを取って、厳しいところにフォーク、カーブ、もしくはスライダー」
許した安打はたったの4本である。この作戦は成功したと言っていいだろう。最終回に七番・宮本裕司が放った左中間を破る二塁打も、あのシフトを敷いて無ければ土壇場での同点を許していた可能性もある。
「やっぱり四番のマサキ、4割近く打ってましたからね。彼を一番意識しました。調子が良い時は(野手の)正面に飛ぶんです」
天野の言う通り、3回表、二死満塁のピンチにセカンドライナー。最終回もショートライナーに打ち取り、マサキを完全に封じ込むことに成功している。連続安打記録も止めた。

高知FDの打者は普段と違う焦りも感じていたはずだ。しかし何もできなかった訳ではない。
6回表、四番・中村竜央は一塁にヘッドスライディングして内野安打をもぎ取っている。8回表、先頭の國信は三塁前にセーフティーバントを転がし、やはり頭から突っ込んでいった。「なんとかしたい」という必死さが伝わってくるプレーだった。完封負け目前の場面、声を出しながら思い切り直球を投げ込んでいた天野から冷静に四球を選んだ六番・古卿大知と、追い込まれた後、左中間にはね返した宮本にも意地を垣間見ることができた。

9回表二死満塁、最高の場面で代打として登場したYAMASHINにもし一本が出ていれば、天野の投じた145球はまったく逆の結果になっていたことも十分あり得た。
1対0、最後まで息を呑んだ首位対決だった。


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2007/04/23(Mon)

1点を守る、1点を獲る

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.20. 徳島IS 2–1 高知FD <鳴門総合運動公園野球場>
※ 9回裏逆転サヨナラ

勝 小林 1勝
敗 上里田 2勝1敗1S

ホーム鳴門での三連戦第1ラウンド、徳島ISは勝率5割を賭けて首位を走る高知FD戦に臨んだ。徳島IS・渡邊隆洋、高知FD・上里田光正とエース同士の直接対決となった。
4回裏、試合が動く。先頭の三番・永井豪、四番・小松崎大地が連続安打で出塁すると、五番・福永泰也は手堅くバントで送り、徳島ISが一死二、三塁のチャンスをつかむ。続く六番・西村悟の打球を三塁手・マサキが失策する間に永井が生還し先制点を奪った。
高知FD打線は渡邊の前にあと一本が出ず、7回を無得点のまま終盤を迎える。8回表から渡邊をリリーフした小林憲幸は二死満塁のピンチも凌ぎ、いよいよ最終回を迎える。
9回裏一死、八番代打・日高大輔が遊失策で出塁すると、九番・土佐和広が右前安打でつなぐ。一死一、二塁のチャンスに、今季初の一番に据えられた梶田宙が適時左前安打を放ち、二塁から日高が生還。土壇場で同点に追い着いた。
追い着かれた徳島ISだが9回裏、今日マルチヒットを記録している永井が逆風を突いて右越え三塁打。逆転サヨナラの走者が塁に出る。続く小松崎も四球で歩くと、藤城監督は上里田に代え左腕・大澤亮をマウンドへ送る。しかし続く福永も四球で歩かせ無死満塁としたところで、三人目・西川徹哉にすべてを託した。西川は西村を三振に切って一死満塁とするが、七番・李鐘熙に初球を左前に運ばれると三塁から永井が生還。徳島ISが2対1と劇的な逆転サヨナラ勝利で高知FDを降した。
この勝利によって、徳島ISは3連勝すると共に勝率を5割に戻した。


『1点を守る、1点を獲る』

ようやく土壇場で味方が同点に追い着いてくれた。
9回裏のマウンドに立つ上里田光正(高知FD)の胸にあったのは
「もう「勝ち」はなくなった。味方が取ってくれた1点を守ろう」
という気持ちだったと言う。

実際、高知FDにとっては「ようやく」奪った1点だった。7回に一死満塁、8回にも二死満塁のチャンスを作っておきながら、あと1本が出なかった。延長戦の無い四国リーグではもう勝ちがない。苦労して追い着いた最終回を「抑え切ろう」ではなく「守ろう」と思った。そこに落とし穴があった。

7回を好投した渡邊隆弘の勝利が泡と消え、マウンドを受け継いだ小林憲幸が9回に失点を許した。同点のホームを踏んだ走者は遊撃手・李鐘熙の失策で出した走者である。逆転こそ許さなかったとは言え、ここまで守り続けた1点を守り切ることができなかった。徳島ISにあったのはそんな精神的な落胆よりも「ここを絶対に勝ち切ろう!」とする強い意志だった。

9回裏、先頭打者は三番・永井豪である。
渡邊が7回に迎えた二死満塁のピンチ、そして小林が8回に迎えた二死満塁のピンチを二度に亘って救ったのが中堅手・永井の好守だった。試合前から強風が吹き、一時は試合開催も危ぶまれたほどである。外野手にとって難しいコンディションであったことは間違いない。ここまで2本の安打をレフトに放ち、当たっている。
「絶対に出る。その気持ちだけでした。1球目のフォークがボールになって、(2球目は)インコースの真っ直ぐでした。去年からずっとアガリさんにやられてたので、しっかり踏み込んで打ちました」
内角に来たストレートを捉えた。
「手応えは完璧でした」
打球がライト方向へ高く舞い上がる。終始吹き続けていた強い風は打者にとって完全に逆風である。だがそれをものともしない。右翼手・梶田宙が計った以上に打球は伸び、猛然と後方にダッシュするが追い着かない。
「逆風だったんで・・・。あんなに伸びると思わなかった」
三塁ベースに悠然と立った永井に一塁側スタンドから大きな歓声が上がる。

失点を許したのは言い訳のできない自分のミスからだった。9回表、代打・日高大輔に対し、三遊間を締めていた遊撃手・李鐘熙は、予想と逆に二塁ベース寄りに飛んできた打球の処理を誤った。そして同点に追い着かれた。

9回裏、無死満塁。打席に入っている六番・西村悟が決めればもう自分に打順は回って来ない。
「とにかく自分の中でずっと「回ってこい!」と思ってました。西村が打席に入ってる間も準備はずっとしてましたね」
この回、三人目としてマウンドに登った西川徹哉の変化球に西村が倒れた。待ち望んでいた打席は一死満塁、一打サヨナラという願っても無い場面で巡って来た。強い気持ちを持って右打席に足を踏み入れる。
「ファーストストライク。甘くきたら行こうと思ってました」
初球のスライダーを引っ張った。打球が二塁走者の行く手を阻むようにしてレフトへ転がっていく。一塁を回ったところで自軍ベンチを振り返り、大きく両手を挙げた。あっと言う間にチームメイトに揉みくちゃにされた。

「勝って勝率を5割に!」
徳島ISはこの言葉を合言葉のようにして試合に臨んでいた。1点を守り切ろうとした上里田と、最後に勝ち切ろうとした徳島ISの野手陣。そこに「守る」と「攻める」という気持ちの違いが見える。そしてもう一つ、なんとかしてミスを取り替えそうとした李の執念がそこにあった。


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2007/04/18(Wed)

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.15. 高知FD 2–8 徳島IS <土佐山田スタジアム>

勝 角野 1勝1敗
敗 西川 1勝1敗2S

高知FD西川徹哉、徳島IS角野雅俊、両先発の投げ合いで序盤3回は投手戦の様相を呈する。
試合が動いたのは4回裏、六番・古卿大知の右中間越え三塁打で二塁から中村竜央が生還、高知FDが先制した。
6回表、それまで徳島IS打線を1安打に封じていた西川の投球が突如乱れる。先頭の九番・大二郎を四球で歩かせた後、送りバントを決められ一死二塁のピンチを迎える。二番・岡嵜雄介は右翼線へ適時二塁打を放ち同点に。さらに三番・永井豪、四番・小松崎大地の連続安打で2点を追加し、徳島ISが逆転に成功した。藤城監督はここで西川を諦め、左腕・岸健太郎をマウンドに送るが、六番・李鐘熙の左翼線二塁打でさらに1点を追加され、この回一気に4点を失った。
7回表、永井の右前安打で徳島ISが5対1と差を拡げるが、その裏、高知FDも反撃を見せ、二番代打・日高大輔の右翼線三塁打により1点を返した。
8回表、この回からマウンドに登った高知FDの三番手・捻金孝行の制球が定まらない。二塁手・古卿の失策、捻金の暴投で2点を、9回表にも四番手・大澤亮が小松崎の中犠飛により1点を奪われ、差を6点と拡げられた。
8回裏から角野をリリーフした森が2イニングを無失点で抑え8対2、徳島ISが敵地で高知FDより今季初勝利を挙げた。


『糧』

「5回のグラウンド整備の後、あそこが難しいんだよなぁ。あそこでいっつも流れが変わっちゃうんだよ・・・」
徳島IS戦を翌日に控えたその夜、何気なく呟いた藤城監督の言葉が妙に印象に残った。

先発の西川徹哉(高知FD)は5回までを無失点、塁に出したのは初回に安打を許した永井豪と、4回に外野手の失策で二塁を踏ませた小松崎大地だけだ。ここまで投球数は59球、初先発初勝利を挙げた7日の香川OG戦よりも10球少ない。

前日の愛媛MP戦、8回二死からマウンドに登り打者4人を完璧に抑えている。2試合連続セーブを決めた後、「マウンドでも自信を持って投げられてるんじゃないですか」という質問に対して、こんな言葉を残している。
「まだですね。明日の先発で抑えてからが自分の自信になると思います」

藤城監督が抱いていた昨夜の不安は見事なほどに的中する。
グラウンド整備の約10分間に特に何があった訳ではなかった。しかし6回表のマウンドに登ってからの西川は、5回までとは明らかに何かが変わっていた。球が上ずり、ボールが先行する。先頭の大二郎を歩かせた後、一死二塁のピンチを迎えた。二番・岡嵜雄介への3球目、変化球でストライクを取りにいった。

岡嵜は読み切っていた。
「(カウント)0-2がストレートだったんで、変化球待ちでした。決め打ちですね」
甘く入ってきた変化球を引っ張った。右翼手・高井啓行が外野フェンスまで打球を追い掛ける間に、大二郎が俊足を飛ばしホームを踏む。西川の球にはもう流れを呼び戻す力は残されていなかった。

前日の言葉をそのまま使うなら、自分のピッチングに対してまだ自信はつかめないままだろう。抱いていた希望は脆くも打ち砕かれてしまった。
「(先頭の)フォアボールがすべてです。気持ちの上では最後まで投げたかった。調子悪かったんです。ストレートは全然走ってないし、スライダーは今季最悪だった・・・。この一週間でどれだけ修正できるかです」

先発三本柱の一人を任され、時には抑えのマウンドにも登る中で多くの経験を積んでいる。一つの失敗から大きく流れが変わる野球の怖さをまた知った。こうやって選手は成長していくのだ。失敗したならそこを直せばいい。この経験も明らかに西川の糧になっていく。


2007.4.15. OKAZAKI
6回表、岡嵜が西川の変化球を叩く

PHOTO BY Misato MORI
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2007/04/17(Tue)

Right order

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.14. 高知FD 5-3 愛媛MP <土佐山田スタジアム>

勝 大澤 1勝
S 西川 1勝2S
敗 宇都宮 2敗

今季最初の対決となった高知市営では高知FDが先勝、次の新居浜では愛媛MPが勝利を収めている。3度目の対決の場所は、高知・土佐山田スタジアムである。
先制したのは愛媛MPだった。2回表、高知FDの先発・捻金孝行から五番・檜垣浩太、六番・大島慎伍、七番・外間修平の3連打で1点を奪う。さらに4回表にも檜垣の右翼線二塁打、外間の適時左前安打などで追加点を挙げ、リードを2点と拡げた。
高知FDは4回裏、四番・中村竜央の適時中前打で1点差に追い上げ、後半を迎える。
6回裏、ここまで1失点の愛媛MP先発・梶本達哉が再び捕まった。先頭の二番・國信貴裕に左前安打で出塁を許すと、三番・日高大輔が送りバント、中村への四球などで一死二、三塁のピンチを迎える。ここまで6試合連続安打と好調の五番・マサキは5球目を左翼へ運ぶと、國信、中村が還り、3対2と逆転に成功する。マサキも一気に三塁を狙ったが、野手からの好返球により三塁で憤死した。
しかし7回表、この回からマウンドに登った高知FDの三番手・野原慎二郎が捕まる。九番代打・長崎準平に右中間を大きく破られる三塁打を許すと、一番・グレアム義季サイモンの二ゴロを一塁手の中村が落球し、長崎が生還。3対3と再び同点に追い着いた。
7回裏、愛媛MPは宇都宮勝平にマウンドを託す。八番・土佐和広は四球で出塁すると、九番・梶田宙への初球に二盗を仕掛ける。これを見た捕手・梶原有司が二塁へ悪送球し、土佐は1球で三塁を陥れることに成功する。梶田は左犠飛で土佐を本塁に迎え入れ、高知FDがまたも逆転に成功した。
8回裏にも高知FDが追加点を挙げ5対3とすると、8回表途中からマウンドに登った西川徹哉が9回を3人で抑え、2試合連続セーブ。野原をリリーフした1年目の大澤亮が初の勝利投手となった。
この後行われたオリーブスタジアムでの香川OG対徳島IS戦に徳島ISが勝利したため、愛媛MPが4位に転落した。


『Right order』

一昨年首位打者、昨年打点王のタイトルをつかみ愛媛MPの四番を張った男は、「ゼロからもう一度再出発したい」と高知FDへの移籍を決心した。あれから5ヶ月が過ぎた。背番号を「3」から「14」に替え、登録名を「林真輝」から「マサキ」へと替えた。背番号は森山コーチが、登録名は藤城監督が決めた。
「すべて従いました」
と語る。

開幕してからここまでの7試合、マサキは一度も四番に座っていない。高知FDの新四番打者として中村竜央が座り、その後ろ、五番を与えられている。
「自分の中で打順は関係ないと思いつつも、やっぱり「四番で決めないと」という思いはあります。今ずっと五番で、心に余裕がある状態でのバッターボックスになってる」

ただでさえ注目されるマサキをプレッシャーのかかる四番に据えることは得策ではない。五番に中村を置けば、中村がマサキを意識しすぎてしまう。藤城監督は、四番・中村、五番・マサキという選択を選んだ。中村が出塁することでマサキにも相乗効果が生まれる。
「元々それだけの力は持っている選手だからね。これがライトオーダーなんだよ」
その選択には自信を持っていた。

序盤、梶本達哉の投球に高知FD打線は苦労させられた。3回まで4つの三振を喫した内、3つが見逃しである。ボールが多く、時折際どいコースにストライクが決まる梶本に狙い球が絞れなかった。初回、二死一、二塁のチャンスに、マサキはカウント0-3からの球をすべて見逃した。内角への直球、もう一つ内角への直球。そしてフルカウントからの外角への直球を見逃し、チャンスを逸している。だが指揮官は慌てていない。

「狙い球の裏に来てましたね。読み違い。絞り方を間違ってた。ゲームの中で捨ててしまわなければいけない打席。これはあるんです。もちろん一球、一打席を大事にしなくてもいいという訳じゃないですよ。何のために見逃したか。自分の打ち易い球を相手に投げさせろ、ということですよ」

この打席が第三打席に活きた。
6回裏、中村が四球で歩き、一死一、二塁でマサキに打順が回る。初球、外への変化球は見逃した。ここで梶本がミスを犯す。牽制球を悪送球し、それぞれ走者が進塁した。一死二、三塁。2球左へのファールが続き、4球目は外れた。カウント2-1。非常に落ち着いていたと言う。

「最初の打席は(気持ちが)受けに入ってて、バッターボックスで整理できなかった。あそこ(第三打席)は二、三塁で、気持ちの上ですごい楽でしたね」
(それは外野フライでいいや、という?)
「そうです。ストレート系だけを待ってました」

四番だからこそ長打で走者を還さなければならない。四番だからこそ犠牲フライでは納得できない。そんな気持ちが無い。
絞り込んでいた直球にバットが反応する。左翼手の大島慎伍はバックホームに備えやや前進守備を敷いていた。打球は大島の頭上高くを越えていった。

マサキ、ここまで27打数13安打。11打点。打率.481(14日終了時)。
もちろん打撃部門トップである。


2007.4.14. Masaki
「沖監督、藤城監督、皆さんに感謝してます。今野球ができてるのは、周りの方の配慮があるから」

PHOTO BY Misato MORI
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2007/04/16(Mon)

リズム

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.13. 香川OG 1–0 愛媛MP <オリーブスタジアム>
※ 5回裏途中、降雨コールドゲーム

勝 天野 2勝1敗
敗 浦川 1勝1敗

連勝で勢いに乗る愛媛MPを香川OGがホーム・オリーブスタジアムで迎え撃った。
香川OG先発の天野浩一は3回をパーフェクトピッチングと、まったく攻撃の隙を与えない。逆に愛媛MPは3回裏に先発の浦川大輔が捕まった。一番・町田雄飛に左前安打で出塁を許すと、続く二番・国本和俊に死球を与えピンチを拡げる。このチャンスに四番・智勝は左前へ適時安打を放ち先制点を奪う。
しかし3回裏途中から振り出した雨が徐々に激しさを増す。試合は5回表一死、香川OG攻撃中の場面で一時中断となった。天候の回復を待ちながら30分間状況が好転するのを待ったが、天候は回復するに至らず、19時53分降雨コールドゲームが宣告された。
これにより香川OGの連敗はストップし、天野はオリーブスタジアムで今季2勝目を挙げた。


『リズム』

一球一球プレーが止まる野球というスポーツは、投手が投げるボールで試合が進んでいく。攻撃の時間の長さ、守備の時間の長さ、投手がモーションに入るまでの間、それらが試合の流れに確実に影響していく。

浦川大輔(愛媛MP)は悔やんだ。
「あれだけ打たれるとリズムも悪くなるし。せっかく先頭を切ってんのにもったいなかったですね。コントロールが甘かった」
1回、2回と最初の二人をアウトにしておきながら3人目の打者に安打を許している。失点した3回裏も先頭の九番・三輪正義を投ゴロに打ち取った後、一番・町田雄飛に左前へ運ばれた。二死一、二塁のピンチに「あれも甘めに入った」という直球を四番・智勝に打ち返され、1点を失っている。

天野浩一(香川OG)は3回までを3人ずつで終わらせている。つまづきかけたのは味方が点を奪ってくれたすぐ後の4回表だった。
先頭のグレアム義季サイモンにストレートの四球を許し、二番・福西太志に送りバントを決められた。三番・松坂恭平はバントを失敗した後の2球目に強攻策に出る。天野の左手横をすり抜けた打球がセンター方向へ飛んだ。二塁ベース寄りに守備位置を動かしていた二塁手・智勝がグッとグローブを伸ばして打球に追い着いた。その時、二塁走者のグレアムは三塁を蹴っていた。すかさず智勝から三塁手の丈武にボールが送られる。頭からベースに飛び込んだグレアムが刺された。

天野が語る。
「NPBでも抜けるような当たりを捕ってくれて、ランナーを刺してくれた。あれが本当に助かりました。ああいうプレーがあればリズム良く乗っていける」
次の打者、四番・荒木康一をフォークで三振に切って取った。

雨はすでに3回裏辺りから降り始めていて、すぐには止みそうにない。
「雨が降ってきてて、時間が経てば経つほど(コンディションが)悪くなるっていうのが判ってるんだから、もっと見てくるとか(攻撃に)時間かけてもいいのに。その辺り、野球の経験という部分でどうなのか?と思いました。僕が愛媛ならそうしますから」

1点のビハインドを追い掛ける場面、しかもいつ中断が宣告されるか判らないような場面で、愛媛MPの打者はあまりにも悪いリズムを作ってしまった。
続く5回表、愛媛MPの攻撃をたった5球で終えてしまっている。五番・比嘉将太が3球。六番・檜垣浩太、七番・長崎準平、共に初球に手を出し凡打に終わった。審判が中断を宣告したのは5回裏一死、香川OGの攻撃中である。そのまま試合が再開されることはもうなかった。

浦川が刻んでしまった良くないリズムがあった。天野が快調に刻んでいったリズムがあった。それが狂い掛けたところを智勝がまた刻み直した。そして最後に決して急いではいけないところで、あまりにも早く刻んでしまった愛媛MP攻撃陣のリズムがあった。

1対0。
約2時間の短いゲームの中で、両チームが刻んだリズムの差である。


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2007/04/11(Wed)

あと一人

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.8. 徳島IS 5–3 香川OG <鳴門運動公園野球場>

勝 片山 1勝1敗
敗 勝沢 1敗

立ち上がりから制球に苦しむ香川OG先発・勝沢賢一を徳島IS打線が捉える。3回裏、一死満塁のチャンスに三番・永井豪が右中間を破る走者一掃の適時三塁打。五番・福永泰也も適時右前安打を放ち、この回一気に4点を奪った。
香川OGもすぐさま反撃に転じる。4回表に六番・若林春樹の適時中越え二塁打、5回表には四番・智勝の右越え2点適時三塁打で1点差に詰め寄る。
しかし5回裏、徳島ISは香川OGの二番手・塚本浩二の押し出し死球から1点を追加し、再び差を開いた。
2点のリードを守り切った徳島IS先発の片山正弘は9回を投げ抜き完投勝利。徳島ISが5対3で香川OGを降し、待ちに待った今季初勝利をホーム鳴門球場で挙げた。


『あと一人』

一昨日、高知での高知FD-徳島IS戦では、9回裏に4点を覆す大逆転劇があった。昨日、オリーブスタジアムでの香川OG-高知FD戦でも最終回にあわや逆転かというドラマがあった。この日の鳴門運動公園野球場での9回裏にもドラマは存在した。

先発・片山正弘(徳島IS)の投球数は8回裏を終了した時点で106球である。
「基本的にはピッチャーには完投させてやりたい」
白石監督は、最終回のマウンドにも片山を送る。たった5球で二人を打ち取り、二死となった。しかし八番・林世業を四球で歩かせた後、九番代打・近藤洋輔にセンター前へ運ばれ、スコアリングポジションまで走者を進めてしまう。二死一、二塁である。香川OG・西田監督は一塁走者に代走・生山裕人を送り、同点の準備を整えた。

白石監督はここでタイムを取り、マウンドへと向かっている。
選択肢は二つあった。あと一人をこのまま片山に任せるのか。準備している小林憲幸にスイッチさせるのか。
一昨日の敗戦の後「あれは私の采配ミス。(投手の)渡邊に可哀相なことをした」と悔やんだことを正直に言葉にしている。あの試合の二の舞だけは避けたい。監督の中ではここを小林に託すつもりだった。

しかし「打者が片山を嫌がっている」という声が耳に入る。片山も「行ける」と言う。交代を巡っての少しのドタバタがあり、最終的にはこの場面を片山に託すことになった。
「あと一人やのに、はよせんかーっ!」
ネット裏からはそんな野次も飛んだ。しかし一昨日の敗戦があり、現在の2点のリードがあり、どうしても欲しい初勝利だったからこそ指揮官は迷い、時間をかけた。
「守ったらいかん。守りに入ったらいかんと、そう思ってました」

「自分では行けると思ってました。(代えられそうになったからと言って)特にどうとは思わなかった」
最後の場面も、ここまで投げてきた8回2/3の続きでしかなかった。間を置いたことで勢いを取り戻したかのような速球が次々に決まる。最後の打者、町田雄飛を空振り三振に切って取った。マウンドに片山を囲む輪ができていた。

一日も早く欲しかった白石監督の1勝目である。その立役者となった長身のルーキーは試合後、何事もなかったかのような涼しい顔をしていた。


2007.4.8. KATAYAMA in 9innings
9回裏二死一、二塁。片山の投球数は123

PHOTO BY Misato MORI
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2007/04/10(Tue)

初勝利

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.7. 香川OG 2-3 高知FD <オリーブスタジアム>

勝 西川 1勝
S 上里田 1勝1S
敗 天野 1勝1敗
本塁打 丈武1号ソロ(6回、西川)

通算100勝に王手を賭けた高知FDは、これが初先発となる2年目の西川徹哉をマウンドに送った。
6回表、香川OG先発の天野浩一が制球を乱す。四球2つで走者を溜めたところに、五番・マサキの適時右前安打、六番・古卿大知の適時右前安打などで3点を献上した。
しかし香川OGも6回裏、三番・丈武がソロ本塁打を左翼スタンドへ運び、すぐさま1点を返す。
2点差のままで迎えた9回裏、香川OGは七番・井吉信也、八番・町田雄飛が連続安打を放ち、二死一、三塁とサヨナラのチャンスを作る。続く九番・越智一之への初球、町田が二盗を試みると、これを見た捕手・宮本裕司の送球が逸れ、三塁から井吉が生還。遂に1点差と詰め寄った。
高知FDベンチはここでエース上里田光正を起用し逃げ切りを図る。上里田は越智を見事二飛に打ち取り3-2と逃げ切った。高知FDはこの勝利で、四国リーグ最速となる初の通算100勝を達成した。


『初勝利』

リーグ最速の通算100勝を達成した高知FD・藤城監督は、ロッカールームから引き上げながらこう言った。
「今日は西川のピッチングに尽きる」

西川徹哉(高知FD)が昨年登板したゲームは4試合、いずれも先発の経験はない。昨年、鳥羽高を卒業し四国リーグの門を叩いている。しかし、首脳陣からはローテーションに名前を連ねるにはまだ早いと考えられていた。裏方として、放送室でスコアボードのカウント表示係を務める姿があった。

「宮本さんのサイン通りに投げました」
ヒーローインタビューでは初々しいコメントを残している。捕手・宮本裕司は西川のピッチングを
「ストライクが先行してましたから。チェンジアップが良かった」
と評した。

「チームが良い流れで来てたんで、流れを切りたくなかった。監督から『強い気持ちを持って投げろ』と言われてました。監督に感謝しなくちゃならない」
気持ちは最後まで切れることがなかった。6回裏、丈武に左翼スタンドへ運ばれた後もあわてず、キレのいいチェンジアップで連続三振を奪っている。7、8回をゼロで抑え、いよいよ最終回に臨む。

先頭の五番・堂上隼人をセンターフライに打ち取った。三塁手のマサキがマウンドに近寄ると、西川の背中にそっと手をやり、二人で二度大きく深呼吸をした。続く六番・若林春樹もショートゴロに倒れた。遊撃手の國信貴裕が指2本を立てながら西川に声をかける。またマサキが駆け寄り、さっきと同じ様に二度深呼吸した。マサキが笑う。
「緊張が顔に出てましたからね。監督からも『西川にしっかり声かけろ!』って言われてましたから。ああいう時は深呼吸っスよ!」

しかし野球は怖い。たった一球で流れが変わる。
初先発、初完投は成らず、昨日先発したはずの大黒柱、上里田光正がピンチを救った。
「追い込んでからが甘かった。ホームラン打たれたのも真ん中だったし。9回投げたかったんですけど・・・。みんなが応援してくれて、上里田さんが抑えてくれました」

通算100勝目は、西川にも記念すべき四国リーグでの1勝目となった。
19歳のマウンドをチームが支えた勝利だった。


2007.4.7. NISHIKAWA & MASAKI
8回裏終了、ベンチに下がりながら西川徹哉とマサキがタッチ

PHOTO BY Misato MORI
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2007/04/07(Sat)

輪の力

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.6. 高知FD 5-4 徳島IS <高知市営球場>

勝 岸 1勝
敗 渡邊 1敗
本塁打 マサキ1号2ラン(サヨナラ本塁打)(9回渡邊)

序盤、徳島IS打線が高知FD先発の上里田光正を捕まえる。二番・岡嵜雄介、三番・永井剛が安打で出塁した後、四番・小松崎大地の左前適時打で1点を先制した。3回表には永井の左中間突破三塁打、小松崎の犠飛などで2点を。6回表にも1点を追加しリードを4点に拡げる。高知FD打線は徳島IS先発・渡邊隆洋の前に8回まで散発2安打、3併殺とまったく流れを呼び込むことができない。
しかし土壇場の9回裏、先頭の九番・梶田宙が右翼線二塁打で出塁すると、一番・代打トモ、二番・國信貴裕も安打で続き1点を返す。一死二、三塁とした後、四番・中村竜央は左中間越え2点適時三塁打を放ち、1点差までに詰め寄る。続く五番・マサキの打球は、右翼スタンドへ飛び込むサヨナラ2ランとなり、高知FDが一気に4点差をひっくり返す大逆転劇となった。高知FDは通算99勝、四国リーグ初の100勝に王手をかけた。


『輪の力』

森山一人コーチが円陣の中で言い放った「このままでは終われんぞ!」の一言は、確実に選手たちの気持ちに火をつけていた。9回裏、先頭の九番・梶田宙が打席へ向かう。
「前の二打席を引っ掛けてたんで、右に持っていくことを意識してました。負ける気はなかったし、捉えられる自信はありました」
打球は右翼線へ転がり、二塁を陥れた。高知FD3本目の安打が初の長打になる。

一番代打・トモは強い気持ちを持っていた。
「『つなげる』じゃなくて、とにかく自分が打とうと思ってました。内角球は捨てて、森山さんから『外の変化球を狙え』と言われてたので狙ってました」
つなげるよりも自分が出る。外角へ逃げた変化球を強引に右へ引っ張ると、打球は一、二塁間を抜けライトへと転がった。
「ノブなら空振りはしない。なんとかするだろう」
一塁ベース上でトモは思っていた。無死一、三塁となり、次の打者は二番・主将國信貴裕である。流れが大きく変わり始めていた。

「三塁走者を還す。『なんとかするんだ!』と思ってましたね。あの場面0-4で負けてて、進塁打なんかいらないじゃないですか。とにかくヒットが欲しかった」
かなり詰まってしまった当たりだったが、打球は三遊間を抜けた。三塁走者の梶田が生還し、なおも無死一、二塁とチャンスは続く。

「流れに乗って積極的にいこうと。雰囲気はありましたね」
三番・YAMASHINの打球は一塁への強いゴロになった。捕った一塁手・小松崎大地は二塁へ送球するのをためらい、一塁ベースを踏んだ。一死、二、三塁。
「宙と一緒に『林さん(マサキ)まで回せ!キミ(六番・古卿大知)まで回せ!』って叫んでたんスよ」
ヘルメットを脱いだYAMASHINが、生還した梶田が声を張り上げる。押せ押せのムードがベンチを包む。

その空気は次の四番・中村竜央にも確実に伝わっていた。
「いい意味で開き直って。ヘンに当てていかないで。もう打つしかないし、強く振るだけしかない。ベンチが乗ってたんで、みんなの『どうにかしよう』を感じましたね。自分も乗ってこうと」
カウント2-2からのストレートを捉えた。打球は左中間を大きく破り、トモ、國信が生還する。三塁ベース上から五番・マサキにすべてを託した。点差はあと「1」。
「もう林に『あとは任せたぞ』って」

捕手・矢野大天がマウンドの渡邊隆洋に近寄り、声をかけた。しかし、タイムは取っていない。遊撃手の李鐘熙もそばまで歩み寄って一言声をかけた。その声に一瞬表情を緩めたが、すぐに厳しい顔つきに戻った。

五番・マサキが左打席に足を踏み入れる。
「竜央がいいところで打ってくれたんで。ランナーが三塁にいたし、『外野フライでいいな』と楽な気持ちで入れました。とにかくファーストストライクを狙おうと思ってました。もうストレートでも変化球でも、最初のストライクを」
カウント0-1からの2球目、内角に入ってきたややシュート気味の直球だった。振り抜いた打球が高く舞い上がる。打った瞬間にスタンドインだと判った。ベンチから全員が飛び出し、マサキを歓喜と共に手荒く迎え入れる。渡邊は右翼スタンドを見つめたまま、呆然と立ち尽くしていた。

6人で5点を奪い、勝った。いや、6人ではない。気持ちを切ることなく、諦めることなく一丸となって最後の攻撃に臨んだ高知FD全員の「輪」の力だ。それは9回裏、ベンチ前での円陣から。森山コーチがかけた一言から始まっていた。


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2007/04/05(Thu)

最初の勝利

四国アイランドリーグ公式戦
2007.4.1. 香川OG 6-1 徳島IS <オリーブスタジアム>

勝 天野 1勝
敗 片山 1敗

時折小雨が振る中、香川OGのホーム開幕戦がナイトゲームで行われた。
2回表、徳島ISは先発の天野浩一から三番・小松崎大地が左中間を破る二塁打、六番・金谷良太が適時左前安打と、2本の安打で先制点を奪う。
香川OG打線は3回裏、二番・三輪正義の適時中前打で同点に。4回裏には八番・林世業の左翼越え2点適時二塁打、九番・井吉信也の連続適時中前打で3点を奪い、先発のルーキー片山正弘を打ち崩した。
香川OGはその後も攻撃の手を緩めず、5回裏に四番・智勝の犠飛により追加点を奪う。さらに7回裏にも三番・丈武の犠飛で追加点を加え、6-1と試合を決定付けた。
天野は3回以降徳島ISに得点を許さず後続にマウンドを譲る。8回を勝沢賢一、9回を橋本亮馬が無得点に抑え、ホーム開幕戦を勝利で飾った。香川OGは前日の愛媛MP戦に続く二桁安打と、打線を爆発させての連勝スタートとなった。


『最初の勝利』

香川県出身の天野浩一(香川OG)にしてみれば、オリーブスタジアムには「帰ってきた」と言えるのかもしれない。広島カープに5年間在籍した実績は、香川OGのファンなら誰もが知っている。オープン戦から一つ一つ、身体と心を開幕に合わせて作ってきた。初先発となったサーパス戦では今の直球がどれだけ通用するのかを試した。阪神二軍との試合では十分なスタミナがあることを確認している。

四国リーグ公式戦で初めてのマウンドだ。地元開幕戦でもある。
「当然、先に点はやっちゃいけないと思っていました」
強い気持ちをもって臨んだのは言うまでもない。対する徳島ISの選手たちにも元NPB投手に対して特別な気持ちがあったはずだ。

初回は簡単に3人で抑えた。しかし2回表、誤算が生じる。
先頭の四番・小松崎大地に対し、カウント0-2からの3球目を左中間深くに運ばれた。一死三塁となった後、六番・金谷良太に適時左前安打を許し、先制点を奪われた。カウント0-3から粘られた6球目だった。
「準備不足だ」と思っていた。

「あの回、マウンドに上がる前のキャッチボールが少なすぎて。ナイターだったし、少し寒かったんですけど。先制された回は腕がちゃんと振れてなくて打たれた。マウンドで「もっと(登る前にしっかり)投げとくべきだった」と思った」
久し振りのナイトゲーム、しかも小雨まじりである。海沿いにあるオリーブスタジアムの空気は思った以上に冷たく、急激に肩を冷やした。初回を10球で簡単に抑えた後、少しだけ余裕が顔を見せていたのかもしれなかった。

「野手が打ってくれてリズムを作ってくれた。苦しかったのは5回ですね。一つのミスで流れが変わる。その恐ろしさがありました」
4回に逆転に成功し、3点のリードをもらっている。しかし5回表、先頭の七番・金谷良太に死球を与えてしまう。八番代打・福永泰也にも右前へ運ばれ、無死一、二塁のピンチに陥った。ここからそれまでのテンポをまったく変え、じっくりと間合いを取った。二死一、三塁で迎えた一番・山口寛史をフォークボールで空振り三振に仕留め、乗り切った。「経験」が垣間見えたイニングだった。

1点目は見えないミスが発端となった失点だった。ミスをカバーしてくれた野手たちに感謝しながら、次のピンチに動じることなく自分のペースを守り続けた。最も大事な「勝つこと」はクリアできた。
ホーム開幕戦での1勝目。NPBへ戻るための大切な、最初の勝利である。


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2007/04/03(Tue)

開幕戦先発

四国アイランドリーグ公式戦
2007.3.31. 徳島IS 2-2 高知FD <鳴門総合運動公園野球場>

※9回終了時、リーグ規定により引き分け

四国アイランドリーグの3年目は、強い風が吹きすさぶ中で幕を開けた。3年目にして初の開幕戦地元開催となった徳島ISは、特別試合用の上下ブルーの新ユニフォームに身を包み高知FDを迎え撃った。
先制したのは高知FDだった。初回、徳島IS先発の渡邊隆洋から連続四球と安打で走者を溜めると、今季から移籍加入した五番・マサキの適時中前打で先取点を奪う。
徳島ISは2回裏、失策で出塁した五番・李鐘熙が八番・加藤光成の三ゴロの間に生還し、同点に追い着く。
3回表、四番・中村竜央、五番・マサキ、六番・梶田宙の3連続安打ですかさず高知FDが1点を追加し再び差を拡げるが、4回以降ペースを取り戻した渡邊の前に追加点を奪うことができない。
高知FDは7回裏から岸健太郎、8回裏をルーキー左腕・大澤亮にマウンドを託し、継投策に出る。しかし8回裏、遊撃手・國信貴裕の失策で先頭打者に出塁を許した後、一塁手・中村の失策により同点を許した。
渡邊は9回を投げ切り味方に最後の攻撃を託す。しかし、9回裏のマウンドに登った上里田光正の前に徳島IS打線は無得点に終わった。
徳島での今季開幕戦は、9回リーグ規定により2-2の引き分けに終わった。


『開幕戦先発』

南から吹き付ける強い風が、スコアボード上に掲げられた3本の旗をバタバタとはためかせ、グラウンドの至るところで砂埃を舞い上げる。野手がフライの処理に苦労するであろうことは容易に想像できた。

四国で3年目を迎える渡邊隆洋(徳島IS)は、開幕戦のマウンドに初めて先発として登った。遠く埼玉から駆けつけた母が見守る中、「過去最高なくらいの緊張」という精神状態で打者に相対した。

先頭打者を三球三振に切って取りながら、厳しいコースを突いた球がはずれ、打者二人を連続で歩かせた。強風は高知FDに味方する。四番・中村竜央の打球は浅いフライとなり、前に突っ込んできた左翼手・金谷良太の前にポトリと落ちた。続く五番・マサキもセンター方向に浅いフライを打ち上げる。一度下がって捕球体勢に入ったはずの中堅主・岡嵜雄介があわてて前にダッシュをかけるが届かない。幸運とも言える形で高知FDが1点を先制した。

しかし抱えていた強い緊張は、この2本の安打でほぐれた。
「最初に2本打たれて、逆にあれで『打たれても飛ばねぇや』と思って、真っ直ぐを投げていきました」
まだ1点である。変化球での勝負よりも、逆に直球で強気に勝負する腹を決めた。3回表に3連打を浴び、再び失点を許したものの長打は喰らっていない。それどころか4回以降、本来の丁寧な投球が蘇った。うまく緩急を織り交ぜながら低目に直球を投げ込んでいく。9安打を許しながら初回の連続四球以降、与えた四死球は一つ。好投に味方打線も応え、8回裏に同点に追い着いた。130球。9回を投げ抜き、最後まで切れることのない粘り強い投球を見せた。

「あんまり言っちゃいけないんだろうけど、これまで小野監督から教えてもらったいろんな経験がある。なんでも自分独りで片付けちゃおうとするのがボクの悪いクセで、白石監督からも『同じ左投手なんだから盗めるものはある。遠慮しないで何でも聞いて来い』って言ってもらえてる。これまで投手で3人(NPBに)行けたんですけど、伊藤さん(秀範・東京ヤクルト)なんか、ずっとNPBのことを考えてきて最後の最後にあんな強い「引き」があった。諦めたりなんかしちゃ絶対ダメだって思う」

人が成長するためには、それ相応の時間が必要だ。
四国に来て、200試合以上を経験してきた。リーグ初年度、当時コーチだった定詰雅彦氏(現・千葉ロッテスタッフ)に質問をしたことがある。
「一番伸びると思った投手は誰ですか?」
「ナベです」
即答だった。

2年間の経験は間違いなく渡邊を進化させた。NPB行きの切符をつかんだ投手3人の内、2人は開幕戦の先発投手である。


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