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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2006/09/30(Sat)

林真輝らしいプレー

愛媛MP 6-6 徳島IS 2006.9.29. 坊っちゃんスタジアム
※9回リーグ規定により引き分け
本塁打 林真輝(愛媛MP)8号ソロ(角野)

1回裏、愛媛MPが四番・林真輝の右犠飛で先制点を奪った。
しかし徳島ISは2回表、愛媛MPの近平省吾を捉え、打者一巡の猛攻で一挙5点を挙げ、大きくリードを奪う。
愛媛MPは着実にその差を埋める。2回裏、一番・小田島一樹が中犠飛。3回裏、徳島ISの二番手、角野雅俊から五番・荒木康一が右犠飛。5回裏、林が右翼スタンドに飛び込む8号ソロ。6回裏、九番・吉田臣希が適時右前安打を放ち、遂に5-5の同点に追い着いた。
7回表、徳島ISは6回からマウンドに登った小山内大和を捕まえる。六番・松原祐樹の右前適時安打、八番・大二郎の中前適時安打で2点を挙げ、再び愛媛MPを突き放した。
7、8回を番場由樹が抑えた後の9回、クローザー小林憲幸がマウンドに登るがこれが誤算となった。一番代打・長崎準平が左前安打、二番・福西太志も四球で出塁し、走者を溜めた後、林が今日4打点目となる2点中前適時安打を放ち、愛媛MPが土壇場で同点に追い着いた。なおも二死二、三塁のチャンスが続くが、六番・梶原有司が右飛に倒れ、逆転にはならなかった。試合は7-7と、9回リーグ規定により引き分けに終わった。


『林真輝らしいプレー』

9回裏、得点は5-7。二死二、三塁のチャンスに打席に立ったのは、今日2安打、2打点の四番・林真輝だった。

一球目を左方向へファールした。このファールで気づいたことがあった。
「初球から行こうと思ったんですけど、変な中途半端なスイングでファールにしてしまった。あれで逆に〝自分のスイングをしっかりしよう〟と思った」

マウンドに立つ小林憲幸のグラブをかすめた強烈なライナーが、中堅手グレアム義季サイモンのところまで飛んで行った。四番としてあっぱれな仕事をやってのけた。

「2球目をコンパクトにして、クレバーなスイングができた。ああいうところに彼の成長の跡が見える」
沖監督も林の成長を評価している。

今日の4打点で打点王争いのトップに立った。四番として、打点への思い入れには強いものがあると言う。実は3回裏、右前安打を放った場面で二塁走者が本塁への突入を諦めてしまっている。
〝還れたんじゃないの?〟という顔をした。
沖監督はそれにも気づいていた。そういう貪欲さもこの2年間の成長の跡なのだ。
「自分が中途半端な当たりだったから」
そう思ってすぐ切り替えた。

今季、ずっと言ってきた言葉は〝結果に囚われない、林真輝らしいプレーをしたい〟である。それができたのが、あの9回裏の中前適時安打だったのだ。

明日はホーム・坊っちゃんスタジアムでの最終戦。松山のファンの前でもう一度見せたいのは〝This is 林真輝〟というプレーである。

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2006/09/30(Sat)

多田野の意地

徳島IS 4-1 高知FD 2006.9.28. 蔵本運動公園野球場

勝 多田野 1勝0敗
S 小林 2勝2敗11S
敗 高梨 15勝6敗5S

徳島ISの先発は、先頃スポット入団を果たした多田野数人である。メジャーで勝ち星を挙げた右腕の実力に注目が集まった。
しかし先制点を挙げたのは高知FDだった。4回表、六番・古卿大知、七番・杭田考平が連続安打で出塁した後、八番・中村竜央の中越え適時二塁打で1点を奪う。
すぐさま反撃を開始した徳島ISは4回裏、一死満塁のチャンスに七番・大二郎があわやオーバーフェンスかと思わせる大きな中犠飛を放ち同点に。続く八番・永井豪の適時右前安打で逆転に成功した。
徳島ISは5回裏に四番・西村悟の遊ゴロ(記録は失策)で1点を。6回裏には大二郎の適時右前安打でもう1点を追加し、差を3点と拡げた。
多田野は5回以降、高知FD打線に三塁を踏ませない投球を披露する。8回から竹原俊介、9回を小林憲幸がそれぞれ3人で抑え、徳島ISが高知FDとの最終戦を4-1の勝利で飾った。


『多田野の意地』

メジャーを経験している投手だとはいえ、万全か?と言われれば決してそうではない。
今季、多田野数人が投げた最長イニングは4回である。
「4回にちょっとバテがきましたね。高知FDの打者はメジャーの打者にタイプが似ていました。積極的に振ってくるところが」

9月4日の登板を最後に実戦から離れている。今シーズン前半、右ヒザの故障でほとんど投げられなかった。スタミナと、下半身への不安があった。9月22日の入団会見の後、小野監督は多田野の足の細さを気にしている。今日のマウンドも当初は5回までの予定だったのだ。

「5回が終わって『どうだ?』って聞いたら、『まだいけます』って言ったんだ。6回が終わって『フォームで何かありますか?』って聞いてきたから少しアドバイスしたんだよ。すぐ試したかったんだろう。それで7回も投げさせた」

小野監督が指摘したのは〝左ヒザの割れが早いこと〟である。
今年、走り込めていないことも影響している。
「それを言われてすぐ(修正が)できれば天才だからね」

「福永君がしっかりリードしてくれたんで」
ヒーローインタビューでは謙遜気味に捕手のことを称えた。

福永泰也が振り返る。
「メジャーのリードの仕方と、僕がこっちで普段やってるリードがある。で、どっちにしようかな?と思ったんですけど。ま、様子見ながら・・・最後は多田野さんに任せました」

初登板となった24日、鳴門での高知FD戦では直球だけを試して最初の二人に安打された。変化球を混ぜてからは3人を三振に取っている。
「一巡目はストレート中心で。ひと回りするともう危ないと思ったんで・・・」
4回には福永自信、多田野がバテ始めていることに気づいていた。しかし変化球のキレには目を見張るべきものがあった。
「変化球のキレがありすぎてボールになるんです。後半それを見られた。YAMASHINの四球(5回)なんかそう。低目がボールになっちゃうんです。それで『(変化球を)真ん中に集められますか?』って聞いたんです。それでほんとにできるところが凄いですよね」

7回105球を投げ、被安打6。失点1。四死球2。奪三振9。
最後の7回は、一死から一番・YAMASHIN、二番・國信貴裕を連続三振に取り、マウンドを降りた。

「三振は意識してない」
多田野はそう言った。
「最後の三振。あれは意地でしょうね」
福永はそう思っていた。

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2006/09/29(Fri)

それぞれの9月

高知FD 4-7 香川OG 2006.9.25. オリーブスタジアム

勝 勝沢 4勝3敗
S 橋本 2勝5敗7S
敗 沢西 4勝5敗1S
本塁打 若林(香川OG)4号3ラン

昨日の愛媛MP戦で後期優勝を決めた香川OGが高松・オリーブスタジアムに帰って来た。対戦相手は10月5日、リーグチャンピオンシップを争う高知FDである。前哨戦となるこの試合に、両監督はいかに臨むのかが注目された。
1回表、高知FD先発、沢西康明の立ち上がりに五番・若林春樹は左翼スタンドへ4号3ランを叩き込む。香川OGがまず3点のリードを奪う中、先発の塚本浩二は3回を無失点に抑えた。
4回表、塚本に代わった捻金孝行が高知FD打線に捕まった。四番・山本健士が右中間適時二塁打、六番・宮本裕司の中前適時安打で2点を奪い1点差に詰め寄る。
4回裏、六番・国本和俊の右中間を破る三塁打の後、七番・町田雄飛がきっちりと中犠飛を上げ、香川OGが再び突き放した。
6回表、香川OGの4人目、金城佳太が八番・代打トモに左前適時安打を許し、高知FDが1点差にまで迫った。
しかし7回裏、疲れの見えた沢西康明が無死一、二塁のピンチを迎える。沢西に代わりマウンドへ登った岸健太郎は三番・近藤洋輔、四番・森田丈武に連打を浴び2失点。点差は3点に開いた。
8回にも両チーム1点ずつを奪い合ったが、9回表、高知FDは橋本亮馬の前に3人で攻撃を終え、香川OGが7‐4で高知FDを降した。


『それぞれの9月』

後期優勝を巡っての争いがようやく終わり、オリーブスタジアムにどこか弛緩した空気が漂っていたのは止むを得ないことだろう。お互いプレッシャーの中で優勝争いを戦ってきた。高知FDのサヨナラ勝ち、香川OGのサヨナラ勝ち、香川OGの9回逆転勝ちと、直接対決はここ3試合、観ている者にとって手に汗握る試合が続いた。プレーしている選手たちにとっては体力的なものはもちろん、精神的な疲労も溜まったに違いなかった。何か違うムードがある。

3回まで無失点、被安打1に抑えた香川OG先発の塚本浩二を、芦沢監督はあっさりと交代させた。4回以降は捻金孝行、下地栄輝、金城佳太、勝沢賢一、深沢和帆、そして橋本亮馬の6人に1イニングずつ登板させている。スターティングメンバーもいじってきた。左翼手に町田雄飛、DHにはシェパードを指名している。
「普段出てない選手を使った。やっぱり経験させておかないと」

今日を含め、公式戦の残り試合はあと4試合ある。選手たちにとってはチャンピオンシップに向けて格好のアピールの場所になる。
「消化試合はお前らには無いぞ!」
そう言って芦沢監督は、選手たちにもう一度活を入れたそうだ。直接対決は4試合の中でなんと3つ。この3試合をいかに利用するのか。駆け引きも見え隠れする。

試合が終わり、帰りのバスに向かって歩いていた日高大輔(高知FD)は
「今の内に試せることを試しておきたい」
と語った。チャンピオンシップ本番にベストの状態を迎えたい。それまでに少しでも自分の技術を引き上げておきたいのだ。

タイトル争いもいよいよ大詰めになった。ここまで長く首位打者の座を守ってきたYAMASHIN(高知FD)が、23日の試合で遂にその座を堂上隼人(香川OG)に明け渡している。
「もうとにかく、振るしか無いっスね」

今季最後のアピールにすべてを賭ける者、リーグチャンピオンシップに向けて調整を計る者、数字と戦いながら持てるすべてを出そうとする者。それぞれの9月がもうすぐ終わろうとしている。月が替われば2チームだけの争いが始まる。
今週末、いよいよリーグは最終戦に突入する。

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2006/09/28(Thu)

みんなの力で勝ち獲った

愛媛MP 0-6 香川OG 2006.9.24. 坊っちゃんスタジアム

勝 伊藤 11勝4敗2S
敗 浦川 14勝6敗5S
本塁打 近藤智(香川OG)3号ソロ

後期優勝へのマジックを昨日「1」とした香川OGが愛媛・坊っちゃんスタジアムに乗り込んだ。私設応援団『ガイナマイツ』を始めとする200名以上の香川OG応援団が、優勝の瞬間をこの目で観ようと三塁側スタンドに陣取った。
1回表、先頭打者・近藤智勝の右翼スタンドへ飛び込む3号ソロ本塁打で幕が上がった。香川OGは4回表にも愛媛MP先発の浦川大輔を捕まえる。九番・上ノ下健の中犠飛、二番・三輪正義の適時右前安打でこの回3点を奪う。浦川からマウンドを譲り受けた近平省吾から三番・東山和樹が右前適時安打を放ち、愛媛MPから5点のリードを奪った。
香川OG先発の伊藤秀範は打たせて取る見事な投球を披露し、愛媛MP打線に得点のチャンスをほとんど与えない。
9回表、この回マウンドに登った小山内大和から四番・森田丈武が左前適時安打を放ち1点を追加、点差を「6」に開いた。
伊藤は9回裏も危なげない投球を見せる。最後の打者、林真輝を二塁ゴロに打ち取り試合終了。香川OGの後期優勝が決まった。
香川OGは10月5日より始まるリーグチャンピオンシップに出場し、前期優勝の高知FDと年間優勝を賭けて争う。


『みんなの力で勝ち獲った』

堂上隼人の名前がスコアボードに無い。
5月の途中入団以降、ほとんどの試合でマスクを被り続け三番の座を守っている。前日(9月23日)の愛媛MP戦では3打数3安打と打ちまくり、打率を.326まで上げた。YAMASHIN(高知FD)を抜き、打率トップにも躍り出た。その堂上の名前が先発メンバーに上がっていなかった。昨日の試合の6回表、田口大地のファールチップが右足ふくらはぎを直撃した。5回裏の本塁突入の際にも左ヒザを傷めていた。芦沢監督は優勝の懸かったこの試合で、堂上を外さざるを得なかったのである。

代わってマスクを被ったのは上ノ下健だ。
今季、堂上の影に隠れ、アピールの機会が極端に少なくなってしまった。9月21日、ダブルヘッダーだった愛媛MP戦に続いての先発マスクになる。

2回表、香川OGの先発・伊藤秀範が、先頭の四番・林真輝に対して四球を与えてしまった。しかし後続の3人をすべて内野ゴロに打ち取って事無きを得ている。

「林だけ気をつけろって言ったんだ。最初の打席、変化球で0-3になって、ストレートで1-3になって四球でしょ。(上ノ下に)『そういう使い方すんな!』って言ったんだ」
加藤コーチは2回表終了後、バッテリーに対し、変化球の使い方について苦言を呈している。

3回表、一死二塁のピンチは左翼手、井吉信也の本塁への好返球で無得点に抑えた。5回表、この回の先頭打者、七番・梶原有司に左中間へ二塁打を打たれた。
「一番厳しかったのはここですね」
伊藤が振り返る。しかし、このピンチも乗り越え、前半5イニングを無得点に抑えた。伊藤‐上ノ下バッテリーがその本領を発揮し始めるのはここからだった。

上ノ下は伊藤の微妙な変化に気づいていた。
「打たれた頃くらいからちょっと力み始めてたんですよ。力んでたらすぐ判るんで。だから後半スローボールで脱力させたんです。もう打者を打ち取るとかじゃなくて、脱力させるためだけのために」

伊藤をリラックスさせるためにつけさせたスピードの変化が、打者にとっては狙い球を絞らせない好リードとなった。6回以降、9回まで一人の走者も許さない投球が続く。
「あれ、そうだったんですか!ちょっとスローボール、多いなァと思ってたんだ」
加藤コーチからの指示では無かった。

9回裏、最後の打者、林真輝を二ゴロに打ち取ったのは伊藤が投げた96球目である。この一球が後期優勝を決める一球となった。ウイニングボールをつかんだ若林春樹に選手たちが駆け寄る。伊藤も大きく両手を天にかざした。ベンチからも一斉に選手が飛び出してきた。グラウンドに緑の歓喜の輪が拡がった。

歓喜の胴上げが終わり、優勝監督インタビューが始まった。芦沢監督がまず口にしたのは選手たちへの労いの言葉だった。
「選手たちが頑張ってくれた。上ノ下も腐らずにやって、優勝を味わえた。控えの選手が頑張ってくれたことが大きかった」

後期に入り連勝が続く中で、ずっと強調していたセリフがある。
〝チーム全員の力が一つにならないとこうは勝てないよ。ベンチがバラバラだとこんな試合はできない〟
先発で出場するメンバーだけでなく、控えに回った選手たちも集中力を切らさずチャンスを待った。だからケガ人が出ても大きな戦力ダウンにつながらなかった。たとえ堂上が出られなくても上ノ下がきっちり仕事をし、他の打者が打つ。今日三番に入ったDH・東山和樹は猛打賞である。
「打つ方も大きかったんだけど、投手が夏の苦しい時期によくローテーションを守った。先発三本柱以外が力をつけてくれた。おかげで三本柱は楽ができた」
選手たちの大きな成長がそこにはあった。

「『みんなの力で勝ち獲ったんだから、大いに喜びなさい』と伝えたい」
芦沢監督は三塁側スタンドに向かってファンと一緒に万歳を繰り返した。

〝優勝のマウンドはどんな気分でしたか?〟
と聞かれた伊藤が答えた。
「最高でした!」

バスに乗り込む前の選手たちと最後まで残ったファンの面々が、球場の外で喜びを分かち合っていた。バスは彼らが贈る「バンザイ!」の声を背に、坊っちゃんスタジアムを後にして行った。

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2006/09/27(Wed)

新しい武器と、あと4km/h

香川OG 3-0 愛媛MP 2006.9.23. オリーブスタジアム

勝 松尾 11勝2敗4S
敗 木谷 2勝2敗2S

優勝へのマジックは「2」。今日、香川OGが勝って、高知FDが敗れれば香川OGの後期優勝が決まる。地元での優勝の瞬間を観ようと、オリーブスタジアムには大勢の観客が詰め掛けた。
先制点を奪ったのは香川OGだった。4回裏、五番・若林春樹が打ったゴロを三塁手・林真輝が一塁に悪送球し、無死二塁のチャンスをつかむ。六番・東山和樹がバントで送った後、愛媛MP先発・木谷智朗は九番・八木裕章への2球目を暴投し、若林が生還した。
5回裏にも三番・堂上隼人の2点適時安打となる左翼線二塁打で3点と差を拡げた香川OGは、先発の松尾晃雅が6回一死まで一人の走者も許さない。八番・福西太志に中前へ運ばれるまでパーフェクトピッチングを続けた。
松尾は9回まで118球を投げ切り3-0。被安打2。無四球での完封勝利で11勝目を飾った。
試合終了後、鳴門球場で行われていた徳島IS‐高知FD戦の結果をスタンドに残ったファンと一緒に待ったが、高知FDが勝利したことにより香川OGの優勝決定は明日以降に持ち越された。


『新しい武器と、あと4km/h』

福西太志の手によって完全試合を破られても、松尾晃雅は顔色一つ変えずマウンドに立ち続けた。その後に許した安打は7回表、二番・吉田臣希に打たれた中前打1本のみである。愛媛MPは打者29人で松尾の前に屈し、後期優勝へのマジック「1」が点った。

「今日優勝できるかもしれないと思ったので精一杯投げました。(完全試合は)いつかは打たれると思っていたので〝できたらいいな〟くらいに思ってました」
お立ち台でのインタビューでそう答えている。

調整されて初速表示が可能となったオリーブスタジアムのスピードガンは、MAX144kmを映し出していた。優勝が決まるかもしれない大事な試合で、無四球完封勝利という大きな仕事をやってのけた。完全試合がなくなった後、さらに6つ。計10個の三振を奪っている。まったく文句のつけようがない投球に、一塁側観客席に集まったファンから大きな拍手が送られた。

素晴らしかったのは、恐ろしくキレの良かったスライダーである。8回表の先頭打者、梶原有司を三球三振に切って取った一球がある。カウント2-0から外角に鋭く決まったスライダーに、まったく手が出せなかった。

「宿毛で投げた時(6月17日、高知FD戦)と同じくらいスライダーが切れてました」
マスクを被っていた堂上隼人にとっては、さほど驚くようなことではなかった様だった。
「元々、あれくらいの球が投げられる投手だと思う」

「うん、スライダー良かったね。変化球に対する意識をね、変えた」
ダッグアウト横の通路でそう語ったのは芦沢監督である。
「スライダーを決め球にできるようにした。これまでは変化球って見せ球でしかなかったんだけど、スライダーを決め球にできれば(真っ直ぐと)二つ決め球にできるでしょ。どうしても一つだけだと上へ行ったら辛いから」

少し意識を変えたことで、大きな武器を手に入れることができたのだろうか。その効果は今日の試合がすべて物語っている。スライダーが良かったのは認めるところだが、当の本人は真っ直ぐの出来に納得していなかった。

「真っ直ぐがまだ出てないんで、もうちょっと(スピードを)出したい。緊張はしなかったですね。こういう雰囲気の方が好きだし、お客さんがたくさんいる方が楽しい」

昨年坊っちゃんスタジアムでマークした148km/hをもう一度投げたい。それを言い続けている。平気で「緊張したことがない」と話す強心臓は、初の優勝が決まるかもしれないというマウンドにもまったくの平常心で臨んだ。完全試合を逃したことよりも悔しかったのは、あと4km/hが届かなかったことだった。

リーグチャンピオンシップへの出場は決まった。
あと4km/hに届くチャンスも、もう少し増えたことになる。

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2006/09/26(Tue)

「必死だもの」

徳島IS 9-10 愛媛MP 2006.9.22. 鳴門総合運動公園野球場

勝 浦川 14勝5敗5S
敗 角野 4勝12敗
本塁打 林(愛媛MP)6号3ラン、林(愛媛MP)7号ソロ

徳島IS先発の益田陽介が序盤に捕まった。2回表、七番・梶原有司の中前適時安打で愛媛MPが2点を先制する。徳島ISは2回裏、二番・山口寛史の左前適時打で1点を返すが、愛媛MPは3回表、四番・林真輝が右翼スタンドに突き刺さる6号3ランを放ち、一気に4点差とリードを拡げた。5回表にも代わった米澤孝祐から、林が二打席連続となる7号ソロ本塁打を右翼スタンドに叩き込んだ。
5回裏、今度は徳島IS打線が反撃を開始する。愛媛MP先発の木村吉久から七番・福永泰也が右越え三塁打を放ち3点を、変わった宇都宮勝平から九番・吉岡俊輔が中越え三塁打を放ち2点を叩き出す。この回、打者一巡の猛攻で試合を振り出しに戻した。
その後、試合は動かず6-6のまま最終回を迎えた。
9回表、無死一塁の場面でマウンドに登った抑えの小林憲幸が遂に失点を許してしまう。林の2点適時打となる左翼越え二塁打、五番・荒木康一の右中間突破三塁打、梶原の左中間突破二塁打で4点を挙げた。
しかし徳島ISも諦めない。5回からロングリリーフを続ける小山内大和を捉え無死満塁とすると、二番・岡嵜雄介の押し出し死球などで3点を返した。しかし最後は四番・西村悟が遊ゴロに倒れ、あと一歩及ばなかった。
試合時間4時間11分はリーグ最長記録更新となった。


『必死だもの』

試合終了後の一塁側ダッグアウトには、右こめかみの辺りを氷で冷やし続けている吉岡俊輔の姿があった。

9回裏、愛媛MP・小山内大和が四番・西村悟に投げた4球目は暴投となり、捕手・梶原有司が後逸してしまう。これを見て本塁へ一気に突進した吉岡の頭に、梶原からの送球が当たった。あと1点にまで詰め寄った徳島ISの9点目は、吉岡が体を張って奪った1点である。
「ヘルメットをかすめて顔にも当たったみたいで。よく覚えてないんです」
右目じりの辺りが大きく腫れ上がっている。

5回表を終了した時点で1-6、徳島ISは5点のビハインドを抱えていた。福永泰也の三塁打で一気に2点差まで縮まり、先発の木村吉久に代わって宇都宮勝平がマウンドに登る。押せ押せムードの中で吉岡に打席が回ってきた。SHOHEIが四球で歩いた次の初球は甘いスライダーだった。バックスクリーン近くまで転がった打球に俊足を飛ばし、二塁を蹴った。足から三塁へ滑り込むと、大きなガッツポーズを見せた。

「必死だよな、とにかく。凡打を打ったにしてもちょっと違う。バントで揺さぶったり、〝なんとかしてやろう!〟っていう気持ちが見えるよ。そりゃお父さんのことが引き金になったのかも知れないし、こっちもそういう目で見てるからそう見えるのかもしれないよ。でも、それにしても違うよ。必死だもの」
小野監督は現在の吉岡についてそう語った。

この夏、吉岡は最愛の父を失っている。
〝脳内出血で倒れた〟という連絡が入り、一時戦列を離れた。その後、チームに再び帯同したのだが、結局お父さんの最後に付き添うことはできなかった。

辛い夏になってしまった。
「それはそれで切り替えて。普通のプレーが、いつも通りのプレーができればなんとかなる」
秋になり、悲しみを振り切るかのように必死にグラウンドを駆ける姿がそこにある。

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2006/09/22(Fri)

「今年最高のピッチングができた」

香川OG 4-4 愛媛MP 2006.9.21. オリーブスタジアム ダブルヘッダー第一試合
※9回規定により引き分け

香川OG 0-0 愛媛MP 2006.9.21. オリーブスタジアム ダブルヘッダー第二試合
※9回規定により引き分け

香川OGがオリーブスタジアムに愛媛MPを迎えてのダブルヘッダー第一試合は14時31分に始まった。
2回表、香川OG先発の捻金孝行から一番・広田嘉明の左翼線二塁打などで愛媛MPが3点を先制する。しかし3回裏、愛媛MP先発の小山内大和から香川OG打線が4連続安打を放ち、1点を返した。
4回表、八番・田口大地が右中間を破る三塁打で出塁する。三番・李鐘熙の右前適時安打で愛媛MPが4-1と引き離す。香川OGも5回裏、左前安打で出塁した上ノ下健が小山内の暴投の間に生還し、差を2点に縮めた。
8回裏、この回途中に小山内からマウンドを受け継いだ宇都宮勝平が捕まった。今日誕生日を迎えた五番・若林春樹が左翼線に2点適時二塁打。香川OGが同点に追い着いた。
6回表からロングリリーフとなった橋本亮馬が9回も無得点に抑える。最後の攻撃に賭けた香川OGだったが、抑えのマウンドに登った浦川大輔の前に得点が奪えない。第一試合は引き分けに終わったが、香川OGのマジックは一つ減り、マジック「3」が点灯した。

第一試合が終わったちょうど30分後、第二試合がスタートした。香川OG塚本浩二、愛媛MP近平省吾の投げ合う、緊張感溢れる投手戦となった。
3回裏、近平は二死一、三塁のピンチに四番・森田丈武を三振に切って取る。4回表、塚本が二死三塁のピンチに五番・荒木康一を三振で凌ぎ、共に譲らない。5回終了時までたった80分と、早い展開で試合が進んだ。
お互いがチャンスを活かせない展開は終盤まで続く。9回表、好投の塚本に代わり松尾晃雅がマウンドに登った。松尾は愛媛MP打線を3人で封じ込み、9回裏の攻撃に望みを繋ぐ。しかし9回裏も近平は見事な投球を見せ、香川OG打線に失点を許さなかった。試合はスコアレスドローで二試合連続の引き分けに終わった。この結果、香川OGにマジック「2」が点灯した。


『今年最高のピッチングができた』

近平省吾の言葉を借りるとするなら
「イタチの最後っ屁じゃないですけど、意地は見せたかった」
そんな気持ちが愛媛MPナインの中には確実にあった。ダブルヘッダー、二試合併せて18イニングを戦い抜き、結果はドローである。

「バントで送れずゲッツーになった場面が二度あったでしょ。ああいうのも産みの苦しみというか、選手が少し固くなってるのかもしれない」
試合後、芦沢監督はそう述べている。
逆に言えば、ミスに怒りを見せるのではなく、それを〝緊張〟と捉えているところに芦沢監督の余裕が見える。マジックは確実に二つ減った。いよいよその時が近づいている。

二試合とも無失策である。緊張感の続く好ゲームだったことは言うまでも無い。特に見応えがあったのは、お互いにまったく得点を許さなかった第二試合だった。
愛媛MP近平省吾。香川OG塚本浩二。
二人の先発投手が試合後に語ったのは、期せずして同じセリフだった。
「今年最高のピッチングができた」
である。

7回裏からマスクを被った梶原有司は沖監督から〝今日の近平はどこが良かったのか?〟と聞かれて即座に
「コントロールです」
と答えている。

「とてもよく集中できて、試合に入り込むことができた。コントロールが適度にバラついていて逆に良かった。四球を4つ出しましたが、どれも狙って厳しいところをついての四球でしたから・・・」
うまく散った球が香川OG打線に絞らせることをさせなかった。最も意識している投球フォームもかなり落ち着いていたと話す。5日前に見た今治での投球フォームよりも、かなり上から腕が下りてきていた。改良と研究の跡は確かに見えていた。10勝目こそ逃したが、勝ちに等しいほどの完投である。147球を投げ抜き、自信にも繋がる。

塚本はいろいろな実験を試みながらマウンドに立っていた。
「あえてスピードを出さなかったり、スライダーを抜いて投げてみたり。試したかったことがたくさん試せました」
実は最近読んだ本の中にアンダースローのヒントをたくさん見つけたのだ、と話してくれた。そのひらめきが本番のマウンドで大きく役立っていた。優勝を意識しての緊張は「まったく無かった」と言った。

優勝の行方はさておき、投手としての技術向上はシーズン終盤だろうとそれぞれまったく止まることをしらない。あぁした方が良いのか。こうした方が良いのか。そんな試行錯誤を続け、実戦のマウンドに登る。練習でつかむ自信と、実戦でつかむ自信がある。

二人が今年最高のパフォーマンスを見せた結果のスコアレスドローは、口惜しさよりもある種の爽やかささえ漂わせていた。
近平が最後に語った。
「良いピッチングをした次の時に悪いピッチングをするイメージがある。それだけ気をつけたい」
それも実践の中で培ってきた経験則の一つである。

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2006/09/21(Thu)

失った自信、取り戻した自信

香川OG 2-4 徳島IS 2006.9.20. オリーブスタジアム

勝 小林 2勝2敗10S
敗 橋本 2勝5敗6S

今季、香川OGと徳島ISの最終戦が、夏が帰って来たかのような強い日差しの照りつけるオリーブスタジアムで行われた。徳島IS・竹原俊介、香川OG・勝沢賢一の両先発で始まった試合は序盤、投手戦の様相を呈した。
3回裏、二番・近藤智勝が右越えの適時二塁打を放ち、香川OGが先制する。しかし以降、両投手とも要所を締め、7回まで膠着した状態が続く。
試合は8回に動いた。8回表、勝沢が制球を乱し、一死満塁のピンチを迎える。二番・山口寛史の打球は中前への2点適時安打となり、徳島ISが逆転に成功した。
8回裏、香川OGは疲れの見えた竹原から一番・三輪正義が右翼線への二塁打で出塁する。送りバントで一死三塁とした後、小野監督はマウンドにストッパー小林憲幸を送る。三番・堂上隼人は小林の初球を中深くに運ぶ犠飛を決め、香川OGが同点に追い着いた。
9回表、芦沢監督は橋本亮馬をマウンドに送ったが、これが裏目となった。橋本は被安打1、四死球2と逆に一死満塁のピンチを迎えてしまう。ここでマウンドには三番手金城佳太が登るが、九番・永井豪の二ゴロ併殺崩れの間に三塁走者が生還。山口の今日3打点目となる適時右前安打で、香川OGから勝ち越しの2点を奪った。
9回裏も小林で逃げ切り、徳島ISが4-2で今季最終対決を制した。


『失った自信、取り戻した自信』

照明の落ちてしまった鳴門球場の選手通路出口で、がっくりとうな垂れた竹原俊介の背中を見たのは8月27日のことだった。
無理も無かった。先発したものの、高知FD打線に対し7つの四球を与え、4回の途中で後続にマウンドを譲った。負けこそつかなかったが、試合を作ることがまったくと言っていいほどできなかった。

先発としてマウンドに登ったのはあの日以来になる。
気合いも入っていた。四番・森田丈武を三振に取った渾身のストレートと共に、
「おっらぁっ!」
と、バックネット裏まで届く唸り声が聞こえていた。
「声を出した方が良かったことを思い出して・・・」
〝それが良いパフォーマンスにつながるんだったら、なんだってやるさ〟
そんな気持ちでいたのだろう。あの屈辱の降板以降、失ったコントロールを取り戻すために悩み、苦しんでいる。
「とりあえずコントロールは意識しなくてもいいから。真ん中だけ狙って投げればいい」
小野監督から受けたアドバイスの中に復調のヒントはあった。練習でのブルペンでうまく開き直ることができるようになった。

最初から飛ばしていた。
「3回にはもうバテてましたから。『ノリ~(小林憲幸)もうバテたっ!』って」
被安打4つでの1失点なら、先発としては合格だろう。1点リードしての8回裏、一死三塁のピンチを迎え、後を小林憲幸に託してマウンドを降りた。

「タケさんがいいピッチングをしてくれたんで。この回を抑えてタケさんに勝利をプレゼントしたかった」
小林の胸の中にはそんな想いがあった。しかしそれは、たった一球で打ち砕かれてしまった。

ここ数試合、小林もベストと言える投球ができていない。
9月1日、坊っちゃんスタジアムでの、李鐘熙へ投げてしまった危険球による退場から始まり、連続して打者に死球を与えている。抜ける球が多くなっていたのだ。9月15日、オリーブスタジアムでのダブルヘッダー第一試合に抑えで登板し、やはり若林春樹に死球を与えた。試合終了直後、福永泰也とクールダウンのキャッチボールをしながら、必死にフォームをチェックしていた時の厳しい表情を覚えている。

9回裏、最後のマウンドでのストレートは最速144km/hを表示していた。正確にはこれ以上のスピードが出ている。
「ブルペンでも抜ける球がなくなってきてて、調子は上向きですね。もうやるだけです」
試合後、一番最後に選手控え室から出て来て、はにかんだ笑顔を見せながらそう話してくれた。表情に自信が戻り始めている。

徳島ISにもう今季の優勝はない。しかし違う見方をすれば、このリーグは優勝がすべてでもない。最後まで各選手個人のアピールは続く。試行錯誤も、技術の向上も、精神力の強化も、そして日々の努力も、まだまだ続けていかなければならない。

首位香川OGに一矢報いて今季の戦いが終わった。
竹原と小林の想いは熱いまま。残り試合は7つ。

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2006/09/21(Thu)

正念場

高知FD 6-3 徳島IS 2006.9.19. 高知東部球場

勝 岸 5勝4敗
S 上里田 8勝10敗8S
敗 渡邊 5勝8敗
本塁打 小松崎1号3ラン(高梨)

高知FD打線が徳島IS先発・渡邊隆洋の立ち上がりを捉えた。三番・角中勝也の左中間への二塁打、五番・杭田考平の右中間への二塁打で1回裏に2点を奪う。
3回表、三番・小松崎大地が高知FD先発の高梨篤から左翼スタンドへ飛び込む1号3ランを放ち、徳島ISが逆転に成功した。
しかし渡邊はこのリードを守ることができない。3回裏、四番・山本健士に右中間を破られる2点適時二塁打をくらい逆転を許してしまう。高知FDは4回裏にも八番・土佐和広の犠飛で1点を追加。7回裏には代わった番場由樹から角中が右翼線へ適時三塁打を放ち、差を3点に拡げた。
4回から高梨に代わった岸健太郎、沢西康明、上里田光正、ミン・キファンが継投で繋ぎ、最後は再びマウンドに登った上里田が徳島IS打線を封じ込め、6-3で勝利した。


『正念場』

高梨篤が左足に痛みを感じ始めたのは2回表のマウンドだった。
「真っ直ぐを投げたらピキッときた」
ふくらはぎに違和感がある。様子を見ながら3回のマウンドにも登ったが、痛みは治まるどころか、増すばかりだった。それ以降、すべての投球時に痛みが走り始めた。ハーラートップの左腕はこのアクシデントで予定よりかなり早くマウンドを降りることになってしまった。しかも、1点のビハインドを抱えてしまったまま。

3回裏、高知FD打線が徳島ISの先発、渡邊隆洋に襲い掛かる。二番・古卿大知が右翼線安打、三番・角中勝也も右前安打で続く。そして四番・山本健士はカウント1-2からの4球目を右中間に弾き返した。
「古卿、山本が打ってくれたのが大きかったです。ここ数試合、彼らの当たりが止まっていて一本欲しいところで出なかった。それが連敗につながった」
藤城監督は試合後、そう語っている。

古卿2安打、角中3安打、山本2安打。打順上位の打者を中心に12安打の猛攻を見せ、6点を挙げた。高梨の緊急降板の後、投手陣もよく踏ん張った。4、5回を岸健太郎が、6、7回を沢西康明がきっちりと仕事をし、徳島IS打線に三塁を踏ませていない。

8回表のマウンドに登ったのが上里田光正である。
藤城監督は本来なら先発三本柱の一人である上里田をこのシーズン終盤に〝抑え〟として起用している。雨で流れた17日を挟み、14日から5試合連続の登板である。特にここ2試合は香川OGとの首位決戦の中、終盤の大事なマウンドを任され、結果を出せずに終わっている。

今日は3点のリードがある。しかし、あえて休ませなかった。
「休ませたら良くないでしょうね。今日も上里田に『調子どうだ?』って聞いたら『良くないです』って弱気な発言をしました。何言っとるんだ!ってことです」
藤城監督は上里田を休ませることなど、はなから考えていなかった。疲労がどうだ、などと言っている場合ではない。その気持ちの弱さがいけないのだ。マウンドで失った自信はマウンドで取り戻さなければ、決して他では取り戻せない。

9回表、岡嵜雄介と山口寛史を三振に切って取り、チームメイトたちとハイタッチを交わした。
「これほどの連投は初めてなんで。もう気持ちで投げるしかないです」
首位香川OGとのゲーム差は「5」に開いた。やるしかない。
チームにとっても、上里田にとっても、ここが正念場である。

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2006/09/20(Wed)

1ヶ月半前の屈辱

徳島IS 0-8 愛媛MP 2006.9.18. 鳴門総合運動公園野球場

勝 浦川 13勝5敗5S
敗 米澤 0勝3敗

5回表、徳島IS先発の米澤孝祐が崩れた。左手首の疲労骨折後、初のスタメン出場となった八番・松坂恭平の適時左前安打で愛媛MPが先制点を挙げる。
6回表にも一死一、三塁のチャンスに五番・荒木康一の中犠飛で追加点を挙げた。
7回表、先頭の七番・田口大地が中前安打で出塁した後、米澤はコントロールを失い3連続四球。続いてマウンドに登った安里渉も3連続で四球を与え、悪い流れを止めることができない。代わった佐藤広樹が荒木にこの回5点目となる適時打を打たれながらも、なんとかこの回を終えた。徳島ISは9回表にも松坂が左中間を抜ける適時二塁打を放ち、8-0と大量リードを奪った。
愛媛MP先発の浦川大輔は味方のリードを最後まで縮めることなく、完封勝利での13勝目を手にした。


『1ヶ月半前の屈辱』

今治で愛媛MPが完敗を喫したのは、たった2日前のことである。
チームが受けた屈辱は晴らさなければならない。しかし、浦川大輔の頭の中にもっと強くイメージとして残っていたのは、7月28日、鳴門での徳島IS戦だった。
「それを取り返してやろうという気持ちの方が強かった」
試合後、そう語った。7安打を喰らって敗れた苦い思い出である。

借りを返そうと臨んだ試合は、見事に完封で抑え切っての13勝目となった。
しかし、
「自分では0点ですね」
と、自分の投球に対して厳しい評価を下している。
「ストレートは走らないし、変化球は真ん中に集まるし・・・」
決して緩んだ訳ではないですが・・・と前置きした上で、後半点差が開いてしまったことで、集中力が欠けてしまったことを認めている。大量のリードは浦川を助けもしたが、精神的に逆の方向に働いてしまった。そのせいもあったのだろうか、一気に5点を奪い7点とリードを拡げた7回裏から、以降毎回先頭打者を塁に出してしまっている。

結果だけを見れば被安打4の見事な完封劇だった。チームとして、一昨日のお返しは十分できたことになるだろう。しかし浦川にとっては反省だらけの、納得のいかない13勝目になってしまった。

ヒーローインタビューのマイクで
「ファンの前で試合できるのも少ない。一戦一戦を大事に戦いたい」
と語っている。

そう、時間はもうほとんど残されていないのだ。
屈辱を晴らそうと思ったところで、その場面がもうなくなってしまう。

浦川は1ヵ月半前に受けた屈辱に対し、納得はいっていないにしてもとにかく結果を出した。
今日12四死球を出して敗れた徳島ISの投手陣がこの失敗を取り返すチャンスは、まだ残されているのだろうか。

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2006/09/18(Mon)

闘志の理由

愛媛MP 0-5 徳島IS 2006.9.16. 今治市営球場

勝 佐藤 5勝12敗
敗 近平 9勝9敗

愛媛MP先発、近平省吾の足を野手が引っ張った。3回表、左飛を田口大地が、遊ゴロを李鐘熙が連続失策してしまう。
二番・山口寛史の適時中前安打で徳島ISが先制した後、三番・SHOHEIの二塁ゴロの間に三塁走者が還り、2点のリードを奪った。
徳島IS先発の佐藤広樹は安定した投球を見せ、五回二死までをパーフェクトに抑えた。六番・梶原有司に左前安打を許すが、愛媛MPの打者に三塁を踏ませない。
6回表、八番・大二郎の中越え三塁打で1点を追加。八回表にも七番・松原祐樹の2点適時中前安打で愛媛MPを5-0と突き放した。
佐藤は九回106球を投げ切り、被安打3、四死球0と素晴らしい投球を披露。無四球完封での5勝目を挙げた。


『闘志の理由』

マスクを被っていた福永泰也が、試合前の佐藤広樹について述懐する。
「ブルペンではあんまり調子が良くないって言ってたんです。でも『(マウンドに)上がったらわかんない』って言ったんで、様子を見ながら行くことにしました。スライダーが良かったんで、軸にしました」

五回二死まで、一人の打者も塁に出ていない。今治市営球場の観客席では、愛媛MP打線の不甲斐なさに不満を溜めながらも、何やら〝これはえらいことになるのではないか〟という不穏なムードが早くも漂い始めていた。だから観客たちは、六番・梶原有司が放った左前安打に一際大きな拍手を送った。

笑顔を見せたのはマウンド上の佐藤も同じである。しかしこれで気持ちが緩んだのか、続く七番・小田島一樹にも連打をくらった。ここから再び、グラウンドを包む空気がキュッと締まった。

まず完全試合を狙う。それがダメなら無四球無安打。それがダメなら完封勝利。そんなイメージを心に描きながらマウンドに登っているのだと、以前話してくれたことがあった。すでに味方打線は2点のリードを奪ってくれている。
「2点あれば十分だと思いましたね。これでオレが抑えれば完封できる。〝やってやんないと〟と思いました。正直、狙ってました」

闘志には理由があった。
今季、チーム成績が揮わない中で、徳島ISが完封で勝利した試合は5月12日、自身が蔵本球場で挙げた試合を含め、たったの3つしかない。それを歯痒く思っていた。〝オレたちはこんな成績しか残せないチームではない〟という強い自負を持っていた。

試合前の不安など、もうどこかにすっかり消えていた。内角に外角に、面白いように変化球が決まる。6回裏、二番・福西太志を二ゴロ併殺に打ち取ってベンチに帰る時、福永と目を合わせた。二人で笑っていた。
「思ったようなゴロを打たせようと思ったところに投げたら、ほんとに思ったようなゴロになったんで」
福永も会心の球として、この福西への一球を挙げている。
「イメージ通りのゲッツーが獲れました。真ん中低目のツーシームです」

2点どころか、打線は5点のリードをプレゼントしてくれた。8回裏を終了した時点でまだ投球数は100球を越えていなかった。疲れもまったく感じていない。
最後の打者となった福西を再び二ゴロに打ち取った時、マウンドで囲まれていたのはいつものあの笑顔の佐藤だった。

その笑顔の奥には悔しさと苛立ちと、そして燃えたぎるような闘志が隠されていたのだ。
「あんまり徳島がナメられたら腹立つんで」
ハッキリと言葉に出して、そう語った。

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2006/09/16(Sat)

プレッシャーはあるか

香川OG 2-2 徳島IS 2006.9.15. オリーブスタジアム ダブルヘッダー第一試合
※9回規定により引き分け

香川OG 6-4 徳島IS 2006.9.15. オリーブスタジアム ダブルヘッダー第二試合

勝 金城 6勝3敗1S
敗 生出 2勝5敗4S
本塁打 東山2号2ラン(益田)

優勝争いの最中に痛い連敗を喫した香川OGが、徳島ISとのダブルヘッダーに臨んだ。
14時1分にプレイボールがかかった第一試合は、5回まで両チームが1点も譲らない展開で進んだ。
6回裏、八番・井吉信也の左前に落ちる適時二塁打で香川OGが先制する。7回裏にも四番・森田丈武の右中間を破る三塁打、五番・若林春樹の適時左前安打で追加点を挙げた。
2点を追う徳島ISは8回表、五番・SHOHEIが走者一掃となる適時中越え二塁打を放ち、同点に追い着いた。
9回、香川OGは橋本亮馬を、徳島ISは小林憲幸をそれぞれマウンドに送り、両チーム無得点のまま9回規定により引き分けとなった。

第一試合終了から約一時間後の午後6時、第二試合が開始された。
初回、徳島ISは四番・西村悟の適時内野安打で早々と1点を挙げる。4回表にも六番・福永泰也の左前に落ちる適時テキサス安打で2点目を奪った。6回表には西村、SHOHEI、福永の3連続安打などで2点を奪い、その差を4点と拡げる。
6回裏、ここまで2安打と抑え込まれていた徳島IS先発・益田陽介から三番・堂上隼人が左翼線二塁打を放ち出塁する。二死となった後、六番・東山和樹は右翼スタンドへ2号2ランを叩き込み、2点差に追い上げた。
7回裏、この回途中から益田に代わりマウンドに登った生出和也を香川OG打線が捉えた。二死満塁のチャンスに四番・森田が右中間を大きく破る適時三塁打。一気に5-4と逆転に成功した。香川OGは8回裏にも九番・八木裕章の左越え適時二塁打で追加点を挙げた。
投げては7回を深沢和帆が、8、9回を金城佳太が徳島IS打線を抑え、香川OGが6-4で勝利した。
高知FDが愛媛MP戦に勝利したため、ゲーム差は3.5のままで明日の直接対決を迎える。


『プレッシャーはあるか』

昨日、高知FDに痛いサヨナラ負けを喫し、連敗している。
後期優勝を争う中で、若干の足踏み感があった。今日のダブルヘッダー第一試合もSHOHEIの一打で2点のリードを失い、その後勝ち越すことができずに終わった。香川OGのベンチ内には、どこか沈滞ムードが漂い始めていたという。

意識はしなくとも、後期優勝へのプレッシャーが徐々に覆い始めているのだろうか。第二試合の序盤も徳島IS先発・益田陽介の前に打線がまったく揮わない。初めての安打が記録されたのは4回裏、二死になってからである。5回が終わるまでゼロ行進を続けた。

「東山の一発、あれが流れを呼んだね」
芦沢監督は試合後、4点のビハインドを2点に縮めた東山和樹の2ランをまず褒め称えた。ヒーローは3人いた。
「深沢がいい形で抑えてくれた。それと森田の一発だよね。いいところで四番の仕事をしてくれた」
2点を奪った後の大事なイニングにしっかり仕事をした深沢と、大事な満塁の場面に見事四番の重責を果たした森田が勝利の流れを呼び込んだ。

〝彼らの力が大きかったということですね〟という問いにはすかさず反論している。
「いや、これはチーム全体の力。強いてあげれば・・・というだけの話で、一人一人がバラバラじゃあこんな風には勝てない」
強調していたのは、チーム全体の力が結集してこの勝利があったということだ。爆発するためのきっかけを作ったのがこの3人だったということだ。

最後の3イニング、6安打で6点を奪っている。打者は19人。打線をつなぎ、走者を溜め、そして還した。ただ打ちまくった訳でもない。若林春樹の犠飛があり、三輪正義の犠打があった。欲しかったのは、このつながりだった。

まだ香川OGの選手から〝優勝へのプレッシャーが苦しい〟という声は聞こえてきていない。
「プレッシャーですか?そういうのは無かったと思う」
「あんまり気にしてません」
「全然気にして無いっスね。〝あぁ高知勝ったんだ〟ってカンジで」

たとえ本当はあったとしても、今は口にできないだろう。
ここからの残り試合は、ただ目の前の敵と戦っていれば良い訳ではない。普段なら簡単にできることが何かぎこちない。これまでとは違う空気の中での試合を経験するはずだ。

高知FDとの直接対決はあと5つ。果たして、チームを覆っていた沈滞ムードは本当に消え去ったのか。初優勝へのプレッシャーの中で、追い掛けて来る高知FDといかに戦うのか。その一つ目の答えは明日のオリーブスタジアムで出る。

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2006/09/15(Fri)

伝わっていた闘志

高知FD 6-5 香川OG 2006.9.14. 高知東部球場
※9回サヨナラ

勝 上里田 8勝8敗6S
敗 松尾 10勝2敗4S
本塁打 森田8号2ラン(相原)、角中4号3ラン(伊藤)

ゲーム差〝4.5〟で迎えた首位決戦は、高知FD先発・相原雅也、香川OG先発・伊藤秀範と、両チームともエースを送り出しての激突となった。
試合は序盤から荒れた展開となる。1回表、二番・三輪正義の上げた中飛に、中堅手・角中勝也は目測を誤り二塁打にしてしまう。二死二塁とした後、四番・森田丈武は右中間スタンドに突き刺さる8号2ランを放ち、香川OGがまず2点を先制した。
1回裏、伊藤は先頭の二人を抑えた後、三番・古卿大知に四球を与える。四番・山本健士が内野安打で続き、五番・角中は内角低目の球をすくい上げる。打球は右中間スタンドに飛び込む値千金の4号3ランとなり、高知FDが一気に逆転に成功した。
3回表、三番・堂上隼人が左中間を破る二塁打を放つ。堂上は続く森田の打席に三盗に成功し、香川OGが一死三塁のチャンスを迎えた。相原が投げた森田への5球目は暴投となり、捕手・宮本裕司が後逸。これを見た堂上が頭から本塁に突入し、香川OGが相手のミスから同点に追い着いた。
6回表、九番・東山和樹の適時右前安打、一番・近藤智勝の中越え三塁打で香川OGが2点を加え、高知FDを突き放す。
高知FDは7回表から相原に代え岸健太郎を、8回一死三塁のピンチに上里田光正をマウンドに送る。上里田は8回、続く9回も無失点に抑え、味方の最後の攻撃を待った。
2回以降、伊藤の前に2安打に抑えられた高知FDだったが9回裏、一死から山本が左前安打で出塁する。続く角中は四球で歩き、一死一、二塁のチャンスを迎えた。ここで芦沢監督は、松尾晃雅に願いを託しマウンドに送った。しかし松尾は六番・梶田宙をストレートの四球で歩かせ満塁に。続く七番・宮本にもカウント0-3と苦しい投球が続く。宮本は次の4球目を右中間にはじき返し、走者一掃となるサヨナラ三塁打。高知FDが首位香川OGを相手に劇的な勝利を飾った。


『伝わっていた闘志』

8回表、一死三塁。得点は3-5と、2点のビハインドがあった。
藤城和明監督(高知FD)はこのピンチに上里田光正をマウンドに送る。マウンドで直接言葉をかけた。
「3点差にはするな。三塁走者を還したら終わりだ。絶対抑えろ」
そう言ってプレッシャーをかけている。

左の岸健太郎から右の上里田へ。三塁走者に顔での牽制もできる。スクイズの危険性があることも意識させた。マウンドから一旦わざわざ捕手の宮本裕司のところまで行き、再度このことを確認している。しかし、上里田を投入した本当の理由は、この場面で最も信頼のできる投手を使って抑え、残された2イニングにすべてを賭けるためだった。
「2点差までならなんとかなる」
その読みがあった。上里田は期待に応え、8回と9回を見事無失点で切り抜けた。

9回裏、一死から四番・山本健士が左前安打で出塁する。ここですかさず代走に松橋良幸を送った。続く五番・角中勝也が四球で歩いた。一死一、二塁と一打同点のピンチに、芦沢真矢監督(香川OG)はここまで力投を続けた伊藤秀範に代え、松尾晃雅にすべてを託した。しかし六番・梶田宙へ投じた速球は安定しない。ストレートの四球で満塁となったところで、藤城監督はここでも動きを見せた。二塁走者の角中をトモに代えた。
「とにかくできることをすべてやった」
試合後、そう語っている。

七番・宮本裕司は感じ取っていた。
「監督の采配を見ていて〝あぁ、監督諦めてないな〟そう思いました。みんなそうだったと思う」

2点のビハインドがありながら、上里田を使って勝負に出た。走者を入れ替え、逆転に向けて最善の準備を怠らなかった。言葉で「勝負を捨てるな!」と言われるよりも、その采配を見たことで、監督がまったく試合を諦めていないことがひしひしと伝わってきたのだ。三塁コーチャーズボックスからかけられた、森山コーチからの
「勝負だ!」
の一言も、宮本の闘志に火を点けた。カウント0-3から次のサインは〝打て!〟だった。甘いストレートが真ん中に入ってきた。それをはね返すだけの充実した気力があった。

実際、高知FDは土壇場まで追い詰められていた。
この試合の勝ち負けだけではなく、後期優勝を争う戦いにおいても窮地に立たされていたのである。この試合を落とせば香川OGにマジック〝7〟が点灯する。直接対決に勝ってマジックを点灯させることになれば、香川OGにとって大きな追い風になるだろう。その追い風が後期優勝だけでなく、一気に年間優勝を争うチャンピオンシップにまで及びかねない、そんな予感は確かにあった。

9回裏まで伊藤の前に散発4安打と抑え込まれ、流れをつかみあぐねていた。〝万事休すか〟と思われた場面で試合の流れをひっくり返した。その原動力は、藤城監督の絶対に諦めない不屈の闘志と、それを肌で感じ取っていた選手たちが心を一つにした集中力だった。監督の想いは選手たちに確実に伝わっていたのだ。

三塁ベースの辺りでチームメイトから手荒い祝福を受けた宮本が、顔を真っ赤にさせて仲間たちと整列に向かった。

香川OG22勝9敗1分け、残り試合13。
高知FD19勝13敗2分け、残り試合11。
直接対決はあと5試合。ゲーム差3.5。
優勝の行方はまだまだ判らない。

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2006/09/11(Mon)

すっきりとしない夜

徳島IS 1-1 高知FD 2006.9.9. 鳴門総合運動公園野球場
※9回リーグ規定により引き分け

初回、高知FDが鮮やかな速攻を見せる。一番・YAMASHINの放った中前への打球に中堅手グレアム義季サイモンはダイブを試みるが捕れない。もたつく間にYAMASHINは二塁を陥れる。二番・土佐和広がバントで走者を三塁に進め、三番・古卿大知への2球目に徳島IS先発の渡邊隆洋が暴投。効率良く1点を先制した。
3回裏、徳島ISの攻撃は一番・山口寛史が右前安打で出塁した後、二盗を決める。二番・グレアムも左前安打で続き、一死一、三塁のチャンスをつかんだ。二死となり、四番・西村悟の打席に高知FD先発の沢西康明が暴投。失点した場面と同じ様な形で1点を奪い返し、徳島ISが同点に追い着いた。
4回以降、両チームとも走者を出しながらあと一本の出ない展開が続く。7回表には高知FDが二死満塁のチャンスを、7回裏には徳島ISが一死満塁のチャンスを作るが、両先発がよく踏ん張り、スコアボードに〝0〟の表示が灯る。
8回裏、沢西に代わって上里田光正がマウンドへ登る。先頭打者に出塁を許すが、この回をきっちり抑えた。
9回表、小野監督は二死一塁まで力投を見せてきた渡邊に代え、小林憲幸をマウンドへ送る。小林は二番・代打日高大輔に中前打を食らったものの後続を断ち切り、最後の攻撃に望みをつなぐ。しかし9回裏も上里田の前に1点を奪うことができず、リーグ規定により試合は1-1の引き分けに終わった。


『すっきりとしない夜』

試合後のインタビューでマイクを向けられた両先発投手は、共に〝満足がいかない〟という顔を見せていた。
「結果的に1点差。四球が多くて攻撃のリズムを作れなかった」
沢西康明(高知FD)は球に指がうまくかからず苦しい投球を続けていた。
「こういう時は気持ちで投げるしかないと思って」
被安打〝4〟に対し四死球〝8〟と、かなり制球に苦しんだマウンドだった。しかし最低限の仕事はやってのけた。7回裏、一死満塁の場面を投ゴロで抑え切り、ベンチに向かって駆けながら小さなガッツポーズを見せている。

「ボールばっかりで・・・チームが悪い状況で、負けなかったことをプラスに考えたい」
渡邊隆洋(徳島IS)も絶好調とまではいかない投球だった。
「高知にリベンジするチャンスをもらいました。待ってろよ!小山田さん!」
前日の鳴門球場でそう語っている。前回9月4日、蔵本球場での高知FD戦に先発し、敗戦投手となっている。小山田貴雄に右越えの3ランを打たれていた。中4日でもらった逆襲のチャンスに燃えていたのだ。

しかし今回も初回の失点シーンは前回とほぼ同じ形だった。先頭のYAMASHINを出塁させ、三塁に進まれた後での暴投で先制点を奪われた。その後立ち直り、9回までマウンドを守り切ったのは8月に高知FDから3勝を挙げている自信ではないか。6回から山本健士に代わり、四番に座った小山田貴雄を三振、三ゴロときっちり打ち取り、借りを返している。

試合後、両監督の感想は辛らつだった。藤城監督は
「情けないですねぇ。タイムリー欠乏症。一本が出れば(状況は)変わっていましたが・・・」
と、打線の不甲斐なさを悔やんだ。

小野監督においては4安打と揮わなかった打線はもちろん、渡邊の投球にも厳しい言葉を投げている。
「勝負どころを間違えてる。頑張らなきゃいけないところじゃないところでカウントを悪くして四球を出した。だから苦しい投球になったんだ。なんとか抑えられたから良かったけど、あんなの一本出てたら全然違ってたよ」

9回裏、小林憲幸を投入する考えはあった。三番・古卿大知の場面まで待とうと思っていたが、二番・土佐和広が右打者であること、そして二死一塁の場面なら、小林にかかる負担がまだ少ないことを考慮し、マウンドへ向かった。
「ナベにそれを説明したんだよ。あいつの眼を見たらもう一杯一杯だったからね」

結果的にこの作戦が当たり、同点のまま最終回の攻撃に臨むことができている。足で掻き回してくる高知FDに1盗塁しか許さなかったことも狙い通りだった。しかし、勝利するまでには及ばなかった。

後期逆転優勝に向けて、勝っておかなければならない試合を高知FDは落とした。徳島ISも同じだ。勝たなければいけない試合を取ることができなかった。

序盤、鳴門の空は今にも降ってきそうな雨雲に覆われ、実際スタンドにいた観客たちを少しだけ濡らした。マイクのアクシデントで打席に入る選手への紹介も途中まで聞こえなかった。
3時間10分。1-1の引き分けとなった試合は、この空のようにすっきりとしない、誰の胸にももやもやの残った満足のいかない一戦になった。

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2006/09/09(Sat)

たった1点の差

徳島IS 3-4 愛媛MP 2006.9.8. 鳴門総合運動公園野球場

勝 小山内 4勝9敗2S
S 浦川 11勝5敗5S
敗 佐藤 4勝12敗

徳島IS佐藤広樹の立ち上がりを愛媛MP打線が初回から捉えた。先頭の一番・小田島一樹が中前安打で出塁した後、四番・林真輝からの4連打で3点を先制する。
1回裏、愛媛MP先発の小山内大和から先頭の山口寛史が右中間へ二塁打を放ち出塁。四番・西村悟の適時左前安打ですぐさま1点を返した。続く2回裏にも山口の二打席連続となる左中間への2点適時二塁打で同点に追い付いた。
5回表、初回以降立ち直り、好投を見せていた佐藤の足を野手が引っ張る。先頭の九番・広田嘉明が三塁失策で出塁。送りバントで二塁へと進んだ後、二番・吉田臣希の打球を遊撃手が失策し、広田が生還。勝ち越しの1点を奪った。
愛媛MPは継投策に切り替え、7回から木村吉久、宇都宮勝平をマウンドに送る。9回を浦川大輔が3人で締め、1点を守り切った。


『たった1点の差』

最後は明日先発予定の浦川大輔までをマウンドに送り、1点を守り抜いた。
「以前にも何回かやったことがあるんだけど・・・。点差があれば投げさせなかったんだけどね」
沖監督が語った。
「ウチはきちんとバントで送った。向こうは三度失敗している。やるべきことをやらないと、野球は負けるということです」

ポイントとなったのは〝送りバント〟だった。
三度成功させた愛媛MPに対し、徳島ISは3、4、6回と三度失敗している。無死一塁のチャンスが一瞬にして二死走者無しになる拙攻を繰り返してしまった。(6回裏は一塁走者封殺のみ)

簡単なことだ。野球はミスが多い方が負ける。
今季、徳島ISの低迷の原因は打てないことよりも何よりも、ミスの多さにつきる。チャンスを作っておきながらミスによって勝負の流れを掴み損なっている。記録には〝E〟のつかない、しかし勝利する上で大きな足かせとなるミスが続発している。チャンスにバントで送れない。ヒットエンドランが成功しない。走者が飛び出して挟まれる。そんなミスが幾度となく繰り返され、修正されないままでリーグ戦終盤を迎えてしまった。

5回表、愛媛MPは徳島ISの二度の失策から得たチャンスを逃さず、勝ち越しの1点を奪っている。ボールが先行し、決して調子が良いとは言えなかった小山内をなんとか6回まで踏ん張らせた後、その1点を継投で守り切った。7回裏、二死から木村が四球を出したところですぐに宇都宮にスイッチしている。そして9回裏、あえて浦川を使い万全の態勢を取ったことに、沖監督の意地と勝負に対する執念が見える。勝つべき時に勝っておかないと、勝てない。

徳島ISは6回までに五度先頭打者を出しながら、活かせたのは序盤の1、2回のみだった。6回裏には判断ミスで三塁まで進んだ走者を一瞬にして失っている。失策数は愛媛MP〝1〟に対して〝2〟。点差はたった〝1〟である。しかし、勝つために絶対に必要な何かが愛媛MPよりも圧倒的に欠けていた。たった1点という点差以上にもっと大きな差があったような気がしてならない。

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2006/09/08(Fri)

プレッシャー!

〝たかやん〟〝セクシー〟〝トニーちゃん〟
これまで呼ばれてきた歴代ニックネームの変遷である。知ってる人は知っている。
小学校~高校までのツレからは〝たかやん〟と呼ばれる。高校時代の野球部関係のツレからは〝セクシー〟、もしくは〝セク!〟と呼ばれる。社会人になってからのツレからは〝トニーちゃん〟と呼ばれている。どのニックネームも別にこっちからそう呼んでくれ!とお願いした訳ではない。結構自然発生的なものだ。

久し振りに草野球チーム『島さ来』の試合に参加してきた。
朝9時に鳴門市営球場集合だったのだが、9時前に着くと別のチーム同士が戦っている。特に気にせずアップを行っていたのだが、何かやけに視線を感じる。
「あれ、たかやんでぇ!」
「えっ!うわっ!ほんまやっ!」
おう、かつてはそう呼ばれていたともさ。誰だ!おめぇら!

ピンストライプのユニフォームに身を包んだ奴らは、中学時代に野球部で一緒だった奴らで、隣の高校に進んだ連中だった。最後に顔を見てからもう15年以上が経過している。珍しい虫でも見つけたような顔でこっちを見てやがる。奴らの試合が終わってから、ほんの少しの間旧交を温めたのだが、なかには小学生の頃対戦して以来顔を見てなかった奴までいて驚いた。人間ってあんまり変わらんもんやね。

さて、ここからはウチのチームの試合である。
「たかやんが野球してんの観るんや20年振りじゃわ~!」
などとネットの向こうでほざいてやがる。

「たかやん、練習しとん?」
してねぇっつの!
「たかやん、狙ってよ~」
何を、オレに何を狙えと言うのだ?

奴ら注目の初打席は無死一、三塁のチャンスで回ってきた。内角高目の球を右に打ち上げ、軽々と犠飛で打点1を記録した。(はぁーっ、よかったっ!)
「たかやん、この回、回ってくるん?」
あぁ。
「ほな、ほれ観てから帰ろや」
はよ、帰れっつの!

第2打席は四球を選んだ。アップのダッシュなんか全然してないのに、監督から出されたサインはいきなり〝二盗しろ〟だった。嫌だ!また肉離れ※する! ※ 去年の6月やりました。
とは言え、そんな力走しなくても盗めるだろうと高を括ってスタートを切れば、捕手からの送球がこれまた意外に良かった。回り込んでみたのだが判定はアウトである。 追いタッチだったっつーの!
「たかや~ん、スライディングの勘、戻ってないなぁ~(笑)」
そのまま奴ら、笑って帰りやがった。くっ・・・屈辱・・・。

しかし草野球とは言え、人に注目される中でプレーするということがいかに大変でプレッシャーのかかるものなのかがよく解った。ヘンにええカッコしようと思うとダメだな。リラックスできてないと。

まったく、地元にいるといつどこで「たかや~ん」と声を掛けられるかわからん・・・。
実はこの翌日、もっと多くの人たちから視線を受ける中で野球するハメになる。
続きは次回。

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2006/09/05(Tue)

ハーラートップの二人

徳島IS 2-5 高知FD 2006.9.4. 蔵本運動公園野球場

勝 高梨 14勝4敗5S
敗 渡邊 5勝7敗
本塁打 小山田1号3ラン(渡邊)

徳島・蔵本球場での今季最終戦、徳島ISは高知FDを迎えた。
徳島IS先発、渡邊隆洋の立ち上がりに、味方が足を引っ張る。一番・YAMASHINの打ったなんでもない遊ゴロを山口寛史が失策。続く二番・梶田宙に四球を与え、三番・古卿大知がバントで走者を進めた。一死二、三塁としたところで渡邊が暴投、高知FDは無安打で先制点を挙げた。
3回裏、高知FD先発・高梨篤が突如乱れる。九番・吉岡俊輔に四球を与えた後、一番・山口、二番・グレアム義季サイモンに連続安打を食らい、同点に追い着かれた。
4回表、高知FDがすぐさま突き放しにかかる。この回先頭の古卿、四番・山本健士が連続安打で出塁すると、六番・中村竜央は渡邊の抜いた球をうまく捉え、適時中前打で勝ち越し点を奪う。なおも走者を一、三塁に置き、七番・小山田貴雄が右翼スタンドへ今季1号となる3ランを叩き込む。一気に点差を〝4〟に拡げた。
徳島ISは8回裏、三番・松原祐樹の中犠飛で1点を返すが、反撃もここまで。高知FDが5-2で徳島ISを降した。高梨は127球完投勝利でハーラーダービートップに並ぶ14勝目を挙げた。


『ハーラートップの二人』

14勝目を完投勝利で飾った高梨篤がスコアブックを覗き込む。
「ここ・・・ですよねぇ。この四球」
振り返ったのは3回裏、九番・吉岡俊輔に与えた四球だった。

1回2回と無失点に抑え、3回も先頭の八番・岡嵜雄介を三振に切って取った。しかし吉岡に対し、突如コントロールが乱れる。カウントを0-3とした後、カーブでストライクを奪ったが、結局四球で歩かせた。
「気持ちが緩んでしまったっていうか・・・。この四球がいけなかった」
続く山口寛史、グレアム義季サイモンの連続安打で失点した。左翼手から返球されたところで山口が二、三塁間に挟まれタッチアウト。三番・松原祐樹を左翼邪飛に打ち取り、失点は最小の〝1〟に止めている。

8回の失点よりも、9回に先頭の五番・加藤光成に打たれた二塁打よりも、高梨はこの3回裏の四球を悔いた。7本打たれた安打よりも、たった1つ出してしまった四球こそが自分のミスであると。自分の気持ちにすべての原因があるのだと言わんばかりに。

しかし、少し緩みかけた気持ちはすぐに締め直すことができている。4点差をつけた後の4回裏から6回までを三者凡退に抑えた。出した四死球はこの一つだけだ。今日の勝利でハーラーダービートップに並ぶ14勝を挙げた。14勝の内、なんと11勝は徳島ISから挙げたものだ。今年の徳島ISは高梨一人に抑えられていることになる。

そして高梨よりも一足早く、9月2日の愛媛MP戦で14勝目を手にしたのがチームメイト、相原雅也である。二人で28勝を挙げている。高知FDの今季勝利数43勝(前期27勝、後期16勝※)の半分以上を二人で勝ち取ってきた。
※9月4日終了時

最多勝のタイトルは譲れない。
「相原さんには絶対負けられないんで」
相原も同じことを言った。
「僕も高梨に言ってますから。『お前には負けないからな!』って。そういうことを言い合える関係がまたいいんだと思います」

良いライバルが身近にいることで、お互いが切磋琢磨できる。高いレベルで競い合うことで、夢を現実へと手繰り寄せることができる。そうやって今シーズン、5ヶ月間を戦ってきたのだ。あと1ヶ月、残る試合はたった16。二人の闘志にもラストスパートの火が入る。

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2006/09/04(Mon)

振らないと、見てくれない

徳島IS 1-11 香川OG 2006.9.3. 蔵本運動公園野球場

勝 勝沢 3勝3敗
敗 佐藤 4勝11敗
本塁打 近藤智1号満塁(佐藤)、近藤智2号ソロ(米澤)

序盤に奪われたビハインドが最後まで大きく徳島ISに圧し掛かった。
2回表、一番・近藤智勝が徳島IS先発の佐藤広樹から今季1号となる満塁本塁打を左翼スタンドへ放り込んだ。
2回裏、すぐさま反撃を試みた徳島ISは、先頭の五番・西村悟が四球で出塁する。六番・SHOHEIが中前安打で続き走者を溜め、七番・加藤光成の適時右前安打で1点を奪い返した。
香川OGは3回表に八番・井吉信也の中犠飛で1点、4回表には四番・森田丈武の適時左前安打、六番・八木裕章の2点適時左越え二塁打で3点を追加し、差を開いた。7回表には徳島ISの3番手、米澤孝祐から近藤智勝が今日2本目となる2号ソロ本塁打を左中間に叩き込む。8回表にも2点を挙げ、11-1と大きく引き離した。
3回以降、徳島IS打線は沈黙を続ける。先発の勝沢賢一、6回から代わった橋本亮馬が無安打投球を披露し、最終回を伊藤秀範に任せた。伊藤は二番・山口寛史に左翼線二塁打を打たれ無死二、三塁のピンチに立たされるが、後続を抑え逃げ切った。香川OGはこれで8連勝。2位の高知FDに6ゲームの差をつけた。


『振らないと、見てくれない』

試合後、芦沢監督が語った。
「今日は近藤の4点で決まったね。その後すぐに追加点も取れて、相手の気力を奪うことができた」

徳島ISは2回以降、9回に山口寛史の二塁打が出るまで完全に抑え込まれた。投手力もそうだが、大量点で香川OGを勢いに載せたのは、2回表に飛び出した近藤智勝の満塁本塁打だったことは明らかである。

「一死満塁で前の町田が左飛を打ち上げたでしょ。あれを見て〝自分はプレッシャーをかけないようにしよう〟と思いました。とにかく来た球だけを打とうと。それだけに集中しました」
8月21日、鳴門での徳島IS戦を境に、打順が二番から一番へと繰り上がっている。
「やっぱり先頭打者は塁に出るのが仕事ですから。そんなに深く考えてはいないですが、できるだけ積極的に振っていこうと意識はしてます」
佐藤広樹が投げた初球の変化球が、内角からやや真ん中よりに入ってきた。迷わず振りぬいた打球は、うまくバットに乗って左翼スタンドへ飛び込んだ。

7回表のソロ本塁打はまた違った考えがあった。8点のリードがあり、二死の場面である。走者はいない。マウンドに立つのは米澤孝祐だった。
「点差もあったし、真っ直ぐオンリーだと思った。前で捉えて振り遅れないようにすることを意識しました。また、来た球だけをフルスイングしようと」
イメージした通りのストレートが真ん中からやや内角よりに来た。打った瞬間にもう、入ったという確信があった。

「甘い球からどんどん振っていかないと、スカウトも見てくれないと思うんで」
4安打5打点。盗塁も決めた。チームが8連勝と後期優勝に向けてひた走る中で、当然自分のNPBに向けてのアピールもして行かねばならない。ネット裏にはスカウトの姿も見えた。決して大きいのを打つ打者ではないと自分を評価している。しかし近藤にとっては、2本の本塁打以上に大きな仕事と、アピールができた試合だった。

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2006/09/04(Mon)

初めての対戦

徳島IS 4-7 香川OG 2006.9.2. 鳴門総合運動公園野球場

勝 塚本 5勝1敗
S 松尾 9勝1敗4S
敗 角野 4勝11敗

初回、徳島IS・角野雅俊の立ち上がりを香川OGが捕まえる。二番・三輪正義の右翼線二塁打を契機に五番・若林春樹の適時左前安打、六番・八木裕章の走者一掃となる右中間突破適時三塁打などで3点を先制した。
2回裏、徳島ISは香川OG先発の塚本浩二から五番・SHOHEIが左前安打、一番・山口寛史の適時中前安打などで2点を返し、1点差に詰め寄る。
しかし5回表、四番・森田丈武の適時左前打で香川OGが1点を追加する。徳島ISベンチはここで角野を諦めマウンドに益田陽介を送るが、満塁から四球を与え、押し出しで1点を与えた。
7回裏、九番代打・永井豪が中前安打で出塁。香川OGはマウンドを塚本から金城佳太に代えるが、続く山口が左中間を破る適時三塁打を放ち香川OGに追いすがる。金城の投ゴロ失策により2点目を与えた後、マウンドには松尾晃雅が登り後続を抑えた。
9回表、徳島ISは切り札、小林憲幸で勝負に出るがこれが誤算になった。四球で走者を出した後、森田の右飛を右翼手永井が落球して失点。続く若林にも遊内野安打を打たれ、この回2失点。一度もリードを許さなかった香川OGが7-4で徳島ISを降した。


『初めての対戦』

「打席に入る前、なんかいろいろ思い出しちゃって笑っちゃったんですよ。不思議な気分でしたね」
2回裏、ウェイティングサークルで岡嵜雄介(徳島IS)は、そんなことを思いながら自分の打席が回ってくるのを待っていた。まさかこんな日が来るとは思わなかった。それが本音である。マウンドに立っている塚本浩二(香川OG)は、かつて社会人野球ワイテックに所属していた頃の同期である。それだけではなく、二人はとても仲がいい。

神戸大を卒業してワイテックに入社した塚本は、それまでのサイドスローからアンダースローへとフォームを変えた。オーバースローからの変更ほど難しくはないにしろ、それでも最初は投げにくく、バッテリー間への球が3バウンドして届くことも珍しくなかった。その頃、いつも塚本の相手をしてキャッチボールを受けていたのが岡嵜だった。

その後、二人がチームを分かれてからも連絡は取り合っていた。昨冬、塚本が四国アイランドリーグのトライアウトに合格し、香川OG入りが決まった後もアメリカにいた岡嵜から
「そっち、どうなの?」
と、現況を尋ねる電話があった。

その岡嵜も今、同じ四国にいる。対戦する投手と打者として、同じグラウンドにいる。二人は練習でも対戦したことが無かった。

「こいつ、打つ気マンマンやなァ!と思いましたね」
塚本には岡嵜の〝気〟のようなものがビシビシ伝わってきたと言う。
最初の対戦は岡嵜が打った。カウント0-1からの2球目を叩くと、二塁手の左へ強く転がった。二塁手の近藤智勝が捕ったが投げられない。内野安打になった。
4回裏の第2打席は塚本が抑えた。外角へストレートを思い切り投げ込み、見送りの三振に切って取った。
「スライダーが来るかと思ったら、あいつ1球も投げないで真っ直ぐばっか投げやがった!」
第3打席は三塁ゴロ。初めての対戦は岡嵜の3打数1安打に終わった。

「力入りましたね。3の1やから向こうの勝ちかな?と思います。あいつ、セーフティ(バント)とかいろいろチョコチョコやってくるじゃないですか。でも今日はそれは無いなと」
そう言って、塚本が笑った。

「もう無いやろ!」
ミーティングが終わった後、一塁側のダッグアウトから携帯で話す岡嵜の姿があった。相手はもちろん塚本である。もう、いつもの二人に戻っている。

「不思議なもんですよねぇ。一年前はあいつが日本選手権目指してて、オレはプロテストを受けてた。こんな感じで対戦するなんて考えられなかったっスよ」

同じ目標を持ち、歩き続ける二人がお互いの野球人生の中で初めてぶつかった。出会ったあの頃よりも、野球選手として数段レベルアップして。

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2006/09/02(Sat)

流れを変えた一球

愛媛MP 5-3 徳島IS 2006.9.1. 坊っちゃんスタジアム

勝 浦川 10勝5敗4S
敗 小林 1勝2敗10S

愛媛MP先発、近平省吾の立ち上がりを徳島IS打線が捉えた。安打、四球で走者を溜め、五番・松原祐樹の適時右前安打、七番・加藤光成の遊内野安打で2点を先制した。続く2回表にも1点を追加し、リードを3点に拡げる。
3回裏、愛媛MPが反撃を見せる。生出和也から七番・田口大地が左翼線二塁打を放つ。一番・福西太志の遊ゴロ併殺崩れの間に田口が生還し、1点を返した。4回裏、またも田口の適時中前安打、七番・小田島一樹の適時中前打で2点を奪い、同点に追い着いた。
徳島ISは5回から代わった渡邊隆洋が好投し、7回までを被安打0に抑える。愛媛MPも6回一死から木村吉久、7回二死から宇都宮勝平、8回から浦川大輔と継投で繋ぎ、追加点を許さない。
8回裏、徳島ISは小林憲幸をマウンドに送り勝負に出るが、これが誤算となった。この回先頭の二番・李鐘熙の頭部に死球を与え、危険球を投げたとして退場を宣告される。急遽マウンドに登った番場由樹から五番・荒木康一が適時中越え三塁打を放ち、一挙に2点を挙げ勝ち越しに成功した。9回表、三番・SHOHEIが右中間突破の二塁打を放ち一打同点のチャンスを作るが、浦川は後続2人を三振に切って取り、愛媛MPが逃げ切った。


『流れを変えた一球』

「一球で流れが変わる。あれが野球の怖さなんです」
沖監督は8回裏に起こった逆転劇を評して、こう語った。
「しかしそこには、投手たちがなんとかゼロで抑えてここまで来たという結果がある」

5回表、無死一塁。近平省吾が内野ゴロ併殺で切り抜けた。6回表、二死満塁。木村吉久が三振に切って取った。7回表、二死二塁。宇都宮勝平が一飛に打ち取った。そして8回表、一死二塁。浦川大輔が後続二人を抑え切った。毎回の様に迎えるピンチに、それぞれの投手が〝我慢〟を重ねる。徳島ISはあと一本が出ない。

どちらもが掴みあぐねていた勝負の流れは8回裏、意外な形で大きく傾き始める。
右打席に立ったのは二番・李鐘熙である。小林憲幸のストレートは走っていた。スコアボードの急速表示は3球目に140kmを表示した。カウントが1-2になった。小林と同じく、この回からマスクを被った福永泰也は、4球目に外角へのストレートを要求していた。この一球が、ここまで膠着し続けていた勝負の流れを一気に動かしてしまうことになる。

小林の言葉を借りれば「すっぽ抜けてしまった」としか言いようの無い速球が李の頭部めがけて襲い掛かり、衝撃でヘルメットがふっ飛んだ。座り込んだまま動かない李の姿にスタジアムの空気が凍りつく。しばらくして担架が運びこまれた。

満を持して送り込んだ小林を失うという予想だにしてなかった展開に、徳島ISベンチは一度肩を作っていた番場由樹にすべてを託す。
「緊急登板ということで『遠慮せずに投げていいから』と番場に投球練習させました。5分くらいは投げたんじゃないかな」(神谷塁審)
小野監督、神谷塁審がそばで見守る中、投球練習を続けていた番場からOKが出た。プレイ再開がかかる前に小野監督は番場にこう告げている。
「こうなったらもう緊急登板だとかは関係ない。目の前の仕事をきっちりこなせ。一塁に走者がいる。次の打者(三番・長崎準平)は必ず送ってくるはずだ。絶対バントさせるな」
しかし、急激に傾き出した流れを止めることはもう不可能だった。荒木康一の一振りが、番場に籠められた徳島ISの希望を一瞬にして打ち砕いた。

「肩が軽かった。調子が良かった分、少し力んでしまった」
試合後、アイシングしながら小林はあの4球目を振り返った。悔やみきれない一球がこの勝負の分かれ目になった。

試合が終了して数十分が過ぎた頃、病院の診察で〝異常なし〟と診断された李鐘熙がスタジアム入り口に顔を見せた。
「大丈夫です。なんともないです」
何事も無かったかの様に笑う李の顔を見て、スタッフは胸を撫で下ろした。そこにアイシングしたままの小林が走って来た。
「李さん、大丈夫っスか?すいませんでした」
「大丈夫、心配無いって。またどんどん内に投げてきてよ」
李が〝オレは大丈夫だから早く行けって〟と言わんばかりに、笑って小林の背中を押した。

2006.9.1. LEE
李のヘルメットは割れていた

2006.9.1. ONO & BANBA
急遽マウンドに登った番場だったが

PHOTO BY Misato MORI
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