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    Hirofumi TAKATA

    Author:Hirofumi TAKATA
    スポーツライター。
    現在『週刊ベースボール』『Baseball Clinic』『熱中!野球部』『野球太郎』『ホームラン』等の各雑誌、スポーツ紙『デイリースポーツ』などにおいて、独立リーグ、高校野球を中心に取材、執筆活動を続けている。
    4月2日生まれ。A型。

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2008/10/29(Wed)

最後のチャンス

四国・九州アイランドリーグ NPB交流戦 (完全非公開)
2008.10.28. 千葉ロッテマリーンズ二軍 4-3 四国・九州IL代表 <千葉マリンスタジアム>

IL 000 011 010| 3
M 012 010 000| 4

バッテリー
IL 西川徹、野原、酒井、高木、入野、西川雅 ‐ 飯田、梶原
M 手嶌、小林、田村、神田、相原、古谷、松本、中郷 ‐ 宮本、田中雅

四国・九州ILスターティングメンバー
左 YAMASHIN(高知FD)
中 長崎(愛媛MP)
二 檜垣(愛媛MP)
右 西村(福岡RW)
一 真輝(高知FD)
三 大島(愛媛MP)
遊  流 (高知FD)
D 河邊(愛媛MP)
捕 飯田(高知FD)

いよいよドラフト会議をあと2日後に控え、四国・九州IL代表にとっては最後のアピールチャンスを貰ったと言っていい。試合はロッテスカウト陣がバックネット裏から見守る中、完全非公開となった千葉マリンスタジアムにおいて、特別ルール※によって行われた。
四国・九州IL先発・西川徹哉(高知FD)は初回を無失点に抑えたが、2回裏、先頭の五番・神戸に一、二塁間を破られ出塁を許す。六番・新里がヒットエンドランで走者を進めた後、七番・角中が跳びついた一塁手・真輝(高知FD)のミットを弾く適時右前安打を放ち、ロッテが先制点を奪った。
千葉ロッテ先発・手嶌の前に1、2回の攻撃を3人ずつで終えた四国・九州ILは3回表、ロッテの二番手・小林から先頭の七番・流大輔(高知FD)が四球を選び出塁する。流は八番・河邊英也(愛媛MP)の初球に二盗を狙うが失敗。後続も続かずこの回も3人で攻撃を終えた。
3回裏、四国・九州ILの二番手・野原慎二郎(高知FD)がロッテ打線に捕まった。二死としながら一番・早坂に中堅手の頭上を越える三塁打を浴びると、二番・代田に適時右前安打を喰らい追加点を許してしまう。さらに三番・根元俊にも右前安打を浴び、3連打で二死一、三塁とすると、根元俊の二盗の間に代田が三塁からの重盗を成功させ本塁に生還。ロッテが2点を加え、四国・九州ILを突き放した。
反撃の糸口を掴みたい四国・九州ILは5回表、ロッテ四番手・神田から五番・真輝が中前テキサス安打で出塁する。六番・大島慎伍(愛媛MP)は左翼線に適時二塁打を放ち1点を返した。
4回からマウンドに登った四国・九州ILの三番手・酒井大介(長崎S)だったが、5回裏、一死から一番・早坂に三塁前へのバントヒットを許すと、早坂の二盗、二番代田の一ゴロ進塁打で二死三塁のピンチに。三番・根元俊に今日3本目となる中前安打を許し、ロッテが再び差を3点に拡げた。
だが四国・九州ILも再び反撃を試みる。6回表一死、ロッテ五番手・相原から一番・YAMASHIN(高知FD)が左翼手の頭上を越える二塁打を放ち出塁する。相原は二番代打・金丸勝太郎(徳島IS)、三番・檜垣浩太(愛媛MP)に連続四球を与え一死満塁とすると、四番・西村悟(福岡RW)が右翼にライナー性の犠飛を放ち、三塁からYAMASHINが生還。1点を奪い返した。
8回表にもロッテ七番手左腕・松本から二番・金丸が四球、三番・檜垣が死球で出塁し二死一、二塁とした後、四番・西村が中前適時打を放ち1点差に追い上げる。
6回裏からマウンドに登った四国・九州IL四番手・高木大輔(愛媛MP)が2イニングを打者6人で抑えると、8回裏も五番手・入野貴大(愛媛MP)が無失点で凌ぎ、いよいよ最後の攻撃に臨んだ。
しかし9回表、最後の攻撃もロッテ・八番手・中郷の前にチャンスを作ることができず、最後の打者、八番・陽耀華(福岡RW)が空振り三振に終った。
試合は決したが9回裏を行い※、マウンドに登った西川雅人(愛媛MP)が四番・細谷から始まったロッテ打線を抑え込む。細谷を右飛。五番・神戸を143km/hの外角高目へのストレートで空振り三振に。六番・新里を右飛に打ち取り、3人で抑えた。
千葉ロッテが4-3で四国・九州IL代表を下しNPBの貫禄を見せた。BCリーグと戦った2試合と併せ、独立リーグとの練習試合を3連勝で飾っている。
四国・九州IL代表メンバーはこのまま千葉市内に宿泊した後、翌日空路にてそれぞれのチームへ帰還し、30日に行われるドラフト会議での指名を待つことになる。

※ 特別ルールにより試合は9回裏まで続行。千葉ロッテは三番・根元俊と十番・田中雅をDHに加え、打者10人で試合を行った。

※ 四国・九州IL代表メンバー中、選抜されていた國信貴裕(福岡RW)は肩の不調のため帯同せず、代わりに陽耀華(福岡RW)がメンバーに選出されている。


『最後のチャンス』

「いや、でも真輝の言うことはもうまさしくその通りで。こういう最後のチャンス、この一つのチャンスを掴んで行くヤツがおるからね。間違いなく。…最後まで頑張ってくれ!」

フェニックス以来恒例となった試合前の真輝(高知FD)の言葉の途中で、沖泰司監督(愛媛MP)が後ろから一言を添えた。真輝が言った言葉は、
「こういう試合を思い切ってやってこそ、『自分の野球人生よく頑張った!』と言えるんじゃねぇんか? な!」
である。

ドラフト会議3日前に、NPB関係者の前で直接アピールができる。フェニックス・リーグ終了後、状況が二転三転する中で最終的に選ばれた18名が最後のチャンスとも言えるこの試合に臨むことになった。勝ち負けよりも、今持っている力をすべて出す。そういう場である。再び円陣に気合いが入る。
「気合い入れて行くぜ! いつも通り行くぜ! さぁ、この言葉に誓え! 合言葉は!」
「One Love!!!」
最後の「One Love!!!」が、千葉マリンスタジアムに大きくこだましていた。

アピールできた。できなかった。それぞれがこの試合に賭け、出た結果がある。
先発マスクを被った飯田一弥(高知FD)は3度の盗塁補殺を成功させ、西村悟(福岡RW)は一つの犠飛とタイムリーヒットで2打点を記録した。大島慎伍(愛媛MP)がタイムリーツーベースを放ち、YAMASHIN(高知FD)も二塁打に加え、果敢な走塁を披露している。そして当然、思ったような結果を残せなかった選手たちもいる。果たして今日のこの1試合が、明後日のドラフト会議本番で自分の名前を呼んでもらえることに繋がったのか否か。今は知る由も無い。

試合を終えた沖監督が語る。
「良かった者、悪かった者、それはどのゲームでもあるし。気持ちの中では全員がね。いい結果で終ってもらいたかった部分はある。悪かった者も、それはまた一つの努力する要因であると思うし。もちろん一番いいのはお眼鏡にかなってNPBに行くことなんだけども。こういうゲームを、与えられたワンチャンスをものにできる。そのために日々精進してもらいたいし、これで野球から離れる人、残る人もいる。人生と同じ。運、不運は尽きないと思う」

「ダメでした…。余裕持ちすぎましたね。…これでまた、来年頑張ります」
結果を出せなかったピッチャーが、もう来季への情熱を口にしていた。
「野球やってきて良かったなァと思いました。こんないい球場で試合できて…」
千葉マリンスタジアムの美しいグラウンドに感激した若い野手が、最後まで名残惜しそうにベンチの前でクールダウンのストレッチを続けていた。試合中の守備で人工芝にグラブを引っ掛け、左手を傷めた野手が、最後の試合に起きてしまったアンラッキーを嘆いていた。
「でも、もう終ったから大丈夫っス」
そう言って、最後は笑顔でロッカー室へと消えて行った。

YAMASHIN(高知FD)がベンチを去ろうとしていた。照明の柔らかな光りに包まれた夕暮れのグラウンドに目をやりながら、
「気持ちいいです。悔い無し!」
そう力強く言い切った。やれることはやった。今は清々しさだけが残っている。

最終回のマウンドを3人のバッターで終え、自分の役目を果たした西川雅人(愛媛MP)が、荷物を抱えて球場を出ようとしていた。満足の行くピッチングができた。そんないい表情をしていた。やりきった感はある? と聞いてみた。
「はい、初めてです。野球やってて、こんなの…」

香川OGが四国・九州ILの誇りと、独立リーグ日本一の連覇を懸けて、富山で最後のゲームをスタートさせようとしていたその約2時間前、代表メンバー18人は千葉での最後のアピールを終えた。

2008年の戦いが、もうすぐすべて幕を閉じる。
今年のドラフト会議は10月30日、木曜日。午後15時から行われる。


2008.10.28. in Chiba marine stadium
夕暮れの千葉マリンスタジアムで、最後のアピールが続く


PHOTO BY Hiro TAKATA
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2008/10/23(Thu)

2008 フェニックス・リーグ 最終日

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第14戦
2008.10.23. 東北楽天ゴールデンゴールズ 雨天中止 四国・九州IL代表 <清武町総合運動公園野球場>

雨によるグラウンドコンディション不良により、フェニックス・リーグ最終戦・東北楽天戦は10時に雨天中止が決定された。四国・九州IL代表チームはブルペンでストレッチを行った後、10時45分から室内練習場に移動して練習を行った。
ウォーミングアップの後、野手はキャッチボール、フリーバッティング、ノックなどを行い、投手陣はブルペンでのピッチング、ランニングなどで汗を流した。
12時30分に練習は終了。最後は打率.444の成績を残しチームをグラウンド内外で引っ張った真輝(高知FD)の音頭による一本締めで締め、今大会の四国・九州IL代表チームは解散となった。今夕には宮崎を離れ、それぞれの地元へと帰還する予定。

四国・九州IL代表チームは予定された14試合中、雨で流れた2試合を除く12試合を戦い7勝4敗1分けと、出場全14チーム中3位の成績を残した。昨年の12位(3勝8敗1分け)を大きく上回る結果を残している。

2008.10.23. PHOENIX LEAGUE was finished.
最後は真輝(高知FD)による一本締めで


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2008/10/22(Wed)

一番やっちゃいけないこと

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第13戦
2008.10.22. 四国・九州IL代表 0-6 東京ヤクルトスワローズ <サンマリンスタジアム宮崎>
YS 100 050 000| 6
IL 000 000 000| 0

バッテリー
YS 加藤 ‐ 米野、上原
IL 西村拓、酒井、大澤、上里田、キム ‐ 富岡、飯田

四国・九州ILスターティングメンバー
左 YAMASHIN(高知FD)
二  流 (高知FD)
D 西村悟(福岡RW)
一 真輝(高知FD)
三  陽 (福岡RW)
右 中村(福岡RW)
中 大島(愛媛MP)
捕 富岡(福岡RW)
遊 金城(徳島IS)

昨日は巨人を相手に12安打を放っての逆転勝ちで4連勝。フェニックス・リーグ7勝目を挙げた。第13戦の相手は第4戦で勝利した東京ヤクルトスワローズである。
四国・九州ILの先発は、これがフェニックス・リーグ初のマウンドとなる西村拓也(福岡RW)である。公式戦から立ち上がりの投球に難がある。今日も苦しい立ち上がりとなった。
1回表、一番・三輪のセーフティーバントを三塁手・陽耀華(福岡RW)が素早く拾い上げ、一塁へ送るが間に合わない。二番・川端も右前安打で続くと三番・武内を四球で歩かせ無死満塁となった。四番・志田にも押し出しの四球を与え、東京ヤクルトが先制のホームを踏む。二死満塁となった後、六番・梶本は二塁手の頭上へ鋭い打球を放つが、二塁手・流大輔(高知FD)がジャンプして好捕した後、二塁に送り併殺。四国・九州ILは最小失点でこの回の攻撃を切り抜けた。
東京ヤクルトの先発マウンドには昨年の大・社ドラフト1位・加藤が登る。
1回裏に四球で出塁した一番・YAMASHINが二盗に失敗。2回裏には五番・陽が右前安打で出塁するが、六番・中村真崇(福岡RW)の二ゴロで併殺に倒れる。3回裏には中前安打を放った八番・富岡拓也(福岡RW)が九番・金城直仁(徳島IS)の遊ゴロにより二塁封殺。金城も二盗を失敗するなど、四国・九州ILは走者を出しながらも二塁に進めることができない。
2回以降徐々にペースを取り戻し、3三振で3回表のマウンドを終えた西村拓だったが、4回表、再び東京ヤクルト打線に捕まる。一死から八番・米野、九番・上田、一番・三輪に3連打を浴び再び満塁に。二死満塁とした後、三番・武内は右前に適時安打を放ち2点を追加した。四番・志田の三遊間への当たりを遊撃手・金城が止めるが、一塁への送球は間に合わず、この間に三塁から三輪が生還し3点目を挙げる。このプレーの際、金城が右足を痛め、國信貴裕(福岡RW)に途中交代した。西村拓は五番・衣川に今日5個目の四球を与え、またも満塁のピンチに陥る。六番・根本が三遊間を破る左前安打で2者が生還。東京ヤクルトが5点を挙げ、大量6点のリードを築いた。
四国・九州ILは5回から酒井大介(長崎S)、7回を大澤亮(福岡RW)、8回を上里田光正(高知FD)、9回をキム・ムヨンがそれぞれマウンドに登り、追加点を許さない。
好投を続ける加藤の前に、四国・九州ILは4回以降、9回裏二死まで1人の走者も出すことができないまま、遂に27人目の打者、九番代打・飯田一弥(高知FD)を迎える。飯田は3球目を中前に運び出塁したが、一番・YAMASHINが三邪飛に倒れ、最終回の攻撃も無得点のまま終えた。
東京ヤクルトが四国・九州ILを6-0で下し、加藤は四国・九州IL打線を散発3安打に抑える見事な投球で完封勝利を挙げた。
四国・九州ILはフェニックス・リーグでの対戦成績を7勝4敗1分け(勝率.636)として、今大会3位が確定している。


『一番やっちゃいけないこと』

「お前もう、走って帰れ!」
西村拓也(福岡RW)に掛けられた森山監督の言葉は冗談ではなかった。球場から宿舎までの距離が思っていた以上に遠いことが判り、バスで帰ることを許されたが、今日出してしまった四球と押し出し四球分のペナルティを含めたランニングを命じられている。

4回を投げ5失点と、西村拓にとっては屈辱的なマウンドになった。レギュラーシーズン中から課題にしていた悪い部分がここでも現れてしまった。
「腕が振れんかった。普段から立ち上がりが悪くて…。3回(三、四、六番打者に対し三振と、四番に四球)は腕振って行こうと思って投げたら良かったんですけど。打たれたのはストライクを取りに行こうとした球です。甘いボールは打たれます。実戦から遠のいてたっていうのもあるんですけど。まだ全然いけん…」
思わず視線を落とした。

「立ち直るかな? と思ったんですよ。良くなかったから、3回で交代させて4回から酒井(大介・長崎S)で行こうと思ってました。3回のピッチングが良かったんでね。そのまま行かせたんですけど。シーズン中も先発して、序盤悪くてそこから立ち直って6回7回まで行けるってことが結構あったんですよ。それがいけなかった」
森山監督にとって、自分のチームのピッチャーである西村拓の持ち味は当然解っている。他のチームのピッチャーであったなら、おそらく交代させていただろう。知っていたことが裏目に出た。

4回裏、先頭の七番・牧谷をサードゴロで打ち取った後、八番・米野が初球をセンター前に運ぶ。九番・上田の打球は三遊間に飛んだゴロとなり、ショートの金城直仁(徳島IS)がよく追い着いたが一塁へ投げられない。一番・三輪も初球をライナーでセンター前へ運び、イケイケの展開になり始めた。二番・川端を3球ともすべて変化球で空振りにし三振に取った後。ここが大きなポイントとなった。得点は1対0でヤクルトがリード。二死満塁。バッターは三番・武内の場面である。

左バッターの武内に対し、外角へ108キロの変化球を投げストライクを取った。森山監督は武内が変化球をあっさりと見逃したのを見て、「真っ直ぐを待ってるのかな?」と思っていた。キャッチャーの富岡拓也(福岡RW)は2球目にボール球を要求している。だが、次の球がコントロールミスとなり、甘いコースに入って来たストレートをライト前へ弾き返された。ランナー二人が一気にホームへ還って来た。森山監督が言う。
「そういうところがまだ気付いてないんです。その後の中村(右翼手中村真崇・福岡RW)だって、カットまでちゃんと返せてない。やれることをきっちりやらないとこうなる」
そこに判断力と技術の差があった。

先発ピッチャーが試合を作ることができなかっただけでなく、打線も序盤につかみかけた流れをつかむことができず、試合を持って行かれてしまった。9回まで放ったヒットは五番・陽耀華(福岡RW)のライト前ヒットと、八番・富岡のセンター前ヒット、この2本のみである。なんと9回裏ツーアウトまで打席に立ったバッターは合計26人しかいない。たった27人のバッターで最終回の攻撃が終ろうとしていることにベンチは気付いていた。だから九番代打・飯田一弥(高知FD)の打球がセンター前へ抜けた時、静まり返っていた一塁側ベンチは大きな歓声に包まれていた。

実は今日の試合に入る前、良くない兆候があった。
宿舎を出発する前、車の鍵が見つからずに首脳陣の出発が遅れた。鍵は後から見つかり事なきを得たのだが、それよりもまずかったのは、選手2名が出発時間に揃わなかったことだった。練習前に開かれたミーティングで深谷コーチの逆鱗に触れている。
「朝からバタバタがあって、なんかヤな感じしてたんです。言ったら本当になると思って言わなかったんだけど…」
森山監督も微妙なチームの変化を気にしていた。

「今日はもう、それがすべてでしょう。夕方までその流れで行っちゃった。試合に入れないまま夕方になっちゃった感じ。せっかくいい流れで来てて、一番やっちゃいけないことなんですけどね…」
ある選手がそう言っていた。

大会も終盤を迎え、長く帯同しているメンバーの疲労はとっくにピークに達している。体調の良くない選手もいない訳ではない。しかし、それは今大会に参加しているNPBチームも同じであり、まして他のチームは試合終了後、さらに夜間にも練習を行っている。疲労は言い訳にできないし、それはそのまま体力の差ということになる。それも乗り越えなければならない壁の一つなのだ。

あと2試合を残したところでチームにほころびが見えてしまった。明日の天気予報が悪く、このまま今大会が終了してしまう可能性もある。
「明日、勝って帰ります」
今にも振って来そうな空の下で、森山監督が力強く言った。

試合終了後、森山監督、深谷コーチ、稲嶺コーチがバッティングピッチャーを務め、國信貴裕(福岡RW)、西村悟(福岡RW)、関口大志(福岡RW)、小松崎大地(徳島IS)、流大輔(高知FD)の5人が特打を行った。

まだ特打は続いていて、時計の針が午後4時を回ろうとしていた頃、大粒の雨がグラウンドに落ちて来た。



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2008/10/21(Tue)

富岡拓也と飯田一弥

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第12戦
2008.10.21. 読売ジャイアンツ 6-7 四国・九州IL代表 <清武町総合運動公園野球場>
IL 100 000 060| 7
YG 000 230 010| 6

バッテリー
IL 渡邊、中江、大澤、上里田、西川 ‐ 富岡、飯田
YG 木村正、西村勇、林、深田 ‐ 星、伊集院

四国・九州ILスターティングメンバー
左 YAMASHIN(高知FD)
遊 國信(福岡RW)
右 西村(福岡RW)
D 真輝(高知FD)
一 小松崎(徳島IS)
二 檜垣(愛媛MP)
三  陽 (福岡RW)
捕 富岡(福岡RW)
中 関口(福岡RW)

フェニックス・リーグ最後の3試合、第4クールがスタートした。ここまで6勝を挙げ3位と、四国・九州ILは大善戦と言って十分な活躍を見せている。森山良二監督率いる第4クールの代表チームが宮崎でどんな戦いを見せるのか。選手たちからは「ここまで来たなら優勝して帰ろうぜ!」という声も聞こえ始めている。
1回表、巨人先発の木村正が二番・國信貴裕(福岡RW)に死球を与える。二死一塁として帰って来た四番・真輝はフルカウントからの6球目を右翼線に運ぶ二塁打。國信が一塁から一気に本塁生還に成功し、四国・九州ILが1点を先制した。
四国・九州IL先発の渡邊隆洋(徳島IS)は二番・藤村に三遊間を抜かれる左前安打で出塁を許すと、続く三番・隠善に四球を与え一死一、二塁とする。四番・中井が左前安打を放ち二塁走者・藤村が三塁を回る。左翼手・YAMASHINからの本塁送球は捕手・富岡のミットへノーバウンドで送られ、巨人の同点を見事に阻止して見せた。
2回、3回を無失点で抑え、本来の投球を取り戻した渡邊だったが4回裏、先頭の四番・中井を四球で歩かせる。五番・田中は初球を右前へ運ぶと中井が一気に三塁を陥れる。一死二、三塁として七番・岩館は右中間を破る2点適時二塁打を放ち、巨人が逆転に成功した。
すぐに取り返したい四国・九州ILは5回表、4回からマウンドに登った巨人二番手・西村勇から先頭の八番・富岡が初球を中前へ運ぶ。中堅手・松本がこれを後逸し、無死二塁のチャンスをつかんだが、後続が繋がらず得点を奪うことができない。
5回裏、巨人は二死から三番・隠善が左前安打を放ち出塁する。四番・中井が四球で歩いた後、五番・田中は左中間に2打席連続となる適時二塁打を放ち2点を奪った。六番・円谷も左中間を破る適時二塁打で続き田中が生還。点差を4点に開き、四国・九州ILを突き放した。
6回裏から四国・九州ILは渡邊に代わり中江信(福岡RW)がマウンドに登る。一死から九番・籾山に中前テキサス安打を許したが、捕手・富岡の好送球で二盗を許さず、巨人は打者3人で攻撃を終える。
6回からマウンドに登った巨人の三番手・林羿豪から7回表、右前安打で出塁した六番・檜垣浩太(愛媛MP)が三塁に進み二死三塁のチャンスをつかむ。九番・関口大志(福岡RW)の打球は左直となり点差を縮めることができない。
7回裏、四国・九州IL三番手・大澤亮は二死から五番・中井に右前テキサス安打、五番・田中に遊失策と二死一、二塁のピンチに陥る。だが、六番・円谷をスライダーで三振に切って取り、このピンチを凌ぎ切った。
8回表、巨人は四番手左腕・深田をマウンドに送る。先頭の一番代打・梶田宙(高知FD)が死球で歩くと、二番代打・中村真崇(福岡RW)の打った投直が内野安打となり無死一、二塁に。三番・西村悟(福岡RW)は2球目を中前に運び、二塁から梶田が生還。四番・真輝も右前安打で続き、無死満塁とチャンスを拡げる。五番・小松崎大地(徳島IS)は右前に落ちる適時安打を放ち國信が生還。点差を2点に縮める。一死満塁として七番・陽耀華(福岡RW)は右中間を深々と破る走者一掃の適時三塁打を放ち、四国・九州ILが逆転に成功した。八番代打・飯田一弥(高知FD)は中犠飛を上げ、三塁から陽が生還。一気に6点を奪って深田を攻略した。
8回裏、四国・九州ILは上里田光正(高知FD)をマウンドに送る。先頭の七番・岩館に三遊間を破られ出塁を許すと、一塁への牽制球が悪送球となり無死二塁のピンチに。八番・伊集院の打った投直が内野安打となり無死一、三塁となる。左上腕部に打球を受けた上里田だったが、そのまま投球を続けた。九番・籾山の打った三ゴロの間に三塁から岩舘が生還。三塁手・陽から二塁へ送られた送球が高く、さらに無死一、二塁とピンチが続く。しかし上里田は一番・松本を三飛、二番・藤村も投ゴロ併殺打に打ち取り1点を守り切った。
9回裏のマウンドに登った四国・九州ILのクローザー・西川雅人(愛媛MP)は三番・隠善をフォークで三振に切って獲ると、四番・中井を右飛、五番・田中も遊ゴロに封じ込み、巨人打線の反撃を完璧に抑え込んだ。
四国・九州ILが7-6と、4点のビハインドをはね返す見事な逆転勝ちで巨人を下した。フェニックス・リーグ初の4連勝を達成し、成績を7勝3敗1分け(勝率0.700)としている。この結果、首位のサーパス(7勝2敗1分け、勝率.778)、2位・阪神(9勝3敗、勝率.750)に続く3位をキープしている。


『富岡拓也と飯田一弥』

スタメンマスクを被った富岡拓也(福岡RW)は、第4クールからのフェニックス・リーグ出場である。NPBとの交流戦に出場した経験はあるが、代表チームでの出場はこれが初めてとなる。先発の渡邊隆洋(徳島IS)とのバッテリーももちろん初めてだ。
「試合始まるまでは凄い緊張しました。どうやって配球しようか? 3回くらいまではドキドキが止まらなかった」

キャッチャーとして大きな見せ場がいきなり初回にやって来る。
一死一、二塁から四番・中井の打球は、レフトへ飛ぶ鋭い当たりだった。セカンドランナーの藤村は迷うことなく三塁を蹴った。レフトのYAMASHINがワンバウンドで捕球し、バックホームの体勢に入った。
「打球を見て、『(YAMASHINからの送球が)ワンバンやったらセーフかもな…』と思いました。ちょうどランナーの動きも視界に入ってて、ノーバウンドでいいボールが帰って来たんで、自分がしっかりブロックすればいいと思いました」
藤村の本塁生還を止めた。こちらが先制した後に得点されてしまう嫌な流れを断ち切ったことは、立ち上がりのペースをつかむ上で重要なポイントだった。

5回表の先頭バッターとして打席に入り、初球をセンター前へ運ぶ。一塁を回った直後、センターが打球を後逸したのを見て二塁へと進んだ。この頃には試合前の緊張も、序盤のドキドキも、もうかなり薄れている。だが、キャッチャーとしてもう一つ、大きく気になっていることがあった。いつ走って来るのか? 盗塁阻止にかなりの注意を注いでいたが、4回まで巨人のランナーは一向にスタートを切って来ない。

「ソフトバンクの(交流戦の)イメージで、『NPBは塁に出たら走って来る』っていうのがありました。ずっと意識してました。一つ目を刺すのって、大事だと思う」
5回裏、出塁した二番・藤村が、三番・隠善への2球目にスタートを切った。渡邊が投げたのは外へ逃げる変化球である。ショート・國信貴裕(福岡RW)の待つ二塁へ素早く送球し、藤村の二盗を阻止している。6回裏にも九番・籾山の二盗を見事に補殺して見せた。
「1つ目は変化球だったんですけど、2つ目は真っ直ぐだったし、ランナーも見えて余裕ありました」

「あのキャッチャーいいねぇ」
試合後、吉村監督(巨人二軍)は森山監督にそう伝えたそうだ。それを聞いた富岡が表情を崩していた。

8回裏からマスクを被ったのは飯田一弥(高知FD)である。
7回裏、代打で打席に立ち、センターへの犠牲フライを放っている。試合終了後、ナイスバッティング! と声を掛けると、振り返りながら、
「決勝点!(笑)」
と、ガッツポーズを見せた。

この代表チームでバッテリーを組むことの多いクローザー・西川雅人(愛媛MP)とも、徐々にうまく意思疎通が図れるようになってきた。
「今日は良かったですね。球筋とか、大分解って来ました」
と、自信の表情を見せる。

3日前の湘南戦、3-2と1点リードの場面で、このバッテリーは二死一、三塁のピンチを凌いでいる。この日の試合後、沖監督(愛媛MP・第3クールを指揮)が言っていた。
「フォークボールを使えばもっと簡単に抑えられたんでしょうけど、捕手との兼ね合いもある。信頼関係と言うか、相性も考えてカジ(梶原有司・愛媛MP)を出そうか? とも思ったんだけれども、あそこで飯田が止めるのも彼の成長だし…」
あの日、フォークボールは最後まで使わなかった。

1点を守らなければならない場面は今日の試合にもあった。
9回裏、得点は7-6と1点差である。巨人の打順はクリーンナップから始まる。先頭の三番・隠善に対し、西川がカウント2-1から投げたのはフォークボールだった。空振り三振に獲り、まず一人目を料理することに成功した。ファールで粘る四番・中井をライトライナーに、五番・田中はショートゴロに打ち取り、三者凡退で最終回を締め括っている。クローザーの責任は完璧に果たした。
「今日はフォーク投げました。三振獲った後の中井にも2-2からはフォークでした」
飯田への信頼感の証である。

富岡と飯田、二人のキャッチャーで第4クールの頭を獲った。
あと2試合。


2008.10.21. warm up
小磯トレーナー(福岡RW)による、試合前のウォーミングアップ


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2008/10/20(Mon)

2008 フェニックス・リーグ 14日目

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 14日目
2008.10.20. 練習日

第3クール終了と共に、第4クール・3試合に向けてのメンバー入れ替えが行われた。沖監督を始め、チームを離れるメンバー13名は11時に宿舎を出発し帰路に着いた。

また、第4クールのメンバーが発表されており、監督、コーチ共に福岡RWの首脳陣が代表チームの指揮を執ることになった。第4クールに召集されたメンバー24名の内、10名は福岡RWの選手から構成されており、内4名が今大会初召集である。

第4クール出場メンバーは下記の通り(☆は今大回初召集。★は再召集)

<監督> ☆森山良二(福岡RW)
<コーチ> ★深谷亮二(福岡RW)、★稲嶺誉(福岡RW)
<投手> 西川雅人(愛媛MP)、渡邊隆洋(徳島IS)、★上里田光正(高知FD)、★野原慎二郎(高知FD)、★大澤亮(福岡RW)、★キム・ムヨン(福岡RW)、中江信(福岡RW)、☆西村拓也(福岡RW)、酒井大介(長崎S)以上9名
<捕手> 飯田一弥(高知FD)、☆富岡拓也(福岡RW)以上2名
<内野手> 大島慎伍(愛媛MP)、檜垣浩太(愛媛MP)、★YAMASHIN(高知FD)、流大輔(高知FD)、國信貴裕(福岡RW)、☆中村真崇(福岡RW)、金城直仁(徳島IS)以上7名
<外野手> 梶田宙(高知FD)、★真輝(高知FD)、陽耀華(福岡RW)、西村悟(福岡RW)、☆関口大志(福岡RW)、小松崎大地(徳島IS)以上6名。選手計24名。



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2008/10/19(Sun)

最初の試合と最後の試合

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第11戦
2008.10.19. 四国・九州IL代表 3-4 千葉ロッテマリーンズ <天福球場>
M 100 000 000| 1
IL 100 200 10×| 4

バッテリー
M 小林、黒滝、相原、松本 ‐ 宮本、金澤
IL 酒井、篠原、入野 ‐ 梶原、飯田

四国・九州ILスターティングメンバー
遊 國信(福岡RW)
中 長崎(愛媛MP)
三 檜垣(愛媛MP)
右 西村(福岡RW)
一  陽 (福岡RW)
左 金丸(徳島IS)
D 大津(愛媛MP)
捕 飯田(高知FD)
二 金城(徳島IS)

第3クール最後の相手は、3日前に対戦し完敗を喫した千葉ロッテマリーンズである。3連勝して第3クールを締め括りたい。沖監督はこの試合が初スタメンとなる大津慎太郎(愛媛MP)をDHに、陽耀華(福岡RW)を今大会初めて一塁手として先発起用した。
四国・九州ILの先発はフェニックス・リーグ4度目のマウンドが初の先発登板となる酒井大介(長崎S)である。ロッテは1回表、酒井から一番・田中雅が中前打で出塁した後、二盗を成功させチャンスを拡げる。二番・白川の送りバントを酒井がつかみ損ね、無死一、三塁とすると、三番・角中の左犠飛で1点を先制した。
ロッテ先発の小林(徳島IS→千葉ロッテ)は制球が定まらない。1回裏、一番・國信貴裕(福岡RW)をストレートの四球で歩かせると、三番・檜垣浩太(愛媛MP)にも四球を与え一死一、三塁となった。二死一、三塁となった後、五番・陽はバットを折りながらの適時安打を右前に放ち、四国・九州ILがすぐさま同点に追い着いた。
2回以降立ち直った酒井は、二塁を踏ませない投球でロッテに得点のチャンスを与えない。
小林に代わり3回からマウンドに登った千葉ロッテの二番手・黒滝は3回裏を無失点で切り抜けたが、4回裏に四国・九州IL打線に捕まった。一死から六番・金丸勝太郎(徳島IS)が四球を選ぶと、七番・大津が中前打で繋ぐ。八番・梶原有司(愛媛MP)の打球は中堅手の前に落ちるテキサス安打となり二塁から金丸が生還。勝ち越しに成功する。さらに九番・金城直仁(徳島IS)の遊内野安打で一死満塁とした後、一番・國信の打った捕手前へのゴロを捕手・宮本が一塁へ送球する間に三塁から大津が還り2点を奪った。
5回を1失点で終えた酒井に代わり、6回表のマウンドには篠原慎平(愛媛MP)が登る。篠原は6回を三者凡退で終えると、7回表二死一、二塁のピンチにもロッテに得点を与えることなく無失点で切り抜けた。
5回裏からマウンドに登った千葉ロッテの三番手・相原は、5回、6回と三者凡退で終える見事な投球を披露する。だが7回裏、再び四国・九州IL打線に火が点いた。二死から二番代打・大島慎伍(愛媛MP)が一、二塁間を破る右前安打で出塁すると、三番・檜垣も死球で歩く。四番・西村悟が中前にテキサス安打を放つと二塁から大島が還り、点差を3点に拡げた。
8回表からマウンドに登った三番手・入野貴大(愛媛MP)が2イニングを無失点に抑える。最後の打者、八番・定岡を三ゴロ併殺打に切って獲り、四国・九州ILが千葉ロッテマリーンズを4-1で下した。
四国・九州ILはこれで3連勝を達成。フェニックス・リーグでの通算成績を6勝3敗1分けとしている。


『最初の試合と最後の試合』

試合開始までにはまだ1時間以上あった。
記者室を兼ねている本部席の入り口から中を覗き込み、声を掛けてきたのは小林憲幸(徳島IS→千葉ロッテ育成)だった。しばらく世間話をしていたのだが、「今日の先発、誰?」
と聞くと、
「オレです」
と答え、驚いた。幾分、登板への緊張があったのかもしれない。

「アイランドリーグ、めっちゃ勝ってるじゃないっスか! ハングリー集団ですからねぇ…」
「どう? ノリ、1年前自分がいたチームと対戦する気持ちって。いろいろ思うでしょ?」と聞いてみた。
「そりゃいろいろ思いますよぉ…」
そうしゃべりかけたところでコーチに呼ばれてしまい、肝心のところが聞けなかった。

グラウンドでは千葉ロッテのバッティング練習が終わり、両チームがそこら中に転がっているボールを集めていた。プロテクターとレガースを付けた宮本裕司(高知FD→千葉ロッテ育成)もその中にいた。向こうから握手に駆け寄ってくれた「ヒロシ」に、小林と同じ質問を投げ掛けてみる。
「やっぱ、みんな元気ありますよねぇ。僕らが元気ないのかもしれないけど…」

1年前、この舞台で37打数14安打、打率.378をマークし、NPB関係者に果敢にアピールして見せた。あの頃、宿舎で行ったインタビューで、
「ラストチャンスのつもりです。やれるだけやって。これだけ結果残して選ばれんかったら…」
と、胸に一つの覚悟があることを口にしていた。

あれから1年が過ぎた。
NPBのユニフォームを着て、かつての自分を相手に立ち向かう。

ロッテのバッテリーは小林と宮本、二番ショート・白川大輔(高知FD→千葉ロッテ育成)、三番レフト・角中勝也(高知FD→千葉ロッテ)と、先発10人中4人が四国・九州リーグの卒業生である(ちなみに主審も四国リーグ時代、高知担当として腕を磨き、セ・リーグ審判員となった市川貴之氏である)。彼らはアイランドリーグで成長し、上の世界の扉をこじ開けて行った。フェニックス・リーグというたった17日間という短い間でも、大きな成長を遂げようとしている投手がいる。

入野貴大(愛媛MP)は第1クールにおいて、2試合に登板している。痛かったのは第1戦・東北楽天戦だった。5-0と大量リードのあった7回裏からマウンドに登り、8回裏に5失点を喫して同点に追い着かれた。2イニング51球を投げ、被安打7。四球1。連打とフォアボールで傷を拡げ、ビッグイニングを作ってしまった。第3戦・巨人戦では1イニングを無失点に抑えたが、ヒット1本、フォアボール1つを許しており、危なげないピッチングだとは言えなかった。

第3クールから代表チームに再び合流している。
「もう大丈夫です! 切り替えました!」
と、明るい表情を見せていた。

10月16日の千葉ロッテ戦、17日の埼玉西武戦でもそれぞれ1イニングずつを投げ、共に三者凡退で終えている。マウンドには第1クールの頃にあった不安の入り混じった表情はなく、淡々と自分の仕事を全うしようとする姿があった。

7回を終え得点は4-1と、四国・九州リーグが3点をリードしていた。
8回表のマウンドに登ったのは入野である。三番・角中から始まるクリーンナップを三者凡退に打ち取った。9回裏にヒットを1本許したが、次のバッターをサードゴロ併殺打に打ち取り、打者3人でこの試合を締め括った。マウンドに集まって来た野手たちとハイタッチが行われる。その真ん中に立っている姿があった。
「一番変わったのは…意識ですかね。第1クールは「抑えよう。抑えよう」ばっかりだったんですけど。打たれても気にしないっていうか、自分をアピールする場所だと思って切り替えました。いいアピールができたと思ってます」

NPBとの真剣勝負の中で失敗を糧にできた。そんな小さな成長の一つ一つが積み重なり、やがて重い扉を開く力になる。そうやって小林も宮本も扉を開いたのだ。フェニックス・リーグで経験した5試合のマウンド、その最初の試合と最後の試合の違いを一番知っているのは、他ならぬ入野自身ではないだろうか。



2008.10.19. after the game.
千葉ロッテにはアイランドリーグを卒業して行った懐かしい顔も


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2008/10/18(Sat)

「監督! やりました!」

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第10戦
2008.10.18. 湘南シーレックス 3-4 四国・九州IL代表 <西都原運動公園野球場>

IL 100 020 000| 3
S 000 001 100| 2

本塁打
IL 流1号2ラン(5回桑原)
S 武山ソロ(7回中江)

バッテリー
IL 西川徹、中江、渡邊、西川雅 ‐ 飯田
S 桑原、高宮、牛田 ‐ 武山

四国・九州ILスターティングメンバー
遊 國信(福岡RW)
中 長崎(愛媛MP)
三 檜垣(愛媛MP)
左 大島(愛媛MP)
右 西村(福岡RW)
一 小松崎(徳島IS)
D 金丸(徳島IS)
捕 飯田(高知FD)
二  流 (高知FD)

第7戦に対戦する予定が雨で流れ、今大会において湘南とぶつかる試合はこの1試合のみとなった。一時は天候が心配されたが、朝から見事に晴れ渡った空の下、プレーボールの声が掛かった。
1回表、二死から四国・九州ILのクリーンナップが連打を放つ。湘南先発・桑原から三番・檜垣浩太(愛媛MP)が中前打で出塁すると、四番・大島慎伍(愛媛MP)も中前に落ちるテキサス安打で続く。五番・西村悟(福岡RW)は初球を左前に運び、二塁から檜垣が生還。先制点を挙げた。
四国・九州ILの先発はこれがフェニックス・リーグ4度目の登板となる西川徹哉(高知FD)である。
10月8日の北海道日本ハム戦に続く2度目の先発マウンドになる。湘南打線に毎回安打を許しながらも、要所を締める投球で4回を無失点で切り抜けた。
5回表、一死から八番・飯田一弥(高知FD)が左翼線への二塁打で出塁し、四国・九州ILが得点圏に走者を進める。九番・流大輔は7球目のスライダーをフルスイングすると、右翼スタンドに飛び込む2ランとなりさらに2点を追加。3対0とした。
5回裏に四球と遊失策で無死一、二塁のピンチを迎えた西川徹だったが、このピンチも無失点で乗り切り後続にマウンドを譲った。
6回裏、四国・九州ILの二番手・中江信(福岡RW)は2つの四球で二死一、三塁とする。五番・呉本は右前へ適時安打となるテキサス安打を放ち、湘南が1点を還した。7回裏にも先頭の八番・武山がバックスクリーン直撃のソロ本塁打を叩き込み、1点差に詰め寄った。
四国・九州ILは8回裏を左腕・渡邊隆洋が抑えると、9回裏のマウンドには3試合連続で西川雅人(愛媛MP)が登る。西川雅は先頭の六番・桑原を四球で歩かせた後、二死一、三塁と一打サヨナラのピンチを迎えたが、一番・石川の一直を一塁手・小松崎がガッチリと捕球し試合終了。四国・九州ILが1点のリードを守り切り、3-2で湘南を下した。
四国・九州ILは連勝でフェニックス・リーグでの成績を5勝3敗1分けとし、順位を再び10月12日以来の3位へと浮上させている。


『「監督! やりました!」』

サブグラウンドでのウォーミングアップ中、山崎章弘コーチ(高知FD)から今日のスターティングメンバーが選手たちに伝えられていた。
「三番・サード檜垣! 四番・セカンド流!」
山崎コーチが「冗談や冗談や!」と笑ってごまかす。まだ19歳と若く、チームメイトの中では人一倍小さく見える流大輔(高知FD)が、先輩たちから冷やかされていた。

だがこの時、本当に四番の仕事をやってのけてしまうとは、誰も予想していなかったに違いない。勝負を決める勝ち越しの2ランホームランは、高校時代から数えてもただの一度もスタンドインなどしたことがないという、俊足が売りの左バッターのバットから生まれた。

第3クールから代表チームに合流し、最初の千葉ロッテ戦に九番・セカンドとしてスタメン出場している。初ヒットは昨日の埼玉西武戦だ。代打で打席に立った6回裏、初球を思い切り振り抜き、右中間を破る2点タイムリースリーベースヒットを放っている。
「選抜チームに選ばれたこと自体初めてだったんで。緊張しましたけど、2日目になって大分楽になりました」
試合後、そんなことを語っていた。

四国・九州IL1点リードで迎えた5回表、ワンアウトの後、八番・飯田一弥がレフト戦を鋭く抜くツーベースヒットを放ち塁に出た。九番・流は1球目をセーフティーバント気味に三塁線に転がしたが、これはファールラインを割ってしまった。2球ボールが続き、4球目が足元へのファールになる。5球目に内角低目のストレートが来た。三塁側ベンチ方向に鋭く飛んで行くファールボールになった。ここでスイッチが入る。
「左方向に打とうと思って三遊間を狙ってました。足を活かそうと。三遊間はがら空きだったんで。インローのストレートをファールにして、あれでボールが見えたんですよ!」
6球目がボールとなり、カウントはフルカウントになった。7球目、真ん中やや高目のスライダーが甘いコースに来た。振り抜いた打球は高々と舞い上がり、ライトのポール際、外野の芝生スタンドへと吸い込まれて行った。一塁塁審の腕がグルグルと回る中、ゆっくりとダイヤモンドを回る。三塁側ベンチ前で迎えた仲間たちから、お約束の手荒い祝福を受けた。この2点を9回まで守り切り、四国・九州ILはNPBから奪った勝ち星を5つに伸ばしている。

「ランニングホームランは何回もやりましたけど、正直めちゃくちゃ嬉しいですね!」
ずっと出たい出たいと思っていた代表チームでの試合にメンバーとして選ばれ、やって来たフェニックス・リーグの舞台で2つ目の大きな仕事をやってのけた。人生初のスタンドインはNPBから奪った。

高知を出発する前、定岡監督(高知FD)から言われたと言う。
「『NPBのボールは飛ぶからなァ! お前でもホームラン打てるぞ!』って監督に言われて、『いやぁ、無理ですよぉ』なんて言ってたんですよ。『監督! やりました!』って、さっそく電話します!」


2008.10.18. NAGARE
飛距離十分な当たりが、ライトへ舞い上がる


2008.10.18. Team meets NAGARE.
「おいーっ!流ぇーっ!」



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2008/10/17(Fri)

「いないと勝てないの?」

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第9戦
2008.10.17. 四国・九州IL 9-5 埼玉西武ライオンズ <生目の杜第2球場>

L 010 002 200| 5
IL 200 032 20×| 6

本塁打
IL 小松崎1号2ラン(7回田沢)

バッテリー
L キリー、岡本、藤原、田沢、長田 ‐ 中田、田原
IL 高木、中江、渡邊、篠原、入野、西川雅 ‐ 梶原、飯田

四国・九州ILスターティングメンバー
三 國信(福岡RW)
中 長崎(愛媛MP)
二 檜垣(愛媛MP)
右 大島(愛媛MP)
一 西村(福岡RW)
左  陽 (福岡RW)
D 高田(愛媛MP)
捕 梶原(愛媛MP)
遊 金城(徳島IS)

第3クールの初戦を落とした四国・九州ILだがなんとか連敗だけは避けたい。沖監督は昨日のゲームで本塁打を含む2安打を放った長崎準平(愛媛MP)を二番に据え、檜垣浩太(愛媛MP)を今大会初めて三番に置いた。
1回裏、その二人のバットが火を噴く。西武先発・キニーから二番・長崎が一、二塁間を破ると、三番・檜垣は左翼手の頭上を越える適時二塁打を放つ。二死三塁として五番・西村悟(福岡RW)への2球目をキニーが暴投し、四国・九州ILが2点を先制した。
初回を打者3人で抑えた四国・九州IL先発・高木大輔(愛媛MP)だったが、2回表、先頭の四番・三浦に中越え二塁打を許す。一死三塁とした後、六番・松阪が三遊間を破り、西武が1点を還した。その後、高木は走者を出しながらも後続を断ち続け、5回を1失点で終える。
5回裏、この回からマウンドに登った西武の三番手・藤原は制球力が定まらない。先頭の八番・梶原有司(愛媛MP)、一番・國信貴裕(福岡RW)を四球で歩かせた後、二番・長崎に三遊間を破られ一死満塁のピンチに陥る。三番・檜垣の打球は中堅手の頭上を越える適時二塁打となり二者が生還。さらに四番・大島慎伍(愛媛MP)の中犠飛により三塁から長崎が生還。四国・九州ILが3点を追加し、差を4点に開く。
6回表から四国・九州ILのマウンドには二番手・中江信(福岡RW)が登る。2本の安打と四球で無死満塁のピンチを作ると、沖監督は中江を諦め、左腕・渡邊隆洋(徳島IS)をマウンドに送る。七番・梅田を三振、八番・中田を右飛に打ち取った渡邊だったが、九番・斉藤に一、二塁間を破られ2点を失った。
6回裏からマウンドに登った西武の四番手・田沢も制球に苦しみ、五番・西村、六番・陽に連続四球を与える。二死一、二塁として九番代打・流大輔(高知FD)が初球を叩き、右中間を破る2点適時三塁打。四国・九州ILがすぐさま2点を奪い返した。
だが、西武もNPBの意地を見せ追いすがる。7回表、四国・九州ILの四番手・篠原慎平(愛媛MP)から二番・水田、三番・高山が連打すると、四番・三浦が左前へ適時打を放ち二者が生還。再び2点を奪い返した。
7回裏、先頭の二番・長崎は今日3安打目となる中越え二塁打で無死二塁のチャンスを作る。二死二塁として五番代打・小松崎大地(徳島IS)が4球目のストレートを左翼へ高々と運び、防球ネットに直撃する2ランを叩き込む。四国・九州ILが三度西武を突き放した。
8回表を入野貴大(愛媛MP)が、9回表を西川雅人(愛媛MP)が無失点で抑え、四国・九州ILが9-5で埼玉西武ライオンズを下した。
四国・九州ILはフェニックス・リーグの成績を4勝3敗1分けとし、順位を4位に上げた。第9戦目にして昨年の3勝を上回る成績を残している。


『「いないと勝てないの?」』

第3クールに選ばれたメンバーの中で、西川雅人(愛媛MP)、國信貴裕(福岡RW)、梶田宙(高知FD)、そして小松崎大地(徳島IS)の4人はいわゆる82年組である。今季入団の西川を除けば、共に初年度からリーグを引っ張って来たメンバーたちだ。第3クールに集められたメンバーの中では最年長になる。小松崎が語る。
「昨日の夜、ノブ(國信)とチュウ(梶田)と話しました。「オレらで若いヤツらを引っ張って行こう!」って」
82年組としての責任感はもちろん、4年間アイランドリーグで生き抜いてきた選手としての誇りもある。

昨日の千葉ロッテ戦で結果を出せなかった。國信は第4打席に今大会初ヒットが飛び出したものの、序盤3回表、ワンアウト三塁のチャンスにショートフライに倒れている。梶田も2打数ノーヒット、五番として打線の中軸に座った小松崎は4打数ノーヒットだった。それぞれが感じていた歯痒さが、入れ替わった新チームにはまだ乏しかった結束感を求めたのかもしれない。

「今日、勝ちに行くぞ!」
試合前のミーティングで沖監督が言ったこの一言で、小松崎の闘志にも火が入ったと言う。

四国・九州ILが5回裏に3点を奪えば、6回表に埼玉西武が2点を奪い返す。さらに6回裏に再び2点を奪うと、7回表にまた2点を奪い返す。打ち合いになった後半、突き放す度に返し追い上げて来たのはさすがNPBだった。スタメン落ちしていた小松崎がずっとベンチからメンバーたちを盛り上げ続ける。本塁を踏み、ベンチに戻って来た選手たちを大きな声とアクションで出迎えていた。

7-5と2点差まで追い上げられた7回裏、二番・長崎準平がセンターオーバーのツーベースヒットで無死二塁のチャンスを作る。三番・檜垣、四番代打・梶田が倒れ、あっという間に二死二塁となってしまった。次の打席に入ったのは、代打を命じられた小松崎だった。

「いい流れで打席に入れました。集中できてたし。チュウの打席を見てて、「甘く入ってくるかな?」と思って(ヒッティング)ゾーンを上げてました」
カウント1-2からの4球目、西武のサウスポー・田沢の球はインコース高目に入ってくるストレートだった。ちょっとつまったかな? と思ったが、うまくヒジを押し込むことができた。打球は左翼フェンスを高々と越え、左翼手はボールを追うこともせずに打球を見送った。

実は公式戦終了後辺りからフォームを修正している。ムダな部分を排除し、トップからシンプルにインパクトに持って行けるようなイメージのスイングに変えた。9月30日に行われたサーパス対徳島ISの交流戦でも二塁打を2本放っている。あの時はまだ「修正したばっかで気持ち良く振れていない」と語っていた。しかし、徐々に馴染んできている。試合前の練習では両翼100mの外野フェンスをオーバーする大きな当たりが何本もあった。

つかみ始めている自信の裏に燃えるような闘志があった。自信があったからこそ必要以上に気負うこともなく、この1打席に集中することができた。
「昨日あんな試合したことが悔しかった。香川が抜けて、真輝さん(高知FD)が抜けて。「いないと勝てないの?」って、そう思われるのが嫌で…。僕も負けたくなかった」

両軍併せ23安打が飛び交う乱打戦にとどめの一撃を放ったのは、常勝香川OGのスラッガーではなく、今大会凄まじい活躍を見せる高知FDのスラッガーでもない。
あいつらだけじゃ勝てないなんて、絶対に思われたくない。
青いユニフォームの長距離砲が打った、意地の一撃だった。


2008.10.17. VS SAITAMA SEIBU LIONS
試合終了後、両チームの握手


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2008/10/16(Thu)

確かな足跡

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 第8戦
2008.10.16. 千葉ロッテマリーンズ 6-2 四国・九州アイランドリーグ代表 <サンシャインスタジアム宮崎>

IL 000 000 200| 2
M 000 050 01×| 6

本塁打
IL 長崎2ラン(7回小林)
M 根元俊3ラン(5回川西)

バッテリー
IL 川西、渡邊、入野、西川雅 ‐ 飯田、梶原
M 手嶌、田村、小林、相原、中郷 ‐ 金澤

四国・九州ILスターティングメンバー
遊 國信(福岡RW)
三 檜垣(愛媛MP)
D 西村(福岡RW)
右 大島(愛媛MP)
一 小松崎(徳島IS)
中 梶田(高知FD)
左 金丸(徳島IS)
捕 飯田(高知FD)
二  流 (高知FD)

第3クールからメンバーがガラリと入れ替わっている。第1、第2クールに召集されていなかった徳島ISのメンバー4名も新たに加わった。沖泰司監督(愛媛MP)が率いる第3クールの四国・九州IL代表チームが戦う最初の相手は千葉ロッテマリーンズである。
1回表、千葉ロッテ先発・手嶌から二番・檜垣浩太(愛媛MP)が右翼フェンスを直撃する二塁打を放ち四国・九州ILがチャンスを作る。一死一、二塁とした後、四番・大島慎伍(愛媛MP)の当たりは二塁手の正面を突くライナーとなり、檜垣が戻れず併殺に。最初の大きなチャンスを潰した。
3回表、先頭の八番・飯田一弥が左中間を破る二塁打を放ち得点圏に走者を進める。九番・流大輔(高知FD)がバントで送った後、二死一、三塁として四番・西村悟(福岡RW)の打球はまたも右翼手の正面を突くライナーとなり1点が奪えない。
四国・九州ILの先発・川西祐太郎(愛媛MP)は、危なげない投球で4回を無得点に抑える。しかし5回裏、千葉ロッテ打線の猛攻が火を噴く。先頭の六番・田中雅が三塁手の右を抜く左前安打で出塁すると、七番・新里への初球に田中雅が二盗を試みる。捕手・飯田の二塁送球が逸れる間に田中雅が三塁へ進んだ後、新里に中前適時テキサス安打、八番・金澤には右中間フェンスにワンバウンドで当たる適時三塁打と3連打を浴び、2点を失った。さらに猛攻は続き、三番・根元俊が右翼スタンド中段に3ランを叩き込む。千葉ロッテが4安打で一挙5点を奪い取った。
6回裏を左腕・渡邊隆洋(徳島IS)が打者3人で凌ぎ、味方打線の奮起を待つ。
4回からマウンドに登り3イニングを無失点で抑えた千葉ロッテの二番手・田村に代わり、7回表のマウンドには小林憲幸(徳島IS→千葉ロッテ育成)が登った。先頭の四番・大島が四球を選ぶと、一死一塁から六番代打・長崎準平が左翼スタンド中段に2ラン。四国・九州ILが2点を奪い、差を3点に縮めた。
7回裏を入野貴大(愛媛MP)が三者凡退に切って獲った後、8回裏のマウンドには西川雅人(愛媛MP)が登る。だが西川雅は二死から四番・細谷、五番・神戸に連打を浴び1点を失った。
9回表、四国・九州IL最後の攻撃は、二死から六番・長崎が左前安打で出塁するが、七番・陽耀華(福岡RW)が二ゴロに倒れ、遂に逆転はならなかった。
千葉ロッテが6-2で四国・九州ILを下した。この結果、四国・九州ILはフェニックス・リーグでの対戦成績を3勝3敗1分けとしている。


『確かな足跡』

大きなチャンスは序盤の2つ。初回の一死一、二塁と、3回表の一死三塁である。連打で得点を奪った千葉ロッテに対し、四国・九州ILは散発の5安打と打線が繋がらなかった。

三番・西村悟(福岡RW)のライトライナーは右翼手のグラブに収まった。四番・大島慎伍(愛媛MP)が二塁手の頭上へライナーを弾き返したが、逆に併殺打となった。五番・小松崎大地(徳島IS)の打球はあと少しでフェンスに届かず、レフトフライ、ライトフライに終った。クリーンナップの3人に1本が出ていれば、もう少し違った展開になっていた。

「序盤のチャンスに点が獲れなかった。集中力っていうか、「打ちに行く!」っていう部分。相手ピッチャーにどんなタマがあるのか? とかね。レギュラーシーズンも一緒なんだけど…」
沖監督が指揮したフェニックス・リーグ最初のゲームは、やや不満の残る試合になってしまった。
「川西は5回まで行くって言ってたんだけど、抜けた球、甘い球を狙われてミスから失点してしまった。ノーアウト三塁になって1点はしょうがない。後続を抑えないと。ここ! っていう場面ですよね」
4回まで危なげのないピッチングをしていながら、一つのミスから一気に崩れた。21歳のピッチャーと22歳のキャッチャーのバッテリーにとっては悔やみ切れない1イニングになってしまった。バッターもバッテリーも、大事な場面で仕事ができるかできないか。そこが壁を破る一つのポイントであることは間違いない。

明るいニュースもある。
第1クールからチームに帯同し、ここまで全試合に出場していながらまだヒットの出ていなかった國信貴裕(福岡RW)にようやく1本が出た。
「最初に出したかったですけどね…」
と苦笑いを見せたが、試合前の円陣ではチームを離れた真輝(高知FD)、洋輔(香川OG)に代わり、真ん中で大きな声を挙げている。

そしてもう一人、この第3クールからチームに参加した長崎準平(愛媛MP)がバットで大きなアピールを見せた。代打として打席に立った7回表、皮肉なことに四国・九州ILを卒業して行った小林憲幸から左翼スタンドに豪快なホームランを叩き込んでいる。最終回にもロッテの5番手・中郷が投げた146km/hのストレートをレフトへ弾き返してみせた。
「相手もプロじゃないですか。シーズン中(の交流戦)より更に上。大事な場面ではやっぱり違いますよね。走塁なんかでも「えっ!」って走りするし。いい勉強になりました。いい刺激になったって言うか。もうこの4試合にすべてを賭けるつもりなんで」
実は第1クールから召集されていたのだが、リーグチャンピオンシップ中に体調を崩してしまい、回復するのを待ってもらっていたのだ。
「定岡さん(智秋監督・高知FD)に初めて呼んでもらったのに…」
だが、最後のチャンスにはなんとか間に合わせることができた。

長崎がホームランを打った打席、マウンドに立つのは小林で、ショートを守っているのは小林と一緒に四国・九州ILを卒業して行った白川大輔だった。そして球審を務めていたのは昨年までアイランドリーグで技術を磨き、今年からセ・リーグの審判員として活躍している水落朋大審判だった。アイランドリーグ4年の歴史はまだ短いかもしれない。しかし、そこから巣立って行った野球人たちが同じフィールドに立ち、同じ試合に臨んでいる。確かな足跡がそこにあった。

このフェニックス・リーグでの四国・九州ILの活躍もきっと大きな足跡になる。新たな歴史を作り、アイランドリーグを巣立って行く野球人が今年もこの中から。
そのために今、彼らは必死にアピールを続けている。


2008.10.16. after the game
試合後、マリーンズの練習を見ながらダウンする國信、陽、長崎


PHOTO BY Hiro TAKATA
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2008/10/15(Wed)

グランドチャンピオンシップへ、第3クールへ

四国・九州アイランドリーグ 2008 フェニックス・リーグ 9日目
2008.10.15. 練習日

第2クール終了により深谷亮二コーチ、キム・ムヨン(以上、福岡RW)、松尾晃雅、松居伊貴、西森将司、金井雄一郎、智勝、生山裕人(以上、香川OG)、真輝(高知FD)の9名がチームを離れた。前日宮崎を発った西田監督他3名と併せ、香川OGのメンバーは17日から高松・サーパススタジアムで行われる独立リーグ日本一を争う富山サンダーバーズとのグランドチャンピオンシップを戦う。
11時、先に出発した深谷コーチとキムを除く7名がバスで宿舎を出発し、一路福岡空港へと向かっている。
第3クールの指揮を執る沖泰司監督(愛媛MP)を含めた第3クール召集メンバーは福岡空港に到着後、今日深夜に宮崎入りする予定。

なお第3クールのメンバーが発表された。
メンバーは下記の通り。(☆は今大回初召集。★は再召集)

<監督> ☆沖泰司(愛媛MP)
<コーチ> ☆加藤竜人(愛媛MP)、★山崎章弘(高知FD)
<投手> ★入野貴大(愛媛MP)、★川西祐太郎(愛媛MP)、篠原慎平(愛媛MP)、☆高木大輔(愛媛MP)、西川雅人(愛媛MP)、西川徹哉(高知FD)、中江信(福岡RW)、酒井大介(長崎S)、☆渡邊隆洋(徳島IS)、以上9名
<捕手> ☆梶原有司(愛媛MP)、飯田一弥(高知FD)、以上2名
<内野手> 大島慎伍(愛媛MP)、☆大津慎太郎(愛媛MP)、檜垣浩太(愛媛MP)、高田泰輔(愛媛MP)、☆流大輔(高知FD)、國信貴裕(福岡RW)、☆金城直仁(徳島IS)、☆金丸勝太郎(徳島IS)、以上8名
<外野手> ☆長崎準平(愛媛MP)、梶田宙(高知FD)、★西村悟(福岡RW)、陽耀華(福岡RW)、☆小松崎大地(徳島IS)、以上5名。選手計24名。


『グランドチャンピオンシップへ、第3クールへ』

昨日の雨はすっかり上がり、抜けるような秋晴れの朝になった。
バスに荷物を載せるため、一番最初にやって来たのは西森将司(香川OG)だった。まだ少し昨日の夜の酒が残っているらしい。
「地鶏食べましたー。ヤバイっスね!」
宮崎最後の夜は居酒屋で盛り上がった。グランドチャンピオンシップに向けての決起集会でもある。

4時間の道のりの後、福岡空港から高松空港へと飛び、明後日の大一番に備える。松尾晃雅(香川OG)もバスに荷物を乗せるためやって来た。アメリカで経験した長旅に比べれば、たった4時間で到着する短い旅である。比べものにならないほど楽だ。
(向こうのバスって、シートとかどうなの?)
「椅子も大きいんですけど、横に座ってるヤツがデカいんで…」

フェニックス・リーグでの戦いに一区切りを付け、ここからは独立リーグ日本一連覇を目指し、富山との戦いにすべてを切り替える。やはり大事なアピールの場であることは変わらない。バスを見送りにホテルから出て来た梶田宙(高知FD)、國信貴裕(福岡RW)らと握手を交わし、智勝たちもバスに乗り込んだ。この数日で自慢の髭も少し長くなった。

「『週ベ』って何曜日に出るんでしたっけ?」
一番最後にバスに乗り込もうとしていた真輝(高知FD)が尋ねて来た。
「今週、真輝さんが載るんスか?」
國信が聞いた。
「しっかり「One Love!」って書いといたから」と真輝に言うと、「おーっ!」と場が盛り上がった。実はその話は原稿に間に合っていない。
「みんな声が揃い出したのが南郷辺りでしたからねぇ」

真輝の合図と共に挙がる「One Love!!!」の声が聞けなくなるのも寂しいが、6試合で20打数10安打。11打点、2本塁打を叩き出している代表チームの打撃の要がチームを離れてしまうことは、もっと心許ない。

「じゃあ皆さん、ありがとうございましたーっ!」
最後に真輝を乗せたバスの扉が閉まった。
バスが新メンバー15名を乗せ、福岡からここに帰って来るのは、今夜時計が24時を指す少し前になる。
明日、第3クール最初の相手は千葉ロッテマリーンズである。



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